お家の屋根は、普段ならば目に入りにくい部分です。一方で、風雨や紫外線、台風や雪などに日々さらされる過酷な環境にあり、時間経過とともに確実に進む劣化を放置しておけば、家全体の寿命を縮めてしまう原因になりかねません。十数年も経てば、なにかしらのトラブルはつきものといえるでしょう。
そこでこの記事では、屋根のリフォーム工事に関する基本知識として、代表的な工法とその費用相場を紹介します。あわせて屋根のリフォーム費用を抑えるコツなども解説していきますので、ぜひご参考にしてみてください。
屋根リフォーム工事の種類と費用相場

屋根のリフォーム工事には、いくつかの代表的な工法があります。それぞれの概要と、費用の相場をまとめました。
葺き替え
葺き替えは、古くなった屋根材をすべて取り除き、新しい屋根材に交換する工事のことです。屋根全体が新しくなることで、耐久性や防水性能は大きく向上します。ただし、屋根の解体や下地の作り直しも行なう必要があるため、工事費用は高額になりやすいという点がデメリットとなるでしょう。工期も1週間以上かかるケースが一般的です。なお、築30年以上が経過している家では、屋根下地が劣化していたり、瓦屋根が大幅に傷んでいたりするため、葺き替え以外の工法は適切ではないケースが多いという点に留意しておきましょう。
葺き替えの費用相場 |
1平方メートルあたり
1万円~3万円 |
20坪での試算
100万円~500万円 |
カバー工法(重ね葺き)
カバー工法は、既存の屋根材の上に新しいガルバリウム鋼板などの屋根材を重ねて設置する工法です。葺き替えに比べると解体工事や廃材処理が不要となるため、コストを抑えられます。工期も5〜10日程度とやや短めなので、手軽に行なえます。ただし、「瓦屋根には施工できない」「屋根が重くなるため耐震性が下がる可能性もある」といった点に注意が必要となるでしょう。また、カバー工法を複数回実施することは難しいため、1回カバー工法を行った後に再度傷みが目立った場合は、葺き替え工事での対応が必要です。
カバー工法の費用相場 |
1平方メートルあたり
5,000円~1万2,000円 |
20坪での試算
50万円~180万円 |
内部リンク>>屋根や外壁に使われるガルバリウム鋼板とは?特徴や注意したいポイントを解説
塗装
既存の屋根材の表面を塗料で保護する方法です。これにより、屋根の美観を保つとともに、劣化を抑え、防水性や断熱性などを高める効果も期待できます。コストはかなり低く抑えられるものの、塗装だけでは耐用年数は短い傾向にあるといえるでしょう。また、雨漏りや腐食、屋根材の破損がある場合には別途補修が必要となるため、あくまでもトラブルが発生する前の予防として施工しておく手法といえます。不具合の程度によっては、カバー工法もしくは葺き替えによる工事が必要です。
屋根塗装の費用相場 |
1平方メートルあたり
2,000円~7,000円 |
20坪での試算
20万円~80万円 |
屋根の部分修理工事の種類と費用相場
屋根全体ではなく部分的に修理する場合についても、工事の種類と費用相場を紹介します。
瓦屋根の部分修理工事
瓦屋根の場合、下地に問題がなければ割れたり欠けたりした瓦を1枚ずつ交換することで修理できます。ただし、もとの瓦と風合いが異なってしまうことは避けられません。このほか、ズレた瓦の並べ直しや、瓦を固定している漆喰の詰め直しといった修理工事を行なう場合もあります。「瓦の補修ならDIYでできそう」と思うかも知れませんが、屋根の上で滑って大怪我につながるかもしれません。安全のためにも極力、専門業者に依頼するようにしてください。
瓦屋根工事の費用相場 |
差し替え 1枚あたり
5,000円~3万円 |
並べ直し
5,000円~5万円 |
漆喰の詰め直し
3万円~40万円 |
雨漏り対策の部分修理工事
防水性能を補強する工事としては、軽いひび割れや隙間、接合部分にコーキング材を注入する方法がとられます。また板金屋根やスレート屋根では、端部や接合部にサビ・破損が起こりやすいため、部分的な交換を行なうことも可能です。ただしすでに雨漏りが起きてしまっている場合には、表面的な破損を修復しても完全には収まらないことがあります。これは下地や外壁が劣化しているようなケースで、広範囲に屋根の表面をはがして調査する必要もあり、費用が高額になってしまうことにつながるでしょう。
雨漏り対策工事の費用相場 |
コーキング
1万円~5万円 |
部分的な交換
1万円~20万円 |
内部リンク>>外壁塗装で雨漏りは直る?外壁から雨漏りする原因と対策について解説!
雨どいの修理・交換
屋根に付属する雨どいは、落ち葉などが詰まってしまったり、経年劣化で割れてしまったりといったトラブルが起きることもあります。うまく排水できなくなると、屋根や壁にダメージを与えてしまう原因となるため、早めに掃除や交換を行なった方が良いでしょう。
雨どい修理の費用相場 |
詰まりの除去
1万円~3万円 |
交換 1mあたり
3,000円~5,000円 |
屋根リフォーム工事の価格を安く抑えるコツ

屋根のリフォームは工法によっても価格に幅があり、どのような対策をすればいいかもわかりにくいため、事前に費用を予想しておくことが難しいのが懸念点です。そこで、価格を安く抑えるコツについても紹介します。
定期的に検査を行なう
屋根は普段なら見えない部分のため、トラブルに気づいた時には、すでに劣化や破損が拡大しているというケースが多くあります。不具合がないように見えても、ハウスメーカーの定期点検をはじめ、信頼できる業者による検査や塗装・コーキングを定期的に行なってみてください。それにより、耐久性を維持して将来的な修理にかかるコストを低く抑えられるようになります。また、リフォーム後のアフターサービスとしてこうした数年ごとの検査を提供している施工業者もあるため、あらかじめ確認しておくことをおすすめします。
補助金を活用する
断熱性能を高める塗装などには、住宅の省エネ化を支援する補助金の対象となる可能性が高いでしょう。また、耐震化リフォームの補助金制度では、軽量な屋根材への葺き替えが対象となっています。リフォーム工事の補助金を交付している自治体もあり、その場合は住宅と同じ市区町村内に本店や支店がある施工業者に依頼することが条件となっているケースが多いようです。どの補助金の対象になるか、あるいは同時に工事することで補助金を受け取れるものはないか、調べたり業者に相談してみたりしましょう。
火災保険を活用する
台風や雪などが原因となって屋根が破損した場合、修理工事には火災保険が適用されるケースが多くあります。ただしこの場合の補償範囲は、部分的な修理による原状回復までです。全体の葺き替えやカバー工法での工事には適用されない点には注意してください。
外壁塗装やベランダ補修と同時に行なう
葺き替えなどの大がかりな屋根工事を行なう際には、足場の設置が必要となります。その費用や手間は意外と大きなものとなるため、同じく足場が欠かせない外壁塗装やベランダ補修と同時に行なうことも多いでしょう。もちろんその分の工事費はかかりますが、総合的なコストパフォーマンスは効率的となります。
屋根リフォームの施工事例
これまでカインズが担当した屋根リフォーム工事の施工事例について、紹介します。工事価格や工期のご参考にしてみてください。
埼玉県比企郡の事例
外壁補修とともに、屋根には遮熱効果を高める塗装工事を実施しました。その効果は、「夏場にエアコンの温度を前年よりも高く設定しても、涼しさを体感できている」とのことです。また、塗装前とカラーが大きく変わりましたが、外壁とアンバランスにはならない色調にも満足いただけたそうです。
工事内容 |
屋根塗装、外壁補修 |
合計金額 |
170万円 |
工期 |
20日 |
内部リンク>>比企郡鳩山町のお客様の外装補修・塗装工事 /リフォーム施工事例
福島県福島市の事例
震災で発生した、外壁のひび割れを修繕しました。同時に、雨漏り対策として屋根の塗装工事を、「雪が降る前に」とのご要望で早めの施工を行ないました。
工事内容 |
屋根塗装、外壁のひび補修 |
合計金額 |
110万円 |
工期 |
8日 |
内部リンク>>福島県福島市のお客様の外壁・屋根塗装工事 /リフォーム施工事例
埼玉県本庄市の事例
外壁と屋根の塗装工事で、カラーシミュレーションを活用しました。完成予想をもとに、ご満足いただけるカラー選びができたとのことです。
工事内容 |
屋根塗装、外壁塗装 |
合計金額 |
80万円 |
工期 |
9日 |
内部リンク>>埼玉県本庄市のお客様の外壁・屋根塗装工事 /リフォーム施工事例
まとめ
この記事では、屋根のリフォーム工事として「葺き替え」「カバー工法」「塗装」などの方法があり、それぞれに目的も費用相場も大きく異なるという点を解説しました。費用を抑えながら工事の効果を最大限に発揮させるためには、実はトラブルが起きる前に先回りして工事を行なっていくことが重要です。
新築や前回のリフォームから10年以上が経っている場合は、まだなにも起きていないと思っていても、検査などを行なっておくことをおすすめします。屋根のリフォームや補修をお考えであれば、10年保証付きのオリジナル塗料や工事前のカラーシミュレーションなどを提供しているカインズにも、ぜひご相談ください。
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