窓ガラスやサッシには、断熱性や防音・防犯、結露防止など、さまざまな機能を持つものがあります。窓ガラスやサッシに劣化や破損が見られたら、機能性の高い製品へと交換するのがおすすめです。交換費用は素材などによって変動するため、それぞれの窓・サッシの特徴を押さえておきましょう。この記事では、窓・サッシを交換するタイミング、施工方法、窓・窓ガラス・サッシの種類別の特徴と交換費用、交換の際の注意点について紹介します。

窓・サッシを交換するタイミング

窓やサッシの寿命は素材によって変動しますが、おおよそ20~30年と言われています。年月の経った窓・サッシは、ひび割れ、腐食・サビ、結露・カビなど、さまざまな症状を引き起こします。放置すると別のリスクを招くこともあるため、早めに交換するようにしましょう。
台風や地震で窓ガラスが破損した
自然災害によって窓ガラスが割れてしまった場合、早急に交換してください。ダンボールなどで応急措置をしたとしても、外気を完全には遮断できないため、夏や冬は室内環境に大きく影響します。また、割れたまま放置していると、空き巣のリスクも高まると言われています。この考えは「割れ窓理論」とも呼ばれていて、割れた窓にたいして注意が払われていないことで、空き巣に入る心理的なハードルが高まることが理由です。
自然災害が原因で破損した場合、火災保険の補償対象である可能性も高いでしょう。そのため、まずは加入している保険の補償内容を確認してください。
窓ガラスにひび割れがある
窓ガラスのひびを放置すると、台風や地震などの衝撃で窓ガラスが割れ、事故につながる可能性があります。少しのひび割れでも、次第に進行して範囲が広がるため、早めに交換しましょう。
ひび割れはとくに網入りガラスで起こりやすく、ガラス内の金属がさびることで発生します。また、ガラスが直射日光を浴びて膨張し、日光が当たらないサッシ内の部分との温度差で熱割れすることもあります。
腐食やサビなどでサッシが劣化している
腐食やサビなどでサッシが劣化すると、窓の開閉がスムーズにできなかったり、すき間風が入ってきたりします。断熱性や気密性、遮音性も下がるため、早めにサッシを取り替えるようにしましょう。
サッシの劣化を放置すると、窓ガラスの割れにつながったり、サッシが変形して窓が開かなくなったりするリスクもあります。
窓からすき間風が入ってくる
窓からのすき間風が気になる場合、サッシが劣化している可能性が高いでしょう。冷暖房効率も悪くなるため、電気代節約のためにも早めに直しておきましょう。すき間風の原因は、サッシの補修のみで対応できるケースもありますが、サッシごと取り替える必要があるケースも考えられます。
結露やカビが発生している
結露がひどくカビが発生する、窓の近くが寒いなどの症状が見られる場合は、窓ガラスやサッシを見直した方がよいでしょう。とくにカビは、繁殖すると健康被害にもつながる危険があります。
窓ガラスもサッシも、断熱・遮熱効果があるなど、高機能が備わったものがあります。結露やカビが発生しにくいものもあるため、新しく取り替えることでお手入れも楽になるでしょう。

窓・サッシを交換するメリット

窓ガラスやサッシを交換することで、現時点で発生している不具合を解消するだけでなく、以前よりも暮らしの快適さを向上する効果もあります。
断熱・遮熱効果
最新の窓やサッシは、機能性に優れた商品が数多くあります。なかでも、冬に屋内の暖かい空気が外に逃げるのを防ぐ「断熱効果」や、夏に暑い外気の影響を抑える「遮熱効果」の高い商品が人気です。断熱・遮熱効果のある窓やサッシに交換することで、暖房や冷房が効きやすくなるので、省エネ効果も期待できるでしょう。
結露対策
冬になると、窓ガラスに結露が発生して悩んでいる方も多いでしょう。結露が原因は、外気によって窓ガラスが冷やされることです。ガラス1枚のみからなる単板ガラスは、外気の影響を受けやすいため外気の影響を受けやすく、結露の原因にもなっています。単板ガラスをガラス複数枚からなる複層ガラスに交換することで、結露の防止効果も期待できるでしょう。
プライバシー保護
断熱・遮熱効果が高い窓であれば、室内の空気を密閉するため、家の中の音が近隣に漏れづらくなります。また、ガラスの種類によっては外からの視線を遮る製品もあります。道路に面した窓を不透視性の高いガラスに交換することで、家の中を覗かれるリスクが下がるでしょう。音も視線も遮ることで、家族のプライバシーを守りやすくなります。

窓・サッシ交換の施工方法別の費用

サッシ・窓全体の交換方法には、はつり工法とカバー工法の2種類があります。施工方法によって費用相場やメリットが異なるため、2つの施工方法の違いを確認しておきましょう。
はつり工法
はつり工法は、サッシの周囲を切断して既存のサッシを撤去し、新しいサッシを取りつける工法です。窓の大きさやタイプを変更したい、もとの窓に雨戸がついているなどのケースは、はつり工法で工事します。
はつり工法は、もとの窓と同じ大きさの開口部を確保できるのがメリットです。ただし、壁を壊す大規模な工事になるため、費用は高くなります。
窓の大きさごとの工事費用は、以下の通りです。
- 小窓(70×90cm):8~15万円
- 腰窓(170×120cm):15~30万円
- 掃き出し窓(170×180cm):20~40万円
カバー工法
カバー工法は、既存のサッシはそのままに、新しいサッシを上から被せる工法です。大掛かりな工事が不要で、施工時間も数時間程度で済みます。
工事中の騒音が最小限に抑えられ、費用が安いのがメリットです。ただし、開口部は既存の窓よりも小さくなります。
窓の大きさごとの工事費用は、以下の通りです。
- 小窓(70×90cm):4~6万円
- 腰窓(170×120cm):6~10万円
- 掃き出し窓(170×180cm):8~12万円

窓の種類と交換費用

窓の交換にかかる費用は、窓タイプによって異なります。ここでは、窓の種類と特徴、費用相場、メリット・デメリットについて紹介します。
引き違い窓
引き違い窓は、2枚の窓を左右に開閉できるタイプの窓です。左右どちらからも出入りができ、採光面積が広いのが特徴です。費用相場は3~50万円ほどと幅広くなっています。
普及率が高く、比較的安価で設置できるメリットがあります。窓の開閉具合を調節できるため、使い勝手がよいでしょう。ただし、気密性が低く、デザイン性があまりないのがデメリットです。窓の上部や外側は、掃除がしにくい面もあります。
上げ下げ窓
上げ下げ窓は、2枚の窓を上下に開閉できるタイプの窓です。2枚とも動くタイプと、片方だけ動くタイプの2種類があります。費用相場は10~18万円です。
防犯性に優れ、2枚とも動くタイプは通気性に優れています。一方で、窓の開け閉めがしにくく、外面の掃除が大変なのがデメリットです。
ルーバー窓
ルーバー窓は、羽状になったガラスをハンドル操作で回転させて開閉するタイプの窓です。トイレや浴室によく使用され、開く角度を調整すればプライバシーを守れます。費用相場は7~13万円です。
ルーバー窓は、窓を開けていても雨が入りにくいメリットがあります。ただし、ガラスを簡単に取り外せるため、防犯性には劣ります。防犯性を損なわないように、面格子と組み合わせるのがよいでしょう。
天窓
天窓は、天井につける採光用の窓です。費用相場は15~45万円ほどですが、施工方法や足場の有無によって費用が変動します。
採光量は壁に設置した窓の3倍であり、開放感があります。夜は室内から星空や月を眺められるでしょう。デメリットは、夏は暑くなりやすく、経年劣化で雨漏りになるリスクがあることです。
出窓
出窓は、建物の壁から外に飛び出してつくられた窓です。室内の空間に奥行きが出て、部屋が広くなったように感じる特徴があります。費用相場は20~50万円です。
出窓のスペースはインテリアや植物を飾るなど、さまざまな使い方ができます。ただし、外気の影響を受けやすいため、夏は熱がこもり、冬は結露が発生しやすいというデメリットがあります。

窓ガラスの種類と交換費用
窓ガラスには、熱に強いもの、割れにくいものなど、さまざまな種類があります。高機能なものほど、交換費用が高い傾向にあります。窓ガラスの種類と特徴を知って、暮らしやすくなる窓ガラスを選択しましょう。
フロートガラス
フロートガラスはもっとも普及しており、薄くて歪みのない平らなガラスです。透明度が高く採光性に優れており、価格も安いというメリットがあります。交換費用は、90cm×90cmサイズで1枚につき約0.8~2万円程度です。
網入りガラス
網入りガラスは、飛散防止のために金属製の網が入っているガラスです。熱に強く、火災で火が燃え広がるのを防ぐという特徴があります。ガソリンスタンドや飲食店などでよく取り入れられています。防火用のため価格がやや高く、交換費用は90cm×90cmサイズで1枚につき2~3.5万円です。
複層ガラス
複層ガラスは、複数枚のガラスを重ねてつくられており、ガラスとガラスの間に乾燥空気やアルゴンガスを充填しているのが特徴のガラスです。夏場は遮熱効果、冬場は断熱効果が期待できます。結露対策や紫外線対策をしたい場合におすすめです。交換費用は、1枚につき3~5万円ほどとなっています。
Low-E複層ガラス
Low-E複層ガラスは、複層ガラスにLow-E属膜をコーティングしたガラスです。Low-Eとは低放射という意味で、Low-E複層ガラスは熱が伝わりにくく、遠赤外線を反射するという特徴を持ちます。通常の複層ガラスよりも断熱効果・遮熱効果が高く、外気によって室温が変化しにくいのがメリットです。交換費用は1枚につき3~6万円ほどとなっています。
真空ガラス
真空ガラスとは、2枚のガラスの間に真空層をつくることで、高い断熱効果と結露防止効果を実現している窓ガラスです。魔法瓶のように熱伝導を防げるため、一般的な複層ガラスよりもさらに高い断熱性能を期待できます。交換費用は1枚2.5〜10万円ほどが目安です。
強化ガラス
強化ガラスは、フロートガラスを熱処理したあと、素早く冷却したガラスです。フロートガラスに比べて3~5倍の強度があります。強化ガラスは割れても細かく砕け散るため、安全に後処理できます。交換費用は、1枚につき4~5万円ほどです。
防音ガラス
防音ガラスは、2枚のガラスの間に防音特殊フィルムを入れたガラスです。高音域から低音域まで幅広くカバーでき、遮音性に優れています。騒音に悩んでいる、楽器を演奏するなどの場合は、防音ガラスを取り入れるとよいでしょう。交換費用は1枚につき6~10万円ほどです。
防犯ガラス
防犯ガラスは、複数枚のガラスの間に特殊中間膜(防犯膜)を封入したガラスです。衝撃に強くてガラスが割れにくく、万が一ガラスが割れても飛散しません。ドライバーなどで衝撃を加えて破壊する打ち破りなどの手口には、効果的な防犯対策になります。交換費用は1枚につき6~10万円ほどです。

サッシの種類と交換費用

サッシには、アルミ・樹脂・木製・複合の4種類があります。サッシを交換するだけで、部屋の雰囲気を変えることも可能です。素材によって機能性も異なるため、特徴をよく確認しておきましょう。
アルミサッシ
アルミサッシは軽量で耐久性が高く、腐食しにくいのが特徴のサッシです。加工しやすいことから、一般的に広く普及しています。交換費用は8~25万円ほどです。
熱伝導率が高いため、断熱性に劣り、結露が発生しやすいデメリットがあります。冬場は外気の影響で室温を保ちにくいでしょう。
樹脂サッシ
樹脂サッシは塩化ビニル樹脂でできており、断熱性・気密性が高いサッシです。結露を防ぎ、カビやダニも発生しにくい特徴があります。北海道や東北など、寒い地域で導入されることが多いサッシです。交換費用は6~15万円ほどとなっています。
腐食が起こりにくく、お手入れが楽になるのがメリットです。デザインやカラーも豊富で、室内の壁や床と合うサッシが見つけやすいでしょう。ただし、アルミより強度が弱く、強度を増すためにサッシが分厚くなります。
木製サッシ
木製サッシは断熱性が高く、温もりのある風合いが特徴です。交換費用は5~12万円程度となっています。
肌ざわりのよい質感と美しい見た目から、人気が高まっています。腐食や摩耗に弱いため、木製サッシを選ぶ場合は定期的にメンテナンスしましょう。劣化を放置すると、雨水が入り込んでサッシの寿命がさらに短くなる可能性があります。
複合サッシ
複合サッシは、アルミ・樹脂・木材など、複数の素材を組み合わせたサッシです。組み合わせる素材によって価格が変動しますが、交換費用は6~15万円ほどとなっています。
部屋の内側と外側で素材を変えられるため、素材の持つ欠点を補いやすいのがメリットです。

窓・サッシ交換の注意点
マンションに住んでいる場合は、窓・サッシ交換ができない場合があります。また、インテリアとサッシのデザインが合わず、後悔するケースもあるため注意が必要です。
ここでは、窓・サッシ交換をする際に気をつければならない点を詳しく解説します。
マンションの場合は交換可能か確認する
マンションに住んでいて窓・サッシを交換したいと考えている場合は、事前にマンション管理規約を見て交換可能か確認しましょう。窓・サッシが共有部分とされている場合は、交換できないケースがほとんどです。窓ガラスの交換であれば可能なこともありますが、複層ガラスなど、フロートガラスよりも厚みのあるものは、既存のサッシにはめられないこともあります。
窓・サッシが専有部分のマンションなら交換可能です。施工方法がはつり工法の場合は、ホコリや騒音が発生して近所迷惑になるため、事前に近隣の住民に工事のことを周知しておきましょう。
インテリアとのバランスを考える
窓やサッシの特徴をよく確認せず価格だけで決めてしまうと、施工後に窓と周囲のインテリアのバランスが悪くなることがあります。失敗を防ぐために、質感や色を確認し、部屋の雰囲気を損なわないかどうか考慮して決めることが大切です。

まとめ
窓やサッシに劣化の症状が見られる場合は、交換を検討しましょう。窓・窓ガラス・サッシにはそれぞれ複数の種類があり、メリット・デメリットや価格が異なります。機能性が備わったものも多いため、悩みを解消してくれるような窓・サッシを選ぶのがおすすめです。

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