家庭用蓄電池の普及が進む一方、多額の導入費用が必要なため設置のハードルは比較的高いです。しかし家庭用蓄電池の設置には国や地方自治体から補助金が支給されるのはご存じでしょうか。
今回は蓄電池の設置に支給される補助金について、国・地方自治体がどのような制度を設けているのかご紹介します。
蓄電池は補助金の対象?

近年、世界各国はSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)を掲げ、クリーンで再利用可能なエネルギーの活用を目指しています。日本でも早くから太陽光発電に着目し、自家発電した余剰電力を電力会社が買い取るFIT制度が2009年から施行されました。同時に太陽光発電設備の導入に対する国主導の補助金制度も設けられています。
太陽光発電設備への補助金制度は2013年に撤廃されましたが、2021年に太陽光発電設備と蓄電池の併設を条件に復活しました。2022年には再び太陽光発電への補助はなくなりましたが、蓄電池設置に多額の補助金を給付する制度が施行されています。
2023年度における国からの補助金制度は、2023年3月時点において詳細は発表されていません。しかし電気代を含むエネルギー料金の高騰を背景に、今年も補助金制度が設けられる可能性は高いと考えられます。
蓄電池に対する国からの補助金

蓄電池の導入を推し進めたい国は、さまざまな補助金の制度を設けています。
DER補助金補助金
国は2022年度に蓄電池の普及を通じた温暖化対策・CO²削減に向けた取り組みの一環として、経済産業省が主導し「DER補助金」制度を設けました。
DER補助金は、正式名称を「蓄電池等の分散型エネルギーリソースを活用した次世代技術構築実証事業費補助金」という制度です。正確には蓄電池の導入が対象ではなくDER(分散型エネルギーリソース)の実証事業に参加する人向けの補助金であるため、補助金給付の対象となる蓄電池は限定されています。
しかし一定の制限はあるものの補助額は大きく、2022年度には3.7万円 / kWh または設備・工事費の1/3のいずれか低い金額が補助されました。
2023年度の補助金はまだ正式に発表されていませんが、昨年8月の予算概算要求においては分散型エネルギーの活用に対する要求が257億円から327億円へと増額されているため、2022年度以上の補助が期待できます。
こどもエコ住まい支援事業
国土交通省は2023年より高い省エネ性能の新築住宅の建築またはリフォームに対し、対象設備に応じた補助金を給付する制度をスタートさせました。
この制度は子育て世代や若年夫婦など、エネルギー価格高騰の煽りを受けやすい世代を対象としています。外壁や天井、窓やドアなどの断熱改修といった省エネルギーへの対応だけでなく、子育ての負担を軽減するための屋内設備の設置や防犯対策といった幅広い領域が補助給付の対象とされています。
蓄電池の設置もエコ住宅化への取り組みとして補助対象となっており、一戸あたり64,000円が給付されます。
蓄電池に対する自治体からの補助金

蓄電池を対象とした費用補助を行うのは国だけではありません。各地方自治体も省エネルギーへの取り組みに力を入れており、地方自治体ごとに蓄電池の設置を対象とした補助制度を設けています。ここでは首都圏内で行われる補助制度の事例をいくつかご紹介します。
2023年の東京都
東京都は蓄電池に対し、全国でも類を見ないほどの高額補助金を出していることで毎年注目を集めています。2023年もまた太陽光発電設備と蓄電池の併設を条件に、非常に高額の補助金が設定されています。
▼太陽光4kW以上と蓄電池設置の場合(上限3/4)
一戸あたり以下のいずれか小さい額 ※最大1,500万円
(1)蓄電池容量:15万円/kWh (※)
(2)太陽光発電設備容量:30万円/kW
▼太陽光4kW未満と蓄電池をあわせて設置、または蓄電池のみ設置の場合(上限3/4)
蓄電池設備の容量によって異なる
① 5kWh未満 …… 19万円/kWh
② 5kWh以上6.34kWh未満 …… 一律95万円
③ 6.34kWh以上 …… 15万円/kWh ※最大120万円/戸 |
また各区・市も蓄電池および太陽光発電に対する補助金制度を設けています。2023年3月時点では多くの自治体が本年度の補助金事業を発表していないため、2022年の実績を中心にご紹介します。
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蓄電池 |
太陽光発電 |
千代田区
※令和4年度実績 |
対象経費の1/5 ※上限75万円 |
対象経費の1/5 ※上限75万円 |
新宿区
※令和4年度実績 |
リチウムイオン電池:1万円/kW ※上限10万円
エネファーム:一律10万円 |
10万円/kW ※上限30万円 |
中野区
※令和4年度実績 |
一律10万円 |
なし |
調布市
※令和4年度実績 |
なし |
2.5万円/kW ※上限10万円 |
上記は各区・市による補助金制度の一例です。それぞれ補助金給付に条件が設けられていますので、利用する場合には各自治体が設けている条件を十分に確認する必要があります。
2023年の千葉県・埼玉県・神奈川県
東京近郊の千葉県・埼玉県・神奈川県においてもそれぞれ蓄電池および太陽光発電に対する補助制度を設けています。
千葉県は県が主体となった補助制度はなく、各市町村から受けられる補助制度のみとなっています。県全体として蓄電池の導入に力を入れており、特にガスを燃料にした自家発電ができるエネファームに対し多額の補助金を用意しています。以下が千葉県内の市町村が行っている補助金制度の一部です。
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蓄電池 |
太陽光発電 |
千葉市
※令和4年度実績 |
リチウムイオン電池:上限7万円
エネファーム:
自立運転機能あり……10万円
自立運転機能なし……5万円 |
2万円/kW ※上限9万円 |
市川市
※令和4年度実績 |
リチウムイオン電池:上限7万円
エネファーム:
自立運転機能あり……10万円
自立運転機能なし……5万円 |
2万円/kW ※上限9万円 |
茂原市
※令和4年度実績 |
リチウムイオン電池:上限7万円
エネファーム:
自立運転機能あり……15万円
自立運転機能なし……10万円 |
1万円/kW ※上限9万円 |
木更津市
※令和4年度実績 |
リチウムイオン電池:上限7万円
エネファーム:
自立運転機能あり……10万円
自立運転機能なし……5万円 |
なし |
埼玉県は太陽光発電に対する補助金制度はなく、蓄電池が対象設備となっています。また各市町村単位でも独自の補助金制度を設けています。
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蓄電池 |
太陽光発電 |
埼玉県
※令和4年度実績 |
一律10万円 |
なし |
さいたま市
※令和4年度実績 |
リチウムイオン電池:2万円/kWh ※上限12万円
エネファーム:一律4万円 |
4kW未満:3万円
4kW以上:5万円 |
川越市
※令和4年度実績 |
リチウムイオン電池:一律6万円 ※4kWh以上
エネファーム:一律4万円 |
一律5万円 ※4kW以上 |
東秩父村
※令和4年度実績 |
なし |
一律10万円 |
神奈川県が主導する蓄電池・太陽光発電設備への補助金は事業者に限定されています。個人向けの補助金制度はないため、千葉県同様に各市町への申請が必要です。
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蓄電池 |
太陽光発電 |
横浜市
※令和4年度実績 |
なし |
なし |
川崎市
※令和4年度実績 |
リチウムイオン電池:1万円/kWh ※上限10万円
エネファーム:一律3万円 |
2万円/kW ※上限10万円 |
大井町
※令和4年度実績 |
リチウムイオン電池:一律5万円 |
11,000万円/kW ※上限37,000円 |
座間市
※令和4年度実績 |
リチウムイオン電池:一律4万円
エネファーム:一律4万円 |
12,000万円/kW ※上限4万円 |
上記は各市町村による補助金制度の一例です。それぞれ補助金給付に条件が設けられていますので、利用する場合には各自治体のホームページを参照してください。
補助金申請のポイント

高額になりやすい蓄電池の導入費用をカバーしてくれる補助金は、これから蓄電池を取り入れたい人にとっては非常に心強い味方です。受け取り方を失敗して損をしないよう、補助金を申請する際にはいくつかのポイントを押さえておきましょう。
国と地方自治体は重複して補助を受けられる
蓄電池に対する補助金制度は、国と各自治体が独自に行っています。それぞれの制度はお互いに干渉しないため、国と県、市区町村の補助金を全て重複して受給することも可能です。そのため東京都内から国にも自治体にも補助金申請を行えば、合計で200万円以上の補助金を受け取れる可能性があります。
ただし、主体となる自治体ごとに補助金でサポートしたい対象が異なるため、かならず全ての補助金を受けられるとは限りません。国からの補助は受けられたのに、県からの補助は対象外となる場合もありますので、それぞれの制度ごとに受給できる条件を確認しましょう。
補助は予算が無くなり次第終了
各自治体は蓄電池の補助金制度に対して十分な予算を確保していますが、申請者が多い場合には年度途中でも予算が無くなり次第終了します。2022年のDER補助金は2022年6月1日から12月23日まで受付期間が設けられていましたが、蓋を開けてみればわずか3日で予算に達して終了しました。7月5日から行われた2回目の公募は、募集開始から1分で予算に達するほど倍率の高い補助金です。
補助金は期間中いつでも受付可能なわけではありませんので、国や都道府県、地方自治体を問わず、できる限り早く申し込むようにしましょう。
まとめ
蓄電池の設置や維持には費用がかかるため、気軽に手を出せない家庭も多いでしょう。しかし近年は国や地方自治体が太陽光発電・蓄電池の普及に力を入れており、多額の補助金制度を設けています。自治体によっては導入にかかった費用の大半を賄える場合もありますので、蓄電池を設置する際には居住している自治体の補助制度を確認しておきましょう。国の補助制度との併用も可能ですので、双方の募集要項や受付期間をしっかりチェックするのがおすすめです。
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