レンジフードは約10年が耐用年数と言われており、異音がするときや換気機能に不具合があるときには交換が必要です。
しかし、近年はデザイン性に優れたタイプまでさまざまなレンジフードが展開されているため、「どれにしたらいいの?」と迷ってしまう方が多いでしょう。
そこでこの記事では、レンジフードの主な4種類を取り上げ、それぞれのメリット・デメリットを比較します。サイズの測り方や、あると便利な機能も解説しますので、「これからレンジフードの購入を考えている」という方は商品選びに役立ててください。
レンジフードは4種類 | メリット&デメリットは?

レンジフードは、大きく次の4つに分類されます。はじめに、それぞれのメリット・デメリットを比較すると以下の通りです。
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メリット |
デメリット |
ブーツ型 |
設置が簡単
費用が安い |
カサにホコリがたまりやすい |
スリム型 |
デザイン性が高い
掃除しやすい |
費用が少し高め |
フラット型 |
場所をとらない |
定期的に掃除が必要 |
換気扇 |
費用がもっとも安い |
汚れが付着しやすい |
ブーツ型
「ブーツ型」は、一般家庭でもっとも広く使われているタイプのレンジフードです。「ブーツ型」という名前のとおり、上の方は狭く、下の方が広くなっているのが特徴で、ガスコンロから出た煙や臭いを効率的に吸い上げることができます。
ブーツ型のメリットとしては、設置が簡単なことが挙げられます。ケースによっては、フードだけ取り付けたり、プロペラ型の換気扇の上に後付けすることも可能です。また価格帯も比較的安価なため、「できるだけ費用を抑えてスタンダードなレンジフードを取り付けたい」という方に向いています。
スリム型
「スリム型」は、煙を吸収する部分だけ広がっているタイプのレンジフードです。形状としては逆T字型で、デザイン性の高さから最新モデルで広く採用されているモデルといえます。
スリム型は、レンジフード内の溝やつなぎ目がないことから、掃除をしやすいのがメリットです。換気扇の上の方まで掃除する必要がないため、背が低い方でも脚立などを使えば簡単に掃除できるでしょう。
デメリットとしては、価格帯が少し高めに設定されていることが挙げられます。しかし、レンジフードの耐用年数が約10年であることを考えると1年あたり数千円の違いとも計算でき、デザイン性に優れたおしゃれなレンジフードを自宅に取り付けることができます。
フラット型
「フラット型」は、ブーツ型をコンパクトにまとめた、平たい形状をしたレンジフードを指します。場所をとらないことから狭いキッチンや低い天井でも取り付けやすく、換気扇の機能をコンパクトにまとめることができます。
一方で、フラット型のデメリットとして、定期的に掃除が必要なことが挙げられます。ブーツ型でも定期的な掃除は必要ですが、フラット型の場合はガスコンロに平行に設置されているため、掃除の際に首が疲れやすいといえます。
見た目をコンパクトにできるのはフラット型ならではのメリットですが、日常的なメンテナンスのしやすさを考えるとブーツ型の方が優れているといえます。
換気扇
これまで紹介した3つのレンジフードはいずれも外側に枠が取り付けられていますが、4つ目の「換気扇」は換気扇そのものがむき出しになったタイプを指します。価格帯としては4つの中でもっとも低く、「とにかく費用を抑えたい」という方に向いています。
デメリットとしては、換気扇がむき出しになっていることから油やほこりなどの汚れが付着しやすいことが挙げられます。日常的なメンテナンスはもちろん、少しでも掃除を怠るとしつこい汚れに悩まされることもあるかもしれません。
なお、換気扇をレンジフードに取り替えるには、下地工事や新規ダクト工事といった建設工事が必要となります。

レンジフードのファンは2種類

レンジフードに取り付けるファンは、「プロペラファン」と「シロッコファン」の2つに分類されます。はじめにそれぞれのメリット・デメリットを比較すると、以下の通りです。
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メリット |
デメリット |
プロペラファン |
換気量が多い
設置しやすい |
外気の影響を受けやすい |
シロッコファン |
設置場所の自由度が高い |
費用が高くなりやすい
換気量が少ない |
プロペラファン
「プロペラファン」とは、その名のとおり飛行機のプロペラのような形をしたファンのことを指します。
プロペラファンは主に4~6枚の羽でできており、羽を回転させることで空気を吸い上げることができます。価格帯が安いうえ換気量が多く、キッチンの形状にかかわらず設置しやすいのがメリットです。
一方でデメリットとしては、外気の影響を受けやすい点が挙げられます。たとえば、風の強い日には外からの風により換気した空気が押し戻されてしまい、換気効果が弱くなってしまうこともあります。また、換気量を強くしすぎると、プロペラファンが回る音が気になってしまうこともあるでしょう。
シロッコファン
一方の「シロッコファン」は「ダクト排気式」とも呼ばれるように、ダクトを通して排気するタイプのファンを指します。
天井裏にダクトを通すことで排気が可能となり、換気扇の設置箇所をデザインにあわせて調整しやすいのがメリットです。
一方でデメリットとしては、プロペラファンに比べて費用が高くなりやすいことや、換気量が少ないことが挙げられます。換気音が気になりにくいのはメリットではありますが、それだけ換気量が少ないということの裏返しでもあります。換気量を重視するならシロッコファンよりプロペラファンの方が向いていると言えるでしょう。

【その他】レンジフードの選び方

レンジフードを新しく選ぶ際は、次の5点に注目することも大切です。
- フィルターの有無
- 幕板の有無
- 幅・サイズ
- 色
- コンロ連動換気機能
フィルターの有無
従来のレンジフードでは、ほとんどの製品にフィルターがついていましたが、現在はフィルターの有無を選択することができます。「ノンフィルタータイプ」ならフィルターの目詰まりもなく、日常のお手入れが簡単なのが大きなメリットです。特に油汚れでギトギトになったフィルターの掃除をしなくていいのは、ノンフィルタータイプならではのメリットでしょう。
フィルターの有無による違いは、主に以下のとおりです。
【フィルターあり】
「フィルターあり」タイプは、レンジフードとしてはより一般的といえます。日常的なお手入れが必要不可欠で、メンテナンスを怠ると油汚れによって換気機能が低下してしまうことがあります。
しかし、近年はフィルターありのタイプでも汚れが付きにくいコーティングがされている製品も展開されています。少しでもレンジフード掃除の手間を抑えたい方は、こうした機能に注目して商品を選ぶのも選択肢の1つでしょう。
【ノンフィルター】
「ノンフィルター」タイプとは、その名のとおりフィルターを設置していないレンジフードのことを指します。コンロから発生した油や煙はシロッコファンに直接ぶつかり、捕集トレイにたまる仕組みになっています。
そのため、基本的に日常的なメンテナンスは必要ありません。「これまで換気扇の掃除が面倒だった」という方にとっては、救世主のような存在になりえるでしょう。

幕板の有無
レンジフードを設置する際は、幕板の有無にも注意が必要です。
「幕板」とは、レンジフードのファンやダクトを隠し、見た目を良くするための板のことを指します。設置する場所によって、それぞれ以下の通り名前が異なります。
- 前幕板:レンジフードの前面に設置
- 横幕板:レンジフードの側面に設置
たとえば、レンジフードを壁に横付けする場合、横幕板は不要となります。壁際に柱等があると幕板の形を調整する必要があるため、事前に取り付け業者に設置可否を確認しておくと安心でしょう。
幅・サイズ
日本国内で販売されているレンジフードは横幅の規格が共通化されており、サイズ展開は次の3つに絞られます。
どのサイズを選んでも、基本的に換気機能に大きな違いが出ることはありません。しかし、90cmのように横幅が広くなるほど、本体価格も高くなる傾向にあります。
なお、いくら費用を節約したいからといっても、ガスコンロより狭いサイズのレンジフードを設置することはできません。これは消防法により、レンジフードの横幅はガスコンロやIHクッキングヒーターの横幅より大きくてはならないと定められているためです。
つまり、たとえばガスコンロが90cm幅の場合、60cmや75cmのレンジフードを取り付けることはできません。そのため、まずは現状のレンジフードがどのサイズに該当するのか確認する必要があるでしょう。
色
レンジフードは商品によりカラー展開が異なりますが、主に次の4つに分けられます。
なお、商品によってはカラーごとに本体価格が異なることもあります。できるだけ費用を抑えたい方は、安価で汚れが目立ちにくいブラックを選ぶと良いでしょう。
ただし、どの色がキッチンにもっともフィットするかは、ガスコンロや周囲のインテリアの色によって異なります。費用を基準に色を選ぶのも選択肢の1つですが、デザイン性を保つ上でも周囲の色とのバランスを考えて色を選ぶことが大切です。
コンロ連動換気機能
近年のレンジフードには、コンロを点火すると自動的に換気機能がオンになる「コンロ連動換気機能」が付いています。この機能を使えば、換気扇の入れ忘れや消し忘れがないだけでなく、背が低くてスイッチに手が届かない人にとっても便利でしょう。
ただし注意点として、連動機能を使うにはガスコンロとレンジフードの両方に連動機能が対応していなければなりません。連動機能では赤外線信号によって電源をオン・オフにするため、片方でも連動機能に対応していないと双方の信号を送受信することができません。
ガスコンロとレンジフードのメーカーが違っても連動機能を使うことは可能ですが、それぞれ風量や火力が基準が異なるため、電動機能を最大限に活用するなら同じメーカーの商品を選ぶことをおすすめします。

レンジフードのサイズの計り方

新しいレンジフードを購入する際は、前提として自宅のレンジフードの正しいサイズを測ることが大切です。レンジフードの測定すべきサイズとしては、「幅」と「高さ」の2点が挙げられます。
幅
はじめに、レンジフードの幅をメジャーなどで測定してみましょう。先述の通り、レンジフードの幅は60cm、75cm、90cmの3種類に分かれ、自宅のレンジフードもこの3つのいずれかに該当するはずです。
レンジフードを新調する際も、基本的に現状の幅に合わせて製品を選ぶことになります。現状とは異なる幅のレンジフードを設置する際には大幅な工事が必要となるため、費用もさらに高くなることになります。
高さ
レンジフードの高さを測る際は、レンジフードのもっとも下の部分から天井までの高さを測ることになります。レンジフードの上部ではなく、あくまで天井が基準となることに注意しましょう。
なお、レンジフードの高さを測る際は脚立や椅子などに乗る必要があるため、足元には充分に注意が必要です。測定が難しいときはけっして無理をせず、業者などに依頼するようにしてください。

レンジフードの定期点検のチェックポイント

レンジフードを新しくしたら、「できるだけ長く利用したい」と思う方がほとんどでしょう。レンジフードを長く利用するには、定期的なメンテナンスが欠かせません。数ヶ月に1回を目安に、次の3点をチェックしてください。
換気量は十分か
はじめに、レンジフードにティッシュペーパーを近づけ、換気量が充分かをチェックします。もしティッシュペーパーが換気部分にくっつかなければ、換気能力が弱まっていると考えられるでしょう。
換気量が低下している原因としては、フィルターの汚れやモーターの不具合などが考えられます。換気量が弱い状態だと、煙や臭いを十分に吸い込むことができず、自宅内にキッチンの匂いが充満してしまうかもしれません。「最近レンジフードの換気量が落ちた」と感じたときは、早めに業者に依頼して原因を突き止めることが大切です。
異音はないか
レンジフードを稼働させた際に異音がするときには、何かしらの不具合が起きている可能性が高いといえます。異音は主に次の4つに分けられ、それぞれ以下のように原因を特定できます。
- ズー:モーター周辺機器がサビている
- ゴー(ボー):油やほこりが溜まっている
- カラカラ:モーターの軸がずれている
- キュルキュル:モーターのオイルが不足している
【ズー】
「ズー」と擦れるような音がする場合は、モーター周辺機器がサビていると考えられます。サビている状態でモーターを稼働させ続けると、レンジフードの電源などに大きなダメージを与えかねません。レンジフードの異音としては特に重症といえるため、早めの対策が肝心です。
【ゴー(ボー)】
「ゴー(ボー)」と重低音が聞こえる場合は、空気中に飛散した油やほこりが溜まっていることが原因です。普段からレンジフードの掃除をサボったり、油ものを料理した後などに起こりやすい症状といえます。
基本的に汚れをとれば異音は解決しますが、しつこい汚れだと業者を呼ばなければならないこともあります。
【カラカラ】
「カラカラ」と音がする場合は、モーターの軸がずれていると考えられます。症状としては比較的軽いものの、素人ではなかなか調整しづらいため、基本的に業者に依頼する必要があります。
【キュルキュル】
「キュルキュル」という音がする場合は、モーターのオイル不足が原因と考えられます。レンジフードの異音としては症状は軽く、ホームセンターなどでオイルを購入すれば自分で手入れすることも可能です。
ガタつきはないか
レンジフードを稼働させたときにガタガタと音がするときは、まず部品のネジが緩んでいないか確認してみましょう。ネジがしっかり締まっていてもガタガタ音が解消されないときは、ファン自体が変形していると考えられます。
場合によっては部品の修理によってファンの変形を解消できることもありますが、手間や費用を考えればレンジフード全体を取り替えたほうがよいでしょう。

簡単3ステップ!レンジフードの選び方

記事の内容をおさらいすると、自宅にぴったりのレンジフードを選ぶには、次の3ステップが肝心です。
Step1:全体の形状 |
ブーツ型
スリム型
フラット型
換気扇 |
Step2:ファン |
プロペラファン
シロッコファン |
Step3:その他の機能 |
フィルターの有無
幕板の有無
幅・サイズ
色
コンロ連動換気機能 |
また、新しいレンジフードを選ぶときには、前提として現状と同じサイズの商品を選ぶことも忘れてはいけません。ぜひ当記事で紹介したポイントをしっかりと抑え、自宅のキッチンにもっともフィットするレンジフードをみつけてください。

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