ヒートポンプ技術で空気の熱を利用し、お湯を沸かす家庭用給湯システムである「エコキュート」。省エネ効果が期待できることから、注目を集めています。そんなエコキュートは、日本では多くのメーカーが市場に参入し、さまざまなタイプの機器が開発・製造されています。それぞれに特徴があるので、選ぶのはなかなか大変です。
この記事では、エコキュートの価格相場やサイズ・タイプによる価格の違い、エコキュート導入に利用できる補助金、節約効果を高める方法などについて解説していきます。
※各補助金の金額や要件などは、2024年6月時点の情報です。
一般的なエコキュートの価格相場

省エネの効果が高いと評判の電気給湯器であるエコキュート。ただ、導入するにはある程度の費用がかかるものです。そこでこちらでは、エコキュートの価格相場や設置費用に含まれる要素について紹介していきます。
本体価格
エコキュートの本体と言われる部分は、基本的に「水からお湯を作るヒートポンプ」「お湯を貯める貯湯タンク」「沸き上げ温度の設定などに使用するリモコン」の3つから構成されています。このエコキュートの本体の価格はメーカーや搭載機能などによって差はあるものの、15~35万円程度が一般的です。
基礎工事や配管工事費用
数百リットルにも上る大量のお湯をタンクに貯め置し、使いたいタイミングで使えるようにするのがエコキュートの特徴です。タンクの重量は非常に重くなるため、タンクを設置する際には基礎工事が必要で、場合によってはコンクリート舗装をしなければなりません。この基礎工事には、2~4万円ほどの費用がかかります。また、エコキュート本体からキッチンや浴室などにお湯を運ぶための水道工事も実施することになります。この水道工事の費用は、10万円前後が相場です。
電気工事費用
エコキュートを新たに設置する場合には、分電盤の交換や幹線の張り替えなどの工事が必要になることも多くなっています。分電盤の交換には3万5,000円~6万円、幹線の張り替えには3~4万円が必要です。また、施工業者に電力会社に対する申請を代行してもらう場合は、さらに2~4万円の費用が上乗せされます。
サイズ・タイプによるエコキュートの価格の違い
エコキュートは、タンクの容量や機能などによって価格に差があります。少人数の世帯やあまりお湯を使わない家庭の場合は小さめのタンクでも済みそうですが、大家族の場合は大きいタンクのほうがいいでしょう。ただ、容量が大きくなれば価格も高くなる傾向があるので、どのサイズであればどれくらいの価格になるのかは知っておきたいところです。そこでこちらでは、サイズやタイプによるエコキュートの価格の違いについて解説していきます。なお、金額は本体や工事費などを含めた総額です。
300リットル(2〜4人用)
300リットルは、2~4人の家族で使用する場合に適しているサイズです。工事費込みの価格は、30万~50万円が中心です。
370リットル(3〜5人用)
エコキュートの中でも、最も一般的なサイズとされているのがこの370リットルです。そのため、どのメーカーも豊富なラインナップを揃えています。300リットルよりもサイズが大きいことから価格は高めで、工事費込みで32~60万円ほどです。
460リットル(4〜6人用)
370リットルと並んで多くの家庭に導入されているのが、460リットルです。370リットルと比較して容量はかなり多めですが、導入の費用は34~70万円とさほど変わりません。そのため、4人家族でもゆとりを持ってお湯を使いたいという家庭には、この460リットルが適していると言えるでしょう。
エコキュートに活用できる補助金

エコキュートの導入費用は数十万円単位と高額で、一般的には簡単に購入を決断できる金額ではありません。そのため、国は補助金の制度を設けています。こちらでは、エコキュートに活用できる補助金について解説していきます。
給湯省エネ2024事業の概要
2024年度、経済産業省の資源エネルギー庁により、給湯器にターゲットを絞った補助金制度「高効率給湯器導入促進による家庭部門の省エネルギー推進事業費補助金(給湯省エネ2024事業)」が実施されています。高効率給湯器の設置が目的で、「ヒートポンプ給湯機(エコキュート)」「電気ヒートポンプ・ガス瞬間式併用型給湯機(ハイブリッド給湯機)」「家庭用燃料電池(エネファーム)」が対象です。
補助の対象になる住宅
給湯省エネ補助金の補助対象者は、全世帯です。戸建てやマンション、アパートなど住宅の区別はなく、住宅であればすべて補助金の対象になります。ただし台数制限があり、一戸建ての場合はエコキュート、ハイブリッド給湯器、エネファームのいずれか2台までです。マンションなどの共同住宅の場合は、いずれか1台までに補助金が支給されます。
補助金の金額
エコキュートの補助金の基本額は8万円です。機器の性能によっては、さらに2~5万円の補助金が加算されます。以下は加算に必要な要件です。
◎A要件:10万円/台
インターネットに接続可能な機種であり、翌日の天気予報や日射量予報に連動することで、昼間の時間帯に沸き上げをシフトする機能を有するものであること。
◎B要件:12万円/台
補助要件下限の機種と比べて、5%以上CO2排出量が少ないものとして、aまたはbに該当するものであること。(a.2025年度の目標基準値(JIS C 9220 年間給湯保温効率または年間給湯効率(寒冷地含む))+0.2以上の性能値を有するもの、または、b.おひさまエコキュート)
◎A要件およびB要件を満たすもの:13万円/台
◎電気温水器を撤去する場合:5万円/台
※なお、上記に加えて「撤去加算」が支給される場合もあります。エコキュートの導入に併せてすでに使用していた電気温水器を撤去する場合は、上記の補助金額に5万円の補助金が追加で支給されます。
※出典:給湯省エネ2024事業【公式】
エコキュートの節約効果を高める方法

光熱費の削減などの効果が期待できるエコキュートですが、使い方次第で電気代は大きく変わります。適切な使い方をしていない場合には、結果として電気代が高くなってしまう可能性も否定できません。では、どうすればエコキュートの節約効果を高められるのでしょうか。
電気会社の料金プランを見直す
電気料金は電力会社によってさまざまなプランがあり、プランごとに低価格の夜間電力が使える時間は異なります。生活スタイルに応じた電気料金のプランがあるので、定期的にプランを見直すことで電気料金の節約につながる可能性は高まります。
保温が不要なら風呂自動をオフに
エコキュートには、浴槽の温度を一定に保つ「風呂自動」という機能が搭載されています。追い焚きと同様にタンク内の熱を利用するため、風呂自動を使っていると電気代がかかってしまいます。しかし、お湯の保温をする必要がないタイミングでは、風呂自動機能を使う必要がありません。その場合、風呂自動をオフにしておくと、電気代の節約につながります。
自宅を数日留守にする場合は沸き上げ休止
旅行や仕事などで、数週間~数ヶ月にわたり自宅を留守にするような場合は、エコキュートの沸き上げを休止してみてください。そうすることで、使うことのないお湯を自動で沸かし直すことがなくなり、無駄な光熱費を削減できます。
追い炊きではなく足し湯
お風呂のお湯の追い焚きは、タンク内のお湯の熱を利用し、浴槽内のぬるくなったお湯を温める仕組みです。そのため、タンク内のお湯の温度が下がった状態だと余計な電気代がかかることになります。一方、足し湯はタンク内の熱湯をそのまま浴槽に入れるため、お湯を温めるなどの作業は発生しません。結果として、状況によっては追い焚きよりも足し湯のほうが省エネに効果的な場合があります。
洗い物などの時は設定温度を下げる
洗い物など熱湯が必要ではないタイミングでは、 給湯の温度を下げておきましょう。これによりタンク内の湯量を減らすことが可能で、次回にお湯を沸かす量が少なく済みます。そして、結果として電気代の節約につながります。
エコキュート設置業者の選び方
エコキュートの普及に伴い、エコキュートの販売や設置工事に参入する業者も増えています。そんな中、どのように設置業者を選べばいいのでしょうか。そこでこちらでは、エコキュートを設置する際の業者を選定するポイントについて解説していきます。
工事費込みの価格かどうか
エコキュートの価格は、基本的に「エコキュート本体価格」+「基本工事費」の金額で表記されています。 そんな中、明らかに低い金額を提示している業者があれば、その金額はエコキュート本体の価格のみと考えてもいいでしょう。最終的な金額で勘違いが起きないよう、提示されている金額が工事費込みかどうか確認することが大切です。
保証やアフターサービスが充実しているか
エコキュートは初期不良を起こす可能性があるため、購入するとメーカー保証が付きます。保証期間はメーカーによって異なるため、商品選びの際にはどのメーカーが長い保証期間を設定しているのかをしっかり確認します。また、施工業者のミスなどで故障などが発生しても、多くの場合で工事費は保証してくれません。工事部分が原因で問題が起きた場合に備えて、工事保証を付けてくれている業者であれば安心です。
エコキュートの施工実績が豊富かどうか
住宅設備の設置を手がける業者でも、エコキュートの設置工事の経験があるとは限りません。依頼をする前には、ホームページなどで実績を確認して、その上で見積もりを依頼してみてください。エコキュートの施工実績が豊富な業者は設置工事に慣れており、スピーディかつ正確に対応してくれる可能性が高いでしょう。
まとめ
導入には数十万円単位の費用がかかるエコキュートですが、長期的な視点で見るとコスト的にお得になる魅力があります。そんなエコキュートでも、日頃の使い方によっては、思ったほど電気代を節約できない可能性もあります。せっかく導入したエコキュートのメリットを最大限に享受するためには、日々の使い方を工夫することが大切です。自分や家族の生活パターンや習慣をしっかり理解して、ムダが発生しないように使っていきましょう。
カインズリフォームでもエコキュートの販売および設置工事を行っています。ポイント還元をはじめカインズだけの特典も用意していますので、ぜひ検討してみてください。
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