自宅にカーポートを設置する際、屋根の大きさや形状、柱の本数や位置などには気を使うものです。大切なのはそれだけではありません。カーポートの設置では、駐車スペースの地面も重要な検討ポイントであり、タイプによる特徴を理解していなければ後で「こうしておけば良かった」という結果になってしまうかもしれません。当記事では、カーポート設置時に地面に着目すべき理由や、タイプ別のメリット・デメリット、地面のタイプを選択するポイントなどについて解説していきます。

カーポートを設置する地面に着目すべき理由
カーポートは柱と屋根、梁というシンプルな構造ではありますが、全体としてはかなりの重量です。そのような重たいものが、いかにして立っているのでしょうか。こちらでは、カーポートが支えられている仕組みなどを含め、地面に着目すべき理由について解説していきます。
カーポートが支えられている仕組み
数本の柱で支えられているカーポートですが、柱の根本は基礎工事によってガッチリと固められています。まず、地面に深さ55~60センチメートル程度の穴を掘り、カーポートの柱を立てます。そこに、コンクリートあるいはモルタル(セメントと砂と水を混ぜたもの)を流し込んで、カーポートの柱を垂直にしっかりと固定。その後、カーポートの屋根部分を取り付けて完成です。
ただ、基礎の部分について「柱の深さが充分ではない」「柱の角度が垂直ではなく斜めになっている」など、丁寧な工事がされていない場合は安定感に欠け、強風や地震などで破損してしまう可能性が高まります。このように、基礎工事はカーポートを安定かつ強靭にするために欠かすことのできないプロセスなのです。
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車の汚れ、見た目の悪さが目立つ
カーポートの地面にも、様々なタイプがあります。仮に、何も舗装されていない土の地面に設置したらどうなるでしょうか。雨が降ったら地面がぬかるみ、水はねなどで車が汚れてしまいます。また、水たまりができていたら、乗り降りする際にも靴や服が汚れてしまうでしょう。場所によっては、大雨が降れば自宅の駐車スペースから泥水が道路に流れ出てしまうかもしれません。
さらに、土の地面は車の重みで削れていくため、年数が経つにつれて車の出し入れがしにくくなる可能性もあります。こうした理由から、自宅の駐車スペースは何らかの方法で舗装したほうがベターと言えます。

主な地面のタイプと、それぞれのメリットとデメリット

カーポートを設置する地面はどのように舗装すればよいのでしょうか。こちらでは、具体的な舗装の方法や、それぞれのメリットとデメリットについて紹介していきます。
コンクリート
コンクリートはビルを建てる際にも使われるもので、硬く耐久性があることが強みです。また、メンテナンスの維持費は大してかかりません。経年劣化でヒビ割れが起こったとしても、小さいものであれば問題なく使い続けることができるからです。コンクリートは表面がキレイで見栄えもよく、いかなるデザイン・テイストの住宅とも合わせやすいことは魅力のひとつでしょう。
コンクリートを打設するには多くの材料と工程が必要で、施工時には道具や材料を運搬する車両、地面にコンクリートを流し込む重機も欠かせません。そのため、初期の施工費用は他の舗装方法よりも高額です。また、車を駐車できる状態になるまでしっかりと乾かさなければならず、施工後の数日間は駐車できません。コストを抑えるためには、駐車スペースの全面積ではなく、車のタイヤが乗る場所のみ舗装する方法もあります。
砂利
費用が安く設置しやすいという点は、他の舗装よりも大きなアドバンテージを持ちます。基本的には駐車スペースに砂利を敷き詰めるだけなので、ホームセンターで砂利を購入し、駐車スペースに撒けば完了です。また、砂利は上を歩くと石同士が接触して音が出ます。音が出ることで、空き巣などの不審者が自宅の敷地内に侵入しても気づきやすいという防犯性の高さも魅力です。
車が出入りする度に、砂利が駐車スペースから飛び出してしまう恐れがあります。時間が経つと、いつの間にか砂利の量が減っていることも考えられるので、定期的に砂利を追加する必要があるでしょう。また、砂利の下が土だと雑草が生えてくるため、定期的に草取りをすることになります。このように、費用がかからず簡単という利点がある一方で、手入れの大変さがあることは理解しておいたほうがいいでしょう。
アスファルト
道路の舗装に使われるアスファルトは、施工にかかる手間が少なく、コンクリートに比べて費用を安く済ませることができるというメリットがあります。また、温度が下がればすぐに使用できるので、施工にかかる時間はコンクリートよりも短く、作業が終わってから早く駐車場に車を入れることができます。排水性の高さもあり、くぼみなどがなければ水たまりはあまりできません。
コンクリートと比較した場合、導入する費用は安く済みますが、使っていく中でメンテナンスにコストがかかる傾向があります。ひび割れやわだちなどが発生しやすく、長く使うと修繕することが多くなるので、結果として費用はコンクリートと変わらないかもしれません。また、夏の時期には表面温度が高くなります。真夏は熱くなるので、車やタイヤが傷むことも考えられます。
人工芝
芝生の上に駐車しているような、自然な見た目にできる舗装方法です。ホームセンターなどにパーツが売られているので、自分で好きなタイプを購入し、駐車スペースに敷き詰めることで設置にかかる費用を抑えることができます。水を通すための穴も開いており、大雨でなければなかなか水はたまりません。
駐車する際、基本的に同じ場所をタイヤが行ったり来たりすることになるため、タイヤが通る部分は車の重みによって徐々に芝が劣化していきます。それほど長持ちするわけではないので、数年おきに貼り替えることになるでしょう。価格の安さや設置のしやすさはありますが、貼っては回収するという作業を繰り返すことになるという手間があります。
インターロッキングブロック
レンガほどのサイズのブロックを地面にたくさん敷き詰める方法です。様々な形状、色のブロックがあり、組み合わせによってオリジナリティのある駐車スペースに仕上げることができます。デザイン性や個性を重視する人にはピッタリでしょう。また、将来的に「ブロックからコンクリートに変えたい」というときも、時間はかかるかもしれませんが、ブロックを一つひとつ取りはずすことが可能です。重機などを使わずに解体できるもの、大きな特徴です。
ブロックは種類によって価格は異なりますが、決して安いものではありません。そのブロックを数百個使って、舗装していくことになるうえ、ブロックの下にクッションとなる砂を敷くこともあり、その場合は追加で費用がかかります。さらに、デザインを考えたり、ブロックを並べたりするのに職人の人件費もかかり、コンクリートなどと比べると面積あたりの設置費用は高くなる傾向があります。

カーポート下の地面を決めるポイントと注意点

駐車スペースの地面にも、様々な種類があることがおわかりになったと思います。では、いざカーポートを設置することになったとき、何を重視して地面を決めたらいいのでしょうか。判断の基準を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
耐久性を重視
カーポートは数年で交換するわけでなく、15年、20年と基本的に長く使っていくことになります。そうした背景から、数えることができないくらい何度も車が出入りする地面は、耐久性が重要なポイントとなります。耐久性を重視するのであれば、コンクリートが第一候補と考えられますが、設置する際の初期費用は他の方法と比較すると高めです。また、撤去する際にも、同様に費用がかかる点を念頭においておきましょう。
コストを重視
方法にもよりますが、カーポートの地面の施工には10万円単位の費用がかかると認識しておいたほうがいいでしょう。そのため、できるだけコストを抑えられる方法にするという選択肢も当然あります。砂利は材料費がそれほどかからず、DIYでまかなえば施工業者に依頼する必要がありません。一方で、定期的な草抜きなど継続的な手入れをしていかなければならないことは、あらかじめ理解しておくべき点です。また、アスファルトや人工芝も初期費用は抑えられますが、メンテナンスに費用がかかります。単に「安く導入できるから」と考えるのではなく、長期的な視点を持ち、手間とコストのバランスも考慮して判断しましょう。

まとめ
カーポートの駐車スペースの地面は、車の出入りや駐車で普段から大きな負担がかかります。年数が経つと劣化していくのは避けられないので、カーポートを構成する要素の中でも実は大事な部分と言えるかもしれません。地面の選択肢はいくつかありますが、それぞれに特徴やメリットおよびデメリットがあります。カーポートに求める機能や要素をあらかじめ整理し、それに合う地面のタイプを選択するとよいでしょう。
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