玄関ドアをリフォームすることで、快適な室内空間や、バリアフリーな住まいを実現できます。国や自治体では玄関ドアのリフォームにも使える補助金制度が用意されていて、リフォーム費用を抑えることが可能です。
この記事では、玄関ドアのリフォームに使える補助金の種類とそれぞれの内容、金額を紹介します。できるかぎり多くの補助を受けるポイントも解説しますので、玄関ドアのリフォームを検討中の方はぜひ参考にしてください。
玄関ドアのリフォームに使える補助金とは

玄関ドアをリフォームする際に、国や自治体の補助金を利用することで費用負担を軽減できます。ここでは、リフォームの補助金に関する基礎知識を解説します。
リフォーム補助金とは
国や自治体による、リフォーム金額の一部を補助する制度のことです。その背景には、2030年までに温室効果ガス46%排出削減、2050年までにカーボンニュートラルを実現するといった、地球温暖化防止のための目標があります。建築物分野が国内のエネルギー消費量の約3割、木材需要の約4割を占めていることから、より環境に優しい建築物づくりのための取り組みとして、リフォーム工事に対するサポートが増えているのです。他にも介護や子育てなど、重要な社会課題を解決するための取り組みとして、リフォーム補助金が施行されています。
玄関ドアのリフォームに使える補助金の種類
国によるリフォーム補助金制度のうち、玄関ドアのリフォームに利用できるものは以下の5種類です。
- 介護保険の高齢者住宅改修費用助成制度
- 子育てエコホーム支援事業
- 次世代省エネ建材支援事業
- 長期優良住宅化リフォーム推進事業
- 断熱リフォーム支援事業
また、都道府県や市町村が個別に行っている補助金制度もあります。お住まいの自治体のホームページでご確認ください。
複数の補助金を併用できる?
国が行っている補助金制度は、併用できない場合がほとんどです。ただし国と市区町村のように、財源が異なる補助金であれば併用できることもあります。補助金制度に詳しいリフォーム事業者を頼ることで、リフォーム内容に対してもっとも金額が多くなる補助金を教えてもらえるでしょう。
介護保険の高齢者住宅改修費用助成制度

厚生労働省が運用する、介護費用の負担軽減を目的とした助成制度です。介護施設や福祉用具の費用と同様に、バリアフリー化工事の費用も助成対象になります。
補助金の内容・受給条件
玄関ドアを、車椅子や杖をつきながらでも出入りしやすい引き戸に変えた場合に支給されます。ドア以外にも、玄関の段差の解消や手すりの設置など、バリアフリーを目的としたリフォームも適用可能です。
受給条件は、同居家族が要介護・要支援認定を受けていることです。ケアマネジャーに相談したうえで、介護のために住宅をバリアフリー化した場合に自治体を通じて支給されます。
支給額
リフォーム費用の7割~9割が支給され、上限は20万円です。基本的には要介護・要支援認定を受けた人、一人あたり生涯で最大20万円のみであるため、手すりやスロープなど他の部分のバリアフリー化を一緒に行うのがおすすめです。
子育てエコホーム支援事業

国土交通省が運用する、子育て世帯や若者夫婦世帯の住まいの省エネ化を目的とした事業です。2023年度(令和5年度)まで運用されていた「こどもエコすまい支援事業」は、2024年度(令和6年度)から「子育てエコホーム支援事業」に名称が変わりました。
補助金の内容・受給条件
補助対象になるのは、18歳未満の子を有する子育て世帯、もしくは夫婦のいずれかが39歳以下の若者夫婦世帯であることです。玄関ドアを含む、開口部を断熱性の高い製品に交換した場合に受給できます。ドア以外にも、子育て対応改修、バリアフリー、空調設備の設置などを目的とした改修にも適用可能です。申請期間は2024年3月以降を予定しています。
支給額
中古住宅の購入にともないリフォームを行った場合は最大60万円、長期優良住宅の認定(増築・改築)を受ける場合は最大45万円です。そのほかのリフォームの場合は最大30万円になります。ただし、合計補助額が5万円未満の場合は申請できません。そのため、他のリフォームと組み合わせる必要があります。
|
開戸:1.8 ㎡以上
引戸:3.0 ㎡以上 |
開戸:1.0 ㎡以上 1.8 ㎡未満
引戸:1.0 ㎡以上 3.0 ㎡未満 |
省エネ基準レベル |
1箇所あたり37,000円 |
1箇所あたり32,000円 |
ZEHレベル |
1箇所あたり49,000円 |
1箇所あたり43,000円 |
次世代省エネ建材支援事業

一般社団法人環境共創イニシアチブによる補助金制度です。省エネルギー社会を目指して、住宅の断熱性能を高めるためのリフォームに対して支援を行っています。
補助金の内容・受給条件
断熱工事と同時に、一定の基準を満たした性能・建材を用いた玄関ドアへ交換した場合は支給対象になります。断熱工事とは、構造部分の断熱性を高める「外張り断熱」や「内張り断熱」、もしくは「窓断熱」のうちのいずれかです。戸建て住宅の場合は3つの中から選択できますが、集合住宅の場合は内張り断熱を行う場合にのみ申請可能です。
また、支給対象となる玄関ドアのメーカーは指定されており、2023年12月時点では以下の3社が挙げられています。
- 三協立山株式会社
- 株式会社LIXIL
- YKK AP株式会社
2023年度(令和5年度)の公募受付は、9月28日で終了しました。次回の公募情報は、2023年12月時点ではまだ発表されていません。
※参考:補助対象製品一覧 | 令和5年度 次世代省エネ建材支援事業 | SII 一般社団法人 環境共創イニシアチブ Sustainable open Innovation Initiative
支給額
補助対象は経費の2分の1の金額です。金額の上限は断熱工事の種類や、家屋の種類、エリアによって異なります。
<外張り断熱(戸建てのみ)>
・1~4地域:上限400万円/戸
・5~8地域:上限300万円/戸
※参考:地域区分新旧表|国土交通省
<内張り断熱>
・戸建住宅:20〜200万円/戸
・集合住宅:125万円/戸
<窓断熱(戸建てのみ)>
・上限150万円/戸
長期優良住宅化リフォーム推進事業

国土交通省による、既存住宅の耐久性・省エネ性能の向上や、子育てしやすい環境づくりをサポートするための事業です。
補助金の内容・受給条件
「構造躯体等の劣化対策」「耐震性(新耐震基準適合等)」「省エネルギー対策」のいずれかを行い、国が定める長期優良住宅の基準を満たした場合に受給対象になります。
玄関ドア単体では対象とならないため、基準を満たすためのリフォーム内容の一例を以下にまとめました。
<構造躯体等の劣化対策>
床下の防腐・防蟻処理、在来浴室からユニットバスへの交換
<耐震性向上>
耐力壁の増設、屋根の軽量化
<省エネルギー対策>
断熱サッシへの交換、高効率給湯器への交換
なお、2023年度(令和5年度)の補助金申請期間は、通年申請タイプが5月8日〜2月19日、事前採択タイプが7月中旬〜12月22日です。
支給額
長期優良住宅の基準をいくつ満たしているかによって、支給額は異なります。
- 評価基準型(一定の評価基準を満たした場合):100万円/戸
- 認定長期優良住宅型(全ての評価基準を満たし、長期優良住宅に認定された場合):200万円/戸
また、三世代同居対応改修工事や、子育て世帯向け改修の条件を満たした場合、支給限度額に+50万円が上乗せされます。
既存住宅における断熱リフォーム支援事業
既存住宅をリフォームする際に窓やドア、内装材を断熱仕様にするときに使える補助金制度です。「トータル断熱」と「居間だけ断熱」の2コースから選べます。しかし、2つのコースの併用はできないため注意してください。
補助金の内容・受給条件
住宅の二酸化炭素の排出を抑えることでエネルギー消費効率の改善を行い、低炭素化の促進を目的とした国の事業です。家全体の省エネ効果が15%以上見込まれる断熱リフォーム(トータル断熱)、または居間の窓を高断熱にする(居間だけ断熱)リフォームが条件です。玄関ドアのみだと利用できませんが、窓と一緒にリフォームすることで適用されます。具体的な断熱リフォームの一例を以下に挙げますので、参考にしてください。
- 高性能建材を用いた改修(窓や玄関ドアなど)
- 家庭用蓄電システム(太陽光パネルなど)
- 家庭用蓄電設備(エコキュートなど)
- 熱交換型地換気設備(換気扇やエアコンなど)
2023年(令和5年)の公募は、1月・3月・6月・9月の4回実施されました。次回の公募日程はまだ発表されていませんが、予算に達した時点で受付を終了するため早めの申請がおすすめです。
支給額
補助率は対象経費の1/3以内で、上限は以下の通りです。
戸建て住宅 |
120万円/戸(玄関ドア5万円含む) |
集合住宅(個別) |
15万円/戸(玄関ドア5万円含む) |
集合住宅(全体) |
15万円/戸(玄関ドア5万円含む) |
各地方自治体の補助金
各自治体でも、省エネ対策や介護負担軽減のための補助金制度が設けられています。自治体によって制度の有無や内容が異なるため、自分が住民登録している自治体のホームページなどで確認してください。国が施行している補助金制度の受給条件を満たせない場合でも、お住まいの自治体なら受けられるケースもあります。
補助金を利用する際のポイント

リフォーム工事を契約する前に準備をしっかり行わないと、補助金を利用できない可能性があります。補助金を最大限利用するためのポイントをまとめましたので、参考にしてください。
申請の受付期限に注意
補助金の多くは、申請期間が決まっています。今回紹介した補助金制度でも、期間が設けられていないのは「介護保険の高齢者住宅改修費用助成制度」のみです。とくに予算が決まっている補助金は、上限に達し次第早期に受付を終了する可能性があるので、受付開始前から準備する必要があります。また、工事の完了日が決まっている補助金もあるため、なるべく早く準備を進めることが大切です。
まとめ
補助金を使うときは玄関ドアだけではなく、他の箇所も同時にリフォームすることで利用可能な補助金制度の幅が広がります。個々でリフォームするよりも、お得になるのが利点です。しかし、補助金を使うためだけに本来必要のないリフォームをする必要はありません。住まいに適したリフォームを行い、それに使える補助金を活用しましょう。リフォーム提案を含め、補助金のサポートを希望する場合は、実績豊富な施工業者に相談するのがおすすめです。カインズ・リフォームでも、過去の施工実績を掲載中ですので、施工業者選びに活かしてください。
※当ページのコンテンツや情報において、カインズリフォームでは、取り扱いが異なる場合がございます。