リビングから庭へと続くウッドデッキは、コテージやホテルのような開放感を生み、自宅の空間をワンランクアップさせてくれます。ウッドデッキに出れば、あたたかな日の光、庭の木々の香り、さわやかな風を身体に受け、季節を感じる時間を過ごすことができます。しかし、ウッドデッキの設置を検討しながら、見えないデメリットの存在に不安を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。当記事では「ウッドデッキに適した材質と特徴」「ウッドデッキを設置するメリット・デメリット」「ウッドデッキ設置時のポイントと注意点」などを説明します。

ウッドデッキとは?
ウッドデッキとは、リビングなどの室内から庭へと続く木製の床のことです。室内を広く見せることができるうえ、アウトドアリビングとして楽しめることから人気が高まりました。材質は、耐候性・防蟻性・耐菌性・耐腐朽性を持つ「天然木」を中心につくられています。最近では、メンテナンスの手間が少なく耐久性に優れた「樹脂・人工木」を選択する方も増えています。ウッドデッキとよく似たウッドパネルもありますが、ウッドパネルはベランダに“すのこ状のパネル”を敷いたものであり、リビングと床の高さを揃えたウッドデッキとは別物です。
なお、ウッドデッキの歴史に触れておくと、日本で普及しはじめたのは1980年代のバブル期に遡ります。もともとは土地が広い海外で親しまれていたものでした。1980年代の日本で盛んに行われていたことは、別荘地やホテルの開発です。ウッドデッキがついたコテージが登場したことで、ウッドデッキの認知度や人気が高まりました。その後、2×4住宅など海外の建築様式が普及し、一般住宅で利用されるようになったのです。西洋文化が日本ですんなりと受け入れられたのは、縁側文化があったからだと考えられています。

ウッドデッキに適した材質と特徴

雨風にさらされるウッドデッキは、耐久性が重要です。また、材質によって印象が大きく変わります。そのため、ウッドデッキを設置する際には、材質の特徴を理解したうえでの検討をおすすめします。ウッドデッキの材質は大きく分けて「天然木」と「樹脂・人工木」の2種類あります。ここでは、それぞれの特徴を紹介します。
自然の中で育った「天然木」
天然木は、肌触り・風合い・香りが魅力です。ウッドデッキに使われる天然木は、「ソフトウッド」と「ハードウッド」の2種類に分けられます。「ソフトウッド」は針葉樹から切り出された天然木です。肌触りの良さが魅力ですが、耐久性が低く定期的に防腐処理をしなければならないデメリットに注意が必要でしょう。そのため、ウッドデッキの多くは、広葉樹から切り出された耐久性の高い「ハードウッド」でつくられています。以下は、代表的な「ハードウッド」です。
異名の通り、耐久性が抜群に高い天然木です。耐久性が20年以上とされるハードウッドの中で、35年以上長持ちするといわれています。ウリンには抗菌作用があるポリフェノールが含まれ、バクテリアやシロアリの繁殖を抑え、害虫にも浸食されません。海辺で育つことから雨・湿気・海水で腐ることもないとされています。デメリットは、ささくれができやすく、定期的な塗装が必要であることです。色味は黄褐色から赤褐色で、木肌が美しく高級感のある仕上がりになります。
非常に硬く耐久性があり、虫害にも強い天然木です。ウリンよりリーズナブルなので、ウリンの代替材として人気があります。色味は赤褐色で、光沢のある滑らかな材質なので、ウリン同様に高級感のある仕上がりになります。ただし、紫外線を浴びるとシルバーグレーに退色するデメリットがあります。
イペには、防腐・防虫効果のあるラバコールという成分が含まれており、害虫に強い天然木です。退色はほとんどありません。色味は黄褐色から赤褐色で、木目が詰まった滑らかな仕上がりになります。横浜の大桟橋や海ほたる、六本木ヒルズのウッドデッキなどにもイペが使われているようです。
耐久性はウリンやイペに比べて劣りますが、腐食や害虫の被害を受けにくい天然木です。大きな魅力は価格が安い点でしょう。色味は黄褐色から赤褐色です。経年変化でシルバーグレーに退色しますが、耐久性は変わりません。木肌がざらざらとしているので、好みが分かれるでしょう。
- オーストラリアサイプレス(シロアリに強く加工がしやすい)
美しい木目と木節に特徴があるので、木の趣を堪能できます。アロマオイルに使われるほどの香りも魅力です。ウリンやイペほどの耐久性はありませんが、20年以上持つとされています。加工がしやすく、シロアリに対する防蟻性も非常に高いので人気があります。色味は黄褐色で、明るいウッドデッキに仕上がります。
木材に酢酸を用いたアセチル化処理を行い、耐久性を高めたものです。加工がしやすく、シロアリはアコヤを栄養源にすることができないため、防蟻性が非常に高い天然木です。白っぽい色味で、珍しいウッドデッキに仕上がる点が魅力です。ただし、価格が高いことも知っておきたいところです。
関連記事:天然木ウッドデッキの種類・特徴!人工木との違いや手入れ方法
天然木の見た目を再現した「樹脂・人工木」
耐久性が高く、ささくれもできず、防腐処理や塗装のメンテナンスが不要という点で人気があります。主な種類は3つで、木に近い質感を出せる「木粉と樹脂を混ぜ合わせて成型したもの」、腐食に強い「樹脂のみを原材料に成型したもの」、独自性のある「木粉やメーカー独自の素材を原材料に成型したもの」があります。
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ウッドデッキを設置するメリット・デメリット

ウッドデッキのある家は、豪華な印象を周囲に与えます。自然を感じられる広いリビングができ、自宅で過ごす楽しみも増えます。しかし、ウッドデッキの設置はメリットだけではありません。憧れだけで設置を決めるのではなく、メンテナンスの手間や設置コストがかかるなどデメリットを理解したうえで設置を検討しましょう。
ウッドデッキのメリット
ウッドデッキは自宅のリビングと庭をつなげる形で設置しますので、開放感のある広い生活スペースを持つことができます。
ウッドデッキの用途は多彩です。ひなたぼっこ、ティータイム、キャンプ、バーベキューなど、家族での楽しみ方が増え、充実感のある暮らしを満喫できます。
自宅のリビングからウッドデッキに直接出ることができるため、洗濯物・布団・ラグなども楽に干すことができます。玄関で靴を履いて庭に出たり、階段をのぼってベランダに出たりする手間がなく、取り込む際も楽です。
ウッドデッキのデメリット
ウッドデッキは雨や風にさらされるため、退色や腐食が進行します。また、地面に近いので、シロアリの被害にも注意しなければなりません。防腐処理や塗装、傷みの修繕といった定期的なメンテナスが必要です。
リビングと高さを揃えて設置されるウッドデッキの下には隙間ができます。日光が遮られても雑草が生え、風で飛ばされたゴミも入り込みます。身体を折り曲げながら掃除や手入れをしなければなりません。
ウッドデッキは建物の外につくるため、一戸建て住宅の建築時ではなく、後から外構工事として設置されることが多いようです。そのため、自宅の建築コストとは別に設置コストがかかります。広さや材質によってコストは高額になるケースもあるでしょう。

ウッドデッキ設置時のポイントと注意点

ウッドデッキの設置を検討する際に、意識すべきポイントと注意点を説明します。
メンテナンスの頻度
こまめなメンテナンスが難しい方は「樹脂・人工木」の検討をおすすめします。天然木と見間違えるような風合いを再現した材質もありますし、メンテナンスもカビやコケが生えないようにする簡易な掃除で済みます。ウッドデッキが破損した場合も、同じ商品が手に入りやすいでしょう。なお、ウッドデッキの下にコンクリートを打っておけば、雑草は生えませんし、虫の発生を抑えることもできます。
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材質
木の香がする天然木のウッドデッキは魅力的ですが、真夏の直射日光で床が高温になります。また、湿気でひび割れや腐食も起こるかもしれません。こうした天然木のデメリットが、樹脂・人工木ではなくなるため、用途や自宅の環境と相性のよい材質を選ぶことをおすすめします。
関連記事:ウッドデッキサイズ素材の選び方
設置コスト
ウッドデッキの設置コストは、広さ・材質・オプション(手すり・階段・屋根)によって大きく変わります。たとえば、天然木のウリンをセランガンバツに変更すれば、設置コストを抑えることができますので、予算を考慮しながら材質を選択することをおすすめします。また、複数の工事会社から見積もりをとって適正価格の1社を選定すると安心です。
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ウッドデッキのメリット・デメリットまとめ
用途が多彩なウッドデッキを設置すれば、暮らしが豊かになることはイメージできます。しかし、用途が曖昧なままでウッドデッキを設置すると、広さが足りずに物置になってしまう場合もあるようです。また、材質を厳選することでメンテナンスの手間・経年劣化・設置コストの問題を軽減することもできます。用途を明確にして広さ・材質・オプションを検討すれば、理想のウッドデッキを手に入れることができるでしょう。

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