自家用車を所有している場合、自宅の敷地に駐車場があれば、すぐに車に乗れるうえ、駐車場代も不要なので非常に便利です。ただ、新たに駐車場を設ける場合には土地の整備が必要な場合があり、ある程度の費用がかかります。そのため、駐車場の工事を検討されている方としては、どれくらいのコストが必要なのかはあらかじめ知っておきたいところでしょう。この記事では、駐車場のタイプやそれぞれの工事にかかる費用、駐車場工事の流れ、施工会社を選ぶ際のポイントなどについて解説していきます。
駐車場工事の費用相場

自宅の敷地に駐車場を整備する場合には、当然費用がかかります。では、実際のところ、どのような作業にどれくらいの費用がかかるのでしょうか。それでは、駐車場の工事を行う際に必要な作業と、それらにかかる費用の相場について見ていきましょう。なお、こちらで紹介する金額は、外構工事の会社に依頼した場合の費用を想定しています。
木や塀の撤去費用
駐車場として整備したいスペースに障害物がある場合、撤去工事が必要です。樹木の撤去工事には、15万~20万円程度の金額がかかります。また、ブロック塀や門などを撤去する場合の費用は、20万~25万円が目安です。
駐車場の設置費用
駐車場工事では必要に応じて、地面の舗装や設備の設置作業も実施します。
屋根がないオープンスタイルの駐車場は、舗装の方法によって費用は10万~40万円程度と幅広くなります。砂利で地面を舗装する場合、舗装工事の費用はスペース1台分で10万~20万円程度です。同様にアスファルトで舗装工事を行う場合の費用は10万〜15万円程度。コンクリートの場合はやや高く、25万~40万円ほどです。
カーポートを設置する場合は、さらに費用がプラスされます。カーポートの費用は屋根の大きさや耐久性、機能性などによって異なりますが、35万~45万円の価格帯が一般的です。
舗装素材の種類と費用目安

駐車場スペースの地面は、使い勝手を考えると舗装が必要です。舗装に使用される素材は、「砂利」「アスファルト」「コンクリート」の3つが一般的です。こちらでは、それぞれの素材の特徴やメリットおよびデメリット、舗装にかかる費用などについて解説していきます。
砂利
砂利は、まず地面に敷く分の土を掘って整地し、重たい車が乗っても耐えられるように土台を固める舗装方法です。駐車場工事の中でも低コストで、安く済ませたい場合に採用されることが多くなっています。工事自体の手間もかからず、短時間で完了するため、施工当日から駐車することが可能です。砂利の場合、工事費を含めて1平方メートルあたり3,000~8,000円程度で施工できます。砂利といってもさまざまな種類があり、使用する砂利によって費用が変わる点には注意が必要です。
アスファルト
駐車スペースの地面を、アスファルトで舗装する施工方法です。アスファルトは排水性が高いため、水たまりができにくいというメリットがあります。また、砂利と同様に工事の手間が少ないため施工当日から駐車できるという利便性はありますが、年数が経つと表面がボロボロと剥がれやすくなるのはデメリットと言えます。施工の費用は、1平方メートルあたり3,000~1万円程度です。
コンクリート
耐久性と強度が高いコンクリートは経年劣化しにくく、メンテナンスをする必要もないため維持費はほとんどかかりません。さらに表面が平らで美しく仕上がることが特徴です。こうしたメリットがある一方で、固まるまでに数日を要し、施工の工程も多い砂利やアスファルトと比較して多くなっています。他の方法と比べて、1平方メートルあたり1万円以上と工事費用がかかることがデメリットです。
駐車場のタイプと費用目安

駐車場の工事は、地面を舗装するだけではありません。駐車場には地面の上に屋根や建物を設ける場合があり、タイプによって費用は異なります。こちらでは、駐車場のタイプとそれぞれの特徴、かかる費用などについて解説していきます。
オープンタイプ
駐車スペースの地面を舗装するだけの、シンプルな駐車場です。屋根や壁などを設けないため、費用はそれほどかかりません。仕切りがないため防犯面での不安はありますが、駐車場の出入口にチェーンポールやオープンゲートなどを設置することで、防犯性を高めることが可能です。費用は舗装方法によって異なり、砂利などであれば1台分で10万円ほどが目安となっています。コンクリートであれば40万~50万円程度が必要です。
カーポートタイプ
駐車スペースに、車を覆う屋根と柱で構成されたカーポートを設置するタイプの駐車場です。カーポートがあれば、雨や雪、紫外線、鳥のフンなどから車を守れます。また、自宅の玄関アプローチに設置すれば、雨に濡れることなく車と自宅を移動できるというメリットもあります。カーポートは1台用であれば設置費用込みで12万~30万円ほど。2台用になると25万~50万円ほどです。地面が土や砂利などであれば、上記の金額に加えてコンクリートに舗装する費用などもかかります。
ガレージタイプ
屋根と3方向以上の壁を持ち、車を囲めるタイプの建物がガレージです。さらに車が出入りする方向にシャッターがあれば密閉空間を作れるうえ、カーポート以上に風雨や雪などから車を守れます。外部からの侵入が難しいため、防犯の面でも高い効果を発揮する点も魅力です。このように多くのメリットがある一方で、ガレージを設置するには大がかりな設備が必要です。そのため、他のタイプの駐車場と比べて設置に多くの費用がかかります。ガレージ本体の価格は1台用でも50万~100万円が相場となっています。それに加えて、本体価格と同じくらいの工事費用も必要です。
基本的な駐車場工事の流れ

さまざまなパターンがある駐車場ですが、工事はどのように行われるのでしょうか。基本的な駐車場工事の流れについて、見ていきましょう。
木や塀などの撤去
駐車スペースに木が植えてある場合、駐車の邪魔になるため根元から撤去します。また、ブロック塀や門、大きい石などの障害物があれば、同時に取り除いておきます。
地面を舗装する
駐車スペースの地面を舗装するために、まずは地面を掘削します。一般的に砂利の場合は5cm程度、アスファルトであれば10cm程度、コンクリートで20cm程度の厚みが必要です。掘削して残った土は、一般的には自治体の処理施設に持ち込んで処分することになります。
砕石と転圧
駐車場の土台をより頑丈にするために、掘削した部分を整地して砕石を敷き詰めます。砕石を敷き詰めたら、プレート(転圧機)で転圧して固めます。
型枠の設置(コンクリートの場合)
コンクリート施工の場合、地震などで生じるひび割れを防ぐため、下地の完成後にコンクリートを流し込む型枠を設置します。さらに強度を高めるため、ワイヤーメッシュと呼ばれる支柱も同時に作っていきます。
流し込み(コンクリートの場合)
型枠とワイヤーメッシュを設置したら、最後にコンクリートを流し込みます。流し込んだ後は職人が表面をならし、ある程度固まったら再度ならし作業を行い仕上げていきます。ならしの回数が多いと完成に時間はかかりますが、美しく仕上げるためには必要な工程です。
駐車場工事の施工会社を選ぶポイント

駐車場工事はDIYが難しいため、外構工事を手がける業者に依頼することになります。外構工事とは、自宅の敷地内に木を植えたり、ウッドデッキを作ったり、門や塀、カーポート、ガレージなどを設置したりする工事のことです。その外構工事は専門性が高いため、施工会社は慎重に決めることが大切です。そこでこちらでは、駐車場工事の施工会社を選ぶポイントについて解説していきます。
自社で施工しているかどうか
施工会社によっては、実際の工事は下請けの業者に任せるという場合もあります。その場合、中間マージンが発生するため、通常は工事費用が高くなります。自社で工事を担当するのかどうか、事前の打ち合わせや見積もり依頼の段階で確認しておくことが大切です。なお、ハウスメーカーの場合はグループの外構工事部門が担当することが一般的ですが、工務店などでは多くの場合で外部の協力業者に依頼するようです。
見積書の内訳が細かく書かれているか
駐車場の工事を業者に依頼する場合、工事の内容や金額などについて見積書を依頼することになります。作業の工程ごとに項目が記載されているか、単価が記載されているか、見積書の内容をしっかりと確認することが大切です。「一式」のように大まかな書き方をされている場合、実際に必要ではない費用が含まれているかもしれません。余計な費用を払わないようにするためにも、見積書にはしっかりと目を通します。ただ、費用か適正がどうかは、知識がなければなかなか判断がつかないもの。そこで、1社だけではなく複数の会社に見積書を依頼しましょう。
駐車場の施工に慣れているかどうか
建築の分野にはさまざまなジャンルがありますが、その中でも駐車場の施工の経験が豊富な施工業者であれば安心して任せられます。見積書の依頼で声を掛ける際には、これまでの実績や得意分野などについてあらかじめ確認しておくといいでしょう。住宅を建てたハウスメーカーや工務店に依頼するという選択肢もありますが、結局のところ余計な費用がかかってしまう場合があります。
まとめ
自宅に駐車場を整備する場合、地面の舗装方法や屋根・ガレージの有無などによって費用は大きく変わります。工法や広さによっては費用が膨らむ可能性があり、見積書を依頼した段階で予算を大きく超えてしまうかもしれません。そうならないためにも、どの工事にどれくらいの費用がかかるのかという相場は、あらかじめ把握しておくことが大切です。相場を知っていれば、適正な金額で工事を依頼でき、満足いく駐車場の整備につながります。