冬用のタイヤやスペアタイヤを用意するには、タイヤの置き場所を確保する必要があります。なかには「屋外に積んで保管しているが、倉庫や収納庫を用意したほうがいいのだろうか」と気になる方もいるでしょう。タイヤは保管状態が悪いと、劣化して安全に走行できない可能性があります。そのため、正しい保管方法を理解しておくことが大切です。
そこでこの記事では、タイヤの最適な保管方法や保管前の準備について解説します。また、タイヤの保管に使える便利グッズや、収納するための倉庫の選び方も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

タイヤの保管場所で気をつけるべきポイントとは?
タイヤの保管場所を決める際、どのようなことを意識すべきなのでしょうか。ここでは、タイヤの保管場所を選ぶときのポイントについて解説します。
(1)直射日光が当たらないようにする
タイヤにとって、直射日光は天敵です。日差しに含まれる紫外線によって、ゴムが化学反応を起こしてしまい、タイヤの表面にひび割れ(クラック)が発生することもあります。ひび割れが深くなり、タイヤ内部の素材まで達してしまうと、最悪の場合には破裂が生じることもあるのです。そのため、タイヤを保管する際には直射日光の当たらない場所で保管するようにしましょう。紫外線対策としては、タイヤカバーを活用するのも有効です。
(2)雨や湿気を防ぐ
雨や湿気のような「水分」も、タイヤの劣化を進めてしまう原因です。タイヤが水に濡れることで、「加水分解」という現象が起き、ゴムの強度を弱めてしまいます。また、水分がタイヤの内部まで浸透すると、「スチールコード」という金属素材に錆(さび)が生じる可能性もあるでしょう。そのため、タイヤを保管する際は、雨や雪の当たらない場所を選ぶことが大切です。また、湿気を避けるために、通気性の高さも確保する必要があります。
(3)火花・油・オゾンの近くに置かない
オゾンという物質も、タイヤに悪影響を及ぼします。オゾンとゴムが化学反応を起こすと、分子レベルで切断が生じてしまい、タイヤの表面にヒビが発生してしまうのです。とくにエアコンの室外機やバッテリー機器の近くはオゾンが発生しやすいため、保管する際は避けるようにしましょう。また、火や油もタイヤを劣化させる原因になります。そのため、「コンセントの近く」や「油を使う場所」は避けて、タイヤを保管することが大切です。

タイヤは屋内(家や倉庫)で保管すべき?

タイヤを屋内・屋外のどちらで保管すべきか、迷っている方も多いかもしれません。ここでは、タイヤの最適な保管場所について解説します。
屋内(家や倉庫)で保管するのがベスト
タイヤは、雨や湿気、直射日光といった気候の影響を受けやすいのが特徴です。だからこそ、タイヤは家や倉庫などの屋内(冷暗所)で保管するのがベストといえるでしょう。しかし、家の中でタイヤを保存する場合、「置く場所がない」「臭いが室内にこもってしまう」という問題が発生することもあります。そのため、最適なのは、庭や屋外の空いたスペースにタイヤ用の倉庫(物置・収納庫)を設置することです。倉庫の中でタイヤを保管することで、気候やオゾンの影響によるひび割れを防げるうえ、タイヤの寿命も延ばしやすくなります。
万が一屋外で保管する場合の対策とは?
どうしても倉庫を設置する場所がなく、屋外でタイヤを保管しなければいけないケースもあるでしょう。その場合は軒下やカーポートをはじめ、直射日光や雨の当たらない場所を選ぶことが大切です。加えて、遮熱性・防水性の高いタイヤカバーをかけておくと、日差しや雨を避けやすくなります。また、タイヤを地面に直接置くと、土や草の湿気を吸ってしまう可能性が高くなります。そのため、地面にすのこを敷いてから、その上にタイヤを置くようにしましょう。あるいは、タイヤラックのような保管グッズを活用することで、保存状態も良くなります。

タイヤの保管に使える便利グッズ
タイヤの保管場所が屋内でも屋外でも、タイヤラックやタイヤカバーなどを活用することで劣化を防ぎやすくなります。また、屋内に十分な保管スペースがない場合は、タイヤストッカーを設置するのもおすすめです。そうしたタイヤの保管に活用したいグッズを紹介します。
タイヤラック
タイヤラックとは、名称の通りタイヤ専用のラックです。横積みタイプと縦積みタイプがあり、さまざまなタイヤのサイズ、収納量に対応した商品がありますので、自宅にピッタリな物を選べます。横積みタイプであっても、下のタイヤにかかる負荷を軽減する構造をしているので、劣化防止に効果的です。
横積みタイプはタイヤ4つ分収納できる物が主流で、縦積みタイプはさまざまなサイズが販売されているのが特徴です。キャスター付きで小回りがきく商品もあれば、数台分のタイヤを収納可能な大型の物もあります。さらに、タイヤのサイズに合わせて軽自動車用(12〜13インチ)・普通車用(13〜15インチ)・SUV用(16〜18インチ)など製品が販売されていますので、自家用車に合ったサイズを選びましょう。
タイヤカバー
タイヤラックと併せて使いたいのが、タイヤカバーです。タイヤカバーには屋内向けと屋外向けがあり、屋外向けの物は遮光性や防水性に優れた素材が使われています。テント生地としても使われるポリエステル製の物がとくに耐久性に優れていて、表面がフッ素やポリウレタンで加工された物は防水性が高いでしょう。巾着のように紐で縛れるタイプもあれば、風で吹き飛ぶのも防げるのも魅力です。
サイズもさまざまで、1台分(4輪)をすっぽり覆う「フルカバー」と、1本ずつ小分けにする「1本用カバー」の2種類に分けられます。タイヤラックが横積みの場合はフルカバー、縦置きの場合は1本用がおすすめです。
タイヤストッカー
タイヤストッカーとは、小型の物置のような見た目をした、扉付きのタイヤ収納庫です。プラスチック製のコンテナタイプと、スチール製の物置タイプの2種類に分けられます。物置タイプは2〜3台分のタイヤを収納できる製品もあるため、雪の多いエリアに住んでいて家族が1人1台車を所持している家庭にもピッタリです。カインズ・リフォームがおすすめするタイヤストッカーは以下のページにまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
内部リンク>> タイヤストッカー

タイヤ用の倉庫(物置・収納庫)の選び方とは?

タイヤ用の倉庫(物置・収納庫)を選ぶ際は、どのような点に注目すべきなのでしょうか。ここでは、タイヤ用の倉庫の選び方について大きく3つのポイントで解説します。
【選び方1】収納する物・量で決める
倉庫を選ぶ際には、収納する物や量を検討することが大切です。タイヤだけを収納する場合は「タイヤストッカー」と呼ばれる小さめの倉庫で十分ですが、その他の物も収納したい場合は中~大型の倉庫が必要になります。タイヤ以外に収納する物としては、スキー板やゴルフバッグ、ポリタンク、ガーデニング用品、防災用品などがあげられるでしょう。こうした収納物のサイズを測ったうえで、倉庫の寸法・高さを決めることをおすすめします。「全収納物のサイズ+30%程度の空きスペース」を見込んでおくと、物の出し入れもしやすくなるでしょう。
【選び方2】間口の広さで決める
倉庫を選ぶうえで重要なのが、「間口寸法(扉を開いた部分の広さ)」です。間口寸法が広いほど、大きいタイヤを出し入れできるようになります。そのため、必ず倉庫のサイズを調べる際には、開口寸法も確かめましょう。
また、物の出し入れのしやすさは、扉のタイプによっても異なります。たとえば、扉がスライド式で横に開閉する「引き戸」は、扉の半分~3分の2程度しか開きません。扉が前後に開閉する「開き戸」は、扉が全開になるため物の出し入れもしやすくなります。タイヤの全幅・外径を測ったうえで、出し入れしやすい扉を選びましょう。
【選び方3】料金相場で決める
倉庫は大きさによって料金も異なります。予算の上限がある場合には、それに合わせて選ぶようにしましょう。参考までに、倉庫の平均的な本体価格は以下のようになっています(※メーカーや素材によっても異なります)。
◆タイヤストッカー(タイヤ4~8本のみ収納)……3万円~6万円
◆小型サイズ(幅150cm×奥行60cm×高さ100cm程度)……2万円~5万円
◆中型サイズ(幅200cm×奥行100cm×高さ150cm程度)……5万円~15万円
◆大型サイズ(幅400cm×奥行200cm×高さ200cm程度)……15万円~40万円
また、大きめの倉庫を設置する際は、転倒防止のために地面と倉庫をアンカーボルトでつなぎ止めます。この「アンカー工事」の費用は1万円~3万円程度が相場です。加えて、倉庫の搬入費がかかる場合もあります。ショップによっては「本体価格・工事費・搬入費」の合計金額で提示する場合もあるので、事前によく確認しましょう。

タイヤを倉庫へ保管する前の準備とは?
倉庫へ保管する前にタイヤをお手入れすることで、タイヤの寿命をより延ばすことが可能です。ここでは、タイヤを倉庫へ保管する前に行うべき準備について解説します。
(1)丁寧に水洗いする
使用後のタイヤには、泥やほこり、融雪剤(塩化カルシウム)、油などが付着している可能性があります。こうした汚れをそのままにしておくと、ゴムが化学反応を起こしてタイヤが劣化しかねません。そのため、タイヤを倉庫へ保管する前には、丁寧に水洗いするようにしましょう。なお、洗剤を使うと、洗剤内の成分がタイヤに残留してしまい、劣化の原因になることもあります。できるだけ洗剤は使わず、水洗いすることが重要です。どうしても落ちない汚れがある場合には、薄めた洗剤を使用し、必ず最後に水でよく洗い流すようにしましょう。
(2)十分に乾燥させておく
タイヤは水分に弱く、濡れたままでは内部の素材が錆びるケースもあります。また、水を含んだままでは、ゴムにカビが発生してしまう場合もあるでしょう。そのため、水洗いしたあとは十分に乾燥させてから倉庫へ保管することが大切です。保管前に「タイヤワックス」を塗ってしまうと、長期間のあいだタイヤに化学物質が付着した状態になります。ひび割れの原因になることもあるため、保管前の使用は極力避けることをおすすめします。
(3)空気を抜いておく
タイヤをホイール付きで保管する場合には、タイヤ内の空気を抜いておくことも大切です。空気が入ったまま保管してしまうと、タイヤ内の素材に負担がかかり、表面や内部に亀裂が入りやすくなってしまいます。そのため、できるだけ空気圧は指定値の半分程度(1~1.5kPaが目安)まで下げてから倉庫へ保管するようにしましょう。

タイヤを倉庫に保管する際の積み方とは?

タイヤを倉庫へ保管する方法(積み方)は、「ホイール付き」「ホイールなし」によって異なります。ここでは、タイヤを倉庫に保管する際の2パターンの積み方について解説します。
ホイール付きの場合「横積み」
ホイール付きでタイヤを倉庫に保管する場合、縦(車に装着するときと同じ向き)に置いてしまうと、地面と接する部分に負担がかかります。その状態のまま長期間保管すると、ひび割れや劣化の原因になることもあります。そのため、ホイール付きのタイヤは、寝せた状態にしてから上に積み重ねていく「横積み」で保管するようにしましょう。また、いちばん下のタイヤを床に直接置くと、タイヤ内部の薬品が床に付着してしまうことがあります。こうした色移りを防ぐには、すのこや段ボールなどを敷いてからタイヤを積むと効果的です。
ホイールなしの場合「縦置き」または「横積み」
ホイールなしのタイヤを保管する際は、接地面への負担も少ないと考えられるため、「縦置き」「横積み」のどちらでも問題ありません。ただし、横積みの際と同様に縦置きの場合も、タイヤが床と直に接すると色移りしてしまう可能性があります。そのため、タイヤと床が接する面には、すのこや段ボールを敷いておくとよいでしょう。

保管していたタイヤを自分でつけ替える場合の注意点
自宅で保管していたタイヤを自分でつけ替える場合、事故を防ぐために細心の注意が必要です。もしもの事態を防ぐために、保管中や交換時にチェックしたいポイントを紹介します。
保管中の湿気に気をつける
タイヤカバーを活用したり、物置や倉庫で保管したりする場合は、湿度に注意してください。耐久性の高いタイヤカバーや、人の出入りが少ない保管庫は湿気がこもりやすく、タイヤが劣化する原因になります。保管中も定期的に換気することで、湿気による悪影響を防ぎやすくなり、タイヤが長持ちするでしょう。
交換前には表面の状態や空気圧を確認
自分でタイヤを交換する場合は、作業前にタイヤの状態をしっかり点検してください。目視で表面にひび割れがないかを確認し、溝の深さが十分にあるかを測って、問題なければ交換作業に移りましょう。空気を補充するときは、車の説明書を見て走行前の空気圧の目安を確認したうえで作業してください。確認を怠ると、事故のリスクが高まるので要注意です。
交換後は公道に出る前に試運転
タイヤ交換が完了したら、可能であればいきなり公道に出るのではなく、敷地内で試運転してみてください。異音や違和感がないかを確認し。問題があれば使用を中止しましょう。自宅での交換作業に不安がある場合は、タイヤ専門店やガソリンスタンドのタイヤ交換サービスを利用するのがおすすめです。

まとめ
タイヤ用の倉庫を用意することで、直射日光や雨などからタイヤを守り、より良好な状態で保管できます。その結果、タイヤの寿命を延ばし、日々の安全走行にもつなげられるでしょう。
なお、タイヤ用の倉庫を選ぶ際には、サイズや間口の広さなどを十分に検討することが大切です。ホームセンターの専門スタッフに相談すると、各メーカーの特徴やメリットなど教えてもらえます。専門的なアドバイスを受けることで、より最適な倉庫を選びやすくなるでしょう。
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