家庭の給湯システムとしてスタンダードとなってきた「エコキュート」。導入を検討中の方はもちろん、すでに自宅でエコキュートを使っているという方でも、自動運転に任せているため実はその機能を詳しく知らないというケースも多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、エコキュートの基本機能やメーカーごとの特徴的な機能を紹介します。リフォームでエコキュートを買い替えたり新しく購入したりする場合はもちろん、いまあるエコキュートをもっとお得に使いこなすためにも、ぜひ参考にしてみてください。
※各補助金の金額や要件などは、2024年6月時点の情報です。
エコキュートとは

それぞれの機能や特徴を理解するためにも、まずはエコキュートがどのような機械なのか、仕組みや基本的な機能から解説します。
エコキュートの仕組み
「エコキュート」は、空気の熱を吸収してお湯を沸かす「ヒートポンプ」という仕組みを利用した家庭用給湯器のことです。「冷媒」と呼ばれるガスや液体が、ギュッと圧縮されると熱くなり、逆に圧力を低くすると冷たくなるという原理が利用されています。これはエアコンや冷蔵庫と同様の仕組みで、電熱器やガスを使った給湯器に比べて省エネルギー型のシステムとされています。そのため「エコキュート」の名称は、「エコロジー」と「給湯」を組み合わせた造語からつけられました。
エコキュートの基本機能① オフピーク電力の活用
エコキュートでは、沸かしたお湯を断熱性の高いタンク内に貯めておき、必要に応じて消費していきます。これにより、夜間など電力消費が少なく発電した電気が余っている“オフピーク”時間にお湯を沸かしておくことで、電気料金の低減を期待できます。
エコキュートの基本機能② 使用パターンの学習機能
多くの製品で、各家庭のお湯の使用パターンをAIが学習し、もっとも効率的になるよう沸き上げ時間や給湯量をフルオートで調整しています。これにより利用者は、「夜間電力を活用できるように入浴時間を遅くする」といった配慮や、タンク内のお湯を使い切ってしまう“お湯切れ”の心配をせずに利用できるようになっています。
エコキュートの基本機能③ 追い焚き機能
エコキュートはタンクに貯められたお湯を利用する仕組みとなっていますが、もちろん必要に応じて浴槽に張られたお湯などの“追い焚き”も行えます。こうした再加熱にも電力効率の高いヒートポンプが利用されるため、電熱器やガスに比べて省エネルギーとなります。
エコキュートのメリットとデメリット

エコキュートについて、「お得」「省エネ」といった特徴はよく知られています。製品選びの参考になるように、メリットとともにデメリットについても紹介します。
エコキュートのメリット
エコキュートは電気で動くため、ガス給湯器に比べてCO2排出量が少なく、環境負荷が低いとされています。また、ヒートポンプ式熱源はエネルギー効率が高く、電熱式温水器に比べると消費電力が3分の1とも言われており、その分電気料金も安く済むと言えるでしょう。
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お湯を沸かすために火やガスを使わないため、火災や事故のリスクは低くなっています。タンクにお湯を貯めておくという仕組みから、災害時に停電や断水が起きた場合にも貯めたお湯を活用できるように、非常用の出水口が設けられています。
エコキュートのデメリット
エコキュートは、エアコン室外機のようなヒートポンプと貯湯タンクから構成されています。これらは屋外に設置する必要があり、底面0.5㎡に高さ1.8~2mほどと、壁面に取り付けられるような給湯器に比べると大きな設置スペースを確保しなければなりません。タンクはお湯を含めると重さが数百kgになるため、木造の2階以上や屋根には設置できないことが多くなります。
エコキュートの本体価格は一般的に、15~35万円程度です。新規に設置する場合はそれに加えて、タンク設置場所のコンクリート舗装や分電盤の交換などの工事費用が加わり、トータルでは40~60万円ほどの初期費用が必要となるでしょう。ただし、省エネ効率の高い製品の設置や入れ替えでは、購入費用や工事費に対して10万円前後の補助金制度が自治体や各省庁から提供されています。エコキュートを購入する際には、ぜひ活用してください。
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【メーカー別】エコキュートの特徴的な機能

エコキュートはさまざまなメーカーから製品が展開されており、各メーカーは独自の機能や工夫を加えています。代表的なメーカーごとに、こうした独自機能を紹介します。
Panasonic製エコキュートの機能
入浴後に浴槽の残り湯の熱を利用することで、夜間の沸き上げを節約する機能です。翌日分のお湯張りにかかるエネルギーを最大で約10%節約できるとされています。
浴室に人がいるかどうかを検知するセンサーや、お湯の冷め方を学習するAIにより、浴槽の保温や加熱を効率的に調整してくれます。
シャワーの温度と流量を変動させることで、省エネ効率アップと節水を可能とします。
日立製エコキュートの機能
タンクに貯めたお湯をそのまま供給するのではなく、お湯を熱源として水道水を加熱する方式を採用しています。これにより水道圧そのままの水圧を活用でき、お湯も飲用として使えます。
沸かしたお湯は熱源としてのみ利用されるため、タンク内へ水道水とともに流れ込むカルシウムなどの堆積を減らせます。配管が詰まりにくくなり、硬度の高い水でも対応できます。
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ふろ配管を通るお湯に深紫外線を照射しながら循環運転することで、菌の増殖を抑制します。
DAIKIN製エコキュートの機能
シャワーの流量を高め、浴室とキッチンで同時にお湯を使っても圧力が下がりにくくする機能です。また、お湯張り時間も短縮できます。
冬の時期に外気温の低さから沸き上げ効率が低下している場合などに、電気料金の割安な夜間時間帯に沸き上げが終了するよう自動で制御が行われる機能です。
オプションのアダプターを取り付けることで、温浴効果、美肌効果、洗浄効果が高いと言われる微細な泡を浴槽内にふきだす機能を追加できます。
三菱電機製エコキュートの機能
浴槽の排水時に、循環運転とともに皮脂汚れを吸着するマイクロバブルを発生させ、ふろ配管の自動洗浄を行います。
入浴前や残り湯を洗濯に利用する際、あらかじめ設定した時間に合わせて浴槽のお湯を深紫外線によって除菌できます。
太陽光発電システムを設置する家庭向けの機能です。天気予報をもとに太陽光発電システムの発電量を予測し、昼間の余剰電力もお湯の沸き上げに活用する連携運転を行えます。
エコキュート設置の流れ

製品の選定から工事・設置までの流れとともに、ピッタリのエコキュートを選ぶためのポイントについても紹介します。
情報収集と製品選定
まずは、メーカー各社のエコキュートについて情報を収集し、ニーズに合った製品を選びましょう。シャワーの勢いに関係する「給湯圧」や、配管の「自動洗浄」や「除菌」など、機能や特徴からメーカーを選定します。次に着目したいポイントは、タンクのサイズです。住んでいる人数が2~4人なら300リットル、4~6人なら460リットル、といった目安を基準として、購入する製品を決定します。
見積り依頼、現地調査
製品が決定したら、設置工事に向けた現地調査が必要となります。工事費用に大きな差が出るため、複数の業者に見積りを依頼した方が良いでしょう。また、新規の設置でも交換であっても補助金を活用できる可能性が高いため、「補助事業者」として登録されているかどうかも業者選定の基準となります。
補助金の確認~契約
エコキュートの設置に対する補助金は、工事などを担当した事業者を通じて還元されます。そのため活用するには対象となる製品であることに加えて、契約する前の時点で業者と合意しておくことと、補助金予算が残っていることの事前確認が必要となります。
工事の実施~引き渡し
まずは基本的な工事の流れについて説明を受けます。工事でははじめに、タンクを設置するスペースには重量に耐えられるよう、頑丈な土台工事が行われます。さらに、ヒートポンプや給湯を制御する部分につながる電気工事や、給湯配管の工事も必要となるでしょう。これらの準備が整ったら本体を設置し、業者と共にシステムの動作確認を行ってから引き渡しとなります。
まとめ
エコキュートは、省エネ性から補助金などで公的機関も導入をあと押ししてきたこともあり、家計にやさしい給湯システムとして急速に普及しました。その進化は年々進んでおり、メーカー各社は特徴的な機能を打ち出しています。たとえば、省エネ性能や耐久性を高める機能、おふろや家事をさらに快適にしてくれる機能、AIによる自動化で電気料金の削減をサポートしてくれる機能などがあります。製品を選ぶ際にはまず価格が気になりがちですが、機能性にも着目してみてはいかがでしょうか。
カインズリフォームでも、エコキュートの設置工事を承っています。補助金額があらかじめ引かれているため初期費用を抑えられるうえ、工事費にもカインズポイントが付与されるなど、エコキュートをお得に購入可能です。エコキュートにリフォームする際は、ぜひカインズにお問い合わせください。
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