サイクルポートの設置を検討するとき、自転車を良い状態で保管するためにどのようなサイクルポートを選び、どこに設置するのが良いのか知っておく必要があります。何となく適当にサイクルポートを選んでしまうと、大切な自転車が損傷したり劣化を早めたりすることになりかねません。この記事では、サイクルポートの設置でよくある失敗例を紹介します。
そして、失敗例を踏まえた上で自転車を長持ちさせるサイクルポートの設置方法、サイクルポートを設置するメリットについても詳しく解説します。
サイクルポートの設置でよくある失敗例

サイクルポートを設置する際によくある失敗例には、次のようなものがあります。
- そもそもスペースを確保していない
- サイズが合っていない
- 簡易的に設置したため劣化が早い
- 道路から離れた場所に設置した
- カーポートの車の隣に自転車を置いた
- 屋根があっても雨で濡れる
そもそもスペースを確保していない
家を新築する際に、自転車を置くスペースをそもそも確保していないということはよくあります。家の間取りや最低限の外構計画で手一杯になったり、駐輪スペースまで予算が回らなかったりして、後回しになってしまうケースです。結果的に、完成した外構に自転車を置くスペースを割り当てなければならないため、自転車の置き場所がなく雨ざらしになってしまうことがあります。
サイズが合っていない
自転車などの寸法を測らずにサイクルポートを設置してしまい、収納したい分が入りきらない、ゆとりがないために出し入れしづらいという失敗もあります。自転車だけでなくキックスケーターや三輪車、バイクなどを収納する場合も、あらかじめ寸法を測っておくことが大切です。
また、予算の都合などで実際に必要なサイズよりも小さいサイクルポートを設置したことで、自転車がサイクルポートからはみ出し雨で濡れてしまうというケースもあります。ギリギリのサイズよりも、少々ゆとりのあるサイズが理想的です。
簡易的に設置したため劣化が早い
簡易的なサイクルポートは安価で設置も簡単にですが、耐久性は高くありません。劣化が早く穴が開いたり錆びてしまったりして、機能を果たさなくなり、早々に買い替えが必要になる場合もあります。安価なタイプを買い替えると、結果的に費用が高くついてしまう場合もあるため、注意しましょう。
簡易的なタイプは自分で設置できるものも多くありますが、固定が十分でないと風の影響を受け近隣住宅に損害を与える場合もあります。また、簡易的なタイプは見た目が安っぽく見えるというデメリットもあります。
道路から離れた場所に設置した
道路から離れた場所にサイクルポートを設置すると、出し入れが不便です。特に通学や通勤で使用するなど、頻繁に使用する場合は、出し入れに時間がかかってしまい使いづらくなります。中には、使い勝手が悪いことで、せっかくある自転車も使わなくなってしまうというケースもあります。
狭い部分に自転車を置いておくと、出し入れする際に外壁を傷つけてしまうこともあるため、注意しましょう。また、段差がある場所ではスロープを設置するなど、スムーズに出入りできる環境を整えることが必要です。
カーポートの車の隣に自転車を置いた
カーポートに車と自転車を置いておく場合は、十分なゆとりを取り入れたサイズである必要があります。自転車が転倒した場合、車を傷つけることがあり、車の出入りもしづらくなります。
屋根があっても雨で濡れる
サイクルポートを設置して屋根もあるのに、自転車が雨で濡れてしまうというケースは多いでしょう。サイクルポートの屋根は、雨だけでなく、紫外線による劣化や夜露によるサビを防ぐ役割を果たしています。しかし、横からの雨は屋根だけでは防ぎきれない場合も多く、より効果的に雨を防ぐには、屋根の高さを低めにしたりサイドパネルを設置したりすることが必要になります。
サイクルポートの設置で失敗しない8つの方法

サイクルポートの設置でよくある失敗例を踏まえた上で、自転車を長持ちさせるために効果的な設置方法について解説します。失敗しないサイクルポートの設置方法は、次の8つです。
- 新築時にスペースを確保しておく
- 適切なサイズを選ぶ
- サイドパネル・サポート柱を設置する
- 道路に近く出し入れしやすい場所に設置する
- 耐久性の高いタイプを選ぶ
- 給湯器の近くに設置するのは避ける
- 盗難に備えて車輪止めバーを設置する
- 自転車が複数ある場合はサイクルラックを設置する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.新築時にスペースを確保しておく
自転車を置くスペースを確保するためには、家の新築と並行して外構計画を立て、敷地の配分やサイクルポートの設置場所をあらかじめ検討しておくのがベストです。後で外構のリフォームをすると、余分に費用もがかかってしまうケースもあるため、早い段階でスペースを確保しておくのが良いでしょう。
2.適切なサイズを選ぶ
保有する自転車が十分に収まるサイズのサイクルポートを選びましょう。自転車1台の大きさの目安は、幅60cm長さ190cmです。収納したい自転車の台数分のスペースと、自転車同士の間に20cm程度の間隔をとることを考慮しましょう。ギリギリのサイズよりも余裕があるサイズの方が雨にも濡れにくく、来客分の自転車も収納でき理想的です。また、設置予定の場所にサイクルポートが収まるか、敷地の面積も確認しておきましょう。
3.サイドパネル・サポート柱を設置する
サイクルポートの屋根だけでは、横からの雨で自転車が濡れてしまいがちです。3方向にサイドパネルを設置することで、雨除け効果が大幅にアップします。特に電動自転車を収納する場合は、サイドパネルの設置がおすすめです。また、台風などの強風からサイクルポートを守るために、サポート柱を設置しておくことも有効です。サポート柱には着脱式と固定式があるため、必要な時だけ設置することもできます。
4.道路に近く出し入れしやすい場所に設置する
サイクルポートは、できるだけ道路に近い場所に設置するのがおすすめです。自転車の出し入れに時間がかからず、家の外壁などに自転車をぶつける心配も少なくなります。自転車を毎日使用する場合は、特に道路までの距離を意識するのが良いでしょう。また、段差にはスロープを設置しておけば自転車に負担がからず使い勝手も良くなります。
5.耐久性の高いタイプを選ぶ
できるだけ耐久性の高いサイクルポートを選ぶことで、結果的にトータルコストを抑えられます。簡易的なサイクルポートは安価で購入できますが、耐久性が低いために、買い替えが必要になり費用がかさんでしまいます。耐久性があり風に対する強度が高いものを選ぶと、初期費用はかかりますが、長い間使用でき結果的にトータルコストを安く抑えられるでしょう。
6.給湯器の近くに設置するのは避ける
給湯器の近くには、サイクルポートや自転車を置かないよう注意しましょう。給湯器の排気口近くに可燃物を置くと、塗装が剥離したり、火災が発生したりする危険性があります。サイクルポートや自転車を設置する場合は、給湯器の排気口から基準値以上離して設置する必要があります。
7.盗難に備えて車輪止めバーを設置する
サイクルポートにオプションで車輪止めバーを設置することで、自転車の盗難被害を防止できます。サイクルポートの柱部分と自転車をチェーンタイプのカギでつなぐと、車体が屋根からはみ出してしまい、雨に濡れてしまいます。サイクルポートの前面下部分に車輪止めバーを設置し、そこにチェーンタイプのカギで自転車をつなげば、雨に濡れずに盗難防止もできます。
8.自転車が複数ある場合はサイクルラックを設置する
収納したい自転車の数が多い場合は、サイクルラックを設置するのが良いでしょう。サイクルラックとは、自転車のタイヤ部分を固定して駐輪できる設備です。サイクルラックを設置してタイヤ部分を固定することで自転車の転倒や強風による転倒を防止できます。段違い構造のサイクルラックなら、省スペースで複数台の自転車を整然と収納できます。
「サイクルポートは意味がない」は嘘!設置するメリット

サイクルポートを設置したのに、雨で自転車が濡れてしまうことを理由に「サイクルポートは意味がない」という声も一部では聞かれますが、サイクルポートには自転車を長持ちさせるさまざまなメリットがあります。サイクルポートを設置する主なメリットは、次の4つです。
- 雨・雪・夜露・紫外線から自転車を守る
- 鳥のフンから自転車を守る
- 自転車の乗降時に雨で濡れない
- 外構スペースが整理整頓される
ひとつずつ解説します。
雨・雪・夜露・紫外線から自転車を守る
サイクルポートは、雨・雪・夜露・紫外線から自転車が劣化するのを防いでいます。自転車が劣化するのは雨によるサビだけではありません。雪や夜露によるサビでも劣化します。日光に当たることでも部品は劣化し、退色します。サイクルポートの屋根は、雨だけでなく雪や夜露、紫外線による劣化も防げます。さらにサイドパネルで3方向を囲えば、横からの雨や雪、風からも自転車を守れます。
鳥のフンから自転車を守る
屋根があることで、鳥のフンが落ちてきても自転車が汚れずきれいに保てます。
自転車の乗降時に雨で濡れない
雨の日に自転車の乗り降りをする時も、屋根があれば濡れません。子供や荷物を乗せたり降ろしたりするのに時間がかかっても安心です。
外構スペースが整理整頓される
サイクルポートに自転車を収納することで、自転車が軒先や庭に雑然と置かれることがなく、外構スペースが整然と保てます。外観のイメージも良く、家の外で作業をする場合も邪魔になりません。また、転倒によって自転車が破損・故障することも防止できます。
サイクルポートに代用できる自転車収納

サイクルポート以外にも、自転車を収納できるものがあります。目的によっては、サイクルポートよりも適している場合があります。サイクルポートの代用として自転車を収納する主な方法は、次の3つです。
【物置】自転車を雨で濡らしたくない人に最適
絶対に自転車を雨で濡らしたくないという場合は、屋根と壁で雨を避けられる物置収納がおすすめです。物置には、DIYで簡単に設置できる小型のタイプから、業者に施工を依頼して基礎工事が必要になる大型物置タイプまで、さまざまな種類があります。
大型物置は大容量で自転車以外のアウトドア用品なども収納できて便利ですが、広めの設置スペースが必要な点や、自転車の出し入れがしづらいという点には注意が必要です。
【テラス屋根】狭い場所でも設置できる
テラス屋根とは、1階の掃き出し窓や勝手口に取り付ける屋根です。テラス屋根は、洗濯物が雨で濡れないよう用いられることが多いですが、自転車の収納スペースとして設置されるケースもあります。家の外壁部分に設置するため、テラス屋根に前面パネルを使用すれば、両サイドから雨が降りこむのを防げます。また、狭い通路部分にも設置できるため、自転車を収納できる場所がないという場合にはおすすめです。
ただし、壁に穴をあけて直接設置するタイプでは、住宅メーカーの保証がなくなってしまう可能性があり、事前の確認が必要です。
【玄関土間・ビルトインガレージ】台風が来ても安心
玄関土間や広めの玄関収納、ビルトインガレージに自転車を収納すれば、屋内であるため台風が来たときでも安心です。ただし、広いスペースが必要となり、その分居住空間が減ってしまうというデメリットがあります。
まとめ
サイクルポートの設置で失敗しないためには、あらかじめスペースを確保しておくのがベストです。建売住宅や後から自転車が必要になった場合は、できるだけ道路に近い場所に正確なサイズを測って設置することが大切です。また、サイドパネルを設置することで屋根だけでは防ぎきれない雨からも自転車を守れます。雨や紫外線から自転車の劣化を防ぎ、最適なサイクルポートを設置しましょう。
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