太陽光発電は、10kW以上の低圧用太陽光発電として運用するか、10kW未満の住宅用太陽光発電として運用するか悩む方が多いのではないでしょうか。そこで今回は、太陽光発電の10kWを境に変わること、10kW以下・10kW以上との比較、メリット・デメリット、選び方のポイントを詳しく解説します。
太陽光発電における10kWと10kW以上の違い

太陽光発電のkWは、発電量のことです。10kW~50kW未満のものは低圧用太陽光発電、10kW未満のものは住宅用太陽光発電といい、10kWを境に必要な設備や設置費用、売電価格などが異なります。kW数が高くなればなるほどに発電量も多くなりますが、必要な設備が増えるため設置費用が高くなり、太陽光パネルの設置に広いスペースが必要です。
10kW未満と10kW以上の比較

太陽光発電の設置を検討する際は、10kW未満と10kW以上における必要な設備や設置費用、売電価格について確認しましょう。それぞれの違いについて詳しく解説します。
必要な設備
太陽光発電に必要な設備は、10kW未満と10kW以上で大きな違いはありません。いずれも太陽電池やパワーコンディショナー、電力量計、分電盤などを設置します。ただし、10kW以上の場合はより多くの売電量に対応するために、電力会社による電線工事が必要になる場合があります。電線工事の内容は、大きな電力が流れ込むことに対応するための電線の太さの変更やトランスと呼ばれる機器の交換などです。
設置費用
太陽光発電の設置費用は、設置するエリアやソーラーパネルの量、工事費などで異なります。経済産業省の「令和4年度以降の調達価格等に関する意見」によると、2021年度の1kWあたりの平均設置費用は28万円でした。2019年~2021年にかけて設置費用は減少傾向にあります。
費用の内訳は、ソーラーパネルが約60%、工事費が約25%を占めます。ソーラーパネル1枚の価格や工事費用は業者によって異なるため、複数社から見積もりを取って比較することが大切です。
売電価格
太陽光発電で得た余剰電力は、電力会社に売ることができます。売電を検討する場合は、売電価格にも注目しましょう。10kW未満と10kW以上では、余剰電力の価格や固定価格での買取期間が異なります。なお、現在は全量買取制度がない点に注意しましょう。
2023年度に経済産業省から事業認定を受けた場合の売電価格や売電期間は以下のとおりです。
・10kW未満……売電期間:10年間、売電単価:16円/kWh(税込)
・10kW以上……売電期間:20年間、売電単価:10円/kWh(税抜)
売電期間が終了(卒FIT)した後は、契約先を買取価格の高い電力会社に変更するか、自家消費に切り替えるのが一般的です。これまで売電した電力会社と契約を継続することも可能ですが、買取価格が大幅に下がります。
太陽光発電10kW未満のメリット・デメリット

太陽光発電10kW未満は比較的容易に導入できるメリットがある一方で、10kW以上と比べると利益が少なくなるというデメリットがあります。詳しくみていきましょう。
メリット
発電量10kW以下の太陽光発電は、ソーラーパネルの設置枚数が少なく、機器もコンパクトになる傾向があります。そのため、広い土地がなくても太陽光発電を導入できることがメリットと言えるでしょう。また、ソーラーパネルの設置枚数に応じて工事費も比較的安くなります。このように、低コストで手軽に導入できる10kW未満の太陽光発電は、広い土地がない方や大量の電力を売る予定がない方などに向いています。
デメリット
10kW未満の太陽光発電は、10kW以上と比べて売電価格のトータル金額が安くなります。そのため、より多くの電力を売りたい方には向いていません。太陽光発電を初めて導入する場合、どの程度の余剰電力が生じるのかをイメージできず、導入してから10kW以上を選択すべきだったと後悔する方もいます。
太陽光発電10kW以上のメリット・デメリット
太陽光発電10kW以上の場合、それだけ多くの太陽光パネルの設置が必要だというデメリットがある一方で、より多くの利益が期待できるメリットがあります。詳しくみていきましょう。
メリット
10kW以上の太陽光発電のメリットは、自家消費できる電力や売電量が大きくなることです。自家消費しつつも余剰電力を売電し、効率的に利益を得ることができます。10kW以上の太陽光発電を導入すれば、日々の電気料金が大きく低下するでしょう。また、売電収益も増加して資産形成につながることが期待できます。
デメリット
10kW以上の太陽光発電のデメリットは、導入コストが高く、より広い土地が必要なことです。ソーラーパネルの枚数が多くなればなるほどに必要なスペースが増え、工事費も高くなります。また、原則的に10kW以上の太陽光発電には固定資産税が課税されるため、少しでもランニングコストを下げたい方には向いていません。しかしながら、固定資産税を踏まえてもトータルで見ると10kW未満よりも大きな利益を得られることが多いでしょう。
太陽光発電の10kW未満・10kW以上を決めるときのポイント

太陽光発電の10kW未満と10kW以上のどちらを選択するか決めかねている方は多いのではないでしょうか。太陽光発電のメリット・デメリットを理解したうえで、次のポイントを押さえて10kW未満・10kW以上のどちらを選ぶか決めましょう。
目的
太陽光発電を導入する目的に応じて発電量を選ぶことが大切です。10kW以上の太陽光発電は自家消費しても電力に余裕があるため、より大きな売電収益が期待できます。自宅での電気使用量が大きい場合は、10kW以上の方がよいでしょう。
電気使用量が少なく、多額の売電収益も求めていないのであれば10kW未満が向いています。ただし、家庭環境の変化によって使用する電力が大きく変動する可能性を考慮し、太陽光発電の発電量を選ぶことが大切です。例えば、今は自宅で仕事をしていても、数年後に会社で仕事をすることになれば、家にいる時間が短くなることで余剰電力が増える場合があります。
人生設計や仕事関連の予測を踏まえて、自身にとって最適な発電量の太陽光発電を導入しましょう。
設置スペース
10kW以上の太陽光発電はソーラーパネルの枚数が多いため、それだけ多くの設置スペースが必要です。空き地に太陽光発電を設置する場合はより広い土地が、屋根に設置する場合は大きな屋根が必要になります。屋根の面積が足りない場合は物置やカーポートなどを利用するのも1つの方法ですが、配線工事や取付工事などに別途費用がかかるため、トータルコストが上がってしまいます。
また、配線の分配によって発電ロスが発生し、発電効率が低下することで結果的に売電収益が下がる可能性も否定できません。屋根や土地に十分な面積があるかどうかを事前に確認したうえで、太陽光発電の発電量を決めましょう。また、リフォームや土地の購入によって設置スペースを増やす場合、追加費用と発電量を比較する必要があります。
太陽光発電は自家消費や売電によって利益を得られる手法ですが、同時に導入コストがかかる点に留意しましょう。
予算
10kW以上の太陽光発電は導入コストが高いため、まとまった金額を用意できる方に向いています。太陽光発電は、発電量が多くなればなるほどに導入費用が高くなるうえに設備も大きくなるため、それだけ導入コストやメンテナンス費用がかかります。ローンでの購入も可能ですが、予想以上に発電量が少なくなるリスクや修理・交換費用が突然必要になることを考慮しましょう。
10kW以上の太陽光発電は、トータルの売電価格が10kW未満のものよりも高くなる一方で、損益分岐点を超えるまでの期間も長くなるため、資金面に余裕を持つことが大切です。
他の投資との兼ね合い
売電を目的とした太陽光発電は、投資の一種です。投資には、株式投資や投資信託、国債、不動産投資、外貨預金、FX、仮想通貨などさまざまな種類があります。複数の投資に分散するのであれば、どの程度の金額を投入するのか十分に検討しましょう。他の投資をメインとする場合は、初期費用を抑えるために10kW未満の太陽光発電を選ぶのも1つの方法です。
太陽光発電は売電価格が固定のため、相場変動のある株式投資やFXなどよりもリスクが低いと言えるでしょう。リスクが低い投資をメインとするのであれば、10kW以上の太陽光発電を導入するという考え方もあります。いずれの場合も、売電収益を十分に確認のうえで投資額の配分を決めることが大切です。生活に使用する電力と余剰電力を踏まえて売電収益をシミュレーションしましょう。
10kW未満・10kW以上の違いを理解して適切に選ぼう

太陽光発電の10kW未満か10kW以上のどちらがよいかは一概には言えないため、設置費用や必要なスペース、初期費用などを踏まえて自分に合ったものを選ぶことが大切です。また、太陽光発電関連の法律は定期的に改正されているため、今後も同じ条件で運用できるとも限りません。今回、解説した内容に加えて最新情報も常にチェックして、太陽光発電を適切に活用しましょう。
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