砂壁は機能性が高く、味のある風合いで古くから親しまれている伝統的な塗り壁です。しかし、使いづらさもあることから、現在ではさまざまなリフォームのニーズも高まっています。古くなった砂壁が使いにくいと感じている方は、思い切ってリフォームするのがおすすめです。この記事では、砂壁の特徴やリフォーム方法、リフォームにかかる費用について解説します。リフォームの適切なタイミングやDIYの手順についてもあわせて紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
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砂壁の特徴

砂壁とは、石膏ボードやモルタルなどの下地の表面に、石材・鉱物・ガラス・貝殻などを粉砕した色砂と糊液を練り合わせたものを塗って仕上げた壁です。日本では古くから和室、特に床の間で多く用いられてきました。糊材には、主に海藻の煮沸液やデンプン糊が使用されていましたが、最近では合成樹脂が使われることもあります。
砂壁以外の塗り壁の種類
砂壁以外の塗り壁は、おもに次のような種類に分かれます。
- 土壁:土を水で練ったものを塗って仕上げた塗り壁。耐火性や耐熱性に優れている反面、メンテナンスの手間がかかる。
- 漆喰壁:漆喰とは消石灰や砂に糊(のり)や麻などを加え水で練ったもので、ホコリが付きにくく、耐久性に優れているのが特徴。ただし、コストが高くなる傾向にある。
- 珪藻土壁:珪藻土は植物性プランクトンの一種である珪藻(けいそう)の殻の化石からできた土で、調湿性のほか耐火性や断熱性に優れている。ただし、液体を吸収しやすいのでシミやカビが発生する恐れがある。
砂壁をはじめ、土壁や漆喰壁、珪藻土壁はザラザラとした質感でナチュラルな見た目が特徴です。それぞれに機能やコスト、メンテナンス性などが異なるので、メリットとデメリットを把握した上でリフォームを検討してみてください。
砂壁を使用するメリット
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砂壁を使用するメリットは、次の4点です。
- 湿度を調節する
- 有害な化学物質を吸収する
- 防火性・耐火性が高い
- さまざまな風合いを表現できる
湿度を調節する
砂壁には、空間の湿度を調節する作用があります。部屋の湿度が高い時は空気中の水分を吸収し、部屋が乾燥している時は水分を放出するため、1年を通して室内の湿度を最適に保ってくれます。室内の湿度が高い状態を防ぐことから、室内のカビやダニの発生を防ぐ効果もあり、高温多湿の日本の家に適した作用といえます。
有害な化学物質を吸収する
砂壁には、建材などから発生する有害な化学物質を吸収する作用があります。この作用により、近年指摘されているシックハウス症候群を防ぐ効果が期待できます。シックハウス症候群とは、化学物質により汚染された空気を吸い込むことで、次のような症状が現れる健康障害です。
参照:厚生労働省シックハウス対策
防火性・耐火性が高い
砂壁は不燃性である天然の砂を原材料としており、燃えにくい性質があるため、防火性や耐火性に優れています。万が一、火災の被害を受けても、被害の拡大を抑える効果が期待できます。
さまざまな風合いを表現できる
砂壁は、使用する材料によってさまざまな風合いや色調を表現できます。材料の色砂には、貝殻粉、色ガラス粉、金属粉などがあり、使用する色砂によって違った風合いに仕上げられます。
砂壁を使用するデメリット

砂壁を使用するデメリットは、次の3点です。
- 砂を掃除する労力がかかる
- 工期が長い
- リフォーム費用が高い
砂を掃除する労力がかかる
砂壁は外部からの衝撃に弱いため、物が当たると剥がれやすく、床に落ちた砂を掃除する必要があります。また、時間が経過して劣化すると、何も触れていなくても砂が剥がれ落ち、掃除が追いつかないという状態になります。
工期が長い
砂壁のリフォームはすべて手作業であるため、壁紙を張るだけの工事と比べて工期が長めになります。壁紙の張り替えが1日で終わるのに対し、砂壁のリフォームは2〜4日必要です。季節や環境によっては、塗料が乾燥するまでに時間を要するため、さらに時間がかかる場合もあります。
リフォーム費用が高い
砂壁の施工には職人の高い技術が求められることや、工期が長くなることから、費用も比較的高めになります。
6畳の部屋の壁にかかるリフォーム費用
壁紙の張り替え |
砂壁の塗りなおし |
4万5,000〜8万6,000円 |
10万〜20万円(上からクロスを貼る場合は8万~15万円) |
壁紙の張り替えは6畳の広さであれば、標準的なグレードの壁紙で5万円未満なのに対して、砂壁のリフォームは最低でも8万円ほどかかるのが一般的です。
砂壁をリフォームした方がいい理由
砂壁の機能性や見た目を保つためには、定期的なメンテナンスやリフォームが必要です。また、砂壁は衝撃に弱いというデメリットがあるため、耐衝撃性に優れた壁に変更したい場合は砂壁以外にリフォームを検討するのがおすすめです。
ここからは、砂壁をリフォームした方が理由について、詳しく解説します。
砂壁の性能が低下する
砂壁が劣化したまま放置すると、砂壁の調湿性はどんどん低下していきます。表面にカビなどが出てきたら、調湿性が低下しているサインです。
砂壁の調湿性が低下したまま梅雨の時期に突入すると、湿気をうまく吸収してくれないため、部屋のじめじめ感を強く感じてしまう可能性があります。また、砂壁の劣化が進むと耐火性も低下します。
住宅の安全性を保つためにも、砂壁の劣化を感じたら早めにリフォームするのがおすすめです。
カビやダニが増えるとアレルギーの原因に
砂壁が劣化してカビやダニが増えると、シックハウス症候群の症状が出る可能性があります。シックハウス症候群は、建材や家具から発生する化学物質や、カビ・ダニなどによる空気汚染が原因で発症する体調不良です。
症状は必ずしも目に見えて現れるわけではなく、頭痛や倦怠感など、日常的な不調として現れることもあるので、気づかないうちに悪影響が出ているケースも少なくないのです。
砂壁をリフォームする6つの方法・費用・工期

砂壁のリフォームには、次のような方法があります。
- 砂壁を塗り直す
- 珪藻土に塗り替える
- 漆喰に塗り替える
- 壁紙を張る
- ペンキを塗る
- 羽目板を張る
それぞれの方法の特徴や必要な費用・工期について解説します。
1.砂壁を塗り直す
改めて砂壁を塗り直す方法です。
既存の砂壁の上から重ねて塗る方法と、既存の砂壁を一度剥がしてから塗り直す方法の2つのやり方があり、塗り替える方法は費用がやや割高です。劣化して砂がポロポロ落ちている状態の場合は、一度剥がして下地を補強した方がいいケースもあります。調湿作用や防火性などのメリットを、そのまま維持できるリフォームです。
費用の目安 |
工期の目安 |
6畳の広さで5万〜10万円程度 |
2〜4日程度 |
2.珪藻土に塗り替える
珪藻土に塗り替える方法です。珪藻土とは、珪藻という植物プランクトンの化石が堆積し土になったものです。砂壁よりも調湿効果が高く耐火性にも優れているため、砂壁のメリットを上回る機能を期待できます。珪藻土はカラーバリエーションも豊富で、種類や塗り方によってさまざまな仕上がりになるのも、大きな特徴です。
費用の目安 |
工期の目安 |
6畳の広さで12万〜20万円程度 |
2〜4日程度 |
3.漆喰に塗り替える
漆喰に塗り替えるリフォーム方法です。漆喰とは、消石灰を原材料にして作られた自然素材です。色は基本的に白色ですが、有色のものもあります。塗り方を変えることで、さまざまな模様が出せる点や、和洋どちらの部屋にも合う点が人気です。また、漆喰にも調湿作用や耐火性があり、塗り替えても砂壁のメリットを維持できるほか、強アルカリ性であるためカビの発生を抑える作用もあります。
費用の目安 |
工期の目安 |
6畳の広さで12万〜20万円程度 |
2〜4日程度 |
4.壁紙を張る
部屋の雰囲気を大きく変えたい場合は、壁紙を張るのがおすすめです。壁紙を張る際は、壁の表面の凹凸をなくし、平らな状態にする必要があります。砂壁の劣化が進んでいる場合には、石膏ボードやベニヤ板を張ってから壁紙を張る方法もあります。壁紙はデザインも豊富で、機能性タイプを選べば防カビ・防汚・消臭などの効果も期待できます。ただし、自然素材ならではの風合いは失われます。珪藻土や漆喰へ塗り替えるよりも費用が安く、工期も短めで済みます。
費用の目安 |
工期の目安 |
6畳の広さで8万〜16万円程度 |
1〜2日程度 |
5.ペンキを塗る
費用を抑えて砂壁のリフォームをしたい場合には、ペンキで塗り替える方法がおすすめです。砂壁専用塗料を使ってお好みの色に塗り替えます。ペンキでの塗り替えは比較的安価で、カラーバリエーションも豊富なため、人気のリフォーム方法です。ただし、砂壁の持つ調湿効果や自然素材の質感が失われやすいというデメリットもあります。
費用の目安 |
工期の目安 |
6畳の広さで6万〜10万円程度 |
2〜4日程度 |
6.羽目板を張る
砂壁の下半分に羽目板を張って、腰壁を設けるという方法もあります。壁の下部分だけに羽目板を張ることで、砂壁と家具が接触して砂が落ちることもなく、砂壁のメリットも保てます。費用は、羽目板の種類や施工範囲によって異なります。
費用の目安 |
工期の目安 |
6畳の広さで15万〜18万円程度 |
1〜4日程度 |
DIYで砂壁リフォームする手順・費用

砂壁のリフォームは高い技術が必要になるため、特にDIY作業に慣れていない方はリフォーム専門業者に依頼するのがおすすめです。DIYに慣れている方やリフォーム費用を抑えたいという方に、DIYで必要になる道具と手順をリフォーム方法別に解説します。
DIYで必要な道具
リフォーム方法によって必要な道具は異なりますが、全てのリフォームで必要な道具は次の通りです。
- 砂壁対応の下塗り材
- 養生テープ・シート
- ハケ
- ローラー
- ブラシ
- バケツ
- 手袋
<ペンキで塗装する場合>
<壁紙を張る場合>
<砂壁・漆喰・珪藻土を塗る場合>
DIYで砂壁をリフォームする手順
DIYで砂壁をリフォームする手順を解説します。
下準備
すべてのリフォームの前に必要な下準備の手順です。
- 汚れ防止のため砂壁との境目などに養生用のマスキングテープを貼る
- ブラシで砂を落とす
- 砂壁対応の下塗り材で壁の表面を固める
- 乾燥させる
2〜3回に分けて下塗り材で表面を十分に固めておくことで、塗装をしたり壁紙を張ったりすることが可能になります。完全に乾いてから2回目を塗り始めましょう。下塗り材にはスプレータイプもあります。季節や天候によっては、下塗り材が乾くのに1日以上かかる場合もありますが、また砂が落ちてこないよう完全に乾かしましょう。
ペンキで塗装する場合
ペンキで塗り替える場合は、下塗り材が完全に乾いた後に水性ペンキで2回重ね塗りします。コテで塗るのは難易度が高いため、広範囲の部分にはローラー、細部にはハケを使用して塗るのがおすすめです。ペンキが完全に乾いた後では養生テープが剥がれにくくなるため、乾ききる前に養生テープを剥がしましょう。
壁紙を張る場合
下塗り材が乾いたらパテで表面の凹凸を平らにし、乾燥させた後に紙やすりをかけます。壁の表面が完全に平坦になったら、のりを付け壁紙を張っていきます。壁紙の裏に生のりが付いているタイプもあります。
砂壁・漆喰・珪藻土を塗る場合
コテで1回目を塗り、完全に乾く前に模様をつけながら再び塗っていきます。
DIYで砂壁をリフォームする場合の費用
DIYで砂壁をリフォームする場合(6畳あたり)にかかる費用は、必要な道具・下塗り材・各材料の費用を合わせて、トータルで2万〜6万円程度です。内訳は、次の通りです。
必要な道具 |
5,000円程度 |
下塗り材 |
8,000~1万4,000円程度 |
ペンキ |
6,000〜2万5,000円程度 |
壁紙 |
6,000〜1万円程度 |
砂壁 |
1万円〜3万円程度 |
漆喰 |
2万〜5万円程度 |
珪藻土 |
1万7,000〜5万円程度 |
砂壁をリフォームするタイミング

砂壁のリフォームは、次のようなタイミングで検討するのがおすすめです。
- 何もしなくても砂がポロポロ落ちる
- 砂壁にカビが生える
- 傷・ヒビがある
- 見た目の美しさが低下してきた
何もしなくても砂がポロポロ落ちる
砂壁の劣化が進むと、壁と接触していなくても砂がポロポロ落ちるようになります。掃除に手間がかかるだけでなく、調湿効果も落ちていることが考えられ、カビやダニが発生する可能性もあります。リフォームを検討するのが良いでしょう。
砂壁にカビが生える
砂壁の経年劣化によって調湿効果が低下すると、カビが発生しやすくなります。砂壁にカビが生えている場合は、カビが広がる前にリフォームを検討するのがおすすめです。
傷・ヒビがある
傷やヒビがあったり剥がれている部分があったりすると、そこからさらに砂が剥がれていく可能性があります。傷・ヒビ・剥がれている部分が複数ある場合は、リフォームのタイミングといえます。
見た目の美しさが低下してきた
カビやヒビなど、目に見えて劣化しているサインが出ていない場合でも、見た目の劣化を感じたらリフォームのタイミングかもしれません。砂壁は紫外線によって色あせてしまうことがあります。
機能的に問題なくても、見た目が気になる時はリフォームを検討するのも一つの方法です。
失敗しない業者の選び方

砂壁のリフォームを依頼する業者の選び方にはコツがあります。失敗して後悔しないためにも、次の2つのポイントを意識して信頼できる業者に施工を依頼しましょう。
砂壁をはじめとする施工実績があるか
砂壁のリフォームには専門的な知識と高い技術が必要です。そのため、業者に依頼する時はまず、砂壁の施工実績があるかどうかを確認しましょう。また、口コミやレビューなどを検索して、実際に施工してもらった方の意見を参考にするのも一つの方法です。
複数の業者に絞り込んだら、実際に相談や見積もりを依頼して、丁寧に対応してもらえるか、信頼できる業者かどうかを見極めるのも重要なポイントです。
アフターフォローにも対応してくれるか
砂壁はこまめな状態チェックや定期的なメンテナンスによって美しく保つことができます。そのため、リフォーム後もアフターフォローに対応してくれる業者を選ぶと安心です。
また、メリットだけでなくデメリットもしっかり説明してくれる業者を選ぶと、納得した上で砂壁をリフォームできます。
よくある質問
砂壁のよくある質問にお答えします。砂壁に関する疑問や不安を解消して、満足できる砂壁リフォームを実現しましょう。
砂壁の寿命はどのくらい?
砂壁は一般的に10年以上経過すると劣化が見られやすくなると言われています。特にひび割れやカビ、汚れは、砂壁の劣化サインとして現れやすい特徴です。
劣化のサインを見逃さないよう、定期的に砂壁の状態をチェックして見てください。
砂壁リフォームを安く抑えるコツは?
砂壁リフォームを安く抑えるためには、複数の業者から見積もりを取って比較するのがおすすめです。見積もりを比較することで相場が把握できるほか、不要な作業やオプションが追加されていないかどうかを確認することができます。
まとめ
砂壁のリフォームには、砂壁を塗り直す、珪藻土・漆喰に塗り替える、壁紙を張る、ペンキを塗るなどさまざまな方法があります。砂壁を塗り直すリフォームや、ペンキを塗るリフォームが比較的安いですが、いずれのリフォームも相場が20万円以内です。砂壁のリフォームには高い技術が必要となり、DIYでのリフォームは失敗するリスクもあるため、できる限り実績の豊富な専門業者に依頼するのがおすすめです。
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