外壁塗装は住宅の美観だけではなく、断熱性や耐久性を高めるために非常に重要な役割を果たしています。実はその寿命は10年程度といわれており、家全体の劣化を防ぎ価値を保っていくためには、定期的な塗り替えが不可欠です。
しかも、予算は100万円以上もかかる意外に大がかりな工事となるため、「ペンキを塗り重ねる」といったイメージでいるとギャップを感じるかもしれません。そこでこの記事では、外壁塗装工事の流れを詳しく解説し、またありがちなトラブルや対処方法について解説します。
外壁塗装工事の流れ

外壁塗装リフォームを計画する上で、どのようなポイントに気をつけるべきでしょうか。それを知るためにも、まずは工事の流れについてご説明します。
打ち合わせ
外壁は、外から見える自宅の雰囲気を大きく左右します。施工後の「できあがってみたら思っていた色とちがう」「周りの景観とのバランスがおかしい」といったイメージの不一致が起きないようにするためにも、契約前の綿密な打ち合わせは大切です。
外壁に使用する塗料は、色やツヤ、仕上がりはもちろん、遮熱や防汚などの機能性を持ったものも近年登場しています。細かく業者から説明を受け、カラーシミュレーションなども活用した上で、イメージ通りになるようじっくり検討していきましょう。
また、打ち合わせの記録や現況・工程確認を書面として残してくれるか、保険やアフターサービスの説明はあるかなども、信頼できる施工業者を選ぶ際のポイントとなります。打ち合わせ後の見積もりまでは無料で対応してもらえる業者も多いため、契約前にしっかりとチェックしておきましょう。
足場の設置
外壁塗装には、重い機材や塗料が使用されます。塗装職人はそうした重量物を持って高所で作業することになるため、安全性の確保が必要です。そのために外壁塗装工事をはじめるにあたって、家全体を覆う形で足場と工事中の雨や塗料の飛散を防ぐカバーを設置します。足場の種類はいくつかありますが、外壁塗装では「くさび足場」という方法で組むのが一般的です。
内部リンク>>外壁・屋根塗装工事では足場が重要!種類や費用、工事中の注意点を解説
壁面の洗浄
外壁に付着した汚れやホコリ、はがれかけている既存の塗膜などを、高圧洗浄機で除去する工程です。ホコリやひび割れた塗膜の上から新しい塗料を塗り重ねると、短期間のうちにはがれてしまう可能性があります。塗装の耐久性をしっかり確保するためにも、徹底的な洗浄が必要です。
養生(マスキング)
塗料が付いてはならない部分(窓・ドア・地面など)を、ビニールシートやテープで保護する作業です。エアコンの室外機や換気窓には、工事期間中も利用できるようにメッシュカバーによる養生を行うことがあります。養生を行うため、外壁塗装期間は基本的に窓を開けたり、ベランダに出たりすることはできません。
下地処理
塗装前の補修作業が、下地処理です。外壁のひび割れや欠損をパテやモルタルで埋めたり、目地にシーリング材の充填を行ったりといった作業が代表的です。場合によっては、塗料が吸い付きやすくするため表面を研磨していくこともあります。ひび割れなどをそのままにしてしまうと、いったんは塗膜できれいになったように見えても、破損個所からの雨漏りや塗装の劣化が起こりやすくなってしまうため、丁寧な補修が必要です。
下塗り
いよいよ塗料の塗りつけがスタートします。まずは塗料を定着させるために、基礎となる専用の塗料を塗布します。
「プライマー」「シーラー」と呼ばれるこの塗料の役割は、この後の工程で使用する「中塗り」「上塗り」用の塗料が下地に染み込んでしまうのを防ぐとともに、しっかり密着する接着剤のような働きをすることです。「中塗り」「上塗り」用の塗料が染み込んでしまうとその後の塗り替えが困難になり、下地ももろくなってしまう可能性があります。
下塗り塗料のなかには遮熱機能や防サビ機能を持つものや、劣化や凹凸のある壁を補強する「フィラー」と呼ばれる塗料を使用する場合もあります。ニーズに合わせて使い分けることで、耐久性を強化できるでしょう。
中間検査
下塗りのあと、しっかりと乾燥させることで塗料の機能が発揮されるようになります。ここまでの工程がきちんと行われていないと、「中塗り」「上塗り」塗料がうまく接着されません。くわえて、下塗りのあとは細かな亀裂が見えやすくなる場合もあることから、この段階で検査を行う場合もあります。
中塗り~上塗り
いよいよ、打ち合わせで決めた色の塗料を塗っていきます。通常、この工程は「中塗り」「上塗り」と2回に分けて行われます。2回塗り分ける理由は、塗膜を厚くすることで機能性や耐久性を高めるためです。一度に大量の塗料を塗りつけると、表面だけが乾燥してしまい、内部は固まっていないといった事態が起きてしまいます。そうしたトラブルを避けるため、それぞれで1日以上の乾燥時間を挟みながら厚く塗り重ねていきます。
仕上げ・点検
塗装と乾燥が完了したら、塗り残しやムラ、塗装後に浮き上がってしまった部分、養生のはがし忘れや塗料の飛散などの不備がないかを確認し、必要に応じて修正を行います。この工程には施主も立ち会うため、自分の目で仕上がりを細かくチェックしていきましょう。なかには、室外機やガスメーターの裏など「ローラーが入る隙間がないため塗装しなかった部分」もあります。不備かどうかわからないこと、疑問に思ったことは必ずその場で施工業者に聞いておくのをおすすめします。
足場の解体と清掃
塗装作業と検査が問題なく済めば、足場を解体し、周辺の清掃を行います。それが済んだら、全工程が完了となります。
内部リンク>>外壁塗装を放置するとリスクがたくさん!塗装の必要性や見分け方を解説
外壁塗装工事で気をつけるポイント

外壁塗装は、ペンキで上塗りすれば完了というものではなく、比較的大がかりな工事であることをご理解いただけたと思います。その上で、どのようなポイントに気をつけて計画していくべきでしょうか。
外壁塗装にかかる期間
外壁塗装には、少なくとも1~2週間の期間が必要となります。一般的な木造住宅の場合で、大まかな内訳としては下記の通りです。
足場の設置 |
1~2日 |
壁面の洗浄、乾燥 |
1~2日 |
養生、下地処理 |
1~2日 |
塗装-下塗り |
1日 |
塗装-中塗り |
1~2日 |
塗装-上塗り |
1~2日 |
検査、足場の解体、清掃 |
2日 |
合計 |
8~13日間 |
建物の大きさや壁の材質によってはそれぞれの工程はさらに時間がかかり、雨が降れば作業のできない日や乾燥に余分な時間が必要となる日も発生します。
内部リンク>>外壁塗装に必要な期間はどれくらい?作業工程ごとにかかる作業日数を詳しく解説
近隣とのコミュニケーションは必須
工事が始まる前のできるだけ早い段階から、近隣の家に工事期間などを告知しておきましょう。騒音や塗料のにおいはもちろん、外壁塗装のための足場やカバーが設置されれば当然隣家の日当たりも悪くなってしまうことになります。無用なトラブルになってしまわないよう、きちんと挨拶しておくことが大切です。
事前の確認は入念に
足場を設置する際に、どうしても家の周囲に置いてあるものや植栽を撤去する必要が出てくる場合もあります。また工事中も生活していく上では、どうしても特定の窓やエアコンが使えないタイミングが発生するほか、洗濯物を外に干すこともできません。「どの場所がどのタイミングで使えるようになるか」を、塗装業者とあらかじめすり合わせておく必要があるでしょう。
内部リンク>>外壁塗装に最適な時期はいつ?再塗装が必要な状態を見分ける方法も紹介
工事の延長は予想しきれない
既存の塗膜を剝がしたところで壁に予想外の亀裂や劣化が見つかれば、その補修は欠かせません。また、雨が降っている間は完全に工事がストップすると考えて良いでしょう。外壁塗装は1つひとつの工程を順番に進めていかなければならないため、他の工程を進めて調整するといったことはできないという点に、留意しておく必要があります。
内部リンク>>外壁塗装で押さえておくべき8つの注意点とは?起こりがちなトラブルから解説!
保証内容を確認する
リフォームでの外壁塗装の場合、きれいに仕上がったように見えても、多少時間が経ってから塗装の寿命よりも早く劣化が発生することもあります。元の壁に新たな亀裂が入ることで、塗装が浮き上がってしまうといったケースです。こうしたトラブルに対応するため、工事の完了後、数年にわたって定期的な検査やアフターフォローを行ってくれる業者を選ぶことをおすすめします。
内部リンク>>外壁塗装の塗料や業者を選ぶポイントを紹介!
まとめ
外壁塗装は、住宅を保護する重要なものです。ひび割れが発生してからも放置していたりすると、そこから雨水などが入り込んで家本体にダメージを与えてしまいます。大切な家を長期間にわたって維持していくためには、トラブルが起きる前の早めの塗り替えをおすすめします。
工事とその準備をスムーズに進めるための知識として、この記事では工事の流れと注意ポイントにフォーカスして解説しました。カインズリフォームでは、外壁塗装の施工実績も50万件以上を誇っています。「まだ大丈夫」とお考えの方も、新築や塗り替えから10年以上が経過しているのであれば、ぜひ一度ご相談ください。
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