「エクステリア」と「外構」は、何が違うのかわからない方もいらっしゃるのではないでしょうか。当記事では「エクステリアと外構の違い」「エクステリアを構成する主な要素」「エクステリアの選び方」などを紹介します。無計画にエクステリアをつくると、かえって家の使い勝手が悪くなったり、センスを落としたりするかもしれません。そうした後悔をせずに済むよう、これから家を建てられる方やリフォームを検討されている方は、ぜひご参考になさってください。
エクステリアとは?
「エクステリア」の語源であるexteriorは、「外部の」「外側の」という意味を持ちます。建築分野においてはテーブルやソファといった家の中のアイテムを含んだ空間を表す「インテリア(interior)」の対義語とされ、家の外側にある敷地内の空間を表した言葉です。
エクステリアと外構の違い
「エクステリア」が家の外側の空間を表す言葉に対して、「外構」は家の外壁・庭・門扉・ウッドデッキ・フェンス・カーポート・照明といった家の外側にある構造物そのものを指す言葉です。つまり、いくつもの外構が集まった空間をエクステリアと表現します。
エクステリアを構成する主な要素
前述の通り、エクステリアは外構の集合体です。ここでは、一つひとつの外構を紹介します。
家の出入り口に設置される「顔」となる部分です。腐食や錆びに強いアルミ製のもの、あたたかな雰囲気を演出できる木製のもの、メンテナンスの手間が少ないアルミ+樹脂製のものがあります。開閉方式には、両開き・片開き・スライド式などの種類がありますので、使い勝手のいいものを選んでください。
門扉の横に設置される柱のことで、門扉同様に家の第一印象を左右します。表札・ポスト・インターホン・宅配ポスト・門灯を備えた門柱もあります。いくつかの機能を組み合わせて、オリジナルの門柱づくりを楽しめる外構です。
外に取りつける水道のことです。庭の水やりやガーデニング用品の水洗い、洗車、散歩帰りのペットの足洗いなどで重宝するでしょう。立水栓は、地面に柱状の水栓を立てて設置するタイプです。玄関先のインテリアとして存在感を放つおしゃれなデザインのものも増えています。散水栓は、蓋をつけて地中に埋めてあるタイプなので、蛇口にホースをつけて使うことが一般的です。散水栓の方が目立たないため、全体の雰囲気に影響しにくいでしょう。
門扉から玄関まで続く通路のことです。タイル・レンガ・石材・コンクリートなど、さまざまな素材を組み合わせた玄関アプローチをデザインすることができますので、家のセンスを高めるポイントになります。玄関アプローチの周囲を花壇で飾り、華やかな演出を楽しむ人も増えています。
どちらも、家のリビングとつながった開放的な空間をつくることができます。一般的にリビングの床と同じ高さにしたものを「ウッドデッキ」と呼び、庭より一段高くしたものを「テラス」と呼びます。テラスをガラスの壁や天井で囲めば、サンルームやガーデンルームとしても活用できます。
家の敷地と道路を隔てる柵や囲いのことで、目隠しや防犯効果があります。アルミ製・木製・アルミ+樹脂製でつくられるほか、樹木や草花を植えた生け垣、ブロック塀、土壁などもあります。また、敷地の外の様子が見えるように、フェンスの下部をブロック塀で固めて上部に柵を立てる方も多いようです。
駐車スペースとなる外構です。屋根と柱だけでつくるものが「カーポート」で、壁とシャッターで車をすっぽりと囲んで収納する建造物が「ガレージ」です。どちらも車を雨・風・紫外線・鳥のフンなどから守ることができるため、人気があります。
庭や門扉、玄関やフェンスのまわりなどに植える樹木や草花のことです。象徴として大きな木を植える方もいます。季節ごとに美しい花を咲かせることから、家の印象が華やかになります。キレイに手入れがされていれば、道路を行き交う人の癒やしにもなるため、好印象を持たれるでしょう。
門扉や玄関、植栽を照らす照明は、夜間の空間演出に最適です。夜に薄暗い我が家を眺めるより、おしゃれにライトアップされた我が家を眺めるほうが気持ちは満たされるでしょう。また、夜の帰宅時に玄関アプローチがライトアップされていれば、階段を踏み外す危険を避けられますし、防犯性も向上します。
エクステリアの工事で大切なこと

家の使い勝手とセンスを高めることができるエクステリアですが、失敗も多いようです。無計画に外構を設置すると、使い勝手の悪いエクステリアになってしまうので注意しましょう。
駐車スペースの広さを考慮
「スペースが狭くて駐車や発車がしにくい」という失敗がよくあるようです。車のサイズを確認したものの、内輪差や切り返しなどを考慮せず、ギリギリのサイズにしてしまったなどのケースです。乗り降りや移動に必要なスペースを甘く見積もってしまったために、狭くて大きな荷物を乗せられないなども失敗例もあります。こうした自体にならないよう、車そのもののサイズよりも余裕を持って駐車スペースを用意しておくことが欠かせません。
門扉とフェンスは防犯面で重要
門扉やフェンスは設置費用が高額になるため、削る人も多いようです。ただ、家の中が丸見えになるというプライバシーの問題や、不審者が侵入しやすい家と判断されるリスクなどもあります。プライバシーを守り、不法侵入を防ぐうえで、門扉とフェンスは重要といえるでしょう。
狭いウッドデッキは物置になる
広さが6~10畳ほどのウッドデッキであれば、「家族でバーベキューをする」「友人を招いてお茶や食事を楽しむ」といった活用を楽しむことができます。一方、充分な広さがないウッドデッキを設置すると、活用機会が減少してしまし、結果としてデッドスペースや物置になってしまうことが多いようです。
立水栓は設置場所に注意
「ペットの手足を洗う」「庭に水をまく」「洗車をする」など、庭で水道を使うシーンは意外に多いものです。よくある失敗は、立水栓と駐車スペースの間に距離をとってしまうこと。長く重いホースをつないで洗車するのは大変です。家の中の水道で済ませることができない作業なので、設置場所に注意しましょう。
屋外コンセントのつけ忘れ
夜間照明で駐車場を照らしたい場合や、夜にバーベキューを楽しみたい場合には、庭にコンセントが必要です。ベランダを高圧洗浄する場合も、ベランダにコンセントがあると窓を開けたまま洗浄せずに済むため、便利でしょう。
高齢になると階段がつらい
玄関アプローチの階段で、高齢者の転倒事故が多発しているようです。段の数や段の幅にも注意し、手すりやスロープを設置しておくと安全です。妊産婦の方、子ども、身体が不自由な方にとっても、歩行を楽にしてくれる手すりやスロープは大いに役立つでしょう。
エクステリアの選び方

エクステリアの選び方によって、家の使い勝手やセンスが変化します。そのため、家族構成やライフスタイル、家の雰囲気に合ったエクステリアの設置をおすすめします。
「防犯性」を重視
一戸建て住宅の場合は、庭が道路に面しているため、知らない人の目に触れます。「防犯対策をしていない家」という印象を不審者に与える可能性もあるでしょう。フェンスをつければプライバシーを守ることができますし、照明をつければ不審者の侵入を抑制できます。
「安全性」を重視
門扉から玄関までのアプローチを整備しておかないと、小石がたまり、雑草が生えます。放置しておけば、足を滑らせて転倒する可能性が高まります。タイル・レンガ・石材・コンクリートなどで整備するほか、人工芝や防草シートを敷くことで転倒のリスクを回避できるでしょう。
「将来性」を重視
ライフスタイルの変化に対応できるエクステリアを考えることも大切です。今と10年後、20年後の生活が同じとは限りません。たとえば、二人目・三人目と家族が増えるかもしれません。小さな車から大きな車に買い替える未来を想像できれば、駐車スペースのサイズ感も変わってくるはずです。
「デザイン性」を重視
エクステリアの完成度は、家の第一印象を決めます。使い勝手だけで選ばず、デザイン性も重視しましょう。たとえば、和風の家に洋風のエクステリアを選べば、バランスの悪さが目立ちます。家の外観と統一感のあるエクステリアを選べば、道行く人に「センスのいい家主」といった好印象を与えることができるでしょう。
まとめ
「エクステリア」は、外から見た家を美しく際立たせる大切なものです。家の使い勝手はもちろん、防犯性や安全性を高めるうえでも有効に機能します。ただし、無計画にエクステリアを選ぶと、かえって使い勝手が悪くなったり、センスを落としたり、防犯性や安全性を損ねたりする可能性があります。当記事を参考にしながら、用途・機能・家族構成・デザインに留意して外構を選び、家の使い勝手とセンスの両方を高めていただければと思います。
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