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床下に断熱材が必要な理由と適切な選び方について解説

2023年07月04日
床材アーキスペックフロアーW クリアAアカシアクリアイメージ

冬になると、床下から部屋の中に冷たい空気が伝わってきて、暖房をオンにしてもなかなか温かくならない日もあるでしょう。そうした困りごとの解決に大いに役立ってくれるのが、断熱材です。こちらの記事では、住宅の床下の断熱対策が必要な理由や実際の効果、床下断熱の工法、断熱材の素材などについて紹介します。

床下の断熱対策が必要な理由

建築中の屋内

そこに住む人たちにとって快適な空間を追求する中、住宅の設備は進化してきました。その一つが、断熱材です。では、なぜ住宅の床下には断熱材が必要なのでしょうか。その代表的な例を、いくつか挙げてみました。

冷気の侵入を防ぐ

主に冬の時期などは、住宅の床下から冷気が室内に入り込んで温度が下がります。暖房が無くては過ごすことはできず、寒さが厳しいと暖房をオンにしていてもなかなか部屋が温まらないこともあるでしょう。そうした状況で住宅の床下に断熱材を施工すると、冷気の侵入を防ぐ効果を期待することができます。

気密性が低いと隙間風が入りやすい

築年数が古い住宅などは空間の気密性が低く、窓や扉だけではなく床の隙間からも冷気が室内に入りやすいです。さらに、空気は温度が低いと下に降りていく性質があり、冬の時期には床付近に冷たい空気が滞留します。しかし、床下断熱をすることで気密性が高まり、冷たい隙間風が室内に入り込むのを防ぐことができるようになります。

床下断熱により得られる効果

家族団らんの様子

上記の説明から、断熱対策をしていない住宅の暮らしにくさを感じていただけたと思います。それでは、床下断熱をすることで獲得できる効果について、より詳しく見ていきましょう。

底冷えを防ぐ

多くの住宅の基礎部分には、床下に湿気がこもらないようにするために、通気口が設けられています。その通気口から空気が入ってくるので、冬の寒い時期になると冷気のため底冷えしてしまいます。しかし、断熱材を入れることで外気の影響が軽減し、冬でも底冷えしないようになるのです。

冷暖房の効率が上がる

床下に断熱材を入れることで、室内の気密性が高まります。冬場は寒いので暖房を使うことにはなりますが、床下に断熱材を入れれば室内に冷気が入りにくくなるため、暖房の使用頻度が減り、以前のように暖房をフル稼働させる必要がありません。このように断熱材によって室内の気密性が高まれば冷暖房の効率が上がり、光熱費の節約というメリットをもたらします。

健康的に過ごすことができる

室内でも温度が非常に低くなる冬は、主にお年寄りを中心にヒートショックなどの事故が発生しやすくなる傾向があります。その中でも断熱材を入れれば室温の急激な低下を避けることができるため、低い気温が原因の事故を防ぐことにつながります。床下の断熱材は、健康的に過ごすための大切なツールになると考えられています。

床下断熱の工法

床下に断熱材を設置する施工方法は、主に2種類あります。こちらの項目では、それぞれの工法の特徴やメリット・デメリットについて見ていきたいと思います。

床断熱工法

住宅の1階部分の床下に、直接断熱材を敷き詰める施工方法です。床から断熱材を施工するので床下からの室内の底冷えが抑えられ、暖房の効率も向上します。日本に従来からある工法で、風通しのために床下に換気口を設置する必要があります。

基礎断熱工法

鉄筋コンクリート造で、建物の基礎の立ち上がり部分を断熱材で覆う施工方法を基礎断熱工法と呼びます。建物の基礎部分から熱や冷気が出入りするのを防ぐため、床下の気密性や断熱性が高めることが可能です。

床断熱工法のメリット・デメリット

<メリット>

・通気口で床下は常に換気されており、カビやシロアリは発生しにくい。

・床下と室内の間に断熱材があるので、洪水などの際に室内への浸水をある程度抑えることができる。

<デメリット>

・床下の気密性が低さから冷気が床下から室内に入りやすく、室内の気温が下がる。

・床下にエアコンは設置できず、全館空調もあまり効果が期待できない。

基礎断熱工法のメリット・デメリット

<メリット>

・断熱性が高いため、冬場でも室内を温かく保つことができる。

・床下エアコンや全館空調システムを設置しやすい構造である。

・室内と基礎部分の温度差が小さいため、冬場でも床下の水道管が凍結しにくい。

<デメリット>

・床下が浸水すると自然に排水・乾燥できないので、カビなどが発生しやすい。

・シロアリが断熱材の中を通って柱や桁に到達し、増えてしまう可能性がある。

断熱材の素材と特性

 

断熱材

断熱材は、空気の層を内側に作り出すことで熱の伝導を遅らせるという建材です。そんな断熱材は素材に応じて様々な種類があり、それぞれ機能は異なります。では、具体的にどのような断熱材があるのか、主なものについて詳しく説明していきます。

繊維系

繊維状にしたガラスを凝縮させたものが、「繊維系」と言われる分野の断熱材です。繊維と繊維の間に閉じ込めた空気層が、断熱の機能を果たします。繊維系の中でも、グラスウールやロックウールなど鉱物が原料の断熱材が「無機質系断熱材」と呼ばれ、同じくセルロースファイバーやインシュレーションボードなど木質系素材を利用したものが「木質繊維系断熱材」と呼ばれています。

発泡プラスチック系

プラスチックを発泡させ、空気を細かい気泡の中に閉じ込めたものが「発泡プラスチック系断熱材」です。こちらの発泡プラスチック系の断熱材にもいくつかの種類があり、ビーズ状にしたポリスチレン樹脂を発泡させた断熱材が「ビーズ法ポリスチレン」。ポリスチレンを連続して発泡させて板状にした断熱材が、「押出発泡ポリスチレン」です。

各断熱材の特徴

<グラスウール>

素材がガラス繊維ということで、シロアリなどの害虫の被害に遭いにくいのがグラスウールの特長です。また、火災にも強く、防音効果もあります。さらに劣化もしにくいため、断熱性能が長続きするのもメリットです。その一方で、あまり吸湿性がないため湿気に弱く、施工した場合は結露や湿気への対策が欠かせません。

<ロックウール>

ロックウールは、高炉スラグを高温で溶かし、遠心力によって繊維状にした人造鉱物繊維です。グラスウールと似て、熱に強く燃えにくく、害虫に強い素材です。一方で、湿気への弱さがデメリットとして挙げられます。施工時には防水シートでカバーするなど水を防ぐ工夫が必要です。

<セルロースファイバー>

新聞紙や段ボールなど、天然の木質原料を利用した繊維がセルロースファイバーです。吸放湿性が高く、内部結露の発生を抑えることができます。また、燃えにくく、害虫予防にも効果を発揮します。性能が高く、環境に優しい素材ではありますが、その反面、導入には高い費用がかかってしまいます。

<インシュレーションボード>

廃材など植物系原料で作られる、板状の断熱材です。断熱性と吸音性が高く、重量も軽いため加工がしやすいという強みがあります。さらに透湿性も高いので、結露を防ぐこともできます。ただ、木質繊維のため比較的燃えやすく、シロアリの被害にも遭いやすいのが難点です。

<ビーズ法ポリスチレン>

ビーズ法ポリスチレンは、柔軟性がありかつ軽量ということで加工がしやすい素材です。また、水に強く耐久性が強いのも大きな利点と言えます。その一方、熱に弱く、防火性能はそれほどありません。さらに、価格は無機繊維系の断熱材と比較して高いため、コストの面で導入へのハードルもあります。

<押出発泡ポリスチレン>

素材は基本的にポリスチレン樹脂で、発泡剤と難燃剤が含まれています。薄い施工でも断熱性が高く、水や湿気にも強さを見せます。さらに軽量なので、容易に加工・施工することが可能です。素材的に熱に弱く、断熱性能が高くない点がデメリットです。

断熱材を使う際に知っておくべきポイント

断熱材を使う際に知っておくべきポイント

住宅を寒さから守ってくれる断熱材ですが、実際に使う際には注意が必要です。そこでこちらでは、断熱材を使いたい場合にあらかじめ知っておくべきポイントをいくつかご紹介します。

断熱材で対策できるのは伝導熱と対流熱

物質が他の物質に直接触れることで伝わる熱を「伝導熱」、熱を蓄積した気体や液体が移動することで他の物質に伝わる熱を「対流熱」と言います。住宅と接する地面から伝わる熱が伝導熱で、住宅の外の空気から伝わるのが対流熱です。熱の伝わり方のうち、断熱材で対策することができるのは基本的にこの2つです。

輻射熱は対策できない点に注意が必要

赤外線による熱の伝わりである「輻射熱(放射熱)」も、熱の伝わり方の1つです。太陽の熱はこれにあてはまり、建物の中の熱の75%は輻射熱と言われています。断熱材は外部からの熱を断つことが目的の建材ではありますが、輻射熱を止めることは難しいのです。

輻射熱を遮断する素材との組み合わせで効果を最大化

たとえばアルミは、輻射熱を遮断する素材であることが知られています。こうした輻射熱を断つ効果を持つ素材と、硬質ウレタンフォームやポリスチレンなどの断熱材とを組み合わせることで、断熱効果を最大化することが可能になります。

まとめ

冬になると寒さを感じるような住宅も、床下に断熱材を入れることで、冷気の侵入を防ぐことができます。断熱材にも様々な種類がありますが、床下は湿気の影響を受けやすいということで、断熱材を選ぶ際には、水に強いなどの特徴を持っているかどうかを確認することが大切です。どんな断熱材が適しているのか、しっかりと情報を集めて、最適な商品を選びましょう。

※当ページのコンテンツや情報において、カインズリフォームでは、取り扱いが異なる場合がございます。

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