自宅のカーポートに結露ができてしまい、困っている方も多いでしょう。また、これからカーポートを設置するにあたって、結露対策をどうすべきか知りたいという方もいると思います。
そこでこの記事では、カーポートに結露ができる原因と対策についてわかりやすく解説します。「設置前」と「設置後」の対策と、カーポートの修理や交換までに自分でできる応急処置についても紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

結露ができやすいカーポートとは?
カーポートのなかには、結露ができやすいタイプが存在します。ここでは、カーポートの種類を紹介したうえで、結露ができやすいタイプの見分け方について解説します。
カーポートは“2種類”ある
カーポートは、屋根に使われる素材によって、2種類にわけられます。
一つは、屋根に「ポリカーボネート板」が使われているカーポートです。ポリカーボネートはプラスチックの一種で、日光を取り入れやすく、紫外線をほぼ100%カットできるという強みがあります。また、耐久性が高く、火災にも強いのが特徴です。透明・半透明で明るい印象を受けるため、住まいの外観を損ねる心配もありません。そのため、日本のさまざまな地域で広く使用されており、オーソドックスなカーポートといえます。
もう一つは、屋根に「スチール(金属)」が使われているカーポートです。「ガルバリウム鋼板」と呼ばれる耐久性の強い金属素材が使用されており、雪の重みや風圧などへの耐性が非常に強いというメリットがあります。そのため、積雪の多い地域で設置されることが一般的です。このタイプのカーポートは、強度を上げるために“ギザギザ”の折板(せっぱん)屋根が使われており、「折板スチールタイプ」とも呼ばれています。
結露ができやすいのは「折板スチール」タイプ
結露ができやすいのは、「折板スチール」のカーポートです。折板スチールのカーポートを使っていると、冬に屋根から大量の結露(水滴)が落ちてきて、車にかかってしまうこともあります。実はガソリンスタンドや工場、配送センターなどにも「折板スチール」の屋根が使われており、同じように結露が発生することがあるのです。

カーポートに結露ができる原因とは?

折板スチールタイプのカーポートに結露ができてしまうのは、なぜなのでしょうか。ここでは、折板スチールタイプのカーポートに結露ができやすい原因について解説します。
放射冷却が起こっているため
カーポートに結露ができる原因は、「放射冷却」です。放射冷却とは、物体の熱が大気(宇宙)に奪われる現象のことです。熱は「熱いもの」から「冷たいもの」へ流れる性質を持っています。宇宙は「-270℃」の極寒なので、屋外に存在するものは宇宙に向かって熱が奪われてしまい、冷えてしまうのです。
放射冷却の結果、カーポートの屋根は周囲の空気より冷たくなってしまいます。そのため空気との「温度差」で結露が発生してしまうのです。
金属はとくに冷えやすいため
なぜ「折板スチール」のカーポートは結露が生じやすいのでしょうか。その理由は、素材が「金属(ガルバリウム鋼板)」だからです。金属はプラスチックと比べて熱伝導率が高く、熱を奪われやすいという特徴があります。そのため、放射冷却の影響を受けやすく、熱を放射しやすいのです。屋根の表面温度が下がった結果、屋根の表と裏に結露ができて、車上に滴るという事態が起こるのです。
メンテナンスが不十分のため
カーポートの表面には、結露防止剤が塗布されています。このコーティング剤が劣化したまま放置していることで、結露が起きやすくなっているかもしれません。
また、雨樋のメンテナンス不足が原因である可能性も考えられます。雨樋に落ち葉やホコリが詰まっていたり、部品をつなぐコーキングが劣化していたりすると、雨水が結露のように滴ることがあります。雨樋の詰まりが原因の場合は、掃除するだけで改善するでしょう。ただし、コーキングの劣化が原因の場合は、補修が必要です。
さらに、屋根が破損していて雨漏りが起きている可能性もあるでしょう。そうした不具合を特定するためにも、カーポート全体の状態をいま一度確認するのがおすすめです。

結露に害はあるのか
カーポートから滴ってくる結露は、白く濁っていることがあります。なかには「人体に害があるのではないか」と不安になっている方もいるのではないでしょうか。しかし、この結露はとくに人体への害や影響はありません。
白色の原因は、屋根のガルバリウム鋼板に含まれている「亜鉛」が溶けだしたものです。亜鉛は人体にとって必須の栄養素で、水道水にも微量ながら含まれています。そのため、健康に害が生じることはありません。また、亜鉛は金属の腐食を防ぐ効果があり、「メッキ」としてよく使われています。そのため、車に落ちてきた場合もとくにマイナスの影響が出ることはありません。布で軽く拭き取れば、染みになることなく除去できます。
結露ができると霜も発生しやすくなる
カーポートを結露が起きやすい状態のままにしていると、寒い地域では車に滴り落ちた結露が霜になってしまうリスクがあります。フロントガラスに霜が発生していると、削り取ったりお湯で溶かしたりしてからでないと車を動かせないため、忙しい朝はとくに不便です。カーポートの結露が気になったら、なるべく早めに対策しておきましょう。

設置前の結露対策は「ペフ」付きのカーポートを選ぶこと

雪の多い地域に住んでいて、どうしても折板スチールのカーポートを設置したい方も多いと思います。その場合、カーポートの屋根に「ペフ」という断熱材を貼ることで結露の防止が可能です。ここでは、「ペフ」の意味や効果、リスクなどについて解説します。
ペフとは、断熱材の一種
ペフとは、「ポリエチレンフォーム」と呼ばれる断熱材の一種です。薄いスポンジのような素材で、断熱性・保温性に優れています。このペフをシート状にし、折板スチール屋根の裏側全面に貼り付けておくことで、熱が外へ逃げるのを防ぎ、放射冷却の影響を軽減することが可能です。その結果、結露も発生しにくくなります。
積雪の多い地域では、折板スチールのカーポートを購入する際、「ペフ付き」を選べることが一般的です。そのため、結露対策をしたい場合には、ペフ付きを選択するようにしましょう。なおペフは、屋根の金属を成型する時点で取り付ける必要があります。カーポートの設置後に取り付けることはできないので、注意が必要です。
ペフの効果とは?
「熱が逃げやすい」という折板スチールの弱点を、ペフがカバーします。そのため、屋根と空気との寒暖差も生じにくくなり、結露の発生を軽減することが可能です。車に水滴が落ちにくくなり、拭き掃除の手間も減らせます。「ペフ付き」にすることでカーポートの値段は約5~6万円上がりますが、そのぶんの効果は見込めるでしょう。
ペフのリスクとは?
結露防止に効果を発揮するペフですが、難点もあります。それは、「経年劣化が早い」ことです。カーポート本体の耐用年数は約20~30年と長いものの、ペフは5~10年程度で寿命を迎えます。耐用年数を過ぎたペフは、徐々に剥がれはじめ、ポロポロとカーポートから落下してしまうのです。ペフは軽い素材のため、風で近隣に飛散する可能性もあります。こうした経年劣化後のペフの処理に困ってしまう人も、少なくありません。
ペフが劣化したらどうすればいい?
ペフは後から貼ることができません。そのため、ペフが劣化した場合には、古い屋根ごと撤去して、もう一度ペフ付きの折板スチール屋根を新しく購入する必要があります。あるいは、残っているペフをすべて手作業で剥がしてしまい、ペフなしでそのままカーポートを使い続けるのも一つの選択です。ただし、その場合は屋根の断熱性が低い状態なので、放射冷却の影響を受けやすくなり、結露ができやすくなってしまいます。

カーポート設置後の結露対策は「吹付断熱」

現時点でペフなしの折板スチールカーポートを使っており、結露に悩んでいる方もいるかもしれません。カーポートの設置後に結露を防止する方法の一つが「吹付断熱」です。ここでは、カーポートの屋根に「吹付断熱」をする効果や費用、注意点などについて解説します。
吹付断熱で、屋根の断熱性をアップ
吹付断熱とは、液体・半固体の断熱材を屋根に吹き付けることで、断熱性を高めることをいいます。
吹付断熱で一般的に使われるのは、「硬質ウレタンフォーム」と呼ばれる泡状の断熱材です。硬質ウレタンフォームは、小さな泡のなかに熱伝導率の非常に低いガスが含まれており、断熱性を飛躍的に向上できます。この硬質ウレタンフォームを屋根の裏に吹き付けていくことで、熱が逃げにくくなり、放射冷却による結露を防止することが可能です。吹付断熱の工事は、古いペフの撤去・養生・断熱材の吹き付けも含めて1~2日ほどで完了します。硬質ウレタンフォームの耐用年数は長く、30年以上効果が持続する例も珍しくありません。
見た目と費用に注意が必要
吹付断熱は結露防止に効果が見込めますが、注意点もあります。一つは、見た目の変化です。断熱材の硬質ウレタンフォームは泡状の素材なので、吹き付けると屋根に泡立ったような模様が付きます。こうした見た目の変化が気になる方もいるので、事前に施工実績の写真を見せてもらい、イメージを持っておくことが大切でしょう。
また、もう一つは施工費用です。吹付断熱には特殊な工具や専門的なノウハウが必要なこともあり、価格が比較的高くなることもあります。施工費用は一概にはいえませんが、20万円~30万円程度は必要です。そのため、「結露対策をどこまで優先するか」を慎重に考えたうえで、施工するかどうかの判断をするようにしましょう。

カーポートの結露から車を守るための応急措置
有害な結露から大切な車を守るために、いますぐ実践できる対策はあるのでしょうか。
ブルーシートやボディカバーで車を覆う
ブルーシートやボディカバーなどで車を覆い、結露がかからないように対策してみてください。どれもホームセンターで販売されていますので、必要な際にすぐに手に入ります。ただし防水加工はされていても、完全に水を弾くことはできませんので、あくまでも応急措置として活用してください。アウトドアが趣味の人であれば、タープを活用して車を保護するのもおすすめです。
DIYでペフを貼るのはNG
結露防止に使えるペフは、ネットやホームセンターなどで購入できます。そのため、「自分でペフを貼ったらいいのでは」と考えている方もいるかもしれません。しかし、シートを貼るためにカーポートの上に登るのは危険ですので、やめてください。結露の原因を特定して対策するためにも、メーカーやエクステリア業者に早急に連絡しましょう。

まとめ
カーポートの結露対策としては、購入時に「ペフ付き」のタイプを選ぶことが挙げられます。一方で、ペフは耐用年数が5~10年と長くはありません。そのため、カーポートの購入時にホームセンターや施工業者からアドバイスをもらったうえで、慎重に判断することが大切です。また、カーポート設置後の吹付断熱についてもメリットとデメリットがあるため、十分な検討が必要といえます。
カーポートの結露に悩んだ際には、一度専門の業者に現状を見てもらうことも一つの方法です。専門家に相談に乗ってもらうことで、より安心して対策を決められるでしょう。

※カインズ・リフォームでは、カーポートの結露対策「吹付断熱」は対応しておりません。
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