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サイクルポートは建ぺい率の対象に入る?確認申請の要否について解説

2024年08月02日
XCSS0608 アリュ―スミニ

サイクルポートを設置する際は、建築基準法に則った手続きが必要になる場合があります。サイクルポートを設置する面積は、家と同じように建ぺい率に加算されるのか、後でサイクルポートを増築する場合は面積が変わるため違法にならないのか、といった点は分かりにくい部分です。

この記事では、サイクルポートは建ぺい率に含まれるのか、どのようなケースで確認申請手続きが必要なのかという点について分かりやすく解説します。また、建ぺい率以外のサイクルポートの関わる規定と、設置に向けた相談先についても紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

サイクルポートは建ぺい率・容積率の加算対象になるのか

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結論からお伝えすると、原則としてはサイクルポートの設置面積も建ぺい率に含まれます。サイクルポートは屋根と柱で構成されているため、建築基準法では建築物とみなされます。したがって、家と同じようにサイクルポートの面積も建築面積に含めることになり、家を新築した際は、サイクルポートの面積を含んだものを建築面積として提出しなければなりません。家を建てた後でサイクルポートを増設する場合も、原則としては追って建築確認申請手続きが必要になります。

ただし、一定の条件を満たしている場合にはサイクルポートの設置面積を含めなくて良い場合があります。サイクルポートの面積を建ぺい率に含めるのか含めないのかという線引きは、それぞれの状況や地域によって異なるため、条件に該当するのか事前に確認しておきましょう。

そもそも建ぺい率・容積率とは

家を新築・増改築する際に必要となる建築確認申請では、建ぺい率と容積率を書類に記載しなければなりません。行政によって指定された建ぺい率や容積率の範囲内で建物が建てられるか、着工前にチェックを受ける必要があるからです。

建ぺい率というのは、建物を建てる土地の面積に対する建築面積の割合を指します。建物面積とは、建物の真上から見たときの面積です。

建ぺい率は、次の式で求められます。

建ぺい率(%)= 建築面積 ÷ 敷地面積 × 100

例えば、敷地面積100㎡の土地に対して建築面積が50㎡である場合は、建ぺい率50%となります。敷地いっぱいに建物が建ってしまうと、災害が発生した時などにリスクがあるため、建築基準法で建物と建物の間にゆとりをもつよう規定されています。

また、容積率とは敷地面積に対する延べ床面積の割合を指します。延べ床面積とは、すべての階の面積を合計した面積です。

容積率(%)= 延べ床面積 ÷ 敷地面積 × 100

サイクルポートの面積が建ぺい率や容積率の対象に入るのかについては、建築面積・延べ床面積に含まれるのか見ていく必要があります。

サイクルポートは建築物であり建ぺい率・容積率に加算される

建築基準法上、サイクルポートは柱と屋根があるため建築物にあたります。したがって、原則としては建築面積や延べ床面積に加算しなければならないため、建ぺい率・容積率の加算対象となります。出典:建築基準法施行令第2条第1項第2号

しかし、建築面積・延べ床面積に含めなくても良い場合があります。どのような条件を満たすと加算しなくて良いのか、それぞれ解説していきます。

サイクルポートの建ぺい率の緩和措置が適用されるケース

フーゴFミニ 18-29型 施工例 ナチュラルシルバー/クリエモカ(屋根材:クリアマット)

サイクルポートの設置面積の全部もしくは一部を建ぺい率の対象から除外する、つまり、建築面積に含めなくても良い場合があります。建築基準法では、サイクルポートなど開放性の高いものに対して、建ぺい率の緩和措置というものがあるためです。

国土大臣が高い開放性を有すると認めて指定する構造の建築物又はその部分については、その端から水平距離一メートル以内の部分の水平投影面積は当該建築物の建築面積に算入しない

引用:建築基準法施行令第2条第1項第2号

建築面積に含めなくてよい措置が適用されるには、どのような条件を満たす必要があるのか、見てみましょう。

サイクルポートの建築面積が不算入となる条件

サイクルポートの設置面積の全部もしくは一部を、建築面積に含めなくても良いケースとは、次のような条件を満たしている場合です。

  • 外壁のない部分が連続して4m以上であること
  • 柱の間隔は2m以下であること
  • 天井の高さが2.1m以上あること
  • 地階を除く階数が1であること

出典:建設省告示第1437号(平成5年6月24日)

これらの条件を満たせば、端から縦横1mの範囲は建築面積に加算しなくて良いという規定です。つまり、端から縦横1mの範囲は、建ぺい率に含まれません。逆に言えば、縦横1mの範囲を除いた部分の面積は、建築面積に含まれるため、家の建築面積と合算して建築確認申請する必要があります。

サイクルポートの容積率の緩和措置が適用されるケース

フーゴRパーク 29-18型 施工例 シャイングレー(屋根材:クリアマット)

続いては、容積率を出すための延べ床面積に、サイクルポートの面積も加える必要があるのか、見ていきましょう。建ぺい率と同じように、容積率にも緩和措置があります。つまり、一定の条件を満たせば延べ床面積に含めなくても良いという措置です。どのような条件を満たしていると、延べ床面積に含めなくて良いのか、解説します。

サイクルポートの面積が容積率に不算入となる条件

サイクルポートの面積を容積率に含めない、つまり、延べ床面積に含めなくても良いケースとは次の条件を満たした場合です。

  • サイクルポートの面積が、家の延べ床面積にサイクルポート部分の床面積も含めたすべての延べ床面積の5分の1以内である場合

建築基準法では、駐車場や駐輪場などの床面積は、その敷地内にある建物の延べ床面積の5分の1を限度として延べ面積に算入しないと定められています。出典:建築基準法第52条、建築基準法施行令第2条1項4号ただし書き、同条3項

つまり、サイクルポートの面積が、家の延べ床面積にサイクルポート部分の床面積も含めたすべての延べ床面積の5分の1以内であれば、サイクルポートの面積は延べ床面積に含めなくて良いということになります。

例えば、サイクルポートの面積が5㎡、同じ敷地に建つ家の1階2階の合計面積が75㎡である場合、延べ床面積は合計80㎡となります。延べ床面積の5分の1は16㎡となり、サイクルポートの面積は16㎡を下回っているため、延べ床面積に含めなくて良いことになります。このときサイクルポートの面積が5分の1を超える場合、超えた部分の面積を延べ床面積として加算しなければなりません。

一般的な住宅に設置されるサイクルポートの標準的なサイズであれば、すべての延べ床面積の5分の1以内に収まることがほとんどであるため、容積率の加算対象にはならないことが多いです。ただし、建ぺい率や容積率の緩和措置については地域によって規定が異なる場合があります。事前にお住まいの自治体に確認しておきましょう。

サイクルポートを増築する場合は建ぺい率に加算されるか

フーゴAプラスミニ 18-29型 施工例 アイボリーホワイト/エクリュアイボリー(屋根材:クリアマット)

これまで、家の新築時にサイクルポートを設置する場合、家の面積に合算させるのか否かについて見てきましたが、家を建てた後でサイクルポートを増築する場合はどうなるのか見てみましょう。原則、サイクルポートを増築する場合は既存建物の面積に加算されます。ただし、増築で確認申請が不要なケースもあります。

サイクルポートの増築で建築確認申請が必要なケース

サイクルポートを増築する際、建築確認申請が必要になるのは、次の場合です。

  • 緩和措置を適用した上で建築面積が10㎡を超える場合
  • 防火地域・準防火地域である場合

出典:建築基準法第6条第2項

  • 緩和措置を適用した上で建築面積が10㎡を超える場合

上述した建ぺい率の緩和措置を適用した上で、サイクルポートの建築面積が10㎡を超える場合は、建築確認申請が必要になります。

防火地域・準防火地域は建築確認申請が必須

防火地域・準防火地域である場合は、サイクルポートの面積に関わらず建築確認申請が必要になります。防火地域・準防火地域とは、都市計画法において火災の危険を防除するため定められた地域です。お住まいの地域が防火地域・準防火地域に該当するか調べるには、役所や各自治体のサイトで都市計画マップなどを確認しましょう。これらか原則としての基準で、地域により規定が異なる場合もあります。事前に自治体に確認しておきましょう。

建築確認申請をしないとどうなる

建築確認申請が必要であるにもかかわらず申請せずに建築するのは、違法になります。建築確認申請せず工事を開始した場合、自治体から施工会社や土地所有者に対して違反を是正するよう求められます。この要請に従わない場合は、施工の停止や使用禁止命令などが下され、この命令にも従わない場合、罰金刑や懲役刑が課されることになります。建築確認申請が必要なケースで、DIYなど自分でサイクルポートを設置する場合は、特に注意しましょう。出典:建築基準法第9条、98条、99条

建築確認申請の方法

家の新築時や、サイクルポートの増築で建築確認申請が必要な状況である場合には、正しいタイミングで申請しましょう。建築確認申請は着工前に、建築主が建築主事(建築物の検査を行う公務員)に対して必要書類を揃えて申請します。書類を確認した上で問題がなければ、建築確認済証が交付されます。建築確認済証が交付されると建築工事が許可され、工事が始められるという流れです。

一般的に建築確認申請は必要な書類の作成が難しいため、建築士や行政書士などの専門家に委任して申請するケースがほとんどです。また、必要になる書類は各自治体で異なるため、確認が必要です。

建築基準法のサイクルポートに関する規定

ほかにも建築基準法には、サイクルポートに関する規約がいくつかあります。知らないまま設置してしまうとペナルティの対象になる可能性もあるため、しっかり押さえておきましょう。

防火地域・準防火地域・22条区域では素材選びに注意

防火地域・準防火地域・22条区域に定められているエリアには、建築基準法で火災の延焼を防ぐための規制が定められています。規制対象は屋根・開口部・外壁で、このうち屋根に関する規制がサイクルポートに関わる可能性があります。こうした地域にある住宅の場合、ポリカーボネート板や熱選遮断ポリカーポネート板の使用がNGになるリスクがありますので、事前に確認しておきましょう。

ガレージタイプは固定資産税に注意

サイクルポートのようなエクステリアであっても、住宅本体と同じく固定資産税の対象になるケースがあります。よくある駐輪場のように、屋根はついているものの開放的なデザインのサイクルポートの場合は納税額に変わりはありません。しかし、壁面が三方壁に覆われていると固定資産税の対象になってしまいます。そのため、ガレージタイプや壁がパネルで覆われているタイプには要注意です。工事契約の前にエクステリア専門業者などに相談しておくと安心でしょう。

サイクルポートの設置に関する相談先

建ぺい率をはじめ建築基準法の範囲内でサイクルポートを設置するために、まずどこに相談したらいいのでしょうか。サイクルポートの相談に対応可能な問い合わせ先を3つ紹介します。

エクステリア専門業者

エクステリアの施工実績が豊富な業者であれば、建ぺい率や容積率といった建築基準法に関する内容はもちろん、日当たりや機能性、デザインなどについても専門知識をもとに答えてもらえます。ただし、「相談した以上は工事を依頼しないと」といった状況にならないよう、複数社と同時に話を進めておくのがおすすめです。

ハウスメーカー・工務店

住宅の施工を担当したハウスメーカーや工務店の相談窓口でも、サイクルポートを含むエクステリアに関する相談は可能です。さらに、住宅本体の内装・外装など他の箇所の相談も一緒にできるのも、ハウスメーカーや工務店のメリットと言えるでしょう。ただし、実際に施工するのは基本的にエクステリア専門業者です。そのため、ハウスメーカーや工務店を通して発注すると、コストがかさむ可能性が高い点には注意しておきましょう。

ホームセンター

ホームセンターの店頭でも、サイクルポートを含めたリフォームに関する相談を受け付けているケースもあります。実際に商品を見ながら相談できるうえ、業者への依頼だけでなくDIYという選択肢も含めて提案してもらえることが魅力です。たとえばホームセンターのカインズでは、店頭にリフォーム専用窓口を設置しています。お買い物ついでに相談できますので、ぜひお気軽に利用してみてください。

まとめ

サイクルポートは、原則として建ぺい率や容積率の加算対象となります。サイクルポートを設置する際、家の新築と同時であれば、家の面積とともにサイクルポートの面積も含めて建築確認申請しましょう。ただし、建ぺい率や容積率に不算入とする緩和措置の条件に該当する場合は、面積に含める必要はありません。

また、サイクルポートを後で増築する場合は、サイクルポートの面積が10㎡以上の場合や、防火地域・準防火地域である場合には追加で確認申請が必要になります。建ぺい率や容積率の緩和措置は、それぞれの自治体によっても適用・不適用の扱いが異なるため、要件に該当するかなどを事前に確認するようにしましょう。

※当ページのコンテンツや情報において、カインズリフォームでは、取り扱いが異なる場合がございます。

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