自宅に駐車場を整備する場合、地面を舗装することになります。主な舗装の手段として挙げられるのが「砂利」「アスファルト」「コンクリート」「インターロッキング」「人工芝」の5つですが、それぞれの特徴を理解していなければ自宅に最適な駐車場を整備することはできません。そこでこの記事では、代表的な駐車場の舗装工事の特徴やメリット・デメリットについて解説していきます。
駐車場工事の種類

駐車場の工事では、地面をどのような素材で舗装するかは重要です。舗装には砂利やアスファルト、コンクリート、さらに人工芝やインターロッキングなどが使われており、それぞれに特徴があります。ここでは、駐車場の舗装に使われる主な素材の選び方について解説していきます。
砂利舗装
駐車場の一帯に、砂利を敷き詰めるタイプの舗装です。施工の流れとしては、一度地面を掘り起こし、転圧して砕石を敷きます。そして、再び転圧して整えるのが一般的な方法です。
アスファルト舗装
駐車スペースを、アスファルトで覆う方法です。まずショベルカーなどで地面を掘削し、不要な土を取り除きます。その後、粒状の材料を掘削した地面に敷き、その上にアスファルト混合物を整正した路盤の表層に敷きます。最後に、転圧の機械で上から圧縮して固めると完成です。
コンクリート舗装
砂と砂利、水、セメントを混ぜ合わせ、固めたものがコンクリートです。駐車スペースの全面にコンクリートを流し込んで舗装するのが一般的ですが、車のタイヤが乗る場所にのみコンクリートを施工する方法もあります。
人工芝舗装
ポリエチレンなど合成樹脂製を使った人工芝を、地面に舗装する方法です。土の地面の上に人工芝を敷き詰めるパターンだけではなく、コンクリート駐車場の上に敷くこともあります。また、駐車スペース全体ではなく、一部分にのみ施工する場合もあります。
インターロッキング舗装
インターロッキングは、ブロックを組み合わせていく施工方法です。ブロックの種類は豊富で、さまざまな形や色、サイズから選べます。また、ブロックを組み合わせることで、負荷を分散できるのため、丈夫さがあるのもインターロッキング舗装の長所と言えます。
砂利のメリット・デメリット

砂利舗装は、手軽に地面を舗装できる手法として知られています。そんな砂利を使った駐車場のメリットとデメリットについて解説します。
メリット1/施工費用が安い
数ある駐車場の施工方法の中でも、低コストで済ませられるのは砂利の大きなメリットです。使用する砂利の大きさなどによって費用は異なりますが、施工費用は1平方メートルあたり3,000円からと格安です。
メリット2/工事がすぐに終わる
砂利の施工は非常にシンプルです。ある程度の整地を行い、その上に砂利を流し込むだけで作業が完了します。1日もあれば作業は終わるので、その日のうちに駐車場として使うことも可能です。できるだけ早く完成させたいなら、砂利が適しています。
メリット3/防犯対策になる
砂利は、踏むと大きな音が出ます。不審者や泥棒などが敷地に侵入しようとしても、砂利の上を歩いた際、音がするため、それ以上敷地の中に入るのを諦めるかもしれません。このように、防犯対策にもなるのも砂利の利点の一つです。
デメリット1/お手入れが大変
土の上に砂利を敷くと、すき間から雑草が生えてくることがあります。放置するとどんどん伸びてしまうため、定期的に刈り取らないと見た目が損なわれてしまいます。
デメリット2/車や靴が汚れる
砂利舗装の駐車場は、小石や砂、土などで覆われています。そのため、車や靴が汚れやすいことがデメリットです。とくに雨が降った場合は地面が泥になることがあり、汚れがよりひどくなってしまう恐れがあります。
アスファルトのメリット・デメリット
道路の舗装にも使われているアスファルトの駐車場には、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
メリット1/水はけが良い
アスファルトは排水性が良いという性質があり、雨天時でもなかなか水が溜まりません。そのため滑りやすい雨の日でも、安全に走行できます。また、車の乗り降りをする際に、足が水溜まりにつかるのも避けられます。
メリット2/音が静か
アスファルトには、排水のために非常に小さな穴が無数に開いています。その穴から音が逃げるので、車が走行しても音はせず、静かです。コンクリートとの比較でも、アスファルトのほうが柔軟性は高く、音が発生しにくくなっています。
メリット3/工期が短い
アスファルトは乾くのが速いのが特徴です。そのため、工事の時間が短くて済みます。冷えればしっかり固まるため、工事終了から数時間後には駐車場として使うことも可能です。また、工期が短いので、工事をしている最中の駐車料金の節約にもつながります。
デメリット1/夏は表面の温度が高くなりやすい
アスファルトは熱を蓄積しやすく、夏場は表面温度が非常に高くなります。アスファルトは、高温の状態が続くと軟らかくなり、車の荷重によって変形する恐れもあります。アスファルトに熱は大敵なので、直射日光が当たらないよう、屋根を設置するなどの工夫が必要です。
デメリット2/丁寧なメンテナンスが必要
アスファルトには、高熱による影響を受けやすいという性質があります。そのため、年数が経てば表面に穴が開くなどの不具合が目立つようになることが、アスファルトのデメリットです。定期的にメンテナンスをしなければ表面がボロボロになり、駐車がしにくくなってしまいます。
コンクリートのメリット・デメリット

駐車場の舗装工事でも、多くの割合を占める施工方法がコンクリート舗装です。使われるのは良い点がたくさんあるためだと想像ができますが、一方でマイナス面にも目を向ける必要があります。
メリット1/耐久性が高い
コンクリートはアスファルトなどと比較して耐久性が高く、劣化がしにくいという特徴があります。メンテナンスの頻度が少なく済むため、将来的にかかる費用の心配も不要です。
メリット2/表面温度が高くなりにくい
コンクリートは、夏場でも表面温度が高くなりにくいという性質があります。夏の暑い時期でもタイヤへの負担が小さく、結果としてタイヤは長持ちします。
メリット3/見た目がおしゃれ
駐車スペースに平面的に打設されるコンクリートを、土間コンクリートと呼びます。その土間コンクリートの打ちっぱなしは、見た目がスタイリッシュ。洗練された印象を与えます。一方、コンクリートを敷いた後、固まるまでに表面だけを水で洗い流して中の砂利を露出させる洗い出しコンクリートという工法もあります。洗い出しは、埋まっている化粧砂利を表面に浮かせたデザインを楽しめることが特徴です。こうした見た目のおしゃれさも、コンクリートならではと言えるでしょう。
デメリット1/初期費用が高い
コンクリート舗装にかかる費用は、1平方メートルあたり1万円以上が相場です。砂利やアスファルトなど他の舗装よりも初期費用がかかるので、施工するためにはある程度の予算を確保しておく必要があります。
デメリット2/工期が長い
コンクリート舗装は地面の整備などに時間がかかり、さらにコンクリートを流し込んだ後も完全に乾くまでに日数が必要です。工期が長いため、スケジュールに余裕がない場合には適していません。
人工芝のメリット・デメリット
ポリエチレンなど合成樹脂製を使った人工芝を、駐車スペースの舗装に使うパターンもあります。趣向をこらして人工芝舗装を施した駐車場には、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
メリット1/導入の費用がかからない
人工芝は、コンクリートやアスファルトよりも初期費用がかからず、さらにメンテナンスの必要性も少なめです。低コストで設置できるのは、人工芝の魅力です。
メリット2/車内が汚れにくい
雨の日は、土や砂利の駐車場では靴の裏に泥や砂が付着し、そのまま車に乗り込むと車内が汚れてしまいます。その点、人工芝を敷いていれば泥は靴の裏に付くことはなく、車内はそれほど汚れません。
メリット3/見栄えが良い
人工芝を敷くと緑の面積が増えるので、自宅の庭の景観が良くなる効果が期待できます。また、天然芝のように枯れることがないため、一年中キレイな状態を保ちやすいのも嬉しい点です。
デメリット1/タイヤの摩擦ですり減っていく
人工芝は車のタイヤに踏まれるため、摩擦熱で徐々に摩耗していきます。車に乗る頻度が高いと芝葉が擦り切れやすくなり、タイヤの跡が残ってしまいます。
デメリット2/雨の日は滑りやすい
人工芝は水分を吸収しません。そのため、雨が降った場合には、下地で水はけを調整していないと人工芝の表面に水が溜まってしまいます。足が濡れたり、滑りやすくなったりするリスクがあります。
インターロッキングのメリット・デメリット

インターロッキングは、見た目のデザイン性と実用性を両立させた舗装方法です。では、具体的にどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
メリット1/デザインの自由度が高い
インターロッキング舗装のブロックには、さまざまな色やサイズがあります。ブロックを自分の好みに合わせて自由に組み合わせて地面を舗装できるのは、インターロッキングならではの魅力です。
メリット2/透水性が高く浸水しにくい
インターロッキングブロックには、水を通しやすい透水性ブロックがあります。透水性が高いブロックは水はけが良いので、駐車場に水溜まりができるのを防げます。
メリット3/耐久性・柔軟性が高い
インターロッキング舗装は、地面の揺れにも耐え、ひび割れも起こりにくいという強みがあります。駐車場は車が何度も出入りする場所なので、丈夫で長持ちであることは大きなメリットです。
デメリット1/施工に時間がかかる
基礎工事が重要なのが、インターロッキング舗装の特徴です。また、ブロックをコツコツ組み合わせて敷き詰めるため、コンクリート舗装よりも時間がかかる傾向があります。
デメリット2/ブロックが変色する
ブロックは、経年劣化によって色が落ちてしまうことがあります。年数が経つと見た目のおしゃれさが損なわれるので、変色が見られたらその部分を塗装するなどのメンテナンスも必要です。
まとめ
駐車場の舗装にはさまざまな種類がありますが、工事にかかる費用や耐久性、水はけ、見栄えなどは舗装の方法によって異なります。どの方法が自宅の駐車場に適しているのかは、敷地の広さや土壌、予算などの条件によって変わります。駐車場の舗装には、どの方法でもある程度の費用がかかります。失敗しないためにも、それぞれの方法のメリットとデメリットをしっかりと見極めた上で舗装の内容を決めましょう。