自然エネルギーを活用することで電気を生み出し、家庭の電気代を節約できる太陽光発電。
新築戸建てをはじめ、太陽光発電を設置する家庭が非常に増えていますが、思わぬトラブルに発展してしまうケースも少なくありません。
イレギュラーなことばかりだと、「いったいどこに相談したらいいの?」と困ってしまいますよね。
そこでこの記事では、太陽光発電でよくあるトラブル事例を以下の4パターンにわけて解説します。
- 自然災害によるトラブル
- 近隣住民とのトラブル
- 業者とのトラブル
- 故障によるトラブル
トラブルを回避する方法やいざというときの相談先も併せて解説しますので、これから太陽光発電を取り付ける人もぜひ参考にしてください。
太陽光発電のトラブル相談は増加傾向に

2009年に「余剰電力買取制度」が制定されてから、太陽光発電は日本国内で急速に普及しました。しかし、それと同時にトラブル事例が急増しているのも事実です。
特に多いのは、近隣住民や業者とのトラブル。近隣住民とのトラブルは、日常生活にも大きな支障を与えかねません。
また、太陽光発電を高額で売りつける訪問販売も社会的に問題視されています。過去には経済産業省から注意喚起が発表されたこともあり、事態の深刻さがうかがえるでしょう。
近隣住民とのトラブル

太陽光発電で特に多いのは、近隣住民とのトラブル。自分が周囲の住民に迷惑をかけることもあれば、逆に自分が迷惑を被ることもあります。
1. 反射がまぶしい
太陽光パネルを設置することで、「太陽光が反射してまぶしい」と周囲の住民からクレームを受ける例があります。実際に、過去には太陽光発電の反射により熱中症になったとして裁判になった事例もありました。
一般家庭の屋根の上に太陽光パネルを取り付けるなら、トラブルに発展するリスクはまだ低いといえます。しかし、地面と同じ高さで太陽光パネルを設置する際は、反射光や角度について十分に注意が必要でしょう。
業者によっては、反射光の影響を時間帯別にシミュレーションしてくれることもあります。周囲の家への影響が気になる人は、事前に依頼しておくことをおすすめします。
2. 騒音
太陽光発電で発生した電気を一般家庭で利用するには、電力を変換する「パワーコンディショナー」という機器が必要不可欠です。しかし、このパワーコンディショナーの動作音が騒音トラブルに発展するケースも少なくありません。
目安として、パワーコンディショナーの騒音はエアコンの室外機と同程度です。ものすごくうるさいわけではありませんが、家同士の距離が狭いと意外と気にする人もいるでしょう。
パワーコンディショナーの中には、騒音をできる限り抑制するモデルも展開されています。近隣住民とのトラブルが不安な人は、耳障りな高周波音を減らせるタイプがおすすめです。
3. 屋根からの降雪
屋根の上に太陽光パネルを設置すると、雪が滑り台のように流れ落ちてしまうことがあります。太陽光パネルの表面は屋根の素材よりもツルツルしているため、降雪量が多い地域の人は特に要注意でしょう。
降雪によるトラブルを避けるには、パネルの設置方法を工夫することが大切です。たとえば、屋根の先端とパネルの間隔を空けたり、軒先部分のスペースを確保して雪止めを設置するだけでも、降雪のリスクを下げることができます。近年は、パネルからの降雪を防ぐストッパーも展開されているため、不安な人は事前に設置しておくといいでしょう。
4. 木や雑草で発電効率が低下
近所の雑草や草木によって、太陽光パネルが思うように稼働しないというケースもあります。自宅の周辺に高い木が立っている場合は、事前に日当りをよく確認すべきでしょう。
地上と同じ高さに太陽光パネルを設置する場合は、近所の雑草が生い茂ると光が当たらず、発電効率が下がることがあります。とはいえ、雑草はあくまで他の人の敷地内にあるため、雑草を抜くようお願いしたところで相手に嫌がられ、トラブルに発展するケースが多いようです。
5. 植物や動物で回線がショート
発電効率が下がるならまだしも、最悪の場合太陽光パネルの回線がショートしてしまうこともあります。
実際に、過去にはツタ植物が太陽光パネルにからみ、ショートしてしまう事例がありました。また、近隣住民がペットを飼っていたり、家庭菜園などで動物が寄ってくると、太陽光パネルにも思わぬ被害が及ぶ可能性があります。
こうしたケースは、太陽光パネルの不具合との直接的な因果関係がわかりづらく、揉めごとに発展しやすいといえます。
業者とのトラブル

太陽光発電で意外に多いのは、業者とのトラブルです。設置作業の質はもちろん、金銭面においてのトラブルも少なくないようです。
6. 補助金がおりない
太陽光パネルを設置すると、条件によって補助金が支給されることがあります。しかし、業者から「補助金が支給されます」と聞いていたにもかかわらず、実際は補助金が下りなかったというトラブルが多く発生しています。
補助金トラブルの原因は、主に以下の3つが考えられます。
- 業者が補助金の申請を忘れていた
- 業者による補助金申請に不手際があった
- 設置が完了してから補助金がおりないことがわかった
経験や実績が豊富な業者なら、こうしたトラブルに発展するリスクは低いでしょう。また、補助金を受けるにはどのような手続きが必要か、施工開始前に自分自身で確認しておくことも大切です。
7. 雨漏り
太陽光パネルを屋根に設置する際は、屋根に穴を開けて金具で固定するのが一般的です。しかし、この工程の中で作業ミスが起きると、後になって雨漏りが発生することがあります。
消費者からすれば、業者のミスによって雨漏りが発生したことは明らかですが、中には「雨漏りと太陽光パネルの設置には関係がない」と主張する業者もいます。この場合、雨漏りの補修費用は全額自己負担になってしまう可能性があり、消費者側は思わぬ費用を強いられてしまいます。
雨漏りによるトラブルを避けるためには、保証内容に雨漏りに関する規定があるかを事前に確認しておくことが大切です。
8. 悪質な訪問販売
自分の意思から太陽光パネルの設置を検討するのではなく、訪問販売によって太陽光発電をすすめられることもあるでしょう。しかし、訪問販売には悪質な業者が多く、法外な金額を知らず知らずのうちに課されてしまうことがあります。
特に、以下のような甘い言葉をかけてきた場合には、情報の真偽を自分で確かめる必要があります。少しでも怪しいなと思ったら、自分1人で判断せず、家族や友人に一度相談するといいでしょう。
- 太陽光発電は絶対に儲かります
- 光熱費が0円になります
- 今なら特別価格でご案内します
- 売電価格がこれから倍に上がります
- 国の買い取り制度がすぐに終わってしまいます
自然災害によるトラブル

太陽光パネルの設置に細心の注意を払っても、自然災害のリスクは避けられません。自然災害によるトラブルはメーカーの保証外となるケースがほとんどのため、動産総合保険への加入が必要となります。
9. 台風
強風や豪雨を伴う台風は、太陽光発電に深刻な被害をもたらすことがあります。よくある事例としては、以下の2つが挙げられます。
- 強風でパネルが飛ばされてしまう
- 発電システムが浸水して故障してしまう
パネルが強風によって飛ばされると、近隣の民家だけでなく通行人に当たってしまう可能性が考えられます。通行人がけがを負った場合、損害賠償請求は避けられないでしょう。
また豪雨によって発電システムが浸水すると、感電のリスクを伴います。
10. 地震
強い地震が発生すると、太陽光パネル全体が歪んでしまうこともあります。屋根の上に設置する場合はまだしも、地上に設置する場合は何かしらのトラブルが発生する可能性が高いでしょう。
11. 土砂崩れ
一般家庭の屋根ではなく、山に近い傾斜地に太陽光発電を設置する場合、土砂崩れのリスクがあります。近年は夏に集中豪雨が多く発生しており、地盤が緩むと太陽光パネルごと崩壊してしまう可能性もあるでしょう。
これは一般家庭よりも業者に多いケースではありますが、いずれにしても安全基準に細心の注意が必要です。
故障によるトラブル

太陽光パネルを長年利用していると、経年劣化により思わぬトラブルを招くことがあります。こうした故障を防ぐためには定期的なメンテナンスが欠かせません。
12. パワーコンディショナーの出火
故障トラブルで特に多いのは、パワーコンディショナーからの出火です。これは、パワーコンディショナーの施工不良により、隙間から異物が侵入することが原因です。
パワーコンディショナーの設置場所は住宅により異なりますが、特に家の外に設置する場合はほこり等が入り込まないか細心の注意が必要でしょう。
13. ホットスポットからの出火
「ホットスポット」とは、太陽光パネルの表面の一部が極端に熱くなってしまう現象を指します。パネルの一部が影になっていることが原因で、長時間放っておくと出火するケースがあります。
太陽光パネルの表面の温度は、素人が目視でチェックすることができません。たとえ火災が発生しなくても、ホットスポットが生じると発電量は必然的に低下するため、定期的に業者にメンテナンスを依頼するのが賢明です。
トラブルを起こさないために | 太陽光発電設置の前にチェックすべきポイント

太陽光発電を実施すると、さまざまなトラブルが起こる可能性があります。しかし、以下の4つに注意すれば、こうしたトラブルが起こるリスクを下げられるのも事実です。
- 業者の実績は十分か
- 見積書は明確か
- 保証内容は十分か
- アフターフォローはあるか
業者の実績は十分か
太陽光発電を長期的&安全に利用するには、業者選びが非常に大切です。業者を選ぶ際は、太陽光パネル設置の実績が十分かを必ず確認しましょう。
以下に当てはまるような業者は、設置後にトラブルに発展するリスクが高いといえます。
- 太陽光発電の実績がほとんどない
- 無理に商品を勧めてくる
- 強引に契約に進もうとする
- 質問してもまともな答えが返ってこない
- デメリットやリスクを説明しない
見積書は明確か
ある程度業者を絞ったら、実際に見積書を出してもらいましょう。ざっくりとした総額だけではなく、具体的な金額と根拠が明確になっているかがポイントです。
見積書の良し悪しを判断できないときは、複数の業者に相見積もりをお願いするのもおすすめです。2枚以上の見積書を比べることで、より信頼できる業者を選べるようになります。
保証内容は十分か
万が一のトラブルに備え、保証内容もしっかり確認しておきたいところです。機器の故障はもちろん、自然災害や雨漏りに対する保証も事前によく確認しておきましょう。
どれだけ親切な業者でも、保証内容に明記されていなければ保証金がおりることはありません。後になって手痛い出費とならないためにも、どこまでカバーされているかは非常に大切です。
アフターフォローはあるか
太陽光発電は長期的に利用するため、アフターフォローの有無も非常に大切です。アフターフォローが充実していれば、何かトラブルがあったときでもスムーズに対応してもらえる可能性が高いでしょう。
メンテナンスに対応してくれる業者を選べば、毎回同じ業者に定期メンテナンスを依頼でき、利用者としても安心です。
太陽光発電をやめたい!上手な解決法は?

予想以上にトラブルが深刻化してしまうと、「もう太陽光発電をやめたい」と感じるかもしれません。そんなときは、以下の3つの対処法を検討してみましょう。
- 消費者センターに相談
- 国民生活センターに相談
- 弁護士に相談
消費者センターに相談
消費者センターは、消費者と事業者の間で起きたトラブルを相談できる機関。「消費生活相談員」と呼ばれるスタッフが、交渉方法や具体的な解決策などをアドバイスしてくれます。
相談方法は「188」に電話をかけるだけ。近くの消費生活センターなどにつながり、相談料もかかりません(要通話料)。契約書面や経緯をまとめた資料などを用意しておくと、やり取りもスムーズでしょう。
国民生活センターに相談
国民生活センターは、消費者トラブルについての調査や研究をおこなう国の機関。平日の昼間を中心に電話相談を受け付けています。
優先順位としては、まずはより身近な消費生活センターに相談し、解決できなかった場合に国民生活センターに相談するという流れが基本です。
弁護士に相談
どうしてもトラブルが解決しなければ、最終的には弁護士に相談することになります。依頼費用がかかってしまうのがデメリットですが、法的な解決を目指すなら必要経費と考えるべきでしょう。
太陽光発電におけるトラブルを避けるには、実績が十分な業者に依頼することが非常に大切です。ぜひこの記事を参考に信頼できる業者を選び、エコな太陽光発電をはじめてくださいね。
※当ページのコンテンツや情報において、カインズリフォームでは、取り扱いが異なる場合がございます。