レンジフードは油汚れがたまりやすく、汚れを放置すると不具合の原因となります。レンジフードは定期的な掃除が必要ですが、自分で取り外そうと思っても外し方が分からない方も多いのではないでしょうか。そこで、この記事ではレンジフードの外し方、外れないときの対処方法、レンジフードの掃除方法について紹介します。
レンジフードを外すための事前準備

レンジフードを取り外すためには、以下の道具が必要です。
- 踏み台や椅子などの足場
- 新聞紙、レジャーシート
- ゴム手袋
- ドライバー、レンチ
レンジフードは高い位置にあるため、踏み台など安定した足場を用意しましょう。作業前にはコンロ周りと床を新聞紙やレジャーシートで養生しておくと、作業で汚れが飛び散っても後処理が楽にできます。
レンジフードに油汚れがたまっていると滑りやすいため、作業中はゴム手袋をはめましょう。また、ネジやボルトを外すために、ドライバーやレンチも用意する必要があります。
なお、レンジフードには「深型」と「薄型」があり、外し方が異なります。ここからは深型と薄型に分けて、レンジフードの外し方を紹介していきましょう。
深型(ブーツ型)レンジフードの外し方
深型レンジフードは、間口が広くブーツのような形をしているタイプです。一般的にもっとも普及しており、スタンダード型と言われることもあります。ここでは、深型レンジフードの外し方手順を紹介します。
電源プラグを抜く
作業中にスイッチが入ってファンが回ると怪我をする恐れがあるため、電源プラグを抜いておきましょう。電源プラグは、レンジフード内側の上部分についていることがほとんどです。電源プラグを抜くときは、換気扇が稼働していたり、手元灯がついていたりしないか確認してから抜きましょう。
フィルターを外す
フィルターは、取っ手をつかんで手前に引くことで取り外せます。汚れがたまりやすい部分のため、必ず外してから掃除しましょう。
シロッコファン・プロペラファンを外す
深型レンジフードのファンには、シロッコファンとプロペラファンの2種類があります。
シロッコファンとは、多数の羽が筒状に取りつけられたファンです。一方で、プロペラファンとは4~6枚のフィンがついたファンになります。それぞれ外し方が異なるため、解説します。
シロッコファンの外し方
シロッコファンには、ワンタッチ式とねじ止め式の2種類があります。ワンタッチ式は、ファンの中心についたボタンを押しながらシロッコファンを引き抜くことで取り外せます。
ねじ止め式は、まずベルマウスのナットを外し、ファンを押さえながら固定ネジを外しましょう。ファンを支えながら、ツマミをゆるむと書かれた方向(右方向)に回すことで取り出せます。
プロペラファンの外し方
プロペラファンを手で押さえ、ツマミをゆるむと書かれた方向(右方向)に回し、ファンをシャフトから引き抜くことで外せます。
幕板を外す
幕板とは、ダクトやファンを隠し、キッチンの見栄えをよくするための部品のことです。掃除をするだけならば、幕板を外す必要はありません。外したい場合は、レンジフードの内側についているビスなどの金具をドライバーで外し、幕板を取り外しましょう。
薄型(スリム型)レンジフードの外し方

薄型レンジフードは、地面に平行したフラットなボディが特徴のレンジフードです。四方から空気を取り込む整流板がついています。
ここでは、薄型レンジフードの外し方手順を紹介します。
ブレーカーを落とす
薄型レンジフードの電源プラグを抜くためには、幕板を外す必要があります。幕板まで外すのは非常に手間なため、ブレーカーを落としてスイッチが入らないようにしましょう。
ただし、キッチンのブレーカーを落とすと冷蔵庫の電源も落ちるため、事前に別室の電源につないでおくなど対策が必要です。延長コードを利用し、冷蔵庫の電源を確保しておきましょう。
整流板を外す
薄型レンジフードの場合、深型レンジフードにはついていなかった整流板を取り外す必要があります。整流板には、マグネット固定式とレバー固定式の2種類があります。
マグネット固定式は、まず整流板を支えた状態でマグネットキャッチを外し、ゆっくり整流板を下げましょう。整流板の位置をフックと合わせて持ち上げながら手前に向かって外します。
レバー固定式は、まず整流板を支えた状態で左右の固定金具のレバーを下げ、ゆっくり整流板を下げましょう。整流板の位置をフックと合わせて持ち上げながら手前に向かって外します。
整流板をフックに引っかけたまま作業すると、落下する恐れがあります。コンロなどの器具が破損したり、怪我をしたりする可能性があるため、必ず外すようにしましょう。
なお、取り外し方はメーカーによって異なる場合もあります。取扱説明書を用意しておくと、スムーズに作業できるでしょう。
フィルターを外す
薄型レンジフードのフィルターは、フィルターを手前にスライドさせて引き出すことで取り外せます。留め具がついているタイプの場合は、留め具を外してからフィルターを取り外しましょう。留め具は指でツマミを回すと簡単に外れるので、掃除が終わるまでなくさないように保管してください。
シロッコファンを外す
深型レンジフードと同様に、シロッコファンにはワンタッチ式とねじ止め式の2種類があります。整流板を外さないとファンを取り出せないのが、薄型レンジフードの特徴です。
ワンタッチ式は、ファンの中心についたボタンを押しながらシロッコファンを引き抜くことで取り外せます。
ねじ止め式は、まずベルマウスのナットを外し、ファンを押さえながら固定ネジを外しましょう。ファンを支えながら、ゆっくり引き抜くことで取り出せます。
幕板を外す
薄型レンジフードの幕板には、前幕板と横幕板があります。深型レンジフード同様、掃除のみならば幕板を外す必要はありません。
外したい場合は、幕板を固定しているビスを、ドライバーで外すことで幕板を取り外せます。作業しやすいように、踏み台を利用しましょう。
レンジフードのファンが外れないときの対処方法

油汚れがたまって固まると接着剤のようになるため、ファンがなかなか取り外せないことがあります。外れないときは、以下で紹介する方法を試すと解決することがあるため、ぜひ試してみましょう。
ドライヤーの風をあてる
冷えて固まった油汚れはドライヤーの風で温めることで溶けてやわらかくなるため、ファンやフィルターを取り外せるようになります。スピンナーやファンの中心部、ネジ部分に3分ほど熱風をあてましょう。
3分ドライヤーをあてても油がやわらかくならない場合は、追加でもう3分ほどあてます。なお、ファンはドライヤーの熱で熱くなるため、作業時にはゴム手袋を着用しましょう。
潤滑油を吹きつける
サビによってファンが取り外せない場合は、潤滑油を吹きつけましょう。ファンの中心にあるスピンナー部分に少量だけ吹きつけ、30分~1時間ほど放置します。ただし、潤滑油の使用には以下のような注意点があります。
- ワンタッチ式のファンには使用できない。
- 大量に吹きつけるとモーターに悪影響を与える可能性がある。
- ファンを取り外したあとに潤滑油を拭き取らないと、戻したときにファンがゆるむ。
レンジフードの掃除方法

レンジフードを取り外せたら、長持ちさせるために掃除をしましょう。多くのメーカーは、1~3ヶ月に1回の掃除を推奨しています。
ここでは、レンジフード本体、フィルター・整流板、ファンの掃除方法を詳しく解説します。
レンジフード本体の掃除方法
レンジフードについた油汚れは酸性のため、中性洗剤、あるいはアルカリ性の重曹で落とすことができます。素手だと手が荒れる可能性があるため、ゴム手袋を着用して作業しましょう。
【用意するもの】
- 掃除機
- 中性洗剤、または重曹
- 40℃くらいのお湯
- 布
- キッチンペーパー
- ゴム手袋
【掃除方法】
- 掃除機でレンジフードのホコリを取り除く。
- 中性洗剤、あるいは重曹をお湯に溶かしたものを布に浸し、レンジフードを拭く。
- 頑固な汚れには、重曹と水を3:1で混ぜてペースト状にしたものを汚れに塗る。
- ペーストの上からキッチンペーパーで押さえ、30分~1時間程度放置する。
- ペーストを拭き取り、水拭きと乾拭きをする。
フィルター・整流板の掃除方法
フィルター・整流板についた油汚れは頑固なことが多いため、スポンジなどでこするだけでは落ちないことがほとんどです。重曹水につけ置きすれば、油汚れが浮いて掃除しやすくなります。
【用意するもの】
- 重曹
- 40℃くらいのお湯
- 洗い桶、大きめのビニール袋
- ブラシ、スポンジ
- ゴム手袋
【掃除方法】
- 洗い桶、またはビニール袋を用意し、お湯1リットルと大さじ1~3杯の重曹を入れる。
- 重曹を溶かし、フィルター・整流板を入れて1時間つけ置きする。
- お湯が茶色に濁ってきたら、フィルター・整流板を水で洗い流す。
- 落ち切らなかった汚れは、ブラシやスポンジでこすり洗いする。
- 水洗いして、しっかり乾燥させる。
フィルターと整流板は、汚れにくい対策をしておくと掃除が非常に楽になります。
フィルターには、100均やホームセンターなどで売っている不織布フィルターを取りつけておくのがおすすめです。使い捨てタイプのため、1ヶ月に1回程度は交換するようにしましょう。
整流板には、本体の裏側にラップを敷いておくと、油汚れの付着を減らせます。ラップも定期的に交換するようにしましょう。
ファンの掃除方法
ファンの掃除にも、フィルター・整流板と同様に重曹水によるつけ置きが有効です。ファンの油汚れがもっとも頑固なため、たわしやブラシを用意してしっかり汚れを落としましょう。
【用意するもの】
- 重曹
- 40℃くらいのお湯
- 洗い桶、大きめのビニール袋
- 硬すぎないたわし、ブラシ
- ゴム手袋
【掃除方法】
- 洗い桶、またはビニール袋を用意し、お湯1リットルと大さじ1~3杯の重曹を入れる。
- 重曹を溶かし、ファンを入れて1時間つけ置きする。
- お湯が茶色に濁ってきたら、ファンを水で洗い流す。
- 落ち切らなかった汚れは、たわしやブラシでこすり洗いする。
- 水洗いして、しっかり乾燥させる。
モーターや電子機器まわりの掃除方法
プロペラファンの場合、プロペラやパネルを外すとモーターや電子機器が見えます。その部分にも汚れが付着しているため、掃除を定期的に行いましょう。ただし、水がかかると感電する恐れがあるため、注意が必要です。
【用意するもの】
【掃除方法】
- 重曹または中性洗剤をお湯に溶かしたものを布に浸し、モーターや電子機器まわりを吹く。
- 頑固な汚れには、重曹と水を3:1で混ぜてペースト状にしたものを汚れに塗る。
- ペーストの上からキッチンペーパーで押さえ、30分~1時間程度放置する。
- 汚れを拭き取り、乾拭きをする。
換気扇を掃除するときの注意点
換気扇を外すときや掃除をするときは、いくつかの注意点があります。安全に行うために、以下のポイントを押さえましょう。
汚れ移りに気をつける
掃除中に、換気扇についた油やホコリが衣類や壁、床、キッチンの天板に付着する可能性があります。粘着製の高い汚れが多いため、手や衣類に汚れが付着すると落とすのに苦労するでしょう。不意に手が当たってファンが落ちれば、床や壁が汚れたり部品が破損したりする恐れもあります。周囲に汚れが付着しないように、十分に注意して行いましょう。
手を切らないようにする
ファンの羽根は先端が鋭くなっているので注意が必要です。ファンを外したり掃除をしたりする際に素手で触れると、手を切るかもしれません。ケガを防ぐためにも、軍手やゴム手袋を装着してから換気扇を掃除しましょう。
ファンの素材によって使用する洗剤を変える
油汚れには重曹(弱アルカリ性)が効果的ですが、ファンの素材によっては傷めてしまう恐れがあります。使用中の換気扇が、プラスチック素材のプロペラファンやアルミ製のシロッコファンの場合は、アルカリ性洗剤の使用は控えるようにしてください。もし使用すると、塗装が剥がれたりアルミ素材が黒ずんだりします。重曹が使えないファン素材の場合は、中性洗剤を使って掃除しましょう。
3〜6ヶ月に1回掃除する
キッチンの換気扇は、蒸発した油がたくさん付着している部分です。ベトベトしたフィルターはホコリも付着しやすく、汚れを放置しておくとフィルターが詰まってしまいます。フィルターが詰まれば十分に吸引ができず、換気扇の効果が弱まります。3〜6ヶ月に1回を目安に、換気扇を外して掃除してください。
故障する恐れがある
換気扇を外すときは、細かく分解する必要があります。専門知識のないまま不用意に分解したり組み立てたりすると、破損や故障に繋がる可能性もゼロとは言い切れません。自信がない、慣れていない場合は、業者に掃除を依頼すると安心です。
換気扇を外せないときの掃除以外の対処法
換気扇の汚れがこびりついて外れないときは、新しい換気扇に交換するかキッチン全体をリフォームする方法があります。きれいになると掃除も楽になるため、前向きに検討してみましょう。
換気扇だけ交換する
「油汚れのせいで換気扇が外れにくい」「掃除をしてもきれいにならない」という場合は、新しい換気扇に交換するのもおすすめです。掃除がしやすい換気扇に変えるだけでも、お手入れが楽になります。キッチン全体をリフォームするよりも費用を抑えられるため、コストを抑えつつ改善できるのもメリットの一つです。
キッチン全体をリフォームする
換気扇の寿命は10〜15年と言われています。汚れは掃除できても、経年劣化は免れません。油汚れのせいで換気機能が弱まることもあるため、キッチン丸ごとリフォームすることも検討しましょう。使っている換気扇が古い場合は、最新のキッチンにすることでお手入れが簡単になるかもしれません。全体がきれいになれば、視覚的にも機能的にも快適さが高まるでしょう。
まとめ
レンジフードの外し方は深型か薄型かで異なります。外すときは怪我や事故を防ぐために、電源を必ず落として、手順通りに進めましょう。なかなか外せない場合は、ドライヤーや潤滑油を試してみてください。
しかし、低温で固まった換気扇の油汚れのお掃除は、非常に手間がかかります。道具をたくさん用意したうえで、複雑な構造の換気扇を分解しながら掃除しても、場合によっては汚れが残ったり組み立てられなかったりすることもあるでしょう。換気扇だけ交換する、キッチンをリフォームなども選択肢の一つです。
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