「防犯対策のためにリフォームをしたいけど、何から始めたらいいのかわからない」と悩んでいませんか?
警察署のデータによると、住居への不法侵入は2003年の約19万件をピークに、年々減少傾向にあります。しかし、近年は不景気などにより物騒なニュースも多く、防犯対策の必要性を強く感じている人も多いでしょう。
そこでこの記事では、防犯性を効率よく上げられる7つの方法、泥棒に狙われないためのコツなどを解説します。自宅の立地条件や設備などを十分に考慮し、もっとも効率の良いリフォーム方法を選んでくださいね。
防犯リフォームで参考にしたい3つのデータ

結論から言うと、防犯リフォームでもっとも重要なのは「窓のリフォーム」です。はじめに、3つの具体的なデータを踏まえながら、なぜ窓のリフォームが重要なのか確認してみましょう。
泥棒の侵入は窓が6割
警察署の発表によると、泥棒が家屋に侵入した経路としてもっとも多いのが、窓の58.2%です。
- 窓:58.2%
- 表出入口:16.2%
- その他出入口:16.8%
- その他・不明:8.8%
参照:平成26年警察庁データ「どうやって侵入するか?(戸建の場合)」
窓からの侵入は、1階の窓を経路としていることがほとんどです。リビングはもちろん、台所の勝手口や裏庭なども侵入の対象となります。
窓から侵入される原因は、けっして鍵の閉め忘れだけではありません。鍵の近くの窓ガラスを部分的に破られてしまい、外から手を入れて鍵を開けられることもあります。
また、この約58.2%という数字は、実際に警察に報告された数字から算出されています。未遂に終わったケースを含めると、窓を侵入経路としている割合はさらに高くなると考えられるでしょう。
泥棒が侵入を諦めるのは5分が目安
(財)都市防犯研究センターJUSRIの発表によると、泥棒が侵入を諦めるのは約5分が目安と考えられます。泥棒が侵入を諦める時間を比率で表すと、以下のとおりです。
- 2分以内:17.1%
- 2~5分:51.4%
- 5~10分:22.9%
- 10分以上:8.6%
参照:(財)都市防犯研究センターJUSRIリポート
同データによると、侵入までに5分かかるだけで、約7割(68.5%)の泥棒が侵入をあきらめることがわかります。つまり、施錠を解除されるまでに5分かかるかどうかが、1つの大きな分かれ目となります。
ちなみに、通常のガラスだと窓を破るのにかかる時間は約10秒です。これでは防犯対策としてはかなり不十分なため、侵入にもっと時間のかかる防犯性の高い窓を導入すべきでしょう。
ガラスを破られるケースが約4割
警察庁のデータによると、窓からの侵入による原因としてもっとも多いのが「鍵の閉め忘れ」です。鍵を閉め忘れれば、泥棒としても無造作に家に侵入できてしまうため、どれだけしっかり防犯対策をしていても意味がありません。
- 施錠せず:43.6%
- ガラス破り:39.3%
- ドア錠破りなどの施錠開け:4.8%
- その他・不明:12.4%
参照:平成26年警察庁データ「どうやって侵入するか?(戸建の場合)」
ここで注目すべきなのは、「ガラス破り」の39.3%です。家屋への侵入では、鍵の近くに小さな穴を開け、鍵を開けられるケースが多数報告されています。
先述の通り、窓を破るのにかかる時間は約10秒ほどで、シンプルなカラスであるほど侵入されやすいと言えます。そのため、防犯性を上げるためにリフォームするなら、ガラスの強度も非常に大切といえるでしょう。
窓を防犯リフォームする7つのアイデア

続いて、実際に窓を防犯リフォームするための方法を7つ紹介します。
- 防災安全複層ガラスに変える
- 内窓をつけて二重窓にする
- 面格子を設置する
- シャッター、サッシ、雨戸をとりつける
- 破れない網戸に取り替える
- 暗証番号つきのドアにする
- 通知システムを搭載したドアにする
ガラスを交換したりシャッターを設置すると、防音効果や断熱効果も期待できます。防犯性だけでなく家の快適性もアップするため、リフォームすることでダブルのメリットを得られるでしょう。
1. 防災安全複層ガラスに変える
防犯に特化したガラスに変えるだけでも、泥棒から侵入される確率を抑えることができます。防犯リフォームに適した窓としては、主に以下の2種類が挙げられます。
種類 |
構造 |
特徴 |
防犯合わせガラス |
2枚のガラスの間に特殊フィルムを挟んだもの |
外から衝撃を受けてもヒビが入るだけで、ガラスが割れにくい |
防犯合わせ複層ガラス |
1枚のガラスに加え、部屋の外側にもう一枚のガラスを加えたもの |
防犯合わせガラスよりも防犯性が高く、ダブルで侵入を防げる |
2. 内窓をつけて二重窓にする
内窓を設置すると、泥棒としても侵入する手間が2倍になります。
内窓は、一般的に冬の寒さが厳しい地域などによく設置されます。内窓を設置することで家の断熱効果が高まり、冷暖房の効きが良くなることで電気代の節約にもつながるでしょう。
ただし、家の内側に新たに窓枠を設置するため、部屋のスペースがわずかに狭くなってしまうことがデメリットです。
3. 面格子を設置する
窓からの侵入を完全にブロックするには、窓枠全体をガードする面格子がおすすめです。
面格子を設置すれば防犯性が高いことが一目でわかるだけでなく、たとえドアを破られたとしても泥棒が侵入することはできません。
また、面格子を設置すると、プライバシーの確保にもつながります。そのため、浴室や洗面所、トイレなど家の裏手に設置するケースが多く見られます。
さらに、近年はネジの取り付け部分が見えないようにブランケットカバーを取り付けられるタイプも展開されています。デザインの幅が広いことからも、家の外観を損なうことなく防犯性をしっかりと高められるでしょう。
4. シャッター、サッシ、雨戸をとりつける
泥棒の侵入経路を完全に断ちたい人は、シャッターやサッシ、雨戸などを取り付けるのも効果的です。施工が簡単なうえ、後付けも可能なことから、即効性が高い防犯対策といえます。
近年は、「ルーバー」と呼ばれる羽根つきタイプの商品も展開されています。こうした商品なら夏の暑い時期でも施錠したまま外の冷気を取り入れることができ、防犯性と快適性の両立が可能となります。
5. 破れない網戸に取り替える
窓ガラスと併せて、一緒にリフォームしておきたいのが網戸です。
近年は、網戸の防犯性も高まっており、ナイフでは切れないステンレスワイヤー製の網戸も多数展開されています。防犯性の高い窓に取り替えたうえで、こうした素材の網戸等に取り替えれば、防犯性を二重に高めることができるでしょう。
また、網戸を変えれば、夏の暑い夜でも網戸のみで寝ることができます。古い網戸だと網の隙間から蚊などの虫が侵入してしまうことも多いため、網戸を変えるだけでも夏の快適性は大きくアップするでしょう。
6. 暗証番号つきのドアにする
最新の防犯用ドアとして、暗証番号がついた商品もあります。暗証番号つきのドアを開けるには、ボタン錠に任意の暗証番号を入力する必要があります。そのため、たとえ泥棒がガラスを破ったとしても、完全にドアを開けられてしまうことはありません。
暗証番号を家族全員で共有する必要がありますが、小さい子どもが開けられないというメリットもあり、子育て世代にも役立つでしょう。
7. 通知システムを搭載したドアにする
近年は、通知システムを搭載した、防犯性がきわめて高いドアも多数販売されています。
たとえば、YKK APが展開している戸締り安心システム「ミモット」は、Amazonのスピーカー(Echoシリーズ)から施錠を確認できます。ドアが開いたら通知が届くため、万が一泥棒に侵入された場合でも早期対策が可能でしょう。
また、こうした最新システムを利用すれば、他にも以下のようなメリットがあります。自分で一つ一つ施錠を確認する必要がなく、鍵を閉め忘れてしまうリスクを大きく下げることができます。
- 夜寝る前に家全体の施錠確認する必要がない(システムに話しかければ自動確認してくれる)
- 家族が帰宅したタイミングがわかる
【防犯リフォーム】泥棒から狙われないためのコツ

泥棒による被害に合わないためには、前提として泥棒から狙われないようにすることがとても重要です。防犯対策としてリフォームを検討している方は、リフォームと同時に以下の3点にも配慮しましょう。
- こまめに施錠する
- 敷地内に死角を作らない
- 経路にフェンスを設置する
こまめに施錠する
先に紹介したとおり、泥棒に侵入される原因としてもっとも多いのは「鍵の閉め忘れ」(43.6%)です。
どれだけ防犯性の高いドアにリフォームしても、そもそも鍵を閉め忘れてしまっては意味がありません。また、たとえ面格子がついた窓であっても、窓を開けっ放しにしておくと泥棒に侵入のチャンスを与えてしまうことになります。
泥棒による被害の中には、ゴミを出している数分の間に被害にあったというケースも少なくありません。防犯リフォームをしたからといって安心するのではなく、こまめに施錠することが非常に重要です。
敷地内に死角を作らない
敷地内に死角が多い家は、それだけ泥棒に狙われやすくなります。泥棒としても人目の多い場所より死角の多い場所のほうが、はるかに犯行に及びやすいでしょう。
たとえば、戸建ての一軒家の場合、以下に当てはまると死角があることで泥棒に狙われやすくなります。
- 身を隠せる大きさの物置小屋がある
- 庭全体に雑草が生い茂っている
- 身を隠しやすいフェンスがある
フェンスは防犯性が高まるようにも思えますが、一度侵入してしまうと泥棒としては実を隠せるというメリットもあります。そのため、高いフェンスを設置したからといって、必ずしも防犯性が確保されるわけではありません。
また、マンションやアパートでは、1階のベランダに目隠しを設置していると犯人が身を隠しやすくなってしまい、格好の標的となります。
経路にフェンスを設置する
自宅の脇に細い通路がある場合や、自宅と道路の境界が分かりづらい場合には、仕切りとなるロック付きのドアを設置するのがおすすめです。
これにより、公道とプライベートエリアの区別がつきやすくなり、泥棒としても侵入するハードルが高くなります。仮にドアを乗り越えている泥棒がいたら、目撃した人がすぐに泥棒と判断でき、すぐに警察へ通報してくれる可能性が高いでしょう。
防犯リフォームするなら玄関も忘れずに

防犯対策として窓周辺をリフォームするなら、併せて玄関もリフォームするのがおすすめです。先に主なリフォーム内容と費用をまとめると、以下の通りです。
- センサーライト:1個につき約3,000円
- 防犯カメラ:1台につき約1万円
- 玄関ドアの鍵交換:1個につき約1〜2万円
- インターフォンの交換:約3万円
- フェンスや塀の設置:約10〜50万円
ここでは、中でも防犯効果の高いリフォーム方法を3つ取り上げて紹介します。
センサーライトを設置する
玄関の防犯対策としてもっとも手軽なのは、センサーライトの設置です。
センサーライトは1個あたり約3000円と費用も安く、夜に不審者が近づくと玄関全体が明るくなります。これだけでも泥棒としては侵入するハードルがグンと高くなるでしょう。
センサーライトを設置するにあたって、必ずしも玄関の電源プラグを使う必要はありません。電池で作動するものや、小さな太陽光パネルによって必要な電力を発電できるタイプの商品もあるため、コンセントの位置などを気にせず設置することができます。
防犯カメラを取り付ける
さらに防犯性を高めるには、防犯カメラを設置するのも選択肢の1つです。防犯カメラがあれば、万が一泥棒が玄関近くにきたときでも犯人の顔をしっかりと記録できます。犯行の決定的な証拠となるため、警察に相談すれば犯人を特定しやすいでしょう。
設置費用も1台あたり約1~ 2万円と、けっして高くはありません。防犯カメラを設置しているだけでも、泥棒を近寄らせない効果は十分にあるといえます。
ピッキングされにくいドアにする
玄関から泥棒に侵入されないためには、ピッキングされにくいドアにすることも大切です。
一般家庭に用いられるドアのタイプは主に以下のとおりです。防犯性を重視したい人は「ロータリーディスクシリンダー」や「ディンプルキー」を選ぶようにしましょう。
種類 |
特徴 |
ディスクシリンダー |
アパートやマンションに多い。ピッキングの難易度が低く、標的になりやすい |
ピンシリンダー |
「アンチピッキングピン」により、、ピッキングの難易度を上げられる |
マグネティックキー |
磁力によりピッキングを防ぎやすい。経年劣化でマグネットの力が弱くなるため、定期的なメンテナンスが必要 |
ロータリーディスクシリンダー |
鍵穴が横でW字型になっており、ディスクシリンダーに比べるとピッキングの難易度がかなり高い |
ディンプルキー |
ピッキングの難易度がかなり高いうえ、合鍵の作製ができない |
防犯リフォームはじめるなら窓から

当記事の内容をおさらいすると、防犯性を高めるうえで重要なポイントは以下の3点です。
- 家への侵入は窓からが約6割
- 5分経つと、泥棒は侵入を諦めやすい
- 泥棒に狙われにくい家づくりが大切
窓の防犯対策をすれば、防音効果や断熱効果も同時にアップします。小さい子供がいる家庭や楽器を演奏するとき、また冷暖房の効果を上げたい夏や冬にはダブルのメリットがあるでしょう。
ぜひ当記事で紹介したポイントをおさえ、自宅に最適なリフォーム方法を選んでください。
※当ページのコンテンツや情報において、カインズリフォームでは、取り扱いが異なる場合がございます。