建具とはドアや窓のような扉とその枠の総称のことです。今の自宅の建具が古くなり使いづらいと感じたら、そろそろ交換のタイミングかもしれません。しかし、建具を初めてリフォームする方にとって、様々な建具のバリエーションがあり、それぞれ機能によって費用が変わってくることで悩んでしまうことでしょう。そこで今回は、古い建具を新しいものに交換する時に迷わないように、建具の種類や費用相場、選び方のポイント、依頼先の選定のコツなどについて徹底解説します。
建具の種類や交換費用の相場

自宅の建具を新しい建具に交換する場合、選ぶ建具のデザインや機能によって使い勝手や交換費用が変わってきます。まずは3つの種類の建具の特徴や費用感について、理解を深めていきましょう。
開き戸
◇開き戸の特徴について
住宅で使用される最もポピュラーなドアとして認知されている開き戸。戸建住宅では一番多く使われている建具で、ドア本体の費用や使い勝手が良く、バランスが最も優れた建具として人気があります。また、ガラスの有無で使用に適した部屋が変わります。例えばガラス入りの開き戸はリビングに入るドアとしてよく用いられ、リビング越しの光を廊下や玄関まで届ける効果があります。
◇開き戸のメリットについて
・気密性が高いため、風の流れや音を遮断する効果が高い。
・引き戸より壁の厚みを薄くすることが可能。
・ペットの行き来が閉めた状態でできる、ペットドアのタイプがある。
・デザインの種類が豊富。
◇開き戸のデメリットについて
・開閉に前後のスペースが必要なため、デッドスペースができる。
・扉を開けた時に、扉の向こう側に人がいるとぶつかる可能性があり危険なこともある。
・扉を開けた時の壁面にスイッチやコンセントがあると使いづらくなることがある。
◇開き戸に交換する場合の費用相場(既存扉解体費用は含まず)
・建具本体のみ 8万円〜30万円。
・建具+枠交換 10万円〜32万円。
・開き戸以外の建具から交換 16万円〜38万円。
引き戸
◇引き戸の特徴について
開き戸が普及する前に、日本古来の住宅によく使われていた扉。現在も和室や常時開放していたい部屋やバリアフリーを考慮した部屋などで使用されることが多い扉です。左右にスライドさせて出入りするため前後に開閉スペースを必要せず、省スペースで狭い部屋でも有効活用することができます。
◇引き戸のメリットについて
・前後のスペースがあまりない空間や狭い部屋や廊下でも、スムーズな開閉が可能。
・常時開け放しにしておくことで、2つの部屋を1つの部屋として使うことができるため、柔軟な部屋の使い方が可能。
・扉自体を壁に全て隠すことができるため、扉が見えない分開放感が出やすい。
◇引き戸のデメリットについて
・開き戸に比べ気密性に劣るため、風や音などが漏れやすい。
・扉を引き込む側にスペースが必要なため、引き込み側に壁が必要となるなど設置場所が限定される。
・引き込み式の場合、戸袋の中の溝やレールに埃がたまったり、物が入ると取り出しにくかったりなど、手入れが大変なことが多い。
◇引き戸に交換する場合の費用相場
・建具本体のみ 9万円〜43万円。
・建具+枠交換 11万円〜44万円。
・開き戸以外の建具から交換 16万円〜50万円。
折れ戸
◇折れ戸の特徴について
折れ戸とは蝶番などで連結させた扉を折り畳んで開閉する扉のことです。2枚〜6枚までの折り戸があり、開閉時のスペースが従来の開き戸と比べると、1/3以下の省スペースで動作が可能となります。開閉スペースが少なくて済むため、トイレや洗面室、廊下など狭い空間で多く用いられます。また、開閉動作も少なく前後のスペースにゆとりがでるため、車椅子からの開け閉めや移動も楽に行えるのが特徴です。
◇折れ戸のメリットについて
・折り戸の開閉する時のスペースが開き戸よりも省スペースなため、廊下や狭い空間にも設置が可能。
・上吊りタイプの場合、床にレールが存在しないため掃除が楽に行える。
・上吊りタイプの場合、床にレールが存在しないため車椅子からの開け閉めや移動が楽に行える。
◇折れ戸のデメリットについて
・小さい子供など、扉と扉の間の連結部分に手を挟む可能性がある。
・同じ幅に設置する場合、開き戸と引き戸、折り戸で比較すると折れ戸のコストが最も高い。
・折れ戸のタイプによっては埋込式レールが必須のため、床にレールの溝ができる。
◇折れ戸に交換する場合の費用相場
・建具本体のみ 9万円〜21万円。
・建具+枠交換 10万円〜23万円。
・開き戸以外の建具から交換 16万円〜28万円。
建具リフォームで気をつけるべきポイント

新しく交換したい建具についてイメージがついた段階で、リフォームで交換する際に気をつけるべきポイントについて解説します。新しく交換した建具が、思わぬことで使い勝手が悪いものとならないようによく理解しましょう。
使い勝手を考えた建具にする
単位古くなった建具を新しく交換するだけではなく、新しくすることでどのように生活を変えていきたいかをイメージを膨らませていくことが重要です。建具を交換する目的として、部屋のイメージを変えたいのか、バリアフリーにも対応したいのか、を検討することで、選ぶ扉の機能やデザインの選定基準も変わってきます。
空間に馴染むデザインにする
扉の機能やデザイン、色だけで選んでしまうことで、新しい扉を設置した際に空間全体がアンバランスになることがあります。扉だけを注視しすぎてしまい、設置する部屋の壁の色味やインテリア、照明の色などが考慮されない場合に起こりがちになります。ポイントとして、空間全体のトーンを考え、扉を設置する周囲の壁の色味やデザインを考慮し、設置後に違和感のないトータルデザインでイメージするようにしましょう。
他のドアとのバランスを考える
新しく設置するドアと既存のドアが近い場合に、お互いの扉の開閉時に扉同士が干渉してしまうリスクがあります。その場合は、どちらかを引き戸にすることで解消できます。生活動線を考え、空間的にもスムーズに動作ができる扉を選びましょう。
部屋ごとの建具の選び方のコツ

続いて、建具を設置する基準として部屋ごとに合う建具、合わない建具をご紹介します。各部屋の使い方や求められる機能が異なるため、最適な建具を選ぶ参考にしてください。
リビングに設置する場合
リビングに設置する最適な建具を選ぶ基準として、玄関ホールや廊下などからの行き来がしやすい機能をもつ引き戸がおすすめです。またガラスが入ったタイプを選択することで、リビング越しに玄関ホールや廊下へ明かりを送ることができるため、北側の暗くて寒い雰囲気の玄関や廊下でも明るい空間にすることができます。
和室に設置する場合
最近のモダン和室や、昔からの純和風の和室に最適な建具は引き戸になります。古来より和室に用いられてきた引き戸は、畳を傷つけないための機能性を有しています。また、開放したままにできるため風通しがよく、出入りも容易にできるなど合理的に使用されてきました。
トイレや洗面所に設置する場合
トイレや洗面所などの水回りは特に匂いや湿気など、外部に漏らしたくない部屋となるため、開き戸がおすすめです。3つの建具の中では一番密閉性が高いため、空間をしっかりと分けたい場合に最適です。狭い空間や廊下などに面する場合は折り戸タイプも比較的密閉性が高いためおすすめとなります。
寝室に設置する場合
寝室などの静かに過ごせる場所には開き戸が最適です。また、寝室のみの機能だけではなく、隣接する部屋と一体的に使う場面がある場合は引き戸がおすすめとなります。寝室は日中使うことが少ない部屋となるため、使い方に応じて柔軟に建具を検討した方が良いでしょう。
建具リフォームの依頼先の違い

最後に建具リフォームを行う際にどこに依頼すれば良いかの参考のために、依頼先別の特徴をご紹介します。最近流行りのDIYでできる範囲なども知ることで、コストを抑えられる可能性があります。
自分で交換工事を行いたい場合はDIY
建具の部分的な交換のみで対応可能な場合は、DIYで行う方が費用を抑えられます。例えば、吊元丁番やラッチなどはメーカーの修理マニュアルなどが整備されているため、DIYに自信がある人はメーカーやホームセンター等で部品を取り寄せて交換してみるのも良いでしょう。
工務店やハウスメーカー
実際に自宅を建築した工務店やハウスメーカーに依頼ができる場合は、相談することをおすすめします。なぜならば建築時の図面が保存されていることや、当時の設計士や施工監督が在籍していたりする場合は話が通じやすく、最適な提案をしてくれます。安心感や信頼できる先を探している場合は候補の一つとして検討しましょう。
ホームセンター
建具リフォームはホームセンターのリフォーム窓口で相談することもできます。DIYに自信がなく、工務店にも相談することができない場合はホームセンターのリフォーム相談窓口が様々なサポートを行なってくれます。しかし、窓口の担当者と実際の施工会社が別会社となっていることが多く、連携や伝達ミスが発生する可能性が高く、着工までに時間がかかるリスクがあることに注意しましょう。
インターネット
最近はインターネットで工事依頼ができるところも増えています。店舗を持たずにインターネット上の建具見積もりサイトやECサイトで商品を選び、採寸も購入者自身で行うことで固定費や出張費を抑え価格の安さを実現しています。しかし、採寸ミスにより工事日に取り付けができない場合や再購入により料金が余計にかかってしまうリスクもあります。インターネットに詳しく、自分で採寸を間違いなくできる方には向いているでしょう。
まとめ
建具リフォームにより使い勝手のいい建具となり、生活の質も格段に向上します。また、建具交換をDIYでできる範囲・できない範囲を知ることで、自分で行った方が良いのか、プロに依頼した方が良いのか判断を付けやすくなります。後悔のない建具リフォームをご検討の方は、今回の記事をぜひ参考にしてください。
※当ページのコンテンツや情報において、カインズリフォームでは、取り扱いが異なる場合がございます。