自然エネルギーの太陽光によって発電できる太陽光パネル。
長い目で見ると電気代を節約できるため、自宅の屋根に取り付けようか検討している人も多いでしょう。
そこでこの記事では、太陽光パネルの設置にあたって気になる以下のポイントを解説します。
- 太陽光パネルの寿命はどのくらい?
- 長持ちさせるコツは?
- 廃棄するときはどうしたらいい?
太陽光パネルは、廃棄まで計画性をもって利用することが大切です。後になって「こんなはずじゃなかった」とならないよう、事前に太陽光パネルのメンテナンスについて十分に理解しておきましょう。
【太陽光発電】パネルの「期待寿命」と「法定耐用年数」の違いは?

太陽光パネルの設置にあたり、まず理解しなければいけないのは「期待寿命」と「法定耐用年数」の違いです。簡潔に説明すると、両者の違いは以下のとおり。
- 期待寿命:実際に利用できると想定される年数
- 法定耐用年数:国税庁によって税法上で決められている年数
期待寿命は約20~30年
一般的に太陽光パネルは、約20~30年は利用できると考えられています。
約10年で故障してしまうことが多い家電製品に比べると、太陽光パネルの寿命は長いといえるでしょう。この背景には、家電製品には可動部が多いのに対し、太陽光パネルには可動部が少ないことが考えられます。
日本国内で太陽光パネルが急速に普及したのは2009年以降。同年に「余剰電力買取制度」が制定されたことで、数多くの企業や家庭で太陽光パネルが取り付けられました。
また、太陽光パネルの中には30年以上稼働しているものも少なくありません。有名な例をあげると、千葉県佐倉市にある「佐倉ソーラーセンター」(京セラ)は、1984年から約40年近くも稼働し続けています。
法定耐用年数は17年
太陽光パネルの法定耐用年数は、税法で17年と定められています。
しかし、これは税法の減価償却のために決められた数字であり、実際の寿命とは異なります。企業なら法定耐用年数に応じて経費計上することになりますが、家庭で利用するうえではあまり気にする必要はありません。
例外として、10kW以上の売電がある一般家庭だと、売電金額に応じて税金が発生する可能性があります。
【太陽光発電】周辺機器の寿命

太陽光パネルを利用するには、以下の3つの周辺機器が必要です。これらの寿命をむかえると、取替えやメンテナンスが欠かせません。
- パワーコンディショナー:約10~15年
- 蓄電池:約6年
- 売電メーター:10年
パワーコンディショナーの寿命は約10~15年
パワーコンディショナー(パワコン)とは、太陽光パネルで発電した電力を家庭用電力に変換する機械のこと。パワーコンディショナーの寿命は約10~15年とされており、太陽光パネル本体に比べると約半分程度です。
しかし、中には20年以上も稼働しているパワーコンディショナーもあり、使用環境やメンテナンス状況によっては寿命を長くできます。
パワーコンディショナーが故障すると、せっかく発電しても家庭で電気を使うことはできません。太陽光発電のメリットがなくなってしまうため、故障したら早めに新しいものと交換しましょう。
蓄電池の寿命は約6年
蓄電池とは、太陽光パネルで発電した電気を蓄えるための装置。夜間に電気を使用するときは、この蓄電池に貯まった電気を利用することになります。
蓄電池の寿命は、法定耐用年数で6年と定められています。しかし、これも実際は長く使えることがほとんどで、目安は約10年となります。蓄電池の寿命を長くするには、過充電や過放電を避けることが大切です。
売電メーターは10年に一度交換が必要
売電メーターとは、太陽光パネルで発電した電気を販売するときに必要な機器。売電メーターによって売電量を計測でき、報酬を得ることができます。そのため、一般家庭用に太陽光パネルを利用する際には、特に気にする必要はありません。
売電メーターは、10年に一度の交換が義務付けられています。費用は電力会社が負担するケースと所有者が負担するケースに分かれるため、事前に電力会社に確認しておくと安心でしょう。
太陽光パネルはなぜ劣化する?原因は2つ

せっかく太陽光パネルを設置するなら「できるだけ長く利用したい」と思う人は多いでしょう.。そこでここでは、太陽光パネルを劣化させる2つの原因を解説します。
ホットスポット
「ホットスポット」とは、太陽光パネルの一部が極端に熱くなってしまう現象のこと。
場合によってはパネルの表面が100℃以上になることもあり、火災が発生する可能性もあります。こうした負荷がかかれば、当然ながら太陽光パネルの寿命は短くなってしまうでしょう。
ホットスポットが起こる原因は、主に以下の3つが考えられます。思わぬ事故を防ぐには、定期的なメンテナンスが非常に大切です。
- 内部配線の腐食や不備
- ガラス表面の汚れやひび割れ
- 周囲の建物や木の影
層間剥離
「層間剥離」とは、太陽光パネルの層の一部がはがれてしまうこと。太陽光パネルの表面はガラスやシートなど複数の層に覆われており、天候などの外的要因によって水分が入り込むことがあります。
層間剥離が起きると、パネルの表面は白く変色し、正常に発電できません。その結果、太陽光パネル全体の発電効率を下げてしまうことになります。
層間剥離を早期発見するには、こまめに表面の色をチェックすること、台風などの自然災害後にメンテナンスすることなどが大切です。
太陽光パネルの寿命を長くするコツ

劣化の原因を早期発見するには、定期的なメンテナンスが欠かせません。以下の3つを実践することで、太陽光パネルの寿命を長くすることができます。
- 定期的に点検をおこなう
- 発電データを記録する
- パワーコンディショナのフィルターを掃除する
定期的に点検をおこなう
太陽光パネルを長持ちさせるために最も大切なのは、定期的に点検を行うことです。
太陽光パネルの保守点検は法律で義務化されていますが、具体的に「〇年に一度」と決められているわけではありません。素人では故障部分を見落としてしまう可能性も高いため、専門業者に定期的にお願いするのが理想でしょう。
発電データを記録する
発電データをこまめにすると、太陽光パネルの不具合を見つけやすくなります。発電量は天候や季節によって大きく変わりますが、あまりにも発電量が少ないときは太陽光パネルの故障を疑うべきでしょう。
太陽光パネルの故障を早期発見できれば、それだけ修理費用も安くできる可能性が高くなります。
パワーコンディショナのフィルターを掃除する
パワーコンディショナーを長く利用すると、換気用フィルターがホコリやゴミによって詰まることがあります。こうした汚れがたまると換気効率が下がり、太陽光パネルは本来の発電量を維持できません。
週に一回フィルターをさっと拭くだけでも、太陽光パネルの寿命は長くなりやすいといえます。
太陽光パネル寿命がきたら?廃棄や撤去にかかる費用

太陽光パネルが故障すると、さまざまな費用や手間がかかるものです。処理方法を間違えると環境にも大きな影響を与えるため、廃棄の流れは事前によく把握しておきましょう。
メーカーや施工業者の保証を活用する
太陽光パネルが破損した場合、メーカーの保証を受けられることがあります。保証年数はメーカーにより異なりますが、設置から10年以内であれば保証される可能性が高いでしょう。
メーカー保証があれば、修理にかかる費用を自己負担することもありません。太陽光パネルを選ぶ際は、保証期間を基準に選ぶのも大切です。
メンテナンス費用
太陽光パネルのメンテナンス費用は、1回あたり約2万円が目安となります。
経済産業省では約4年に1回のメンテナンスが推奨されており、たとえば20年で計5回のメンテナンスをおこなうと、メンテナンス費用の総額は約10万円となります。
万が一の故障を早期発見するためにこまめに点検を依頼する際は、これよりもさらに高額な修理費用が必要となるでしょう。
処分費用
太陽光パネルの処分費用は、約10~15万円が目安となります。また、50kW以上の産業用パネルの場合は、1kWあたり2万円程度が費用相場といわれています。
太陽光パネルにはカドミウム、鉛、ヒ素、ポリシリコンといった猛毒性の物質がたくさん含まれているため、個人で処分することはできません。こうした物質が空気中に放たれると、自然や人体に計り知れない影響を及ぼすことになります。
処分費用も決して安くはないため、こうした負担を見越して設置する必要があるでしょう。
太陽光パネルの設置は計画的に
太陽光パネルの寿命についてまとめると、ポイントは以下のとおり。
- 太陽光パネルの「期待寿命」は約20~30年
- 太陽光パネルの「法定耐用年数」は17年
- 実際の寿命は「法定耐用年数」より「期待寿命」に近い
- パワーコンディショナーは約10~15年、蓄電池は約6年、売電メーターは10年で取り換えが必要
太陽光パネルを設置すると、電気代を節約できます。しかし、定期的にメンテナンス費用がかかるうえ、処分費用もかかります。そのため、「電気代が安くなる」とすぐに飛びつくのではなく、長期的&計画的に利用できるか、十分に検討する必要があるでしょう。
太陽光パネルの設置に関する相談は、カインズホームやWeb窓口でも受け付けています。実際の設置費用や商品について詳しく知りたい人は、ぜひ一度お問い合わせください。
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