- 「自宅に中庭を設置したい」
- 「でも失敗談もよく聞くし、本当にウチに中庭は必要?」
この記事にたどり着いたあなたは、このような悩みを抱えていませんか?
中庭の設置で後悔しないためには、中庭のメリットやデメリット、機能性などを事前によく理解しておくことが大切です。
この記事では、以下のトピックを掘り下げて解説しますので、これから中庭の設置を検討している方はぜひ参考にしてください。
- 戸建ての家に設置できる中庭3種類
- 中庭を設置する5つのメリット・デメリット
- 後悔しないためのポイント
戸建ての家に設置できる中庭は3種類

「中庭」と一口に言っても、戸建てに設置できる中庭には、次の3つのタイプがあります。
まずはそれぞれの特徴を比較し、どのタイプが自宅に合っているか考えてみましょう。
口字型
「ロ字型」は、家の中央部分に設置する中庭タイプで、上空から見たときに建物が「ロ」の字になります。完全にプライベートな空間になるのが特徴で、中庭としてはもっともスタンダードなタイプです。実際「中庭」と聞くと、ロ字型の庭を思い浮かべる方がほとんどでしょう。
ロ字型のデメリットとしては、建築費やメンテナンスが高くなりやすいこと、広大な敷地が必要なことなどが挙げられます。あとからリフォームで増設することは難しく、家を設計するときにあらかじめ中庭のスペースを確保しなければなりません。
コ字型
「コ字型」は、庭の3方向を自宅で囲まれる中庭タイプを指します。3方向のプライバシーを確保しつつも1方向が開かれているため、最低限の開放感を確保できるのが特徴です。
また、1方向が開かれていることで庭の風通しが良くなり、植物が育ちやすい環境になります。家庭菜園やガーデニングを楽しみたい方にとっては、コ字型がぴったりと言えるでしょう。
L字型
少し珍しい中庭タイプとして、「L字型」が挙げられます。L字型は庭の2方向が建物に面している形状で、家屋に囲まれるスペースが少ないことから開放感を感じやすいのがメリットです。
L字型は、口字型やコ字型に比べてデザインがシンプルで、間取りなどをプランニングしやすいのが特徴です。新築はもちろん、あとからリフォームする際でも、L字型なら気軽に設置しやすいでしょう。
ただし、L字型は周囲の視線が気になりやすく、中庭ならではのプライバシー感を確保することはできません。
戸建ての家に中庭を設置するメリット5選

中庭としてもっともスタンダードな「口字型」を想定すると、中庭のメリットは以下の5つが挙げられます。
- どの部屋も明るくなる
- プライバシーが確保される
- 人目を気にせず通気できる
- キッズスペースに活用できる
- アウトドアを楽しめる
人目を気にせずに開放的な気分を味わえるのは、普通の庭にはない中庭ならではのメリットでしょう。
1. どの部屋も明るくなる
中庭を設置すると家屋の中央に光が差し込むため、どの部屋も明るくなるというメリットがあります。
通常の家では、北側に面している家は日当たりが悪く、なかなか自然光を取り込むことはできません。そのため、たとえ日中であっても電気をつける必要があり、それだけ電気代にも影響することになります。
しかし、中庭があれば北側の部屋であっても南向きの開口部を確保でき、自然光が入るようになります。家のどこにいても太陽光を感じられるのは、中庭ならではのメリットでしょう。
2. プライバシーが確保される
中庭は周囲を家屋によって囲まれているため、プライバシーを確保しやすいといえます。隣人や通行人の視線を気にせず好きなように過ごせるのは、中庭ならではの特権です。
ただし、L字型の中庭だと庭の2方向しか自宅に面していないため、プライバシーを完全に確保することはできません。プライバシーと開放性をバランスよく取り入れたい人は、3方向を建物に囲まれたコ字型がぴったりと言えるでしょう。
3. 人目を気にせず通気できる
中庭があれば、すべての窓を開けることで、家中に新鮮な空気を取り入れることができます。春や秋など天気の良い日に窓を開けっ放しにすれば、家の中に湿気がこもってしまうこともありません。
また、中庭なら窓を開けても人目が気にならないというメリットがあります。一般的な家だと、窓を開けると人目が気になってしまい、必然的に防犯面でのリスクも避けられません。しかし、建物に囲まれた中庭なら防犯面でのリスクが極めて低く、好きなときに好きなだけ窓を開けることができます。
4. キッズスペースに活用できる
プライバシーが確保された中庭は、子供の遊び場としても有効活用できます。
一般的な庭だと、目を離した隙に子供が庭の外に出てしまう可能性があります。特に車通りの多い家だと、子供を1人で遊ばせのは親としても心配でしょう。
しかし、中庭があれば子供がどこかに行ってしまう可能性は少なく、親も安心して遊ばせてあげることができます。
5. アウトドアを楽しめる
中庭があれば、子どもだけでなく大人も十分に楽しめます。中庭の主な活用法は、以下の通りです。
- バーベキュー
- ティータイム
- ビアガーデン
- 日曜大工
- ガーデニング
また、お風呂上がりには人目を気にすることなく、中庭に寝転んだりもできます。壁にハンモックなどを取り付ければ、お昼寝にも最適ですね。
戸建ての家に中庭を設置するデメリット5選

一方で、中庭を設置するとデメリットに感じられることもあります。あとになって「こんなはずじゃなかった」と後悔しないよう、メリットだけでなくデメリットもしっかりと確認しておきましょう。
- メンテナンス費用がかかる
- 家全体が手狭になってしまう
- 断熱性が低く、冷暖房が効きにくい
- 湿気がこもりやすい
- 虫が発生しやすい
1. メンテナンス費用がかかる
中庭は、「設置すればおしまい」というものではありません。一般的に10~15年ごとにメンテナンスが必要とされており、外壁面が多いとメンテナンス費用が高くなる傾向にあります。
また、中庭があるとガラス面積が広くなることから、ガラス拭きも日常的に行わなければなりません。窓が2階以上の高さになる場合は、自分で掃除することが困難なため、定期的に業者に依頼する必要もあるでしょう。
窓が大きすぎると家全体の耐震性にも影響を与えることから、プランニングの際は見た目だけでなく機能性にも注意する必要があります。
2. 家全体が手狭になってしまう
中庭を設置すれば、それだけ居住部分のスペースが狭くなることになります。もともと土地面積が限られている家では、中庭を設置することで不便に感じられることも多いでしょう。
また、中庭を設置すると、今まで廊下1本で行けた道をぐるりと迂回しなければならないこともあります。毎日の生活にも影響を与えかねないため、生活導線が十分に確保できるか事前に確認する必要があります。
3. 断熱性が低く、冷暖房が効きにくい
中庭を設置すると、必然的に窓面積が増えてしまい、それだけ家の断熱性が低下してしまいます。夏には冷房、冬には暖房の効きが弱く感じられ、電気代も高くなりやすいでしょう。
中庭を設置しつつも断熱効果を高くしたい人は、窓面積を小さくする、ペアガラスなど断熱性の高い窓を採用するといった工夫が必要不可欠です。
4. 湿気がこもりやすい
口字型の中庭の場合、周囲を建物に囲まれることで湿気がこもりやすくなるというデメリットがあります。特に、梅雨の時期や夏の蒸し暑い日には、中庭がジメジメ感じられることもあるでしょう。
湿気がこもってしまうと、洗濯物を干しても乾きにくい、木材などにカビが発生しやすいといったデメリットにもつながります。
5. 虫が発生しやすい
中庭に水たまりができると、そこから蚊などの虫が発生しやすいというデメリットがあります。中庭に蚊が発生してしまうと、せっかく快適な夏の日も中庭で過ごすのが億劫に思えるでしょう。
虫の発生を防ぐには、十分な排水機能を取り付け、水たまりができにくい環境にすることが大切です。また地面も土ではなくウッドデッキなどを設置すれば、それだけ虫が発生するリスクを抑えることができます。
中庭の設置で後悔しないためのコツ

実際に中庭を設置した人の中には「中庭を作らなければよかった」と後悔する人も一定数います。これから中庭を設置しようと考えている人からすると、「自分も後悔してしまうのではないか?」と不安に感じるかもしれません。
中庭の設置で失敗しないためには、次の4つのポイントを押さえておくことが大切です。
- 利用目的をよく考える
- レイアウトや導線をよく考える
- 窓の大きさを考える
- 大雨に備え排水を確保する
利用目的をよく考える
中庭の設置で失敗しないためには、前提として利用目的をよく考えることが大切です。なぜ中庭が欲しいのか、中庭で何をしたいかなど具体的なイメージを持っておくと、後悔するリスクは低くなるでしょう。
また、夫婦共働きや子育て世帯など、「忙しすぎて中庭を使っているヒマがない」という声もよく聞かれます。一度作った中庭を部屋にリフォームするには高額な費用がかかるため、どのくらいの頻度でどういった目的で中庭を利用するのか、あらかじめ具体的なイメージを持っておくことが肝心です。
レイアウトや導線をよく考える
自宅の中央に中庭があると、反対側の部屋までぐるりと迂回しなければならないことがあります。1回ならまだしも、毎日のこととなるとかなり不便に感じられることもあるため、中庭のレイアウトや導線は事前によくシミュレーションしなければなりません。
特に、キッチンからリビング、寝室からトイレは毎日のように使う導線のため、不便がないか事前に確認しておくことが大切です。
窓の大きさを考える
中庭を設置すると、それだけ窓面積が広くなり、断熱効果が下がってしまうというデメリットがあります。暖房の効きも悪くなってしまうため、窓の大きさはどのくらいが良いか十分に検討しておく必要があります。
また、窓を中庭の4方向すべてに取り付けるのではなく、2方向のみにするというのも選択肢の1つです。ただし、この場合はそれだけ採光面積が低くなってしまい、家全体の明るさにも影響します。
窓があればそれだけ開放的な雰囲気になりますが、必ずしも窓面積が広ければいいというものではありません。耐震性にも影響することがあるため、快適性と機能性のバランスを考えて窓の大きさを決めるようにしましょう。
大雨に備え排水を確保する
口字型の中庭を設置するときは、排水機能が非常に大切です。排水機能が不十分だと、大雨が降ったときに中庭に水が溜まってしまうことになります。
また、北海道のように積雪が多い地域では、中庭に雪が積もってしまうこともあります。積もった雪をどのように家の外に運ぶのか、口字型ではなくコ字型の方が良いのかなど、様々な配慮が必要になるでしょう。
なお、いざというときに排水がつまらないためにも、メンテナンスの一環として排水管を定期的に掃除しておくことが大切です。
中庭選びと一緒に考えるべきこと

自宅に中庭を設置するなら、床や屋根など、建物全体の構造についても考えておくと安心です。中庭を設置するときにはデザイン性に目が行きがちですが、しっかりと機能性についても確認するようにしましょう。
床:ウッドデッキが人気
中庭の床は、サンダルで気軽に出入りできるようウッドデッキスタイルにするのが人気です。ウッドデッキなら排水機能も高く、自然な風合いを演出することができます。
中庭でガーデニングや家庭菜園を楽しみたい方は、ドアの設置部分だけウッドデッキにし、中央部分のみ土にするというのも選択肢の1つです。
屋根:基本的になし
一般的に、中庭の上には屋根は設置しません。これは、屋根を設置することで庭全体が暗くなってしまい、中庭のメリットがほとんどなくなってしまうためです。
ただし、立地条件や建物の形によっては、屋根を残さなければならないケースもあるかもしれません。この場合は、中庭に十分な光が届くよう窓面積を大きくする、天窓を設置するといった工夫が必要となります。
中庭は二世帯住宅にもぴったり

中庭の便利な活用法として、「二世帯住宅の緩衝地帯」という使い方があります。中庭の一方を両親と子供、もう一方を祖父母という風にわければ、互いのプライバシーは確保しつつ、共有スペースとして中庭を活用できるでしょう。
記事の内容をおさらいすると、中庭を設置することのメリットは以下の5つです。
- どの部屋も明るくなる
- プライバシーが確保される
- 人目を気にせず通気できる
- キッズスペースに活用できる
- アウトドアを楽しめる
中庭はあとからリフォームすることが難しく、十分に活用できなければ「やっぱり作らなければよかった」と後悔することになります。この記事で紹介したメリット・デメリットをよく確認し、具体的な使い方をイメージしたうえで中庭を設置するようにしましょう。
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