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蓄電池は役に立つ?基礎知識から導入費用まで紹介

2023年05月30日
蓄電池イメージ

太陽光発電とセットで導入される蓄電池は、発電した電気を溜めておく役割を果たす重要な装置です。電気代の負担軽減や災害時の電源確保などのメリットがある蓄電池ですが、導入に一定の費用がかかります。そのため、慎重な検討が必要です。

今回は蓄電池の基礎知識をご紹介します。目的別の蓄電池の選び方、蓄電池設置に必要な費用などについて詳しく解説していくので、ぜひ蓄電池選びに役立ててください。

蓄電池とは

リチウムイオン蓄電池ユニット(6.7kWh・屋内、3.5kWh・屋内)設置イメージ

蓄電池とは、蓄えた電気を任意のタイミングで放電できる電池です。一般的にはバッテリーという呼ばれ方もしており、工業施設の大型機器などに使われる大型バッテリーからパソコンやスマートフォンに搭載される小型バッテリーまで、目的や用途に応じてさまざまな性能・規格のものが作られています。

蓄電池の仕組み

蓄電池は正極(プラス)と負極(マイナス)の2つの電極になる金属と、硫酸などの電解液で構成されています。電極はそれぞれ異なる種類の金属が使われており、正極は溶けにくい性質、負極は溶けやすい性質です。

放電は負極側の金属が電解液に溶ける際に電子を発生させ、その電子が正極へ流れ込むことで発生した電気によって生まれます。蓄電時には反対に電流を流された正極側の金属が電解液に溶け出し、発生した電子が負極側の金属として固体化することで放電可能な状態に戻る仕組みです。

この充放電の仕組みは一般的な乾電池でも同じであり、負極から正極へ電子が流れ込むことで放電が発生します。ただし使い切りの乾電池に使われている負極側の金属は、一度溶けると再固体化しない素材が使われており、正極の金属に電流を流しても蓄電されないように作られています。

蓄電池の種類

蓄電池は使用される金属や電解液の種類によって、大きく3つに分類されています。それぞれ異なる特徴をもっているため、用途やコストによって使い分けされています。

種類 正極 負極 電解液 特徴
鉛蓄電池 二酸化鉛 希硫酸 容量あたりの電力単価が安い
ニッケル水素電池 ニッケル過酸化化合物 水素化合物 アルカリ溶液 小型化しやすく家電品のバッテリー向き
リチウムイオン電池 二酸化コバルト リチウムイオン 炭酸エチレン 現代の主流の蓄電池
小型化・大容量化が進む

 

鉛蓄電池は自動車や船舶、大型重機などのバッテリーに用いられている蓄電池です。容量あたりの電力単価が安いため、大きな電力を必要とする大型のバッテリーに向いています。ただし、経年の影響による性能劣化が激しい傾向があることがデメリットです。そのため、車検時にはバッテリーの状態チェックが欠かさず行われています。

ニッケル水素電池はニッケルを使用した蓄電池のひとつです。かつてはニッケルとカドミウムを使ったニッカド電池が蓄電池の主流でしたが、カドミウムから有害物質が放出される危険性があるため、より安全性の高い水素化合物が使われるようになりました。家電の小型バッテリーとして広く使われていますが、近年ではより高性能なリチウムイオン電池への置き換えが進んでいます。

そのリチウムイオン電池はスマートフォンやPCのバッテリーに採用されている最新の規格です。毎年のように小型化と大容量化が進んでいて、世界的に導入が進む電気自動車のバッテリーにも採用されています。今後さらに幅広い領域での活用が期待されている蓄電池です。

蓄電池と発電機の違い

発電機は単体で電気を発生させる装置のことで、太陽光発電ユニットも発電機の一種です。自ら電気を生み出すことはできますが、作った電気を溜めておく機能はありません。

蓄電池は発電機が生産した電気を蓄積する役割をもっています。溜めておいた電気を任意のタイミングで放電できますが、電気の生産は発電機に頼りです。

発電機は、電気機器を使用した屋外での作業や短期間の停電など、今すぐにある程度の電力が必要な用途に適しています。蓄電池は、いつ電気が必要になるかわからない事態への備えや、日常的な電力供給のサポートに最適です。果たせる役割は製品によって異なりますので、目的と用途に応じた選択したり、両者を組み合わせた運用をしたりするとよいでしょう。

蓄電池の選び方

蓄電池選び イメージ

家庭用の蓄電池には、容量や電力供給方法が異なるさまざまな種類があります。何のために家庭用蓄電池を設置したいのか目的を定めた上で、自宅にあった蓄電池を選びましょう。

太陽光パネルの発電量で選ぶ

太陽光発電の活用で注意すべき点は、発電する時間と電力を使う時間のズレにあります。太陽光発電は主に日が出ている日中に行われますが、家庭で最も電力が消費されるのは夕方から夜の時間帯です。そのため太陽光発電された電気のうち自家消費しているのは30%程度に留まり、残りの70%は電力会社に売却(売電)していると言われています。

電力会社から電気を買う価格の方が売る価格よりも高く設定されているため、発電した分を自宅で全て消費した方が経済的です。蓄電池の容量は、太陽光パネルの発電量の70%を最低基準にするとよいでしょう。

停電時の電気の使い方で選ぶ

蓄電池には大きく分けて「全負荷型」と「特定負荷型」の2種類があります。全負荷型は、家中すべての家電に電力を供給する蓄電池です。特定負荷型は、蓄電池からの電力供給を一部の選択した経路のみに限定します。100Vの蓄電池は特定負荷型、200Vは全負荷型を採用しているのが一般的です。

供給先は商品の基本設計で決められているため、停電時の供給先も変わりません。全負荷型なら停電時にも全ての家電が使えますが、その分溜めておいた電力が尽きるのも早いでしょう。一方の特定負荷型は指定したエリア以外は停電しますが、供給先をキッチンやバスルームなどに絞っておけば、停電が長引いた場合にも過ごしやすい環境を維持しやすくなります。

万が一の停電に備え、電力供給をキープしたい場所と時間を踏まえた蓄電池を選ぶとよいでしょう。

蓄電池の設置方法

蓄電池設置 イメージ

蓄電池の導入は基本的に専門の業者に依頼する必要があります。一般的に2~3人の作業者により4~5時間程度で設置できるといわれており、家に関する工事の中ではそれほど大きなものではありません。配線工事や製品の保証が絡みますので、DIYによる工事はおすすめできません。

蓄電池の設置は次のような手順で行われます。

1.    設置場所や配線の確認

まずは自宅に蓄電池を設置できるかを施工業者に確認してもらいましょう。蓄電池は屋内用と屋外用がありますが、どちらであっても設置スペースと配線ルートを確保する必要があります。環境によっては配線のための穴開け工事をする必要がありますので、家主も一緒に立ち会いながら確認を行いましょう。

2.    基礎工事

屋外用を設置する場合、蓄電池の機種に応じた基礎工事が必要です。設置場所にコンクリートで基礎を作る「本基礎工事」と、金具を設置する「簡易基礎工事」に分かれます。

屋内用は基礎工事の必要はありませんが、蓄電池の重量に耐えられる場所に設置する必要があるため、床の素材や家の構造を考慮した配置場所を選ぶ必要があるでしょう。

3.    本体の設置

基礎を用意できたなら、蓄電池本体を設置します。地震による震動やものがぶつかった際の衝撃でズレたり倒れたりしないよう、しっかり固定されているかを確認しましょう。

4.    パワーコンディショナーの設置

蓄電器は電気の大きさを保ったまま無駄なく溜められるように、「直流」の形で蓄積されています。ですが、一般家庭の機器が対応している電気の種類は「交流」です。直流から交流に変換するために、電流の変換装置であるパワーコンディショナー(パワコン)を設置する必要があります。

パワコンは一般的に蓄電池とセットになっており、周辺機器として独立しているタイプと蓄電池と一体化しているタイプがあります。また、同じくパワコンによる電流の変換が必要な太陽光発電ユニットのパワコンと一体化したハイブリッドパワコンといったタイプもあります。

5.    配線工事

蓄電池本体とパワコンの設置が完了したなら、それぞれの機器と家の電気設備を接続するための配線工事を行います。ブレーカーボックス内に線をつなぐだけでなく、屋外にケーブルを通すためのダクトの設置も必要です。太陽光発電ユニットとの接続を考えているなら、同時に行っておくと後々の手間が省けるでしょう。

6.    設定と最終確認

最後に蓄電池の充放電設定を行い、正常に作動するかの最終確認を行います。平常時と非常時の挙動を想定し、適切なモードを選択しましょう。

一通り設定が完了したなら、ブレーカーを落として擬似的な停電状態を作り出して挙動を確認します。非常時に想定通りの挙動をしてくれれば、ひとまずの設置は完了です。あとはエラーが出た際の対応や再設定の方法などを確認しておきましょう。

蓄電池の設置費用

蓄電池設置費用 イメージ

家庭用蓄電池の設置にかかる費用は、主に以下の3つの要素で構成されています。

  • 本体価格
  • 設置費用
  • 配線工賃

蓄電池本体は先述の通り3つの種類があり、中でもリチウムイオン電池が最も高額です。しかし寿命や安全性、性能といった面においてリチウムイオン電池が最も使い勝手がよいことから広く普及が進んでいます。

リチウムイオン電池の価格は、1kWhあたり15~20万円程度で推移しています。各メーカーが販売している家庭用蓄電池の容量である5.0~8.0kWhに当てはめるなら、80~200万円程度が一般的な相場として考えられます。

設置費用と配線工賃はその他の諸経費と合算し、多くの場合50万円以内に収まるといわれています。ただし、配線工事の難易度や太陽光発電ユニットとの併用といった要素により費用が変動する点には注意が必要です。

上記の費用を合算すると、蓄電池の設置費用はおよそ120~300万円の間になると考えられます。なお、前述の通り条件によって設置費用の変動が発生する可能性がある上、同じ蓄電池でも業者によって設置費用が異なりますので、設置を検討する際には複数の業者に相見積もりをとることをオススメします。

蓄電池のメリット

蓄電池のメリット イメージ

エネルギー問題への取り組みとしても注目されている蓄電池は、一般家庭にとってどのような効果があるのでしょうか。蓄電池の設置により得られるメリットを具体的に見てみましょう。

電気代を抑えられる

溜めた電気を任意の時間に使用できるのが蓄電池の大きなメリットです。太陽光発電ユニットが電力消費量の少ない日中に発電した電気を溜めておき、夕方以降の電力消費量の大きな時間帯に放電することで、電気代を安く抑えられるようになります。

緊急時の電力供給が可能

災害などにより電力供給が止まったときの備えとして蓄電池の設置を考える人も少なくありません。冷蔵庫や給湯器など生活に大きく影響する家電のみに絞って電力を供給すれば、停電による影響が抑えられやすくなります。

FIP制度の売電時間を調整できる

FIP制度は2022年4月からスタートした再生エネルギーの買取制度です。従来のFITは買取価格が一定とされていましたが、FIPは市場価格の変動に合わせて売電価格が決まります。蓄電池に電気を溜めておけるようになれば、売電価格が安い時期は優先して自宅で消費し、値上がりしたタイミングで売るといった選択肢も選べるようになるでしょう。

蓄電池のデメリット

蓄電池には生活を支える多くのメリットがありますが、一方で設置にあたってある程度の負担も必要です。設置前には、許容できるデメリットの範囲を十分に考慮しておきましょう。

初期費用・維持費がかかる

蓄電池の設置には、先述の通り100~300万円程度の初期費用がかかります。また蓄電池は消耗品であるため、10~15年に一度交換する必要があります。長い目で見れば投資分を回収できるだけのメリットを得られる可能性がありますが、一時的に多額の費用を負担することは変わりません。設備投資費用が生活費を圧迫しないよう、十分な資金を確保しておく必要があります。

設置にはスペースの確保と工事が必要

蓄電池のサイズはエアコン室外機の2倍程度の大きさです。そのため屋内に設置する場合には十分なスペースを確保する必要があります。また蓄電池はある程度の駆動音が発生する設備のため、置き場所や家の構造によっては音が気になるかもしれません。

屋外への設置ならばスペースや駆動音は屋内用ほど気にせずにすみますが、設置のための基礎工事が必要になる場合があります。決して小さくない機器の設置となりますので、普段の生活の邪魔にならないように設置場所は十分に検討する必要があります。

まとめ

自家発電した電気を溜めておける蓄電池を設置すると、電力会社から買う電力量が減るため経済的です。長期的にはメリットが大きい蓄電池ですが、一方で初期費用が高く、また自宅に合う蓄電池を調べて選ぶなど導入にも手間がかかります。蓄電池は目的に応じたさまざまな仕様の商品があるため、自宅に合った蓄電池を選び、エコロジーな自家発電ライフを送りましょう。

カインズ・リフォームでは、太陽光発電システムの導入を全面的にサポートしています。また、リフォームの実績も豊富で、太陽光発電導入にともなう屋根や外壁、エクステリアのリフォームにも対応可能です。リアル店舗でもWebでも相談を受け付けていますので、太陽光発電の導入を検討しているのならぜひお問い合わせください。

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