大切な車を雨風や太陽光から守ってくれるカーポートは、あると心強いエクステリアの1つです。しかし、自宅の駐車スペースは「敷地が変形している」「非常に狭い」など、カーポートを設置するスペースの確保が難しいケースもあるかもしれません。そのようなときは、どうすればいいのでしょうか。当記事では、カーポートと変形地・狭小地の相性や、変形地・狭小地に適したカーポートの種類とメリット・デメリット、設置にかかる費用、特殊な場所にカーポートを設置する注意点などについて説明していきます。

カーポートと変形地・狭小地の相性
カーポートを設置したいと思っても、自分の駐車スペースの形が変わっていたり、狭かったりすると、「こういう土地に設置できるのだろうか」とためらうこともあるかもしれません。まずはカーポートと変形地や狭小地との相性について、確認してみましょう。
変形地や狭小地とはどんな土地?
一戸建て住宅の駐車スペースは、車の形状にあうように上空から見て長方形など四角形であることが一般的です。しかし、敷地の関係から、駐車スペースが三角形や台形、あるいはもっと複雑な形になっていることもあります。こうした形状の土地のことを、変形地と呼びます。また、敷地の面積が非常に狭い土地は、狭小地といいます。
カーポートは、四角形の駐車スペースを想定して設計されているものが大半なので、変形地や狭小地に設置する場合はどのように乗り入れるのか、どのような向きにするのかなど、工夫が必要です。
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変形地や狭小地に対応するカーポートがある
各エクステリアメーカーは、変形地・狭小地にも対応できるカーポートも販売しています。これらの商品は、柱の位置や本数を特殊な土地にあわせて設計されています。また、敷地の形状に応じて、屋根を一部カットして駐車スペースに収める方法もあります。

変形地・狭小地に適したカーポートの種類
カーポートの設置が難しそうでも、「どうしてもカーポートがほしい」と思う人もいるでしょう。どのようなカーポートであれば、変形地・狭小地に設置することができるのでしょうか。
片側支持タイプ
屋根の片側だけに柱があり、限られたスペースを最大限に活用できるタイプです。「片流れ」とも呼ばれます。メーカーによっては、軽自動車やコンパクトカーを駐車するのにぴったりのサイズなど、狭小地にも対応する小さめの商品も用意しています。駐車スペースが、縦列駐車のように道路と平行な場合、このタイプと相性がよいでしょう。
スペースを有効活用できる一方で、屋根を左右から支える両側支持タイプに比べると、耐荷重性や耐風圧性は弱くなります。台風などの強風や、屋根の上の積雪などによって破損してしまう可能性があるので、注意が必要です。
後方支持タイプ
後方支持タイプは、カーポートの左右ではなく後方部分に柱を付けて、屋根を支える構造です。柱が側面にないので、幅が狭い場所でも設置しやすいという特徴があります。道路と平行の駐車スペース、左右と奥の三方を壁に囲まれている場所などで使い勝手がよいでしょう。柱が側面にないので、駐車する際に柱を気にする必要がなく、車の乗り降りもスムーズにできるというメリットもあります。
一方で、後方支持タイプは重心が後方に偏っているため、柱を立てる基礎には高い強度が必要です。一般的なカーポートよりも柱は太く、基礎のサイズも大きくなります。基礎が大きいほど工事費用も高くなるので、設置の際にはコスト面の注意が必要でしょう。
異形敷地に応じた加工もできる
カーポートのタイプというわけではありませんが、商品によっては屋根をカットすることもできます。敷地の形に応じて、正面台形、側面台形、隅切り(屋根の角部分が斜めにカットされている状態)、入隅(屋根の角部分が内側に入り込んでいるような状態)など、柔軟に加工することが可能です。また、屋根が長すぎて駐車スペースに入らない場合は、幅を切り詰める間口カットや、奥行きを短くする奥行きカットという加工を施すことで設置できるようになるかもしれません。
これらの加工に適しているのは、両側支持や片側支持などのタイプです。屋根の形状は、曲がっているアール型よりもフラット型の方が敷地にあわせた加工に適しています。また、屋根をずらして連結したり、奥行きサイズの異なる屋根を連結したりすることも可能です。
屋根を切断する場所や角度などに制限はありますが、既製品を加工することで変形地・狭小地へのカーポートの設置が実現できるかもしれません。「こんな場所では厳しいかもしれない」と思っても、諦める前に調べてみることをおすすめします。

変形地・狭小地向けのカーポートを立てる際の費用

変形地や狭小地にカーポートを設置するためには、特別な費用がかかるのでしょうか。設置費用についても見ていきます。
片側支持タイプはリーズナブルな商品もある
片側支持タイプのカーポートは、さまざまなカーポートの中でもリーズナブルな部類に入ります。基本的には、工事費用も含めて10~20万円程度で設置することができます。なお、片側支持タイプでもデザイン性や耐雪性能など機能性が高いものは、その分、価格も高めに設定されています。
後方支持タイプは高額
後方支持タイプは、デザイン性の高い商品が多く、片側支持タイプや両側支持タイプなどと比較すると高額で、50~100万円が目安になります。後方支持タイプはカーポートの後方に重心が偏るという構造上、強度を保つために基礎をかなり大きくする必要があります。そのため、カーポートの金額以上に、設置のための工事費用が高くなるケースもあります。事前に予算との相談をしておくと安心でしょう。
特殊な加工にも費用はかかる
屋根をカット加工する場合、大きめの材料を用意して、駐車スペースにあわせてちょうどいいサイズに切断することになります。屋根はサイズが大きければ、価格も高くなります。さらに、変形地や狭小地にあわせて特殊なカット加工を施す場合は、本体代や標準工事費にプラスして加工費もかかるので、一般的なカーポートよりも高額になることがほとんどです。

変形地

通常の場所とは異なり、変形地や狭小地にカーポートを設置する際には、あらかじめ確認しなければならないことがあります。こちらでは、どのようなことに注意を払わなければならないかを紹介しますので、検討される場合はぜひ参考にしてください。
周囲の状況を確認する
駐車スペースに車1台ぴったりの広さしかない場合、カーポートを設置すると柱が邪魔になってしまい、駐車そのものに支障をきたす恐れがあります。また、敷地のギリギリに設置すると、強風などで屋根が揺れたときに自宅の建物や隣の家などとぶつかり、傷つけてしまうかもしれません。道路側に寄せすぎると、道路を通った車と接触したり、人の通行の妨げになったりする可能性もあります。
カーポートは、一度設置してしまったら簡単に移動することはできません。トラブルの発生を防ぐためにも、自宅の駐車スペースにどのように収めるかについてのみ考えるのではなく、周囲の状況にもしっかりと配慮しましょう。
隣の敷地と50cm以上離して設置する
民法第234条(境界線付近の建物の制限)によると、建物を建造するには、境界線から50センチメートル以上の距離を保たなければならないという規定があります。そして、この法律を無視して建築物を建てようとした場合、お隣の土地の所有者は、施主(建築物の所有者)に対して工事の中止や変更を要求することが認められています。ほとんどの場合、カーポートにもこの法律が適用されます。そのため変形地や狭小地の場合、隣接する住居との距離が非常に近くなってしまう可能性があるので、注意が必要です。
一方で、民法第236条では「その町の慣習や地域の決まりごとがある場合はその慣習に従う」との文言があります。これは、民法第234条を緩和する規定で、周囲からの理解を得れば、建築物から50センチメートル以上離さなくても設置できると考えることができます。心配なら、工事が始まる前にお隣にカーポートを設置することや、工事の内容をしっかり説明しておきましょう。
施工業者の実績を確認する
変形地や狭小地など特殊な場所にカーポートを設置するには、一般的なカーポートよりも高い技術が求められます。そのため、施工業者選びも重要です。変形地や狭小地での施工を得意としているのか、過去に実績があるのかについてあらかじめ確認しておくと、安心して任せることができるでしょう。
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まとめ
自宅の駐車スペースの形がいびつだったり、狭かったりすると、カーポートの設置は一筋縄ではいきません。しかし、置き方や向きなどを工夫することで設置できる可能性は高まります。どうしても敷地とカーポートがあわない場合には、屋根をカットして駐車スペースに収めることも選択肢のひとつです。施工業者など専門家の助けも借りながら、自宅の敷地の形にあうカーポートを見つけてください。
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