サイクルポートの設置場所をどこにするか、家の敷地を有効に使うためには悩むところです。限られたスペースの中で、自転車の使い勝手を損なうことなくサイクルポートを設置するには、事前に確認すべきことや法的に注意が必要なポイントがあります。この記事では、サイクルポートの設置場所に適しているスペースを5つ紹介します。また、サイクルポートの設置場所を検討する際に確認すべき点や、サイクルポート以外の自転車の保管方法についても解説します。
サイクルポートの設置場所5選

サイクルポートの設置に適している場所は、次の5つです。
- 主庭
- 玄関アプローチ
- 門柱の後ろ側
- 外周・道路に面した場所
- 建物の横の通路や裏庭
それぞれの特徴を解説します。
主庭に設置する
主庭は、最もスペースを確保しやすく、自転車を出し入れしやすいスペースであることが多いでしょう。自転車の数が多い場合でも、ゆとりをもって設置しやすい場所です。
玄関アプローチに設置する
玄関アプローチとは、家の門から玄関までの部分を指します。玄関アプローチ部分にサイクルポートを設置すれば、玄関から道路までの動線にもムダがなく、使い勝手が良い場所といえるでしょう。また、大きめのサイクルポートを設置すれば、自転車の雨除けとしてだけでなく、家への出入りで歩く場合にも雨に濡れずに行き来できるというメリットもあります。
門柱の後ろ側に設置する
道路からよく見える位置に、生活感の出やすいサイクルポートを置きたくないという場合や整然とした外観を重視する場合には、門柱の裏手に設置するのがおすすめです。門柱以外にも、目隠しやフェンスの後ろ側に設置することで生活感を隠せます。また、サイクルポートのオプションで、サイドスクリーンやウォールスクリーンを取り付ければ、目隠し効果が期待できます。
外周・道路に面した場所に設置する
最も自転車の使い勝手が良い設置場所は、道路に面したスペースです。家の外周道路にすぐ出やすい場所は、駐車場や門柱などでスペースが取られがちですが、確保できればベストな設置場所です。ただし、出入りがしやすい分、防犯面に配慮する必要があります。車輪止めバーを設置してチェーンで自転車を繋いだり、センサーライトを設置したりして自転車の盗難対策も検討しましょう。
建物の横の通路や裏庭に設置する
建物の横の狭い通路や裏庭も、自転車の保管場所によく使われる場所です。この場合、サイクルポートではなくテラス屋根を設置する方法もあります。通路部分は雨の降り込みも少ないため、比較的雨に濡れにくい場所です。できるだけ自転車の出し入れがしやすい場所を選びましょう。
サイクルポートの設置場所を検討するときに確認すべきこと

サイクルポートの設置場所を検討する際、後悔することのないよう事前に確認しておきたい点について解説します。確認しておきたいことは、次の5点です。
- 収納する自転車のサイズ・数
- 自転車の使用頻度・道路までの動線
- 段差の有無
- 隣地境界線・道路境界線
- 雨や雪対策
収納する自転車のサイズ・数
サイクルポートを設置するために必要なスペースがどのくらいか、自転車以外に三輪車やキックスケーターなどを収納したい場合にも、サイズや数を正確に確認しておきましょう。現在保有している自転車のサイズや数について確認するのはもちろんですが、将来を見据えたサイズや数を検討することも大切です。
子供が将来大人サイズの自転車を使用することや、新たな自転車を購入する可能性なども考慮しましょう。自転車のサイズの目安は、幅60cm奥行190cmです。自転車と自転車の間には20cm程度のゆとりを設けると、出し入れがしやすくなります。
自転車の使用頻度・道路までの動線
自転車の使用頻度によって、設置する場所の優先度が異なります。通学や通勤で毎日使用する場合は、できるだけ道路に近く、出し入れしやすい場所に設置するのが理想的です。使用頻度が高くない場合であれば、道路までの動線よりも雨に濡れにくく、自転車の劣化を避けられる場所に収納するのが良いでしょう。
段差の有無
サイクルポートの設置場所から道路に出るまでに段差がある場合は、スロープなどを設置する必要があります。自転車を出し入れする場合、段差や地面の凹凸が多いと自転車に負担がかかり、出し入れにも時間がかかります。段差を解消するために、コンクリートに舗装できるのか、スロープを設置できるかも検討しましょう。
隣地境界線・道路境界線
サイクルポートを設置する際、隣地や道路からの距離も考慮する必要があります。サイクルポートを設置する場合に、注意すべき隣地や道路との境界線について解説します。
隣地境界線に注意
建築基準法第54条第2項では、第一種、第二種低層住宅専用地域では、外壁から1~1.5m離すよう定められている場合があります。その他のエリアでは、隣地境界線から一定距離を置く定めは建築基準法にはありません。ただし、民法上(民法第234条)では、建物は隣地境界線から50cm以上離すよう定められています。50cm以上距離を確保していない場合でも、行政による罰則はありませんが、近隣住民とトラブルになった場合は損害賠償などの責任を問われる可能性があります。
例えば、サイクルポートの屋根から雨水や雪、落ち葉などが隣の敷地に入り込んだ場合などは、トラブルになるケースもあります。トラブルを回避するためにも、隣地境界線については、十分配慮してサイクルポートを設置しましょう。
道路境界線に注意
サイクルポートの柱が自宅の敷地内に収まっていても、屋根が公道に突き出している場合は、建築基準法違反になります。また、自宅が2項道路(幅員4m未満で特定行政庁が指定した道路)に面している場合は、自宅の敷地内であっても道路の中央線から2mの部分は道路とみなされます。道路の中央線から2mの部分に、サイクルポートがかからないように設置しましょう。(建築基準法第42条第2項)
雨や雪対策
家の外壁などの壁面付近にサイクルポートを設置すると、雨が降り込みにくくなります。また、雪が多い地域では、日当たりのいい南側にサイクルポートを設置することによって屋根に積もった雪が解けやすくなります。サイクルポートの屋根に積もった雪が、隣家に入り込まないよう注意しましょう。
サイクルポートを設置しない場合のデメリット

サイクルポートを設置せずに自転車を置いておくと、次のようなデメリットがあります。
- 自転車の劣化を早める
- 盗難被害に遭うリスクが上がる
- 路上駐輪により撤去される・事故を引き起こすリスクがある
自転車の劣化を早める
サイクルポートなどの屋根がない場所に自転車を置いておくと、雨や雪、紫外線や夜露などにさらされて、自転車の部品の劣化を早めることになります。また、日光にさらされることで、サドル部分などが色あせる場合があります。
盗難被害に遭うリスクが上がる
サイクルポートに収納せず、家の敷地に雑然と自転車を置いておくと、盗難の被害に遭うリスクが高まります。サイクルポートにチェーンタイプのカギなどで固定しておけば、自転車に標準装備されているカギをかけておくだけの場合よりも、盗難を防止できます。
路上駐輪により撤去される・事故を引き起こすリスクがある
道路に自転車を停めている場合、自治体により撤去されたり、撤去料を請求されたりすることもあります。また、道路に自転車を放置すると、歩行者や車の通行の妨げになるだけでなく、事故を誘発する危険性もあります。
サイクルポート以外で自転車を収納する方法

自転車を収納する手段には、サイクルポート以外にも次のような方法があります。
- 物置タイプに収納する
- 玄関収納・ビルトインガレージに収納する
- カーポートに収納する
物置タイプに収納する
自転車を雨で濡らしたくない場合には、物置タイプに収納するのがおすすめです。サイクルポートは、サイドパネルで囲っても横からの雨を完全に防ぐのは難しいため、全方向を囲った物置タイプに収納するのが良いでしょう。物置タイプには、大型タイプからコンパクトタイプまで幅広いサイズがあり、価格もまちまちです。施錠ができるタイプであれば、盗難防止にも効果的です。
玄関収納・ビルトインガレージに収納する
広い玄関収納スペースやビルトインガレージに収納すれば、台風が来ても安心です。ビルトインガレージは、天候にかかわらず屋内での作業もできて理想的ですが、居住スペースが減ってしまうというデメリットがあります。
カーポートに収納する
カーポートに車と一緒に収納する場合は、十分な広さが必要です。広さにゆとりがない場合、自転車が転倒したときや自転車の出し入れをするときに、車を傷つけてしまう危険性があります。また、自転車が転倒しないよう、サイクルラックなどを設置して自転車を固定しておけると安心です。
まとめ
サイクルポートの設置場所には、主庭・門柱の後ろ側・建物の横や裏庭・外周などがあります。設置場所を検討する際は、自転車の数やサイズ、使用頻度を考慮した上で、現在だけでなく将来も見据えた計画を立てましょう。また、隣地境界線や道路境界線についても確認し、サイクルポートを設置する際は隣家とトラブルにならないよう、事前にあいさつをしておくなど十分配慮するのがおすすめです。
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