家庭用蓄電池の購入を検討する際は、価格の目安や選び方について確認しておくことが大切です。機能に対して価格が高い蓄電池を選ぶと、費用対効果が低下する可能性もあります。そこで今回は、家庭用蓄電池の価格の目安や種類、選び方、安く買う方法、補助金などについて詳しく解説します。
家庭用蓄電池の価格

家庭用蓄電池の導入に必要な費用は次の4つに分類できます。
それぞれの価格の目安について詳しくみていきましょう。
本体価格
蓄電池の種類によって本体価格が異なります。
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鉛蓄電池 |
リチウムイオン蓄電池 |
NAS蓄電池 |
ニッケル水素電池 |
概要 |
最も古い歴史を持つ蓄電池の1つ |
モバイル機器全般に使用されており、蓄電池の代表的なタイプ |
日本ガイシ株式会社のみが製造している蓄電池で今後の普及が期待されている |
リチウムイオン蓄電池の登場前までモバイル機器を中心に広く用いられていた |
価格 |
5万円/kWh |
20万円/kWh |
4万円/kWh |
10万円/kWh |
家庭用蓄電池と言えば、主にリチウムイオン蓄電池のものを指します。
設置費用
家庭用蓄電池の設置費用は、30~40万円程度が目安です。ただし、設置場所の状態や太陽光発電を併用するかどうか、接続するコンセントの数、使用する蓄電池などで大きく異なります。悪徳業者による過剰な料金の請求による被害を防ぐために、相見積もりを取ることをおすすめします。
メンテナンス費用
家庭用蓄電池は精密機器のため、定期的にメンテナンスを行わなければ性能の低下や故障などのリスクが高まります。メンテナンス費用は業者によって異なりますが、数万円程度が目安です。家庭用蓄電池の中でも主流なリチウムイオン電池は高温に弱いため、通気口をチェックして埃を取り除いたり、周囲に生えている雑草を抜いたりする必要があります。製品によっては、清掃が必要なときに通知してくれます。
交換費用
家庭用蓄電池の耐用年数は10~15年程度です。メーカーの点検を受けたうえで交換が必要と判断された場合は、蓄電池の利用をやめるか交換するか選ぶ必要があります。交換にかかるコストは70~240万円と、使用する蓄電池によって大きく異なります。保証期間内であれば無料で交換可能ですが、故意や過失による故障は対象外となることが一般的です。
家庭用蓄電池のタイプ

家庭用蓄電池のタイプによって特徴が大きく異なります。それぞれ詳しくみていきましょう。
鉛蓄電池
鉛蓄電池は最も長い歴史を持つ蓄電池の1つです。安価かつ長寿命のため、コストを抑えて家庭用蓄電池を導入したい方に向いています。一方で、過放電によって使えなくなったり、破損したときに電解液の硫酸が流出したりして危険性が高いというデメリットがあります。また、大きくて重たい割に、他の蓄電池と比べてエネルギー効率が低いことも難点です。
リチウムイオン蓄電池
リチウムイオン蓄電池は、主に家庭用蓄電池に使われているほか、モバイル機器全般に利用されている蓄電池です。蓄電池と言えばリチウムイオン蓄電池を指すほどに、現代人の生活に根ざしています。小型で軽量、さらには高容量・高電圧であることがメリットです。一方、過充電や過放電に弱く、適切な電圧管理が求められたり、低温での動作が安定しなかったりといったデメリットがあります。
NAS蓄電池
NAS蓄電池は、日本ガイシ株式会社のみが製造している蓄電池で今後の普及が期待されています。充電容量が圧倒的に大きいのに対してサイズが小さく、長寿命であることがメリットです。一方、充電・放電時の作動温度を300℃前後にまで高める必要があることや、破損時にナトリウムや硫黄などの融解電解液の流出が懸念されるといったデメリットがあります。
ニッケル水素電池
ニッケル水素電池は、リチウムイオン蓄電池が登場する前にモバイル機器を中心に用いられていた蓄電池です。メリットは、過充電・過放電に強く、充電・放電の時間が短いことや、環境への影響が少なく安全性にも優れていることなどです。一方、寿命が5~7年と短く、自己放電が多いといったデメリットもあります。
家庭用蓄電池を選ぶポイント

家庭用蓄電池には、蓄電容量や定格出力、屋内用・屋外用、グリーンモードの有無など、さまざまな点に違いがあります。各項目の詳細と選び方のポイントをチェックして、自身に適した家庭用蓄電池を選びましょう。家庭用蓄電池を選ぶ際のポイントは次のとおりです。
蓄電容量(kW)
蓄電容量とは、蓄電池に溜めることができる電力量のことです。従来は3~4.5kW程度のものが主流でしたが、近年の大容量化により7~12kWのものも数多く登場しています。必要な蓄電容量は電力使用量によって異なりますが、家族4人で昼に充電して夜にのみ使うのであれば7kWもあれば十分でしょう。
電力使用量によっては、さらに小さい蓄電容量でも対応できます。蓄電容量が大きくなればなるほどに価格も上昇する傾向があることを踏まえ、コストと蓄電容量のバランスを考えて選ぶことが大切です。
定格出力
定格出力とは、一度に出力できる電力のことです。家電の消費電力を家庭用蓄電池の定格出力を下回ると、電力を供給できなくなります。家電の消費電力の目安は、エアコン10畳用で580W(立ち上げ時は1,400W)、オイルヒーターが300~1,500W、冷蔵庫が48W〜64W、扇風機が50W、IHクッキングヒーターが2,000~3,000W、液晶テレビが210W、ドライヤーが1,200Wです。製品によって誤差はありますが、おおよそ目安と同程度の定格出力があれば家電に問題なく使えるでしょう。
屋内用・屋外用
家庭用蓄電池には、屋内用と屋外用があります。屋外用は雨・風にさらされることで劣化が早まるため、それだけ交換頻度が高くなるでしょう。特に、塩害地域では劣化が早くなるため、塩害に対応した蓄電池を選ぶ必要があります。屋内に設置する蓄電池は屋外に比べて劣化のスピードが遅くなりますが、機械音の大きさによっては生活に影響が出る可能性もあります。
蓄電池の機械音の大きさについて事前に確認し、なるべく生活に影響が及ばない場所に設置しましょう。
自家消費モードの有無
自家消費モードとは、太陽光発電によって発電した電気の余剰分を自動で蓄電池に溜め、電力不足時に放電するモードです。電力会社から購入する電力をなるべく抑え、電気代を節約できます。補助金申請にも関係するため、なるべく自家消費モードがついているものを選びましょう。自家消費モードの名称はメーカーによって異なり、グリーンモード、クリーンモード、環境モードなどさまざまです。
保証
蓄電池は適切に使用しても壊れる場合があるため、保証期間がなるべく長いものを選ぶことが大切です。多くの蓄電池には10~15年程度の保証期間が設けられています。
家庭用蓄電池を安く買う方法

家庭用蓄電池の導入には、80〜200万円程度の費用がかかります。初期費用が高いと、蓄電池の使用状況によっては元を取るまでに多くの時間がかかります。また、元を取るまでの間に家庭用蓄電池の交換が必要になる可能性もあるでしょう。
なるべく安い家庭用蓄電池を選べば、それだけ早く元を取ることができます。家庭用蓄電池をなるべく安く買いたい場合は、次のポイントを押さえましょう。
型式が古いものを選ぶ
型式が古い家庭用蓄電池は、新型と比べて価格が安い傾向があります。型落ちであっても、機能や容量に問題があるわけではありません。蓄電容量や定格出力、グリーンモードの有無、保証期間などをチェックして、自身に合ったものであれば購入を検討しましょう。
安い販売店で購入する
家庭用蓄電池の本体価格や設置費用などは販売点によって異なります。特に、訪問販売やハウスメーカーでの販売価格は、中間マージンがかかることで比較的高額になっています。なるべく安く家庭用蓄電池を導入したい場合は複数社から相見積もりを取りましょう。
なお、安い販売店は企業努力や独自の販路によって低価格を実現しているため、家庭用蓄電池の品質に問題があるわけではありません。
設置費用が安い店を選ぶ
本体価格が安いわけではなくとも、設置費用が安い店で購入することでトータルコストを抑えられる場合があります。設置費用についても複数社から相見積もりを取り、比較検討しましょう。ただし、設置費用が安い代わりに工事が雑だとトラブルのリスクが高まるため、業者の信頼性を十分に見極めることが重要です。
家庭用蓄電池を設置する際に使える補助金
家庭用蓄電池を設置する際は、補助金を使えるかどうか市区町村に確認しましょう。家庭用蓄電池の設置時に使える補助金は、市区町村によって内容が異なります。参考までに、令和4年度における千代田区の家庭用蓄電池の補助金制度について解説します。
補助額は、住宅の蓄電システムの導入費用のうち20%(上限75万円)です。事前申請の審査と工事完了後の審査にそれぞれ10日、交付額確定通知から振込までには1ヶ月程度かかります。家庭用蓄電池の導入に150万円かかった場合、30万円の補助金を受け取ることが可能です。
まとめ
蓄電池の価格はメーカーや種類、容量などで大きく異なります。家族構成や電力使用量、目的などに応じて、最適と考えられる家庭用蓄電池を選びましょう。また、なるべく安く購入したい場合は、販路や企業努力によって低価格を実現している販売店で購入するのも1つの方法です。今回、解説した内容を参考に家庭用蓄電池の予算を決めて、自身にあったものを選んでください。
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