昨今の住宅では和室を使う頻度が減り、バリアフリーや使い勝手の観点で洋室へリフォームする方も増えています。その際に押入れも使い勝手の良いクローゼット収納へリフォームするケースも多くなっています。今回の記事では、収納力抜群のクローゼット収納だけでなく、おしゃれな書斎へリフォームするなどバリエーションが複数ある押入れリフォームについてクローズアップします。
押入れのリフォームプラン事例

和室を洋室へリフォームする時や、バリアフリーなどで布団からベッドの就寝スタイルに変わるタイミングで押入れの用途を変更するケースがあります。そこで押入れリフォームの種類について詳しく解説します。
クローゼット収納
押入れのリフォームで一番需要が多いのは、クローゼット収納への転換です。特にバリアフリーなどで就寝スタイルが布団からベッドになるタイミングで布団一式を使わなくなり、押入れの収納スペースが余ってしまいます。
また、和室から洋室への変更の際に一緒にクローゼット収納にリフォームすることが多いでしょう。クローゼット収納は、常時着る服や季節物の衣類、扇風機やストーブなどの電化製品、日常品のストックなど色々なものが収納できるため非常に便利で使い勝手の良い収納となります。
書斎
コロナ禍の影響によりリモートワークや在宅ワークで仕事をする人が増えたため、自宅の仕事スペースを確保する必要性が高まり、押入れを書斎にリフォームをするケースも多くなりました。卓上で執務を行うための作業場としてパソコンや読み書きする1人分のスペースとしては、半畳〜1畳くらいのスペースで足りることが多く、押入れの大きさやほどよい密室空間が最適となります。
押入れ&クローゼット
長く住んでいる住宅の場合、家族構成の変化により全員の布団をしまう必要性がなくなった押入れは、空間の無駄遣いをしていることがあります。その場合、布団を収納するスペース分は残し、残りの部分をクローゼット収納へリフォームすることができます。普段使いの布団と洋服が取り出しやすくなることで、生活動線を短くすることができます。
フリー収納
完全に布団をしまう必要がなくなった押入れの場合、あまり使わない長物や大物が収納できるように枕棚や中棚をなくして、広い収納スペースへリフォームするケースがあります。フリースペースとして様々な物がしまうことができるため、空間の有効活用ができ、収納したいものに合わせて簡易的な棚やハンガーパイプ、カラーボックスなどを駆使して、自分好みにアレンジして使うことができます。
クローゼット収納にリフォームする時の注意点

押入れはリフォームにより様々な用途に適して形状に変えられることがおわかりいただけたと思います。
次に、一番需要の多い押入れをクローゼット収納にリフォームする際の注意点やポイントについて紹介します。
注意点1:床の強度に注意
建築年数が古い押入れの場合、押入れの床が薄いベニア材でつくられていることがあります。居室などの通常の床とは異なり、床の厚みが薄いため強度があまりありません。押入れの床は布団などを収納する重さには耐えられる強度は確保されていますが、クローゼット収納へ転換した際に、重い荷物を入れるケースがあると床が破損するリスクがあるため、事前に床の強度を確認するようにしましょう。
注意点2:湿気対策を忘れずに
押入れに布団を収納すると、湿気によりカビが発生することが多いでしょう。押入れは外部の壁に面することが多く、壁の中に断熱材が入っていないことが多いため、特に北側に位置する押入れの場合冬場に壁が冷えることで結露が生じてしまいます。その結露により、カビが発生し、押入れ全体がカビ臭くなる原因となります。対策として、壁の中に断熱材を施工し結露防止対策を施すことで解消することができます。
注意点3:DIYで施工する場合はできる範囲で行う
予算をあまりかけずに押入れからクローゼット収納にリフォームを行う場合、枕棚や中棚を残し、ハンガーパイプや可動棚などを設置するケースがあります。ロング丈のスカートやコートなどの長物の衣類収納は困難となりますが、通常の上着などは収納ができるため、簡易的に用途変更したい場合は選択肢の一つとして検討できるでしょう。
おしゃれな書斎にリフォームするときの注意点

クローゼット収納の次に需要が多い、押入れからおしゃれな書斎へリフォームする際の注意点やポイントについて解説します。
注意点1:おしゃれに仕上げる場合にクロスの選択に注意
特に築年数が経過している住宅の押入れの場合、壁が簡易的なベニア材で仕上げられていることがあります。押入れの扉を取り払い、開放的な書斎として使用する際に壁のベニア材が見えてしまうことで、おしゃれな書斎空間にはなりません。おしゃれな書斎空間をつくるためには、ベニヤ材の上から見栄えのするクロスを張ることをおすすめします。
注意点2:書斎に必要なアイテムが置ける寸法を把握し、レイアウトを考える
押入れから書斎に用途変更するだけであれば大掛かりなリフォーム工事を必要としない場合が多く、自分でレイアウトを考えたり、DIYで仕上げたりすることも可能です。在宅ワークやリモートワークに必要なPCやプリンターなどの電気機器や備品のサイズを把握し、置き場所を最初に決めておくことで、使い勝手の良い書斎にすることができます。
注意点3:空調管理をしっかりと行う
在宅ワークではビデオ会議をすることも頻繁にあるため、籠って作業するためのスペースとして活用したい方も増えています。籠ることで内部の空気が澱んでしまうことを防ぐため、空調管理を適切に行う必要があります。特に夏場の蒸し暑い時期に、籠って作業をすることで熱中症のリスクが高まります。対策として、ポータブルクーラーなどの活用があります。また、書斎内部に電源を確保できない時はリフォーム工事でコンセントを新設するか、延長コードで電源を引いて電気を確保するようにしましょう。
クローゼット収納にリフォームする場合の費用相場と期間

最後に押入れからクローゼット収納へリフォームを検討する場合、リフォームの工事範囲によってどのくらいの費用感で希望を叶えることができるのかについて解説します。工事内容と費用相場、工事期間について参考にしてください。
枕棚や中棚をなくすだけの簡易リフォームの場合
押入れリフォームをDIYで作業を行い方や、費用を抑えて簡易的にクローゼット収納へ変更したいケースになります。一番簡易的にクローゼットへ用途変更する方法として、枕棚と中棚を外すだけのリフォーム工事になります。業者に依頼する場合は、工事期間として半日〜1日あれば完了することが多いです。
外した後に壁紙などのクロス工事が必要な場合は、大工工事の後にクロス業者が入るため、+1日作業日が必要となります。その後は自分でハンガーパイプを設置することや、大工工事と合わせてハンガーパイプの設置をお願いすることも可能です。
費用相場としては、以下となります。
・大工工事:解体作業と処分費用で2万円〜3万円ほど。
・クロス工事:押入れスペースの壁紙張り替え費用で1万円〜3万円ほど。
さらに扉も引き戸から変更する場合
使い勝手の良いクローゼット収納へリフォームする場合に、和室を洋室へリフォームするタイミングや外からの見た目を良くするためにクローゼット扉を取り付けるケースがあります。通常の押入れによく使われる襖戸から、新しいクローゼット用引き戸や折り戸に交換する場合、扉の種類やデザインによって費用がかなり変わってきます。使い勝手や見た目を向上する目的からリフォーム予算を検討し、決めていくとよいでしょう。工事期間としては、扉の撤去と設置工事を合わせて1〜2日ほどかかります。
扉の費用相場として、以下となります。
・クローゼットの開き戸へ交換:本体価格で2万円〜8万円ほど。交換費用で1.5万円〜2万円ほど。合計で3.5万円〜10万円ほど。
・クローゼットの引き戸へ交換:本体価格で4万円〜10万円ほど。交換費用で1.5万円〜2万円ほど。合計で5.5万円〜12万円ほど。
・クローゼットの折れ戸へ交換:本体価格で3万円〜10万円ほど。交換費用で1.5万円〜2万円ほど。合計で4.5万円〜12万円ほど。
完全にクローゼット収納に大規模リフォームする場合
使い勝手や見た目が良いクローゼット収納へとフルリニューアルする工事をする場合は大規模なリフォーム工事となります。収納量を改善するだけではなく機能性や耐久性などを向上する工事が必要です。
流れとしては、押入れをまるごと解体した後に、壁内に断熱材を施工したり、床を補強したりと耐久性を上げる工事を行います。
また、衣類を収納しやすくするために適切な位置にハンガーパイプを設置したり、バックや小物などを収納するための可動棚などを設置したり、細かな造作工事も行います。
仕上げとしてクロス業者により、壁に水回り空間に使用する耐水性や防汚性の機能を持つクロスを施工します。最後にクローゼット扉の取り付けで、真新しいクローゼット収納の完成となります。
リフォームする部屋の状態や工事を行う作業スペースの確保の状況にも工事期間が変わりますが、一般的には3日〜1週間ほどかかります。選ぶ素材や機能面により費用の幅がかなりありますが、20万円〜50万円ほどの費用をみておく必要があります。
まとめ
今回の記事では押入れをクローゼット収納や書斎へリフォームする注意点についてご紹介しました。使い勝手の悪い押入れを使い続けるよりも、多少の費用はかけてもリフォームをした方が、長い目で見て生活の質の向上に繋がります。しかし、必要以上の費用をかけずに要望を満たすことができます。そのためにはぜひこの記事を参考にして、後悔のない押入れリフォームをしてくださいね。
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