「愛車を守るためにカーポートを設置したいけど、防犯面でちょっと不安」という方もいらっしゃると思います。自動車の盗難発生場所は契約駐車場や自宅が大半です。このことからカーポートを設置するだけでなく、その防犯対策をしっかりとることが大切だと言えるでしょう。また、カーポートを住宅の2階に侵入するための足場にする窃盗犯もいるようです。当記事では、車と財産を守るための防犯対策を紹介します。

カーポートだけで防犯はできない?
車を雨・雪・鳥のフン・紫外線などから守れるカーポートは、ガレージよりも安価で設置できるメリットがあります。一方で、車の盗難や住宅への侵入といった防犯面で不安を持つ方も多いようです。ここでは、カーポートのリスクを説明します。
自宅は車の盗難に遭いやすい場所
一般社団法人日本損害保険協会「第22回自動車盗難事故実態調査」(調査期間2020年11月1日~30日)によると、車の盗難発生場所は、契約駐車場(屋外)が40.5%で1位、自宅(屋外)が37.3%で2位です。2020年2月の調査では、自宅(屋外)が51.3%と、2位の22.8%の契約駐車場(屋外)を大きく引き離して1位でした。カーポートは自宅(屋外)に当たりますので、防犯性に課題があると言えます。
カーポートの屋根をつたってベランダに侵入
警察庁「住まいる防犯110番」(2020年調査)は、一戸建て住宅に空き巣が侵入した経路を公開しています。1万6316件の調査で最も多い侵入経路は窓(53.5%)、次いで出入り口(19.4%)、その他出入り口(17.1%)となっています。このことから窓からの侵入が圧倒的に多いと言えるでしょう。
カーポートは庭木や塀と同じように住宅2階の窓から侵入するための足場として利用されることがあります。たとえば、住宅とカーポートの距離が近ければ、庭木や塀をつたってカーポートの屋根にのぼり、2階のベランダから侵入されてしまいます。

カーポートの防犯対策とは?

カーポートには「車の盗難」と「住宅への侵入」といった2パターンのリスクがあります。ここでは、それぞれのリスクを回避する方法を紹介します。
車の盗難に遭わないための防犯対策
「シャッターゲート」「カーゲート」「カーポートライト」「車止めポール」の設置をおすすめします。
カーポートの出入り口にシャッターゲートをつけることで、防犯性能に優れた駐車スペースをつくることができます。よじのぼってまで侵入しようという空き巣はいないのではないかと思えるほどの高さがあるためです。開閉の際に音が出るうえ、シャッターが上がるまである程度の時間を要すことも、空き巣にとっては避けたい理由となります。
左右に伸び縮みさせるタイプの伸縮式ゲートは、サイズ展開が豊富で傾斜地や変形地に取りつけることができ、鍵がついているタイプもあります。このほか、ゲートがダイナミックに上方に持ち上がる、跳ね上げ式のカーゲートもあります。車の出入り口が大きく解放されますので、車の出し入れがラクでデザインもスタイリッシュです。電動タイプであれば、こじ開けられないよう、シャッターが閉じた際に自動でロックがかかる機能もついています。シャッターゲートよりも価格が安く取りつけのしやすさも魅力の1つでしょう。
車の盗難は夜の暗がりを利用して行われることが多く、車の窃盗犯は自分の存在を知らせる明かりを嫌がります。カーポートライトの中でも特に効果的な防犯対策は、人感センサーライトの設置です。人感センサーライトは、人を感知して自動的に点灯するため、その明るさで家の中から窃盗犯の侵入に気づくことができるでしょう。人の気配がなくなれば自動で消灯するので、消し忘れもありません。
公共の駐車場などで見かけるポールにチェーンがついたものです。車止めポールがあるだけで「防犯対策をしている家」という印象を窃盗犯に与え、「他にも防犯対策をしているかもしれない」と思わせる心理的効果も期待できるでしょう。住宅で使用されるものは、車を出したいときにポールを外すことができる取り外し式や、ポールを地中に押し込めて収納する埋込式があります。穴をあける工事は必要ですが、ポールを外して隅に倒しておく取り外し式のものよりも手間がかからず便利です。また、電動昇降式タイプであれば、窃盗犯が自力でポールを外すことが難しくなるため、防犯性は一層高まります。
住宅に侵入されないための防犯対策
カーポートを住宅から離して設置したり、庭木の場所を工夫したりして、侵入経路をつくらないことをおすすめします。同時に、庭木の剪定をこまめに行うなど、空き巣が身を隠せる死角をなくしておくことも重要です。なお、空き巣は窓に施錠をしていても音を立てずに割って侵入することに慣れている場合があります。そのため、防犯ガラスを利用することも検討しましょう。防犯ガラスとは、二枚のガラスの間に特殊な防犯膜を挟んだガラスです。割られても 防犯膜がガラスに接着しているのでガラス片が脱落せず、穴が開きにくい特徴があります。穴が開かなければ、空き巣は施錠を解除することができません。

まだまだできる防犯対策

「カーポートだけの防犯対策では、まだ不安が残る」という方もいらっしゃるかもしれません。ここでは、さらに防犯対策を強化できるカーポート周辺設備を紹介します。
防犯カメラ
カーポートに防犯カメラを取りつければ、窃盗の抑止効果が期待できます。ほとんどの防犯カメラは、録画機器やモニターと接続して監視します。24時間録画ができますし、人の動きや音を検知した際にリアルタイムでスマホやタブレットに通知できるものもあります。防犯カメラは、いかにも“監視しています”という存在感が魅力でしょう。防犯カメラを選ぶポイントは画質の良さです。フルHD対応の200万画素クラスのものであれば、顔や服装まではっきりと撮影できます。また、赤外線撮影機能がついたものであれば、暗がりでも窃盗犯の顔や服装を確認できるほどの撮影が可能です。
インターホン
最新のインターホンは、音を鳴らして来客を知らせる機能を超えています。モニターがついていることはもとより、来訪者の録画機能がついているものもあります。窃盗犯は留守を確認するために死角から手を伸ばしてインターホンを押す場合もありますが、広角レンズがついたインターホンは、死角から押してくる窃盗犯の姿も録画できるかもしれません。また、チャイムを押したときだけではなく人感センサーが作動して誰かが近づいたときに自動で録画してくれるものもあります。窃盗犯は、防犯カメラ代わりになる機能がついたインターホンであることを恐れて、窃盗を諦める可能性があるでしょう。
防犯砂利
窃盗犯は自分の存在を知られることを恐れるため、音が出るものを嫌います。防犯砂利は、庭のデザインの一部となり、かつ防犯対策になる便利なものです。防犯砂利は、歩くとジャリジャリと大きな音が出る砂利で、ガーデニングなどに使われる砂利より石一粒が大きく、人が踏むと76.5dB(デシベル)以上の音を出すようにつくられています。76.5dBは「掃除機の音」「騒々しい街頭」「激しい夕立」の音量と同程度です。人の生活音量は一般的に40~50dBと言われていますので、76.5dBは木造住宅であれば家の中にいても、しっかりと聞きとれるレベルの音量で、窃盗犯の存在に気づくことができるかもしれません。
ハンドルロックやタイヤロック
ハンドルロックは、ハンドルを回せなくする装置のことで、ステアリングロックとも呼ばれます。主なハンドルロックは2種類あります。ひとつは、長い棒状の装置をハンドルにつけて鍵で固定するタイプです。ハンドルを回しても、棒状のハンドルロックがドアや内装に当たり、物理的にハンドルを回すことができなくなります。もうひとつは、自動車の鍵がハンドルロックの鍵となっている内蔵タイプです。
タイヤロックは、タイヤとホイールを抱え込むように挟んでロックする装置です。盗難対策をしていることが外から一目でわかるため、窃盗の抑止効果につながりやすいでしょう。ただ、タイヤ自体を交換されてしまえば窃盗に遭ってしまう問題があります。タイヤを固定するナットが一般的な六角形ではなく、特殊な形状をしたロックナットのものであれば、専用ソケットでしか外せなくなるため、防犯性は高くなります。

まとめ
雨・雪・風・鳥のフン・紫外線などから車を守れるカーポートですが、住宅侵入の足場にされるリスクがあります。また、ガレージのように四方を壁とシャッターで囲めないぶん、車の盗難に遭いやすいリスクもあります。防犯対策としては、まずベランダとカーポートの距離をとって設置したり、死角をなくしたりするなど、空き巣が侵入しにくい環境をつくることが重要です。また「シャッターゲート」「カーゲート」「カーポートライト」「車止めポール」を設置することで、車の窃盗を防ぐこともできるでしょう。さらに防犯対策を強化できるカーポート周辺設備を設置すれば、窃盗犯も侵入を諦める可能性が高くなります。空き巣や窃盗犯に「侵入したくない家」と思わせることができるよう、防犯対策をご検討いただければと思います。

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