ブロック塀やフェンスをリフォームすると、家の外観や印象を大きく変えられます。それと同時に、外からの視線を遮ることによる防犯性や、地震・強風に対する安全性を向上させる効果も期待できるでしょう。
このように家の「目隠し」の素材や施工方法には、多種多様な選択肢があります。そのなかから適切なリフォームを計画していくためには、見た目だけではなく機能性や費用面も含めてさまざまな視点を意識しておくことが重要です。この記事ではこうした基礎知識に併せて、ブロック塀を撤去する際の助成金制度や、おすすめのフェンスなども紹介します。
自宅の「目隠し」をリフォームする方法

自宅のプライバシーを守る「目隠し」として機能する、ブロック塀やフェンス。まずはどんなリフォームができるかイメージしやすいように、その施工方法と特徴を紹介します。
ブロック塀の補修や塗装
適切に施工されたブロック塀であれば、耐用年数はおよそ30年といわれるほどの高い耐久性を発揮します。見た目が古びてきたという程度であれば、補修してモルタルや塗料の塗り替えにより、真新しくきれいな外観へとリフォームできます。
ブロック塀の交換
ブロック塀に大きな亀裂が入ってしまっているといった場合には、内部の劣化が進んでいることが考えられます。そうすると、全面的な交換などを考えた方が良いでしょう。近年は、表面を自然石のように仕上げた化粧ブロックや、風通しの良さも両立させた透かしブロックなど、多様な製品が登場しています。そうした製品を取り入れてリフォームすることで、デザイン性も機能性も高くなるでしょう。ただし、現在の建築基準法では1.2mを超えるブロック塀は基本的に、控え壁による補強や特別強固な基礎が求められる点に注意が必要です。
ブロック塀の上にフェンスを設置
下部をブロック塀、上部をフェンスで構成する方法です。フェンスは木製やアルミ製など、素材やデザインのバリエーションが豊富で、ブロック塀との組み合わせで耐久性が高く、かつスタイリッシュな外観にできます。既存のブロック塀にあと付けすれば防犯性を高められるほか、ブロック塀の上部を切り取ってフェンスに置き換えることも可能です。
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フェンスへの交換
ブロック塀を完全に撤去し、すべてフェンスに交換する方法も選択肢の一つです。フェンスはブロック塀に比べて軽量なため、地震などで倒壊する危険性が低いことがメリットです。また、通気性が高く、庭の植物への日当たりを確保しやすくなります。
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ブロック塀とフェンスの設置費用相場

ブロック塀やフェンスのリフォームについて、基礎工事費用と設置費用の相場を紹介します。
基礎工事にかかる費用の相場
塀の基礎工事とは、土を掘って土台を設置することです。ブロック塀でもフェンスでも、その本体を支える基礎工事は必須であり、耐久性を大きく左右します。工事費用は、塀の長さ1m当たりで1万5,000円~3万円ほどが相場となるでしょう。また、ブロック塀の高さによっては、倒壊を防ぐために「逆T字型」の頑強な基礎を設置することが建築基準法で定められている場合もあります。その場合はさらに費用が高くなる可能性があるため、要注意です。
ブロック塀を設置する場合の費用相場
コンクリートブロックを積み上げ、塀を構成する工事です。内部には鉄筋を入れる必要もあります。費用の相場としては、1平方メートル当たり標準的なブロックが1万円~1万5,000円、化粧ブロックの場合は1万2,000円~2万円ほどです。また、ブロックを積み上げてから表面をモルタルや塗料で塗装すると、外観がきれいに仕上がり耐用年数も長くなります。
フェンスを設置する場合の費用相場
フェンスを設置する場合、素材によって価格が大きく異なるという点に注意が必要です。設置工事費の相場は、塀の長さ1m当たり5,000円~1万5,000円ほどとなります。さらにフェンスの本体価格として1m当たり、アルミフェンスが1万円~、木粉入り樹脂フェンスが2万円~、スチールメッシュフェンスや木製フェンスが8,000円~程度が相場となっています。
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ブロック塀の撤去にかかる費用
表面の塗り替えではなくブロック塀全体を取り換えるという場合には、設置工事のほかに撤去工事の段階でも費用がかかる可能性があります。
既存ブロック塀の撤去費用
リフォームの際には、既存のブロック塀を撤去する必要があります。実は意外と大きな金額となりがちなため、意識しておく必要があるでしょう。具体的には、下記のような費用が発生します。
・撤去工事費
撤去する際の作業費や人件費、周辺の養生などにかかる費用 |
1平方メートル当たり
5,000円~1万円 |
・廃材処分費
撤去したブロックのコンクリートなど廃材の運搬費、処分費 |
2tトラック1台当たり
3万円~5万円 |
・補修工事費
地面や残った塀部分をモルタルなどで補修する費用 |
1平方メートル当たり
3,000円~8,000円 |
ブロック塀撤去の助成金
市区町村の自治体で、古いブロック塀撤去の助成金制度を設けている場合もあります。これは、地震や台風などの災害時に発生している、老朽化したブロック塀の倒壊事故を防ぐことを目的としたものです。しかし多くの場合、新しく強固な塀にするためのリフォーム工事にあたっても適用されています。例えば東京都世田谷区では、下記のような制度が設けられています。
対象となるブロック塀 |
幅4m以上の道路に面しており、高さ80cmを超えるもの
※地面より上にあるブロックをすべて撤去する工事が対象 |
助成金額 |
撤去する塀の長さ1m当たり5,000円
※通学路沿いの場合は8,000円
※上限20万円 |
出典:ブロック塀等の撤去工事費用に対する助成制度について | 世田谷区ホームページ
ブロック塀の上に設置する際のおすすめフェンス

既存のブロック塀を活かしながら、その上部にフェンスを増設・置き換えする際におすすめの、代表的なメーカーの製品を紹介します。
シンプレオ フェンス(YKK AP)
住宅設備メーカーであるYKK APのラインナップのなかでも、デザイン性とコストパフォーマンスの両立を図った、導入しやすいスタンダードクラスの製品です。カラーバリエーションやスリットのタイプも豊富なほか、高さ1m~1.6mまでラインナップされているため、ブロック塀の高さや目隠し性のニーズに合わせて適切なサイズを選べます。また、風速42m/秒の強風にも対応可能な台風性能を備えている点も特徴です。
アプローチ ルナフェンス(LIXIL)
LIXILが展開しているフェンスのなかでも、曲線と直線を組み合わせたヨーロッパ風のデザインが特徴のシリーズです。ブロック塀や門扉との組み合わせで、自宅外観のコーディネートにこだわりたいといったニーズに適しています。また、素材は軽量で耐腐食性の高いアルミが採用されています。
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ブロック塀からフェンスへ交換する際のおすすめ製品
古いブロック塀は撤去し、新たにフェンスへ置き換える際におすすめの製品です。
目かくしフェンス LV ルーバータイプ(朝日スチール工業)
朝日スチール工業は、道路のガードレールや、線路の防音壁、公園用設備なども製造してきた老舗メーカーです。一般住宅向けのフェンスも多数展開しており、「目かくしフェンス LV」は波型の折板により外部からの目隠し効果を高めながら通気性も確保していることが特徴です。また、サビに強い高耐食性めっき鋼板を素材としており、対候性にも優れています。
ルシアス スクリーンフェンス(YKK AP)
プライベート空間の確保をコンセプトとしたフェンスで、高さ2.3mという高尺に対応した製品です。また、内側には光や風を適度に取り込めるデザインなども用意されており、ニーズに応じてさまざまなタイプを選べます。風速42m/秒の強風にも対応する耐風性能も、ルシアスの特徴です。
フェンスAA(LIXIL)
天然木や経年変化した鉄が持つ、ナチュラルな風合いを再現したデザイン性が特徴の製品です。塗装による見た目のみならず質感にもこだわっており、高級感のある外観にできます。またラインナップは、カラーやデザイン以外にも、目隠し率や通風率といった機能性でも選べるように用意されています。
ブロック塀をリフォームする際の注意点
ブロック塀やフェンスのリフォームを計画する際に、あらかじめ確認しておくべきポイントを紹介します。
塗装や補修だけではリスクが大きい
ブロック塀は構造上、どうしても雨などが浸透してしまうため、時間が経つと内部の鉄筋が腐食してもろくなっている場合があります。特に、古い耐震基準で建てられたものの場合、モルタルや塗料で塗り固めるリフォームでは見た目がきれいにするだけでは、地震などで崩れる危険性をなくすことはできません。見た目だけではわかりにくいため、設置から数十年が経っているという場合は問題がないように見えても入れ替えを検討するか、リフォーム工事を依頼する前に劣化状態の調査を行なっておくことも必要です。
DIYでのリフォームは難しい
「ブロック塀の上にフェンスを設置するだけ」であれば、DIYでも可能だと感じられるかもしれません。ですが、専門的な知識や技術がないままで、雨や風にさらされる塀に対して施工するのはリスクが大きいと考えておいた方が良いでしょう。例えばネジで固定するだけでは強風で曲がったり飛ばされたりしてしまうこともありますし、その穴から内部に水が入り込んで内部の劣化を進めてしまう可能性も高くなります。
安全性を確保するためには、ブロック塀の上部を水平に切り取ったり、強度に影響が出ないように穴をあける「コア抜き」を行なったりしてから、支柱を深く差し込んで固定する工程が必要です。業者がフェンスの設置工事を行なう場合には、こうした専門的な工程を経てから設置しています。
まとめ
ブロック塀やフェンスのリフォームにかかる費用は、設置や補修、撤去の内容によって大きく変動します。事前にしっかりとプランを考え、場合によっては助成金なども活用しながら、適切な工事を行なえるようにしましょう。また、安全性に関わる設備だからこそ、DIYでは難しい部分も多い工事となるため、専門家のアドバイスを受けることもおすすめします。
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