冬が近づいてくると気になってくるのが、室内の寒さ対策です。しかし、暖房をつけても暖まりにくい、または、暖房器具に頼りすぎると電気代が気になるという場合も多くあります。寒さ対策で、とくに気をつけておきたい場所が窓です。
この記事では、いますぐできる窓の寒さ対策を8つ紹介します。また、賃貸でもできるDIY方法や、持ち家向けの窓の寒さ対策、窓以外にできる寒さ対策について解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

寒さ対策には窓の断熱性と気密性を見直そう

寒くなってくると、外の冷気が窓や壁などを冷やして室内までも冷やしてしまいます。その中でも、とくに注意したい場所が窓です。窓自体が非常に冷えやすい理由は、直接外気に触れる部分であるためです。
また、暖房などで暖められた空気の多くは、窓から流出してしまいます。流出のおよそ60%は窓からとされており、窓対策を疎かにしていると、いつまで経っても暖まらない状態となるのです。そのため、寒さ対策においてまずは、窓を見直すことがもっとも重要な対策になります。室内の寒さをどうにかしたいと考えている場合には、窓の断熱性と機密性を重視することがとくに大切です。

簡単にできる窓の寒さ対策8選

室内の冷えは、ちょっとした工夫や、寒さ対策グッズの活用で改善できるかもしれません。まずは、いますぐ取り組める寒さ対策を8つ紹介します。
暖房器具の置き場所を変える
室内の寒さが気になる場合、暖房器具の置き場所を見直してみてください。ストーブやファンヒーターなどは、窓に向かって温かい空気が出るように設置すると効果的です。窓近くには外気で冷やされた空気が溜まっていて、室内が冷える原因になっています。そこで窓近くに暖房器具を設置すると、部屋全体に温かい空気が循環して寒さが和らぐと言われています。
ただし、暖房器具の吹出口がカーテンに触れるような位置に設置すると、火災の原因になるので要注意です。暖房器具がエアコンのみの場合は、ストーブやファンヒーターなどの置き型の暖房器具との併用をおすすめします。
断熱カーテンや厚手のものにする
カーテンを厚手にしたり、断熱カーテンにしたりすることで室内の断熱効果が高まります。遮熱断熱カーテンであれば、一般的なカーテンよりも生地が厚く、樹脂コーティングなどの特殊な加工がなされており、開け閉めもスムーズで操作がしやすいです。冷たい空気は足元から入ってくるため、断熱カーテンなどを取り付ける際は長さにも気をつけましょう。裾を10〜15cm床に垂らし、隙間を作らないようにすることがポイントです。この方法であれば、日差しのカットにもなるため、夏場のエアコン使用時にも効果が出ます。また、いまあるカーテンをそのまま使用したい場合は、取り付けや取り外しが簡単な、後付け裏地がおすすめです。
カーテンライナーを取り付ける
カーテンライナーは、いま使用しているカーテンにプラスすることのできるビニール製のカーテンのことです。透明なため、カーテンを開けて昼間に使用する際も室内が暗くならない特徴があります。光を入れつつ、寒さ対策ができるアイテムの一つです。
さらに、取り付けの際に丈を10〜15cmほど長めにしておくと、足元から外気が伝わりにくくなり寒さ対策ができます。カーテンフックやカーテンレールに取り付けるだけで、付け外しを簡単に行えるアイテムで使いやすいです。また、防カビ・抗菌加工が施されているため、結露を気にすることなく使用ができる点も安心できるポイントです。
窓ガラスとサッシの隙間を塞ぐ
室内の寒さが気になるうえ、窓ガラスや網戸がスムーズに開閉できない場合は、窓とサッシの隙間から冷たい外気が流れ込んでいるかもしれません。そうした隙間風は、隙間テープで塞ぐことが可能です。「隙間テープ」「シーリングテープ」などの名称で販売されていて、ホームセンターや100均などで手軽に購入できます。隙間テープには弾力性のある「スポンジタイプ」と起毛素材の「毛付きタイプ(モヘアタイプ)」の2種類があり、一般的なのはスポンジタイプです。
隙間テープを貼る際は、まずサッシや窓をしっかり掃除しましょう。ホコリや汚れの上から貼ってしまうと、粘着力が弱まるためです。次に短く切ったテープを試しに貼って、窓を開閉しても引っかからないか確認してみてください。問題なさそうであれば、サッシと窓の隙間を塞ぐ位置に貼り、数時間放置していれば接着します。
断熱シートを貼る
防寒対策の定番といえるものに断熱シートがあります。窓専用の断熱シートは、緩衝材の”プチプチ”のように分厚い空気層があるシートで、非常に高い断熱効果を発揮します。ただし、自宅の窓が網入りガラスや二重ガラスなどの場合、断熱シートを貼ると温度変化により熱割れが起きる可能性もあるため使用を避けてください。
取り付けも水に濡らして貼るだけで簡単にできるため、さほど難しくありません。窓ガラスの大きさに合わせてシートをカットして、霧吹きをした窓に貼りつけて手で軽く押さえれば、設置完了です。凹凸のあるガラスでも、両面テープなどを使って貼りつけられます。
緩衝材を貼る
梱包資材としてよく使用されているプチプチを、断熱シートとして代用することも可能です。緩衝材を窓に貼ることで、窓と室内に空気の層を作り、外気を入れず室内の暖かい空気を逃さない役割があります。そのため、しっかりと断熱の役割を果たしてくれる緩衝材です。さらに、全体的にコストもかからず手軽なため気軽に対策ができます。使用する場合、開け閉めをよくしない窓であれば、気密性を高めるために全体を覆うことがおすすめです。
ハニカムシェードにする
ハニカムシェードとは、断面の形状がハニカム(蜂の巣)の構造になっている特殊な形のスクリーンのことです。窓と室内の間に空気の層ができるため、断熱性が非常に高いスクリーンです。賃貸でも、専用の金具を使用することでカーテンレールへの取り付けが可能なため、手軽に設置が可能です。カーテンのようにもたついておらず、すっきりとシンプルな印象になるため、おしゃれな部屋にしたい場合などにおすすめしたい対策法です。
内窓(二重窓)をDIYする
内窓を設置して二重窓にすることで、窓と室内に空気の層ができ、室内の断熱性を高めてくれます。工具を使わなくても、断熱性の高い素材を立てかけたり、貼りつけたりするだけで、寒さ対策効果が期待できます。内窓に使う素材は、プラスチック製の段ボールであるプラダンや、発泡プラスチックでできているスタイロフォームなどが代表的です。どちらもホームセンターなどで安価で販売されているため、手軽に寒さ対策できます。
また、ホームセンターや通販などで販売されている「内窓作成キット」を使う方法もあります。また、窓の大きさによっては、100均のフォトフレームを使用して格子状の内窓を作成することも可能です。素材を立てかけるだけよりも見栄えがよくなるため、インテリアにこだわる人にはとくにおすすめの寒さ対策です。

賃貸OK!DIYで内窓(二重窓)を設置する方法

DIYで内窓を作る方法を2パターン紹介します。どちらも壁に穴を開けずに内窓を作る方法ですので、賃貸でも問題なく設置可能です。
【初心者向け】プラダンやスタイロフォームを使う方法
プラダンやスタイロフォームなどのパネルは窓に立てかけるだけでも寒さ対策効果がありますが、レールつけて引違い窓にすると見栄えや利便性も向上します。ここでは、パネルを使って引き違いの内窓を作る方法を紹介します。
<用意するもの>
- パネル(プラダンもしくはスタイロフォームなど)
- レール(※内窓作成キットを活用すると便利)
- 工具(ノコギリ、カッター)
- メジャー
- 両面テープ
<設置方法>
- メジャーで窓枠の長さを採寸します。
- ノコギリを使って、窓枠に合わせてレールとパネルのサイズを調整します。上枠・下枠のレールは窓枠いっぱいのサイズに、たて枠のレールは上下のレール分短くなるよう揃えるのがポイントです。
- 両面テープでレールを窓枠に貼りつけ、パネルをはめると完成です。
【中級者向け】フォトフレームを使って格子状の内窓を作る方法
フォトフレームを活用して、おしゃれな引違いの内窓を作ることもできます。十分な耐久性を実現するためには技術が必要ですが、窓枠に穴を開けずに作れるため、賃貸物件にお住まいの方もチャレンジしてみてください。
<用意するもの>
- フォトフレーム
- 木材(貼り合わせたフォトフレームを囲う用+レール用)
- 突っ張り柱用のアジャスター
- パネル
- 取っ手
- 金具(ビス・蝶番)
- 工具(ノコギリ、カッター、電動ドライバー)
- メジャー
- 木工用接着剤
- 両面テープ
<設置方法>
- フォトフレームの台紙を抑える金具をペンチで取り外したうえで、接着剤で他のフォトフレームと貼りつけます。
- カットした木材を、フレームを囲うように貼りつけ、接着剤とビスで留めてください。
- フォトフレームで作った窓に、両面テープもしくはビスを使ってパネルと取っ手を貼りつけます。
- レールのたて枠にアジャスターを取り付けたうえで、蝶番で窓を取り付けます。
- レールの上枠・下枠は両面テープで窓に取り付け、たて枠はアジャスターで高さを調整しながら設置したら完成です。

窓以外にもしておきたい寒さ対策

室内の寒さ対策には、窓以外でもできることが数多くあります。窓の寒さ対策をすることで大幅に改善できますが、それでもまだ気になるようであれば他の対策も合わせて行うと良いでしょう。
ドアなどの隙間を防ぐ
ドアの下は、少しの隙間が開いています。冷たい空気は、このような隙間から入り込むため、いくら暖房をかけても暖まらないことがあるのです。また、冷気は下の方に溜まるため、隙間を防ぐ対策をしなければずっと冷たい空気が溜まったままになってしまいます。隙間テープなどを貼ることで、冷たい空気の侵入を防げるため寒さ対策になります。
床からの冷気を遮断する
冷たい空気は床下からも入ってきます。とくに1階の場合は、床が冷たくなりやすく冬場は対策が必要です。床からの冷気を遮断するには、断熱効果のあるアルミシートやコルクボードを敷くことで抑えることが可能です。厚みもさまざまありますが、あまり厚いとつまずいてしまうこともあるため注意してください。単体でも効果はありますが、カーペットなどと併用するとさらに効果が高まります。
寒さだけでなく結露対策も重要
寒さ対策をして室内が暖かくなると、窓に結露が発生しやすくなります。結露によって窓ガラスにカビが発生すると、喘息の原因にもなるため注意が必要です。さらに、結露がフローリングや窓枠などに染み込むと、木材が劣化してしまいます。建物の強度が落ちたり、シロアリの発生原因になったりとさまざまな悪影響が生じるでしょう。
結露は、部屋の湿度管理や換気、結露防止グッズなどで防止可能です。窓の結露対策は以下の記事で詳しく紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
>>内部リンク:窓の結露にはどんな対策がある?結露が発生する原因や対策法を詳しく解説

持ち家なら窓リフォームもおすすめ!

持ち家に住んでいる方が、簡易的な寒さ対策ではあまり効果が実感できないときは、窓リフォームも検討してみてください。これまで紹介した対策と比べると費用はかかりますが、リフォーム後は快適な住環境を実現できる可能性が高いでしょう。
ここでは、窓リフォームのメリットを3つ紹介します。
断熱効果が高まる
窓の断熱リフォームでは、ガラス1枚からなる「単板ガラス」から、複数枚のガラスで作られた「複層ガラス(ペアガラス)」や「真空ガラス」への交換が行われます。複数枚のガラスからなる窓に交換することで、断熱効果が2〜4倍ほど高められると言われています。そのため、真冬でも暖房効果を高められ、寒さを感じる機会も減るでしょう。
また、断熱効果の高い窓は、熱が外に逃げないよう空気の出入りを抑える構造をしています。室内の空気が密閉されるため、熱だけでなく室内の音を遮る防音効果も期待できることも魅力です。
結露対策にもなる
断熱効果の高い複層ガラスの窓は、結露対策としても効果的です。単板ガラスと比較すると熱伝導率が低いため、結露の発生温度を下げる効果もあります。結露によるカビや木材の劣化なども防ぎやすくなるため、大切な家を長持ちさせるために効果的でしょう。複層ガラスの内部で結露が発生してしまうケースもありますが、その場合は不具合もしくは寿命を迎えているサインです。
国や自治体の補助金が使える
近年は国が窓断熱に力を入れていて、窓の断熱リフォームに関する補助金も数多く用意されています。代表的な補助金制度は、次の2つです。
最新の補助金制度や助成金額、申請方法については以下のページで詳しく紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
>>内部リンク:住宅省エネ2024キャンペーン

窓の断熱リフォーム方法
代表的な窓のリフォームは大きく分けて3つです。それぞれの特徴と、費用や日数の目安をご紹介します。
内窓を設置する
二重窓とも呼ばれている内窓は、現在ある窓に追加するだけで設置が可能です。二重になった窓は、間に空気の層を作り、室内の機密性や断熱性を向上させます。
さらに、防犯や防音対策にも優れています。そのため、いままでは北海道などの寒さが厳しい地域で主に取り付けられていましたが、現在では全国で取り入れられているリフォームです。
費用相場は7万円〜となっており、工事時間は1日もかからず最短で1時間〜となっています。ただし、窓の大きさや設置場所の数によって異なるため、詳細はリフォーム会社へ確認をしてください。
外窓を設置する
外窓は、現在の窓をサッシごと取り外して、断熱性の高い窓に交換するリフォームのことです。窓枠はそのまま生かして、新たに窓を取り付けるため壁を壊す必要がありません。そのため、比較的簡単に行うことが可能です。寒さ対策をしつつも、すっきりとした窓を保ちたい方におすすめのリフォームです。
費用相場は5万円〜、工事時間は2時間程度で済みます。ただし、窓の大きさや設置場所の数によって異なるため、リフォーム会社へ詳細を確認してから検討してください。
断熱ガラスに変える
現在の窓のサッシを残して、窓ガラスのみを取り替える方法です。複層ガラスやペアガラスと呼ばれるものは断熱性が非常に高く、外気を寄せ付けません。内窓のように見た目も変更しないため、室内の雰囲気を変更したくない方におすすめのリフォームです。
費用相場は5万円〜で、ガラスの種類によって価格に幅が出ます。工事時間は最短で30分ほどとなっており、時間がかからない特徴があります。窓の大きさなどにより、費用も時間も異なってくるため、詳細はリフォーム会社へ確認してください。

窓の断熱リフォームをする際の注意点
窓の断熱リフォームを検討するうえで、事前に理解していきたいポイントを2つ紹介します。
マンションでの窓リフォームは管理組合の許可が必要
集合住宅の場合、窓やベランダも共用部とみなされるケースが一般的です。同じく共用部である廊下や階段を勝手にリフォームできないのと同様に、住民個人の判断ではリフォームできないケースが多くなっています。ただし、マンションでは修繕計画に窓の断熱リフォームが組み込まれている可能性もあります。管理組合が作成した長期修繕計画を確認してみてください。窓断熱に関する項目がなかった場合は、理事会や管理会社に相談して計画の見直しを打診すると良いでしょう。
補助金を申請できる業者は限られている
窓の断熱リフォームに使える「子育てエコホーム支援事業」や「先進的窓リノベ事業」などの補助金制度では、補助金を申請できるのは事前に登録を済ませたリフォーム会社のみです。そのため、リフォーム会社選びの際に、補助金の給付対象にあたるかどうかにも着目しておくと良いでしょう。

まとめ
窓は、もっとも室内の熱を逃してしまう場所です。寒さ対策をする際には、まず窓から行うことが重要です。まずは手軽にできるものを試してみてください。効果を感じられなければ、賃貸ではDIYによる内窓の設置、持ち家では本格的なリフォームを検討するのをおすすめします。窓の寒さ対策をしっかり行い、快適な冬を過ごしましょう。

※当ページのコンテンツや情報において、カインズリフォームでは、取り扱いが異なる場合がございます。