エコキュートは環境に優しく、節電効果も期待できる給湯システムです。オール電化住宅の普及に伴い、エコキュートへの注目度も高まっています。ただ、エコキュートはお湯を溜めるタンクのサイズは大きく、水やお湯が通る配管や機器を動かすための電気を通す配線なども必要です。設置するまでには、さまざまなプロセスを経ることになります。
この記事では、エコキュートを設置する前に確認しておくべきことや地盤工事の種類、エコキュートを設置する流れや費用、エコキュート設置に関して気になる点などについて解説していきます。
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エコキュート設置前に確認しておくべきこと

少ない電気でお湯を沸かすことができ、作ったお湯を貯めておけるのがエコキュートという給湯システムの特徴です。このエコキュートですが、いくつかの機器からなり、サイズも大きいため、スペースや配管・配線などの問題によりそもそも導入が難しいケースもあります。こちらでは、エコキュートの設置前に確認しておくべきことについて、詳しく解説していきます。
設置スペースの広さ
エコキュートを導入するにあたり、最初にすることが機器を設置するスペースの確認です。エコキュートは、大きく分けて「貯湯タンク」と「ヒートポンプ」の2つのユニットで構成されています。そのため、これらの機器を設置できるスペースが確保できなければ、エコキュートを導入できません。なお、各ユニットのサイズについては、貯湯タンクは高さが2m程度で、幅60cmが前後、奥行きが50cm前後が目安です。一方、ヒートポンプのサイズは、高さ60~70cm、幅50cm~70cm、奥行き30cm程度が一般的とされています。
配管や配線
電気温水器や給湯器などからエコキュートに交換する場合は、それまで使っていた配管を利用できます。一方、初めてエコキュートを設置する場合には、新たにエコキュートからお湯を自宅に引き込むための配管工事が必要です。
同様に、エコキュートを稼働させるための電気設備も、従来の設備の状態から利用できる場合があります。しかし、分電盤が200Vに対応していなければ分電盤を交換することになり、幹線についても200Vの配線が引き込まれていないのであれば工事が必要です。なお、工事をする箇所が多いほど、工事の費用は高くなります。
エコキュート設置の流れ

エコキュートは、機器を購入すればすぐに設置できるものではありません。エコキュートの設置にはある程度のスペースが必要で、機器を置く場所の基礎工事や電気工事なども行うことになります。それでは、エコキュート設置の流れについて見ていきましょう。
設置するためのスペースの確保
エコキュートは、貯湯タンクとヒートポンプの2つのユニットを設置するためのスペースが必要です。エコキュートの導入は、これらの2つのユニットが設置できるスペースがあるかどうかを確認ことから始めます。設置位置は、住宅の壁からは10~30cmほどの場所で、貯湯ユニットとヒートポンプユニットとの間の距離は30~60cmが適切とされています。
古い給湯システムの撤去
それまで使用されていた電気温水器など、古い給湯システムを撤去します。撤去作業は基本的にエコキュートの設置を担う業者が行いますが、古い給湯設備がガス給湯器や電気温水器の場合は、専門業者に撤去を依頼しなければならない場合があるので注意が必要です。
基礎工事(地盤工事)
エコキュートの貯湯タンクは、サイズによっては水が入ると600kgになることもあります。そこで重要なのが、土台を作る基礎工事です。エコキュートの基礎工事には、コンクリート基礎を現場で作る「現場打ち」と、既製品のコンクリートを組み合わせる「エコベース」の2通りの施工法があります。
◎現場打ち
土台を作る現場に鉄筋を組み、地面に砂利を敷き詰めてからコンクリートを流し込んで造成するのが「現場打ち」という施工方法です。現場打ちは、地盤の弱い場所でも、全面的にコンクリートを打つのでしっかりとした土台を作れます。ただ、コンクリートが固まるまで2~5日を要し、費用もエコベースよりも多くかかります。
◎エコベース
エコベースの場合は、既存の土台を地面に置き、組み合わせるだけで完成です。作業に手間がかからないため、基本的に1日で完了します。エコキュートをできるだけ早く設置したいのであれば、エコベースを選ぶといいでしょう。しかし、地盤が弱いと基礎を固定するのが難しく、地震の揺れでタンクが動いてしまう可能性があるので、エコベースで施工する場合には地盤の安定性に注意しなければなりません。
上記のいずれかの工法で基礎部分を固まったら、転倒防止策としてアンカーを設置します。
配管工事
エコキュートの設置工事で行う配管工事には、「給水配管工事」「追い焚き配管工事」「排水管工事」の3つがあります。給水配管工事は、エコキュートの貯湯ユニットとシャワーや蛇口をつなげる配管の工事です。追い焚き配管工事は、追い焚き機能が搭載されているエコキュートを設置する場合に必要です。給水配管と以前使用していた給湯器によっては、配管を再利用できる場合があります。排水配管工事は、貯湯タンクユニットやヒートポンプユニットから出る排水を排水口に流れるようにするための工事です。こうした配管工事は、3~5時間ほどで完了します。
電気工事
また、エコキュートを稼働させるためには電力が必要です。貯湯ユニット、ヒートポンプユニット、キッチンと浴室に設置するリモコンなどに電気が通うように配線工事を行います。
エコキュート本体の設置
配管および配線工事が終わったら、エコキュートの本体を設置します。貯湯ユニットとヒートポンプユニットを基礎工事で固めた土台の上に置き、転倒しないようにしっかりと固定したら工事完了です。作業時間は、配管や配線工事と合わせて6~10時間程度です。
試運転をして工事終了
最後に、エコキュートと住宅の間の配管がつながっているか、各種ユニットが正常に作動するかなどをチェックします。試運転を行い、異常が見られなければ引き渡しされます。
電力会社への申請
エコキュートを新たに導入する場合、電力会社のエコキュート専用の料金プランに変更することになります。変更するには、電力会社への申請が必要です。自分で手続きをすることはできますが、有料で業者に代行を依頼することもできます。
エコキュート設置にかかる費用
エコキュートの設置には、どれくらいの費用がかかるのでしょうか。工事の内容とそれぞれにかかる費用について解説していきます。
基礎工事費用
エコキュートを設置するための土台づくりとして、地面をコンクリートで舗装する基礎工事を実施することがあります。この基礎工事には、2~4万円ほどの費用がかかります。
水道工事費用
エコキュートのタンクからお風呂や台所などに給湯するための各種水道工事には、別途費用がかかります。主な水道工事の内容と費用は、以下の通りです。
・既存の給湯器撤去費用/5,000円~1万円
・給水給湯管や排水管などの配管工事費/2万円~5万円
・オイルタンクの移設費/1万円~2万円
・エコキュートの試運転費/3万5,000円~5万円
電気工事費用
電気工事には、配線工事、ブレーカーや分電盤の交換・幹線の張り替え、電力会社申請などの費用が必要です。主な電気工事の費用は以下の通りです。
・ブレーカー工事費/5,000円〜1万円
・分電盤の交換費/3万5,000円〜6万円程度
・幹線張替え工事費/2万8,000円〜4万円程度
・電力会社申請費/2万円〜4万円
【FAQ】エコキュート設置に関して気になる点

エコキュートを設置するにあたり、気になる点もあることでしょう。そこでこちらでは、エコキュートの設置においてよく聞かれる疑問や質問とその答えを紹介していきます。
エコキュートにメンテナンスは必要?
一般的に、エコキュートの寿命は10〜15年が目安です。しかし、機械ということでメンテナンスをしないまま使い続けると、劣化が早まってしまいます。その結果、故障が発生する可能性が高くなったり、電気代や水道代がかかってしまったりと、マイナスの影響が発生する恐れがあります。劣化のスピードを遅らせるためにも、エコキュートと浴槽をつなぐ配管の掃除、貯湯タンク内の水抜きと掃除などを定期的に行うことが大切です。
エコキュートの設置工事はどれくらいで終わる?
エコキュート本体の設置工事自体は、基本的に半日〜1日ほどで完了します。工事の内容や進捗状況にもよりますが、工事当日からお風呂を使えるケースもあります。ただし、基礎工事に現場打ちでコンクリートを敷く際には、基礎工事から本体設置までに数日かかることを理解しておきましょう。なお、エコキュートにかぎらず給湯設備が住宅とつながっていない状態では、お湯を使うことはできません。
エコキュートは屋内に設置可能?
エコキュートを構成する機器であるヒートポンプユニットは、冷媒に二酸化炭素を利用しています。そのため、二酸化炭素が漏れた場合、屋内では酸欠になるなどのリスクがあります。そうした理由から、ヒートポンプユニットは屋外に設置されるのが基本です。ただし、寒冷地など気温が著しく低くなる地域では、室内に貯湯タンクユニットを設置することがあります。
まとめ
今回は、エコキュート設置の流れについて解説してきました。エコキュートを設置するためには、ある程度の広さのスペースの確保、既存の給湯システムの撤去などの準備から始まります。設置する場所の状況によって工事の内容も変わり、費用やスケジュールも変わります。設置工事は基本的に業者に任せられますが、設置のプロセスについて少しでも知っていれば、業者に対して自分にメリットとなる意見を提案できるかもしれません。決して安価ではないエコキュート。導入を検討されているのであれば、あらかじめ情報を集めておくといいでしょう。
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