夏から秋になると、日本列島にやってくる台風。台風の瞬間最大風速は40メートルm/sを超えることもあるため、太陽光発電を設置している人は台風が近づくとヒヤヒヤ感じるのではないでしょうか?
そこでこの記事では、台風による太陽光発電の被害を抑えるために、以下のトピックについて解説します。
- 台風によって生じる太陽光発電の5つの被害
- 台風での被害に適用される保険
- 今すぐに実践できる簡単な対策
結論から言うと、台風によって太陽光パネルが飛ぶ可能性はきわめて低いです。
沖縄や九州など、台風の多い地域に住んでいる人は、この記事を参考に日常的に対策をとっておきましょう。
太陽光発電は台風で飛ぶ?基準は風速60m/s

台風が来たときにもっとも心配なのは、「太陽光パネルが飛んでしまわないか」ですよね。万が一太陽光パネルが風で飛ばされてしまったら、隣の家だけでなく、通行人に当たってしまう可能性もあります。
しかし、太陽光パネルが台風によって飛ぶことはほとんどありません。
日本に来る台風は勢力によって、以下の4つのカテゴリーに分類されます。
- 階級なし:33m/s未満
- 強い:33m/s以上44m/s未満
- 非常に強い:44m/s以上54m/s未満
- 猛烈な:54m/s以上
日本国内で販売されている太陽光パネルは、建築基準法にもとづき、瞬間最大風速60メートルまで対応できるように設計されています。また、そのほかにもJIS規格や法令によって、以下のような項目が厳格に定められています。
つまり、一般的に太陽光パネルはもっとも強度の強い「猛烈な」台風にも対応しており、数字だけ見ればかなり強い台風にも耐えられることになります。
しかし、日本の歴史においてもっとも強かったとされる台風(1966年、台風18号)は、瞬間最大風速85.3m/sを記録しました。そのため、想定を超える強い台風が来たときには、現在の規定では対応できない可能性もあるかもしれません。
台風で起こりやすい太陽光発電の事故事例5選

台風によって強い風が吹くと、太陽光発電にさまざまな被害がおよびます。特に台風による被害例として多いのは、以下の5つ。
- 太陽光パネルや発電設備が飛ばされる
- 飛来物で太陽光パネルが破損する
- 太陽光パネルの基礎が歪む
- 架台が損傷する
- 冠水被害で電気系統が故障する
よくある被害例を事前に知ることで、被害が起きるリスクを最小限に抑えましょう。
1. 太陽光パネルや発電設備が飛ばされる
台風による被害例として真っ先に思い浮かぶのは、強風により太陽光パネルが飛んでしまうことでしょう。実際に、過去には強風によって太陽光パネルが飛ばされてしまうケースが多数報告されています。
本来、太陽光発電の規格をクリアしていれば、台風によって太陽光パネルが飛ばされる可能性は極めて低いと考えられます。しかし、近年は後述するイレギュラーなケースが増えており、「絶対に大丈夫」とは言えないのが現状です。
2. 飛来物で太陽光パネルが破損する
反対に、他のところから飛んできた飛来物によって、太陽光パネルが損傷してしまうケースもあります。特に、近所に砂利道がある人は、小石などが風によって巻き上げられ、自宅まで飛んでくる可能性は高いでしょう。
しかし、たとえ砂利道をアスファルトで舗装しても、100%リスクを避けられるわけではありません。自宅のベランダや庭の荷物にどれだけ注意しても、他の人の家からものが飛んでくる可能性は避けられないでしょう。
3. 太陽光パネルの基礎が歪む
自宅に太陽光パネルを設置する場合、主に以下の2つの方法があります。
- 屋根の上に取り付ける
- 地面と同じ高さに設置する(野立て)
2番目の「野立て」の場合、台風による強風や地滑りにより、太陽光パネルの基礎が歪む可能性があります。地面がアスファルトなどで舗装されていればリスクは低いですが、土の地面や斜面に設置する際は、地滑りのリスクはおのずと高くなるでしょう。
野立てで太陽光パネルを設置する際は、事前に専門業者に地盤の強度を調査してもらうのもおすすめです。
4. 架台が損傷する
太陽光パネルを支える架台が強風によって歪んだり、飛来物によって損傷してしまうリスクも考えられます。架台が歪んでしまうと、太陽光パネルにも歪みが生じるだけでなく、パネルの表面に亀裂が生じてしまう可能性も否めません。
また、架台の間隔が均一でないと、太陽光パネルに十分な強度が生まれず、強風で被害を受けるリスクが高まります。そのため、細かなところまで正確に施工をしてくれる業者を選ぶことが非常に大切になります。
5. 冠水被害で電気系統が故障する
台風に伴う大雨で河川が氾濫した場合、野立ての太陽光発電が冠水してしまう可能性があります。
太陽光パネル本体は防水加工がなされているため、基本的に濡れても問題ありません。しかし、パネルの裏側にある「端子ボックス」や、電力を変換する装置「パワーコンディショナー」などが水没すると、ショートを起こすことで感電や出火の原因となることがあります。
漏電しているかどうかは見た目では判断できないため、万が一冠水した場合は、決して自己判断で近づかないことが肝心です。
太陽光発電が台風で飛んだ!考えられる原因は?

万が一太陽光発電の設備が台風で飛んだ場合、原因として以下の3つが考えられます。
台風の瞬間最大風速が秒速60メートルを超えない限り、太陽光発電の設備に何かしらの不備があるといえます。1つずつ原因をチェックしてみましょう。
施工業者のミス
各メーカーから販売されている太陽光パネルは厳しい規格をクリアしているため、パネル本体に不備がある可能性は考えにくいといえます。そこで、原因としてまず考えられるのは、施工業者のミスです。
実際に、過去に太陽光パネルが強風で飛ばされたケースでは、ねじがしっかりと固定されていなかったり、地盤の基礎工事が不十分なことがありました。どれだけ安全性の高い太陽光パネルでも、施工がいい加減だと台風被害を受ける可能性は必然的に高くなってしまいます。
こうした被害を避けるためには、太陽光発電の設置実績が多く、豊富なノウハウを持っている業者を選ぶことが大切です。
メンテナンス不足
太陽光発電は一度設置すれば終わりではなく、定期的にメンテナンスをしなければなりません。どれだけ丁寧に施行してもらっても、時間が経てばねじの緩みや歪みは少なからず生じるものです。
住宅用の太陽光発電では、メンテナンスをおこなうことに法的義務はありません。しかし、資源エネルギー庁からは4年に1度の定期点検が推奨されています。
大型の台風が来るとわかっているときは、前もって設置業者にメンテナンスを依頼しておくのもいいでしょう。
台風の勢力
最後に考えられるのは、台風の勢力があまりにも強すぎたというケースです。
近年は異常気象が多く、毎年のように「史上最大級」の台風がやってきます。太陽光パネルは最大瞬間風速60m/sに対応しているとはいえ、それを上回る台風が来てしまったら、もう仕方ありません。
実績豊富な業者に丁寧に設置してもらい、定期的にメンテナンスを行っていたとしても、こればかりは対策のしようがないでしょう。
台風時に太陽光発電に適用される保険

太陽光発電が台風によってダメージを受けた場合、以下の4つの保険が適用される可能性があります。
- 住宅用火災保険
- クレジットカード会社の保険
- 賠償責任保険
- 太陽光パネルメーカーの保証
自己負担額を最小限に抑えるためにも、適用条件をよく確認しておきましょう。
住宅用火災保険
台風により太陽光発電が被害を受けたときは、住宅用火災保険によって保証してもらうのが一般的です。住宅用火災保険は台風を含む自然災害を対象としており、自宅に太陽光パネルを設置するなら絶対に加入しておくべき保険と言えます。
カバー内容を充実させるには、動産総合保険の内容をくわえた住宅総合保険に加入することもできます。これにより、飛来物による損傷や機材の盗難など、より幅広いリスクをカバーしてもらえるでしょう。
また、架台設置型の太陽光パネルでは、火災保険ではなく家財保険が適用されることがあります。対象となる太陽光パネルの種類や補償内容はコースにより異なります。あとになって「こんなはずじゃなかった」とならないよう、事前に適用条件を細かくチェックしておきましょう。
クレジットカード会社の保険
保険の加入手続きをできるだけスムーズに済ませたい人は、クレジットカードの保険に加入するのも選択肢の1つです。各クレジットカードでは、オプションとして火災保険を設けていることもあり、ゴールドカードなどの上位カードなら補償内容も高くなることがあります。
ただし、クレジットカード会社の保険は、専門的な住宅用火災保険などに比べるとカバー内容が少ない傾向にあります。あくまで補助的な保険と考え、多少面倒であっても住宅用火災保険などを優先的に検討するべきでしょう。
賠償責任保険
賠償責任保険は、第三者に対する補償をカバーするものです。これにより、万が一風で飛ばされた太陽光パネルが通行人にぶつかった場合でも、賠償金をカバーしてもらえる可能性が高くなります。
万が一太陽光パネルが風で飛ばされてしまうと、どんな被害が起こるかは誰にも予想がつきません。いざというときの安心材料としても、賠償責任保険の加入は十分に検討しておくべきでしょう。
太陽光パネルメーカーの保証
最後に挙げられるのは、保険ではなく太陽光パネルメーカーによる保証です。
太陽光パネルメーカーからの保証は、基本的に正常利用時に限り適用されます。つまり、台風のようにイレギュラーな外的要因によって生じた故障は、保証されることはありません。
しかし、業者によっては保険会社と提携しており、台風による被害を保証していることもあります。こうした業者と契約しておけば、もしもの時も手続きをサポートしてくれるため、心強いでしょう。
太陽光発電の事故を防止!台風発生時の注意点

万が一台風によって太陽光発電が被害を受けた場合は、以下の3点に注意しなければなりません。
- 台風がおさまるまで待つ
- 破損した設備に近づかない
- できれば電源を切る
焦ってあれこれ手を出すと、思わぬ二次被害が発生してしまいます。事前に適切な対処法を知り、いざというときに冷静に対応できるようにしておきましょう。
台風がおさまるまで待つ
台風が来ているときは、どんなときも安全な環境に身を置くことが最優先です。たとえ太陽光発電が被害を受けたとしても、台風が収まるまで外に出てはいけません。
たとえば、太陽光パネルが1枚剥がれたからといって屋外に出ると、また別のパネルが飛んできて自分にあたる可能性があります。万が一重たい太陽光パネルが体に直撃したら・・・と考えただけでもゾッとしますよね。
どんなに想定外のことが起きても、身の安全を確保できる状態になってから動くことを徹底しましょう。
破損した設備に近づかない
万が一太陽光発電が破損してしまったとしても、自己判断で設備に近づいたり、手を触れてはいけません。必ず業者を呼び、専門のスキルにおいて対応してもらうようにしましょう。
素人があれこれと設備をいじると症状が悪化してしまうだけでなく、最悪の場合漏電によって感電してしまうリスクもあります。先述の通り、太陽光発電の設備が冠水したときは漏電のリスクが高く、十分な注意が必要です。
できれば電源を切る
台風によって太陽光発電が破損した場合は、できるだけ電源を切るようにしましょう。これにより、断線による漏電や発火のリスクを抑えることができます。
とはいえ、素人だと電源を切るだけでも少なからずリスクがつきものです。業者が来てくれるまで待つか、業者がどうしても身動きをとれないときは現況を業者に伝え、適切な対処法について指示を仰ぐようにしましょう。
まとめ:太陽光発電の台風対策はこまめなメンテナンス

記事の内容をおさらいすると、台風による太陽光発電への被害を抑えるには以下がポイントです。
- 実績豊富な業者を選ぶ
- リスクを十分にカバーした保険に加入しておく
- 日ごろからメンテナンスをしておく
太陽光発電を安全に利用するには、約4年に1度のメンテナンスが推奨されています。それ以外にも、フィルターの目詰まりを確認したり、日々モニターをチェックして発電量に異常がないかチェックしたりなど、日常的にセルフチェックしておくことが大切です。
台風などいざというときに慌てないためにも、日ごろから万全のメンテナンスを心がけましょう。
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