自宅のリラックス空間として、緑豊かな庭やバルコニーを作りたいと思う方も多いのではないでしょうか。ただ、天然芝を維持しようとすると水やりに雑草や虫の駆除など、大きな手間がつきものです。そこで手軽に美しい景色や空間を生み出せるアイテムとして、人工芝も良い選択肢といえるでしょう。
この記事では、人工芝の敷設を考えるための基本知識として、施工方法や費用の相場についてわかりやすく解説します。DIYで行なう場合でも、業者に依頼する場合でも、参考としていただけるでしょう。
人工芝の施工方法(下地が土の場合)

庭など地面が土となっている場所に、人工芝を敷く場合の工程について紹介します。DIYで施工する場合には、ちょっとしたコツや注意点を意識してみてください。
土の整地
人工芝を土の上に敷設する場合には、まず下地の準備を入念に行なっておくことが重要です。雑草や石を丁寧に取り除き、へこんでいる箇所には土を追加してください。追加した土は、ローラーなどを使用して圧力をかけながら、均一にならしてしっかりと固めていきます。また、土質によって水はけが悪い場合には、人工芝の下へ水がたまり込むのを防ぐため、表面に砂の層を作る場合もあります。
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防草シートの設置
防草シートは、光を遮ることで雑草が成長できないようにするためのものです。下地が土の場合には不可欠な工程です。ただ載せるだけでは浮き上がってしまったり風でめくれたりしてしまうため、約1mごとにU字型の押さえピンを刺して固定していきます。また、防草シート同士のつなぎ目は、10cm程重ねることで隙間ができることを防止できます。
人工芝の仮置き・カット
人工芝の多くは、シート状に加工されています。自然な見た目になるよう調整するため、人工芝シートをたるまないように広げながら、整地した地面の上に仮置きしていきます。その際には、シート同士のつなぎ目が目立たないように芝目(芝の寝ている方向)をそろえておくことも重要です。設置場所の形状や障害物に合わせてカットする場合は、芝の先端を切り落としてしまわないように裏側から切るようにします。
人工芝の固定
仮置きした人工芝に問題がなければ、ピンを打ち込むか、防草シートに接着して固定していきます。また人工芝同士のつなぎ目は、裏から接着剤やテープで固定してから間をまたぐようにU字ピンを打ち込むことで、より強固に固定可能です。固定したらデッキブラシなどで撫でて芝を立たせることで、よりつなぎ目が目立たない自然な見た目にできます。
人工芝の施工方法(下地がコンクリートの場合)
ベランダなど下地がコンクリートの場所に、人工芝を敷く場合の工程について紹介します。また、屋内で設置する場合も基本的に同様の工程となります。
設置場所の清掃
コンクリート表面をしっかりと清掃し、ゴミやホコリを取り除いておきます。土の上に敷く場合と違って防草シートを設置する必要はありません。ただし、屋外での敷設で水はけが悪い場合には、雨がたまらないよう排水口の設置工事が必要となることもあります。
人工芝の仮置き・カット
下地が土の場合と同様、設置場所に合うように仮置きと調整、カットを行ないます。コンクリート下地は転倒すると固い地面から強い衝撃を受けることもあるため、ショックパッドを人工芝との間に入れてクッション性を高めることで、事故のリスクを減らせます。
人工芝の固定
ピンを刺すことはできないため、固定するには両面テープや接着剤を利用します。コンクリートの上に敷いた人工芝はズレたり滑ったりしやすいため、安全性を高めるには人工芝シート全面を固定した方が良いでしょう。ただし、下地となるコンクリートに接着剤の跡が残ってしまうこともあるため、予防するには滑り止めマットを敷いてからその上に人工芝を固定する方法もあります。
人工芝のDIY施工でよくある失敗

人工芝の施工はDIYでも行なえますが、敷き終わってから失敗に気づくというケースもよくあります。しっかりと固定されてしまってからではやり直しに大きな手間がかかるため、あらかじめよくある失敗例を知っておくと良いでしょう。
人工芝がデコボコしてしまう
大きな人工芝シートを正確にカットすることは、熟練の技術や適したツールがなければなかなか難しいでしょう。敷地や障害物にピッタリと沿う形になっていないと、ほんの少しのゆがみがシート全体を波立たせてデコボコとさせてしまうことがあります。そうなると、転倒しやすくなったり雨がたまってメンテナンスの手間が増えたりといった事態につながります。
人工芝のつなぎ目が目立ってしまう
人工芝は長方形のシートを組み合わせるように敷いていくため、シートの幅に収まる狭い範囲での施工でなければ、必ずつなぎ目が出てきます。カットする際に芝の先端も切り落としてしまったり、固定する前の調整が甘く芝目がズレていたりすると、人工芝シート同士のつなぎ目がはっきりと見えてしまうため要注意です。つなぎ目が隙間となってそこからめくれたり、足がひっかかってしまったりといった可能性も出てきます。見た目だけでなく安全性を保つためにも、つなぎ目を整える工程は重要です。
設置後にズレてしまう
固定や接着が不十分だと、人工芝シートや防草シートが強い風でめくれあがったり、歩いた振動で動いたりしてしまうこともあります。足元が滑るような状態では非常に危険ですが、何層も重ねたシートを広範囲にしっかりと固定するのは、技術や慣れの必要な作業といえるでしょう。
水がたまってしまう
一見するときれいに人工芝を敷設できているように見えても、シートのつなぎ目やちょっとしたへこみ、地面の傾きなどによって、雨が降ってから水たまりのできる箇所が見つかることがあります。水がたまり続けてしまうと、人工芝やシートの下にカビが生えてしまったり、固定が弱くなって浮き上がってしまったりする原因となります。そのため水たまりができている場合には、布でふき取るなどこまめなメンテナンスの手間が必要です。
関連記事:人工芝でもカビは発生するの?原因と対策、カビ取り方法を詳しくご紹介
雑草が生えてしまう
土の上に人工芝を敷設する場合、雑草の根や種を完全に除去するのは非常に困難です。少しでも残っていると、敷設からしばらく経ってから雑草が伸びてきて、人工芝や防草シートを浮き上がらせてしまう可能性があります。ひどくなった場合には、人工芝を除去して施工をすべてやり直すことになるかもしれません。
電気ケーブル等を破損させてしまう
土のなかには、庭の照明用電気ケーブルやガス管などが浅い位置に埋められていることもあります。人工芝を固定するピンは20cmほどの深さまで打ち込む必要があるため、こうした埋設物に傷をつけてしまう可能性があります。正確な図面がなければこれらの位置を把握することは難しく、また敷地の端に沿って設置されている場合は人工芝の固定位置と重なってしまうことも多いことでしょう。万が一にも破損させてしまえば、漏電やガス漏れといった事故につながるため、DIYを行なう際には特に大きなリスクといえます。
人工芝の敷設にかかる費用

必要な費用をわかりやすくまとめておきます。DIYで人工芝の敷設する際でも、工事業者に依頼する場合でも、参考としてみてください。
素材の費用
人工芝を敷設するためには、人工芝シートに加え、防草シート、固定するためのピンなどの素材が必要となります。以下の表に、ホームセンターなどで販売されているもののそれぞれ1平方メートル当たりの大まかな価格をまとめてみました。なお、人工芝シートについては、見た目の自然さや耐久性、素材によって価格に大きな幅があります。
人工芝シート |
2,000円~5,000円 |
防草シート |
200円~500円 |
ピン・接着剤など |
50円~300円 |
人工芝は、調整やカットを行なうために、実際の面積よりも広めにシートを用意する必要があります。くわえて、ピンは1平方メートル当たり10本ほどを使用しますが、多くの商品は販売単位が50本~100本に設定されています。そのため、上記の表に敷地面積の広さをかけてもピッタリの価格にはならないことに注意しておきましょう。
施工費用
人工芝の施工を業者に依頼した場合にかかる、技術料や人件費を含む施工費用は、1平方メートル当たり3,000円~7,000円程度が相場となっています。素材費用と合わせると、1平方メートル当たり1万円以上が見込まれるでしょう。もちろん、一度に施工する面積が広いほど、1平方メートル当たりの単価は安くなる傾向にあります。
人工芝の敷設でよくある質問

人工芝の敷設工事を計画する際によくある疑問や知っておいた方が良い知識について、解説します。
人工芝と天然芝のどちらがいい?
人工芝と天然芝はそれぞれにメリットとデメリットがあるため、ニーズをしっかりと考慮した上で選ぶ必要があります。人工芝はメンテナンスに手間がかからず、季節を問わず緑を維持できる点がメリットです。ただし、数年が経つと色あせてきたりはがれたりしてくるため、耐用年数が過ぎた場合には張り替える必要が出てきます。天然芝の場合は自然な見た目が魅力ですが、肥料をやったり雑草を除去したりといった手間をかけていないとすぐに荒れてしまう可能性があります。
関連記事:人工芝を買う前に知っておくべきデメリットについて解決策やメリットも解説!
人工芝の寿命はどれくらい?
一般的には、5年~15年程度といわれています。人工芝の品質のほか、その上を走ったり重いものが移動したりといった負荷が頻繁にかかるほど、寿命は短くなっていく点にも注意する必要があるでしょう。長持ちさせるためには、丁寧な施工や使い方に応じた素材選び、メンテナンスが大切です。
関連記事:人工芝の寿命は何年?人工芝が劣化する原因や買い替え時、寿命を延ばすポイントをご紹介
人工芝のメンテナンス方法は?
定期的にブラシをかけて芝を持ち上げておくと、人工芝の弾力を維持しやすくなり、長持ちできます。また、繊維状の素材でできているため、汚れがついた場合は染み込んでしまう前にすぐ洗い流すことが重要です。水がたまっている場合には、布などで吸い取っておかなければカビの原因になってしまうでしょう。
関連記事:人工芝の症状別の掃除方法&長持ちするお手入れ方法を徹底解説!
まとめ
人工芝の敷設は、きれいに長持ちさせるために正しい方法と手順で施工することが重要となります。DIYでの施工も可能ですが、広い範囲で敷くには特に技術力が必要となります。失敗してしまうと電気ケーブルを破損させてしまうなど、思いがけないトラブルのリスクも考慮しておいた方が良いでしょう。確実な仕上がりを目指すのであれば、プロの業者に任せることをおすすめします。
カインズでも、店舗やオンラインストアで人工芝を取り扱っているほか、人工芝のリフォーム工事も承っています。店頭のリフォーム相談カウンターやWeb、電話などの窓口からお気軽にご相談ください。
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