紫外線や雨、風にさらされているウッドデッキは、経年による劣化の影響を受けます。そのため、長期的にきれいな状態を維持するためには、3~5年でのメンテナンスが欠かせません。そこで、ウッドデッキの研磨方法を知ることで、美しいウッドデッキの維持ができるようになります。ウッドデッキに研磨が必要な理由や研磨による効果、研磨の作業プロセスと注意点まで解説していますので、ぜひ参考にしてください。

※本記事は天然木のウッドデッキを対象としています。
ウッドデッキを研磨する理由

研磨と聞くと傷つけたり、変形させたりするのではないかと思われる方もいるかもしれません。しかし、ウッドデッキを長持ちさせ、見た目に美しい状態を維持するためには欠かせない作業なのです。ここでは、ウッドデッキを研磨する理由を5つ紹介します。
見た目をよくする
ウッドデッキは紫外線や風にさらされることが多いため、色あせや塗膜の剥がれが目立つようになってしまいます。そこで必要になるのがメンテナンスです。色あせた雰囲気は味わいにもなりますが、劣化を放置するとウッドデッキの寿命を縮めてしまうことになるため、注意しなければなりません。黒ずんだりささくれ立ったりしてしまっても、ウッドデッキを研磨することで、まるで新品のように蘇らせることが可能です。再塗装とセットで行うことで、ウッドデッキの耐久性を高めることもできます。
コケや藻の繁殖を防ぐ
梅雨など湿度が高くなる時期には、コケや藻が繁殖しやすくなってしまいます。コケや藻は水分を多く含んでいるため、木材にとっては大敵です。多くの場合、コケや藻は腐食の原因となり、一度腐食が始まってしまうと耐久性が低くなるという問題があります。そのためにも、研磨作業で美しい状態を保ち、できる限り乾燥した状態を維持しましょう。
再塗装によって木材の破損を防ぐ
素地のままの木材は、強い紫外線によるダメージを受けやすく、劣化が早く進んでしまいます。塗料には紫外線から木材を守ってくれる効果があるだけでなく、防水効果などもあるためウッドデッキに欠かせないものとなっています。多機能な塗料であっても、剥げてしまって素地がむき出しになってしまうと効果がありません。また、塗装の効果が薄れるとデッキの欠けや亀裂などが起こりやすくなるため、数年おきに研磨と再塗装をセットで検討しましょう。
木材の反りを防ぐ
湿気や水分は腐食の原因となりますが、反対に乾燥を繰り返し過ぎると木材の変形の原因となってしまいます。木材は水分を含むと膨張しますが、乾燥する際には収縮する特性があるためです。この膨張率と収縮率の差が大きいほど木材は反りやすくなってしまい、放置していると大きな修復が必要となるケースがあります。そのため、木材の反りを防ぐためには、水分を吸収させないことが欠かせません。定期的にウッドデッキをメンテナンスすることで水分の吸収を減らし、反りの原因を事前に防ぐとよいでしょう。
劣化した表面によるケガを防止する
劣化したウッドデッキは、さまざまなケガや事故の原因になりかねません。木材の表面が経年劣化することでささくれ立ち、ケガの原因となるほか、欠けや破損によって強度が下がってしまい、思わぬ事故につながるリスクがあります。木材を使っていることを念頭に置いて、ウッドデッキの状態を定期的に点検することが重要です。

ウッドデッキの研磨に必要な道具

ウッドデッキを研磨するには、どのような道具が必要なのでしょうか。ホームセンターなどで手軽に購入できるものもあるため、代表的な道具を5つ紹介します。
やすり紙
ウッドデッキの状態が比較的良く、かんたんな研磨で対応できる場合はやすり紙(サンドペーパー)が使いやすくおすすめです。やすり紙は、番手の数字が大きいほど目が細かく、数字が小さいほど目は粗くなります。木材であるウッドデッキを研磨する場合は、粗目(#100まで)から作業を始めて、次に中目(#240まで)、最後に細目(#400)へと使い分けて仕上げるのが一般的です。平らに仕上げる場合は、当て木をして研磨するとよいでしょう。
サンダー
サンダーとは電動工具の一種で、木材はもちろん塗装前の金属を磨く際にも用いられます。モーターの力で細かくパッド(サンドペーパーを取り付けた部分)を振動させ研磨する仕組みです。コード付きの場合は電源を確保する必要があるとはいえ、広い面積にも対応できるため非常に便利です。特に大きなウッドデッキの場合や研磨する面積が広い場合には、必須のアイテムといえるでしょう。やすり紙での作業と同様に、サンドペーパーの使用手順は、粗目から中目、細目へと変えていくのが基本です。
ブラシ
研磨作業の準備段階として、コケや藻、大きな汚れを落とすための洗浄作業が必要です。ホームセンターなどで購入できるデッキブラシがあればよいでしょう。基本は水洗いで十分ですが、バーベキューによる油汚れが目立つ場合などは、食器用洗剤を薄めて使用しても大丈夫です。水洗い後は、十分に乾燥させてから研磨作業をするようにしてください。水分を含んだままではうまく研磨できないため注意が必要です。天気の良い日であれば短時間で乾燥しますが、冬場や湿度の高い時期であれば、研磨の前日に洗浄作業だけ終わらせておくとよいでしょう。
塗料
研磨して表面の処理ができれば、木材を保護するためにも、塗装をしましょう。オイルステインを使って2回塗りするのが一般的です。DIYに人気のオイルステインは、木材に染み込んで着色するという特徴があります。オイルベースの油性塗料のため、木目を活かしたツヤ感が生まれます。
油性のオイルステインのほかに、水性ステンという塗料もあります。油性のオイルステンは専用の薄め液が必要であるのに対して、水性ステンは水で薄まるため、扱いが非常にかんたんです。オイルステインと比べて仕上がりのツヤ感は劣りますが、マットな風合いを好む場合は適しています。
また、造膜系塗料という厚い塗膜を形成するタイプの塗料もありますが、せっかくの木目の美しさを消してしまう点はデメリットといえるでしょう。保護機能は高いですが、せっかくのウッドデッキですから木目の風合いをぜひ活かしたいものです。
ハケ・養生など
ハケは化学繊維のものが使いやすいといわれています。なお、壁面などに使うローラーは、ウッドデッキの塗装には向きません。木目に沿って塗料を塗り、一度に塗り過ぎないのがコツです。塗った後はできるだけ雨に濡れないように乾燥させたいため、天気の良い日を選んでください。また、塗装する際は、マスキングや養生テープを用意して周辺をしっかり保護することで、ウッドデッキの周りにあるものが汚れる心配はありません。塗装する際はあわせて準備することをおすすめします。

ウッドデッキを研磨する流れ

ウッドデッキを研磨する流れについて紹介します。研磨の流れを正しく理解し、ウッドデッキのメンテナンスを成功させましょう。
1.清掃
まずは、土、砂、コケ・藻などの大きな汚れを取り除きましょう。手間はかかりますが、後の研磨作業が効率よくできます。ほうきやデッキブラシなど、汚れにあわせて使う道具を準備しておくとスムーズに清掃できます。
2.研磨
面積の大きな部分は、電動サンダーでの作業が効率的です。細かな部分は、やすり紙を使って丁寧に研磨してください。番号が大きな粗目から研磨して、次に中目、最後に細目へと使い分けることで、きれいに仕上げることができます。
3.洗浄
研磨したクズがデッキ表面に残らないように洗浄します。研磨クズが残っていると、塗装した際の仕上がりに影響してしまいます。水とデッキブラシで十分きれいにできますが、高圧洗浄機があると効率的です。
4.乾燥
洗浄後は十分に乾燥させましょう。短時間でしっかり乾燥させるためにも、天候の良い日を選んで作業しましょう。
5.塗装と乾燥(2回ずつ)
基本的に、塗装と乾燥を2回ずつ行います。塗装と乾燥を繰り返すことで、しっかりと塗料が固着するためです。塗料の乾き具合などを確認しながら作業してください。理想は気温5度以上、湿度85%以下です。特に、湿度が高い場合はウッドデッキに塗料が固着しにくいため、注意が必要です。

ウッドデッキの研磨をきれいに仕上げるコツ

ウッドデッキの状態を正しく把握し、目的に合わせた塗料を選ぶことでウッドデッキの寿命を延ばせるかもしれません。ここでは、ウッドデッキの研磨をきれいに仕上げるコツについて紹介します。
木材の種類や状態に応じた研磨作業
研磨作業を行う際は、ウッドデッキの状態をしっかりと確認しましょう。著しく劣化していない場合は、古い塗装を完全に落とさなくても、表面全体に塗料を塗布できる程度の傷がつけば十分です。表面にアシがつけば、塗料が密着しやすくなり、塗装の耐久性が高まります。
塗料にこだわる
木目を活かして仕上げる場合は、上記で紹介した浸透タイプであるオイルステインがおすすめです。保護機能を強化したい場合は、厚い塗膜で防水性を高める造膜タイプを使用するとよいでしょう。木目を活かす浸透タイプの場合は、元の色の影響も受けるため、試し塗りが欠かせません。仕上がりをイメージして塗料のカラーを選んでください。
天候をチェックする
湿度が低く、ある程度の気温が見込める天候が、塗装には好ましいといえます。研磨・乾燥から2回の塗装が完了するまでの目安は3日ほどです。1日で施工する場合、ウッドデッキや塗料の乾燥不良などが原因で後から不具合が起こりやすくなります。そのため、1日目に研磨と乾燥、2日目に下地処理や清掃、塗装、乾燥、3日目に2回目の塗装と乾燥のように、分けて作業するとよいでしょう。なお、乾燥は4時間ほどかかるため、作業を始める時間にも注意が必要です。

まとめ
適切にメンテナンスすることで、長く使い続けることができるウッドデッキ。自分の好みに合わせて、カラーを変えてみるといったアレンジがしやすいのも魅力の一つです。ウッドデッキのある暮らしを続けていくためにも、ぜひセルフメンテナンスにチャレンジしてみてください。

※当ページのコンテンツや情報において、カインズリフォームでは、取り扱いが異なる場合がございます。