自宅の駐車スペースに新たにカーポートを設置する場合、基本的には施工業者に依頼することになります。どの業者に依頼するかで、カーポートの使い勝手や品質など仕上がりは変わるかもしれません。そのため、業者選びはとても重要です。しかし、何を基準に選べばいいのか、どこに依頼したらよいのかわからない人もいるでしょう。当記事では、カーポートを後付けするにあたって注目すべきポイントや注意点、工事が終わるまでのプロセス、設置工事にかかる費用や依頼できる業者などについて紹介していきます。

カーポートを後付けする際のプロセス
カーポートを自宅の駐車スペースに設置する場合、何をすればよいのでしょうか。まずは、カーポートを後付けする際の流れについて理解しましょう。
検討から工事終了までの基本的な流れ
カーポートには、さまざまなサイズやデザインの商品がありますが、工事終了までの流れは大きく変わりません。一般的な流れは以下の通りです。
- 外構(エクステリア)工事の施工業者を探して問い合わせ
- カーポートを設置したい旨を伝え、打ち合わせ
- 業者を伴って現場の下見
- 見積もりの依頼
- 見積もりの内容を精査し、納得したら契約
- 現場での工事開始
- カーポートが完成し工事終了
なお、設置までにかかる日数は、サイズによって変わります。1台用であれば規模は小さく、工事自体は1日で終わることもありますが、3~4台用となると工事は大がかりになるため、5日程度かかる場合もあります。
基本的なカーポート設置工事の流れ
まず、柱を立てるための基礎工事は欠かせません。地面を掘削して穴を掘り、そこにカーポートの柱を立てます。続いて、コンクリートあるいはモルタル(セメントと砂を混ぜたもの)を穴に流し込み、カーポートの柱を固定します。柱が立ったら、梁や屋根などの部材を組んで完成です。

カーポートを後付けする際のポイントと注意点

「自宅の敷地なら自由にカーポートを設置できる」といったイメージもあるかもしれませんが、実は法律による規制があり、設置場所によっては設置が難しくなる場合もあります。カーポートを後付けするにあたって知っておくべき注意点について確認していきます。
建築確認が必要な場合もある
建築物を建てる際には、建築基準法や都市計画法により建築確認の申請が必要となります。条件は、「土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱、もしくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む)」というものですが、実はカーポートも建築物にあてはまるので、基本的には建築確認を申請することが求められます。
建築確認申請は建築主(カーポートの所有者)の役割で、意匠・設備などの図面や構造図面、建築計画概要書などの書類を作成して提出しなければなりません。このように、建築確認の申請は専門知識が必要なので、建築士など専門家に代行を依頼することが一般的です。ただし、床面積が10平方メートルに満たず、かつ設置場所が防火地域および準防火地域
建ぺい率にも注意が必要
建ぺい率とは、敷地面積に対する建築可能な面積の割合のことです。カーポートは建築物扱いなので、カーポートの面積は建ぺい率の計算に算入されます。そのため、すでに住居の建ぺい率が上限の状態では、敷地内に新たにカーポートを設置することはできません。
ただし、建築物の構造によっては「緩和措置」という例外もあります。その緩和措置にあてはまる条件は、以下の4つです。
◎柱の間隔が2メートル以上である
◎天井の高さが2.1メートル以上である
◎外壁のない部分が連続して4メートル以上である
◎地階を除く階数が1(1階建て)である
この条件にあてはまる建築物は、建ぺい率の建築面積に算入されません。もちろんカーポートにも適用されるので、住宅部分に負担をかけることなく設置できることになります。
関連記事:カーポートの建ぺい率とは?|適用の条件や計算方法について解説
残土やガラが発生する
地面に柱を固定する基礎工事は、非常に重要な工程です。カーポートには安定感が必要なので、地面を50~60センチメートルほど掘ることになります。地面を掘れば、残土やコンクリートなどガラが発生し、その量は地面の状態によって異なるものの、柱1本で土のう袋が5袋分程度といわれています。柱4本であれば、約20袋分になるため、残土やガラは施工業者に費用を払って引き取ってもらうか、自分で産業廃棄物の処理場などに持ち込んで処理をしなければいけません。
関連記事:カーポートを設置する地面は大丈夫? コンクリートや砂利・レンガなどのメリットデメリット
駐車スペースの下に埋設物があると設置に苦労する
自宅の敷地の地中には、水道管やガス管、浄化槽などの埋設物がある可能性があります。カーポートの柱は、埋設物を避けて設置しなければならず、適切な柱の位置を決めるのに時間がかかることもあるでしょう。埋設物の位置によっては、柱を設置することが非常に難しく、施工計画自体を見直さなければならないこともあります。

カーポートを後付けする場合の費用

カーポートの設置には、当然のことながら工事費用がかかります。実際にどのくらいの金額がかかるものなのでしょうか。
豊富なバリエーションがあるカーポート
カーポートには、1台用、2台用、大きいものであれば4台用などさまざまな収容台数があります。さらに屋根の形状や大きさ、素材のバリエーションも豊富です。収容台数や機能性、デザイン性によってカーポート本体の価格は変わります。
カーポートの相場
カーポートの価格は、基本的に収容台数が増えるにつれて高くなります。1台用であれば10万円以上、2台用であれば20万円以上、3台用であれば50万円前後から上が相場といわれています。また、デザインや機能が優れている商品も、価格は高めです。たとえば、台風や積雪に対応する耐久性の高いタイプは、1台用で30万円以上、2台用で50万円以上になります。面積が広く、さらに高性能であれば本体だけで100万円以上する商品もあるほど幅があります。なお、これらの金額には標準的な工事費用も含まれています。
設置費用の相場
カーポートの標準工事費は、主に柱を立てる基礎工事費や組み立て費で構成されています。1台用では4万円以上、2台用では7万円以上が目安とされています。しかし、実際の工事にかかる総額はもっと高くなる可能性があることを理解しておいたほうがよいでしょう。たとえば、駐車スペースの地面にコンクリートを敷くと、1平方メートルあたり1~2万円の費用がかかり、残土の処理費用も必要です。古くなったカーポートを新しいものと交換する際には、切断するための加工費や撤去費用などとして3万円ほどかかります。
関連記事:カーポートの固定資産税はかかるの?金額はいくら?建ぺい率との関係も解説

依頼できる業者のジャンルと、それぞれのメリット・デメリット

カーポートは、設置してから何年にもわたって使うことになります。そのため、カーポートの工事を得意としている業者に頼みたいところでしょう。こちらでは、設置工事を依頼できる施工業者のジャンルと、それぞれのメリットやデメリットについて説明していきます。
外構工事専門の施工業者
カーポートを始めとした各種外構(エクステリア)の工事を専門に手がけている施工業者があげられます。依頼するメリットは技術力の高さです。外構工事を専門に手がけることから、カーポート工事の実績も豊富な業者が多いでしょう。そのためスタッフは熟練しており、完成度の高い仕上がりが期待できます。また、材料についても外構の部材を大量に仕入れているので、カーポート本体を相場よりも安く提供してもらえる可能性があります。
デメリットは、サービスが充実しているとは限らない点です。地域密着の小規模な業者の場合、少人数でたくさんの現場をこなしています。そのため、設置後のフォローまで手が回らず、しっかりとアフターサービスが提供できない可能性も考えられます。サービスメニューを事前に確認しておくとよいでしょう。
リフォーム会社
リフォームを手がける会社もカーポートの設置工事に対応しています。たとえば、大手エクステリアメーカーと提携しているリフォーム会社であれば、技術力の高さや保証の手厚さ、サービスのきめ細かさについては信頼することができます。
ただ、リフォームといってもさまざまなジャンルがあるので、なかにはカーポートの施工に慣れていない業者もあるかもしれません。施工実績や得意分野を確認しないままに発注してしまうと、カーポートの仕上がりが期待通りにはならないことも考えられます。依頼する前に、実績を調べることをおすすめします。
ホームセンター
ホームセンターでもカーポートは販売されています。大手エクステリアメーカーの商品はもちろん、ホームセンターによっては安価なオリジナル商品を扱っていることもあります。オリジナル商品は決して品質が劣っているわけではないので、場所に応じた商品を選べばよい買い物ができるでしょう。さらに、本体の購入だけではなく一緒に設置工事を依頼することもできるので、施工業者を探す手間が省けます。
商品を買って工事も頼めるのは便利ですが、ホームセンターに依頼をしても、基本的には下請けの施工業者に外注するという流れが一般的です。工事の費用が相場より高くないか確認しておくと安心できるでしょう。
関連記事:カーポート業者選びの秘訣! カーポートの施工業者を選ぶ際の4つの注意点

カーポート後付けのまとめ
カーポートの後付けには、まず自宅の駐車スペースが設置に適しているかどうかを確認する必要があります。そのうえで設置工事を任せる業者を探すことになりますが、どの業者に依頼するかで費用や仕上がりが変わってきます。「安いから」という理由で選ぶのは、賢い方法とはいえません。どの業者に頼めば満足できる仕上がりになるのか、どれくらいの費用がかかるのかなど、をしっかり確認し、慎重かつ着実にプロセスを踏んでいきましょう。
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