地球温暖化や光熱費高騰への対策として、太陽光発電の注目度は高まっています。国や自治体も太陽光発電の普及に力を入れていて、さまざまな補助金制度が用意されています。補助金の中には、家庭用の太陽光発電や蓄電池にも適用可能なものもあります。そこでこちらでは、太陽光発電や蓄電池の補助金制度の目的や、国および各自治体による補助金の具体的な内容などについて、紹介していきます。
太陽光発電や蓄電池の導入に補助金が支給される

太陽光発電と蓄電池は、生活する上で必要な電気代の節約など大きなメリットをもたらしてくれます。しかし、導入にはまとまった額の費用が必要です。そこで、国や地方自治体では補助金を支給しています。
補助金の支給で普及を後押し
地球温暖化への影響が懸念される温室効果ガスを排出せず、かつ国内で生産できることから、政府としては再生可能エネルギーのシェア拡大を目指しています。そして、再生可能エネルギーの1つである太陽光発電の普及を後押しするため、導入するにあたって条件に応じて補助金が支給されるケースがあります。補助金は国や自治体から支給され、種類は豊富。太陽光発電や蓄電池を導入する際には、ぜひ活用したい制度です。
太陽光発電システムの価格
太陽光発電システムの価格は、「設置容量1kWあたりの価格」で比較します。1kWあたり24万円〜35万円程度が一般的で、2021年の日本全国における設置費用の相場は約137.5万円です。太陽光発電システムの導入には基本的に100万円以上は必要で、費用の負担は大きいと言えます。
※設置費用の相場は、経済産業省の太陽光発電の価格をもとに算出しています。
※出典:経済産業省 令和3年の配布資料より
蓄電池の価格
住宅用の据え置き型蓄電池の場合、設置にかかる費用は本体+工事費込みで80万〜250万円程度が相場です。蓄電容量が多い製品や高性能な製品ほど価格が高くなり、蓄電池の導入にはかなりの費用がかかります。5kWhの家庭用蓄電池であれば80万〜100万円、7kWhの蓄電池であれば100〜150万円程度と考えておけばいいでしょう。
補助金制度の変遷
日本では、これまで数多くの太陽光発電に関連する補助金が制定されてきました。それでは、実際にどのような補助金制度があったのか、その変遷について見ていきましょう。
過去には太陽光発電のみの補助金支給があった
太陽光発電の補助金制度は、太陽光発電の社会への普及を目的に1994年度にスタートしました。当時の住宅用太陽光発電システム価格は、1kWあたり370万円と現在の10倍以上に及びます。そこで、国は補助金制度を設けて、普及を後押ししました。太陽光発電の導入が順調に進んだことから、国は2006年度に一度補助金制度を停止しています。しかし、その影響で太陽光発電の導入が伸び悩んだことから、2009年度に再開しました。
かつては太陽光発電の設置費用は非常に高額でしたが、ある程度普及したことで設置費用は低下しました。太陽光発電のみ設置する場合の補助金は2013年度終了と同時に終了しています。
多様化する太陽光発電の補助金
2022年度および2023年度には、国による太陽光発電のみに適用される補助金はありません。しかし、蓄電池などの周辺設備とセットで導入することで支給される補助金があります。国だけではなく、都道府県・市町村といった単位でも支給されています。
太陽光関連の補助金

太陽光発電システムの導入そのものに対して補助金は支給されてはいませんが、太陽光に関連した補助金の支給はあります。それでは、どのような補助金があるのでしょうか。
国の補助金
<経済産業省と環境省連携によるZEH補助金(2023年度)>
「ZEH」とは「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略称で、再生可能エネルギーを導入することで一次エネルギー消費量の年間収支0を目指す住宅を意味しています。一次エネルギーとは、石炭やガス、石油をもとにしたエネルギーのことで、住宅で発生する電気やガスといったエネルギーも含まれます。
2023年度には、経済産業省と環境省連携によるZEH補助金がスタートしました。ZEH住宅とそれに類する新築住宅を建築・購入する個人に対しする補助事業として、条件を満たせば補助金が支給されます。
・ZEH補助額:55万円/戸+蓄電システム(定置型):2万円/kWh
・ZEH補助額:100万円/戸+蓄電システム(定置型):2万円/kWh
・次世代ZEH+(注文・建売・TPO)実証事業補助額:100万円/戸+蓄電システム(定置型):2万円/kWh
・次世代HEMS 実証事業補助額:112万円/戸+蓄電システム(定置型):2万円/kWh
自治体の補助金
<東京都/災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業(2023年度)>
東京都では、温室効果ガスの大幅削減を目指しています。その東京都による、太陽光発電や蓄電池を導入する際に支給される補助金です。
【新築住宅】
・3kW以下の場合:12万円/kW(上限36万円)
・3kWを超える場合:10万円/kW(50kW未満)
※ただし、3kWを超え、3.6kW未満の場合は一律36万円。
【既存住宅】
・3kW以下の場合:15万円/kW(上限45万円)
・3kWを超える場合:12万円/kW((50kW未満)
ただし、3kWを超え、3.75kW未満の場合は一律45万円。
※出典:(令和4年度)災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業|東京都環境局 (tokyo.lg.jp)
蓄電池関連の補助金

現在、家庭への蓄電池の導入に際して、補助金を支給するケースが増えています。それでは、国や自治体による蓄電池関連の補助金の施策について見ていきましょう。
国の補助金
<こどもエコすまい支援事業(2023年度)>
※カインズでは、好評につき、新規受付終了しました。
国土交通省による補助金事業で、住宅の省エネ化の推進を目的に2023年度に開始されました。補助金の対象となるのは、省エネ住宅の購入、断熱工事、蓄電池設置のためのリフォーム工事などと幅広いのが特徴です。補助金を受けることができるのは、子育て世帯、あるいは夫婦のどちらかが39歳以下の若者夫婦世帯と、基本的に若い世代への支給を念頭に置いています。
・蓄電池:台数にかかわらず1戸につき一律64,000円
自治体の補助金
<兵庫県豊岡市/定置型リチウムイオン蓄電池システム(住宅用)の設置補助>
再生可能エネルギーの利用促進、地球温暖化防止を目的に、定置型リチウムイオン蓄電池システム(住宅用)の設置費用の一部を予算の範囲内で補助する制度です。豊岡市の補助金ということで、現在、豊岡市に住宅を所有している人や、これから豊岡市に居住する予定の人が対象です。
・定置型リチウムイオン蓄電池システム:蓄電池容量1kWh当たり2万円(上限12万円)
国が取り組んでいる太陽光発電関連の制度
政府は、温室効果ガスの排出を2050年までに全体としてゼロにする「カーボンニュートラル」を宣言し、実現に向けた取り組みを進めています。中でも再生可能エネルギーの活用を推進していく構えで、太陽光発電は重要な手段の1つとして期待されています。そこで、太陽光発電に関連する国の制度や動きについてご紹介します。
再エネの共同購入
自治体等が、個人や個人事業者などから希望者を募って電力を共同購入する取り組みです。参加者が多いほど購買力が高まり、低価格で電気を利用することが可能になります。イギリスやオランダ、ベルギーなどで行われている手法で、再生可能エネルギーの利用が普及・拡大することが期待されます。
0円ソーラー
参加する事業者が初期費用を一時的に負担し、住宅に太陽光発電設備を設置。住宅の所有者は電気料金またはリース料を支払うことで、初期費用0円で太陽光発電を設置できる仕組みです。設置は発電された電気のうち使用した分の電気料金を支払いますが、一定期間(おおむね10年)の経過後は、設備は住宅所有者に無償譲渡されます。また、維持管理は事業者が行うため、メンテナンスなどの手間がかからないこともメリットです。
太陽光発電の設置費用の考え方
太陽光発電システムを設置するためには、通常で100万円以上の資金が必要であり、一度設置したら何年も使い続けることになります。では、どのような考え方で、太陽光発電を設置すれば良いのでしょうか。
初期費用やランニングコストが発生する
太陽光発電システムには、電気を発生させる太陽光パネルや、直流・交流を変換するパワーコンディショナー、パネルを設置する架台など様々な設備が必要です。また、安定的に稼働させるためには、設備の点検や交換なども行うことになります。このように、太陽光発電には初期費用やランニングコストがかかります。
自家消費や売電、電気代節約などで投資回収できるか検討する
上記で説明した通り、太陽光発電の設備の設置には少なくない費用がかかります。その費用を賄うには、電力会社からの購入を減らして自家消費する、余剰電力を売電する、生活の中でできるだけ電気代を節約するなどの手段があります。自分のライフスタイルをふまえて、投資した資金を将来的にいかに回収していくかを考慮したほうがいいでしょう。
補助金を活用することで始めやすくなる
太陽光発電および蓄電池を導入する際には、条件にあてはまれば、国や自治体が用意している補助金を活用できる可能性があります。補助金の支給によって自己負担する資金が減るため、できるだけ多くの情報を集めることが大切です。
まとめ
以前と比較して導入コストは安くなってはいますが、それでも太陽光発電システムはまだ高額です。その点、補助金を活用することで自己負担は減り、導入しやすくなります。補助金制度は毎年変更されるため、国や自治体の動向をつぶさに確認することが大切です。自分の条件に合う補助金を積極的に活用して、太陽光発電をお得に導入しましょう。
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