太陽光発電の利用を検討しているものの、発電量の目安がわからなくて設置すべきかどうか迷っている方は多いのではないでしょうか。1日あたりの発電量には、太陽光パネルの枚数や角度などさまざまな要素が関係しています。そこで今回は、太陽光発電の発電量の目安や計算方法、増やすためのポイントについて詳しく解説します。
太陽光発電における1日の発電量

太陽光発電協会によると、1kWあたりの年間発電量は約1,000kWhが目安です。これは、太陽光パネルを水平に対して30度傾け、真南に向けて設置した場合を想定しています。この1,000kWhを365日で割ると、1日の発電量は1kWあたり約2.7kWhです。10kWの太陽光発電を導入した場合、1日の発電量は約27kWh、1年間で約10,000kWhとなります。発電量は、太陽光パネルの設置角度や日当たりなどで大きく異なる点に留意しましょう。
太陽光発電の発電量が変わる要因

太陽光発電の発電量は、太陽光を受ける量や時間、太陽光パネル数・角度など、さまざまな要因で変化します。太陽光発電の発電量が変わる要因について詳しくみていきましょう。
方角と角度
屋根の方角と太陽光パネルの角度は、太陽光を受け取れる量に影響を及ぼします。中部電力グループのリフォーム会社「トーエネック株式会社」によると、太陽光パネルを設置する屋根の包囲は南が最適とのことです。また、南における日射量を100%とした場合、東南と南西は95.1%、東と西は82.8%としています。また、屋根の角度は30°前後が理想的で、30°を100%とした場合は20°で98.2%とのことです。
太陽光パネルの枚数・面積
太陽光パネル1枚あたりの発電量は決まっているため、枚数および設置面積が発電量に影響を与えます。太陽光1枚あたりの発電量の目安は、70~250Wです。例えば、100Wの太陽光パネルを10枚設置すると、1kWhの発電量となります。10kWの太陽光発電を導入する場合、100枚の太陽光パネルを設置します。太陽光パネル1枚あたりのサイズは1.5m×1mが一般的なため、これに当てはめると150m×100mで15,000㎡の面積が必要です。
これだけの太陽光パネルを設置できる土地を持つ家庭は多くありません。そのため、太陽光発電を導入する方は10kW未満を選択するのが一般的です。
太陽光パネルの素材
太陽光パネルの素材によっても発電量が異なります。各素材の特徴と発電効率について以下の表をご覧ください。
素材 |
特徴 |
発電効率 |
単結晶シリコン |
パネルを構成する最小単位「セル」が1つになっているタイプでもっとも製造コストが高い |
20%前後 |
多結晶シリコン |
小さなシリコン結晶を集めて作られたもので、低コストで製造できる |
15%前後 |
薄膜シリコン |
薄い膜のようなタイプで、折り曲げ可能で軽く、コストが低い |
10%前後 |
化合物系(CIS系) |
「銅・インジウム・セレン」という3種類の元素から構成される「化合物半導体」を使用したもので、結晶シリコン系太陽光パネルよりも低コスト |
15%前後 |
業者の太陽光パネルの素材を確認し、なるべく発電効率が高いものを選びましょう。ただし、単結晶シリコンは発電効率が高い一方でコストが高いという難点があるため、メリット・デメリットを比較することが大切です。
エネルギー変換効率
太陽光パネルが受けた太陽光は、そのまま電力に使用するのではなく変換する必要があります。このエネルギー変換効率はメーカーや製品によって異なるため、事前に確認が必要です。SHARPの製品は2011年にエネルギー変換効率36.9%を達成し、2030年には40%を達成する製品を開発するという目標を掲げています。エネルギー変換効率がなるべく高い製品を使用することで効率的に発電できますが、それだけコストが高くなる可能性がある点に留意が必要です。
また、エネルギー変換効率だけではなく業者の信頼性やトータルコストも加味しましょう。
日照時間
太陽光パネルが受ける太陽光の量は、日照時間に大きな影響を受けます。気象庁の「観測開始からの毎月の値」によると、2022年の日照時間は年間2028.9時間でした。これを1日に換算すると約5.5時間です。また、日照時間は季節によって異なるうえに、建物にどれだけさえぎられるかなども関係しています。地域によっては周囲の建物や山の位置、標高などの影響を受けるなど、日照時間に関わる要因は非常に多いため、事前に発電量を完璧にシミュレーションすることはほぼ不可能です。
まずは、信頼できる太陽光発電の導入会社に相談し、発電量をシミュレーションしてみましょう。
どれくらい自家消費できる?

太陽光発電における自家消費とは、太陽光から変換した電力を家庭で消費することです。また、発電した電力のうち、どれだけ家庭内で使用したかを示すものを「自家消費率」といいます。自家消費率が低くなれば売電収入が増えますが、売電単価が変動する点に注意が必要です。
自家消費率は一般的には30%といわれています。例えば、1日の発電量が10kWh、1年間で3,650kWhの場合、その30%の1,095kWhが自家消費で、残りの2,555kWhが余剰電力です。
1,095kWhがどの程度の電力量なのか確認しましょう。40形相当のLED電球の消費電力が4.7Wとして、1日10時間使用した場合、1年で17.155kWhとなります。使用するLED電球が住宅全体で30個の場合、1年で約514kWhを使用します。つまり、自家消費率30%で年間3,650kWhの発電量の場合は、少なくとも40形相当のLED電球30個分の電気代を賄えます。
太陽光発電の発電量の計算方法
太陽光発電の発電量は、次のように計算します。
システム容量×日射量×損失係数(0.85)
- システム容量……太陽光発電量のことで「kW」の単位で表します。
- 日射量……太陽から受ける太陽光の量を示す数値です。
- 損失係数……太陽光を電力に変換する際に生じるロスのことで、変換効率や気温などで変動します。
損失係数は日本においては0.85を使用されることが多いのですが、メーカーや季節などで異なる数値が定められています。損失係数は次の要因で下がります。
- 気温……太陽光パネルの最大出力は25℃の環境下で測定されており、1℃上昇するたびに発電量が0.5%程度低下するといわれています。
- パワーコンディショナ……太陽光を電力に変換するための機器で、変換時に約5%程度のロスが生じます。
- 太陽光パネルの汚れ……太陽光に鳥の糞や黄砂、その他の汚れで影ができることで太陽光を取り入れる量が低下します。
- 経年劣化……発電量は、10年で2.7%、20年で5.4%、30年で8.1%低下するといわれています。
太陽光発電の発電量を増やす方法

太陽光発電の発電量を増やすと、より多くの売電収益を得ることができます。太陽光発電の発電量を増やす方法について詳しくみていきましょう。
こまめなメンテナンス
太陽光パネルの汚れを掃除することはもちろん、パワーコンディショナの定期メンテナンスも必要です。太陽光を可能な限り受けつつ、最大のエネルギー変換効率を維持することで、太陽光発電の発電量を維持できます。放置するとどうしても発電量が低下するため、こまめにメンテナンスしましょう。
屋根の上の太陽光パネルを自分でメンテナンスする場合、落下事故のリスクがあります。費用はかかりますが専門業者に依頼した方が安全でしょう。
角度を工夫する
太陽光パネルを設置する屋根の角度は一般的に30°前後が最適といわれています。ですが、設置環境や地域によっては、太陽光パネルの角度を柔軟に変更して日射量を増加させることも可能です。その地域における太陽光発電に詳しい業者のアドバイスを受けることで、設置場所にとって適切な角度を知ることができます。また、地域性だけではなく、周りの建物にどれだけさえぎられるかも関係している点に留意しましょう。
なお、太陽は赤道に近づくほどに真上に近くなり、南極に近づくほどに低い角度になる傾向があります。そのため、北の地域は角度を下げて、南の地域は角度を上げることが良いとされています。
なるべく太陽光パネルを増やす
太陽光パネル1枚あたりの発電量は決まっているため、太陽光パネルを増やさなければ発電量を大きく増やすことはできません。なるべく多くの太陽光パネルを設置して、発電量を増やしましょう。屋根に置くことが難しい場合は、カーポートや物置の上に設置することも検討してください。ただし、設置環境によっては屋根に設置するよりも発電量が少なくなります。
太陽光パネルの増設にはコストがかかるため、費用対効果を考慮したうえで検討することが大切です。また、パワーコンディショナが対応できる発電量を超えた状態を「過積載」いい、超えた分の電力は売電できません。しかしながら、過積載状態であっても発電量が増えることに変わりはなく、全体で見ると収支はプラスになるでしょう。
まとめ
太陽光発電の発電量は、太陽光パネルの数や設置角度など、さまざまな要因で変動します。事前にある程度の発電量を把握しておくと、自家消費や得られる利益についてイメージしやすくなります。また、太陽光発電の導入後はこまめなメンテナンスで発電量を維持することが大切です。今回、解説した内容を参考に、大体の発電量を予測したうえで、売電価格と照らし合わせて将来的に得られる利益を計算しましょう。
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