石油給湯器に不具合が生じたり、10年以上使っていたりなど、ガス給湯器への交換を検討する方も多いでしょう。この記事では、石油給湯器からガス給湯器に交換するメリットやデメリット、交換費用の目安などを解説します。
※各補助金の金額や要件などは、2024年5月時点の情報です。
石油給湯器からガス給湯器に交換できる?

現在使用している石油給湯器の設置場所に新設するガス給湯器が設置できれば、基本的に石油給湯器からガス給湯器への交換が可能です。既存のガスの配管と給湯配管を新設するガス給湯器につなぎ直すことで、ガス給湯器でお湯を沸かせるようになります。また、使わなくなった石油タンクの撤去作業も同時に実施します。
一般的な石油給湯器の寿命は、10〜12年です。寿命が近づくにつれて、通常どおりに動いていても内部が劣化している可能性があります。修理という方法もありますが、修理をしても寿命が長くなるわけではなく、不具合を繰り返すケースも少なくありません。そのため、石油給湯器の寿命を迎える前に、メンテナンスの手間が少ないガス給湯器への交換を検討する人が数多くいます。
石油給湯器からガス給湯器に交換するメリット

石油給湯器からガス給湯器に交換すると、メンテナンスが楽になるといわれています。では、石油給湯器の具体的なメリットを紹介します。
燃料切れのリスクがない
石油給湯器は庭先などに設置した灯油タンクに貯蔵した灯油を燃料として使用するため、タンク内の灯油がなくなるとお湯が沸かせなくなります。とくに冬場は暖房の燃料として灯油を使う家庭も多いため、燃料切れになるスピードが早くなる傾向にあります。最悪の場合、寒い季節に暖房もお湯も使えない事態に陥ってしまう可能性もゼロではありません。しかし、ガス給湯器は都市ガスやプロパンガスを燃料とし、配管から直接燃料が使われるため、燃料切れの心配がありません。
スス払いをする必要がない
石油給湯器は灯油を燃焼するときにススが発生するため、定期的にスス払いをする必要があります。というのも、ススやほこりをそのままにしておくと、給湯器が故障する原因になってしまうからです。吸排気口にススやほこりを取り除いたり、配管や本体を掃除したりする手間は想像以上に手間がかかります。だからといって業者に依頼する場合、メンテナンス費用が必要です。その点、ガス給湯器はスス払いをする必要がなく、本体の拭き取りといった一般的な掃除方法で手入れが終了します。
タンクを設置するスペースを有効活用できる
石油給湯器の燃料を保管しておくための家庭用の石油タンクは、消防法の規定の関係で200Lのものが一般的ですが、200Lの石油タンクは意外とスペースが必要です。住宅街の場合、庭の広さを十分に確保できないケースも多く、そこに200L容量の石油タンクを設置すると、庭のスペースが大きく削られてしまいます。しかし、ガス給湯器はガス管から直接燃料を供給できるため、石油タンクを設置する必要がありません。そのため、庭のスペースを有効活用できるのもガス給湯器のメリットといえます。
石油給湯器からガス給湯器に交換するデメリット

維持に手間のかかる石油給湯器に比べて、ガス給湯器に交換するメリットは大きいといえます。しかし、ガス給湯器にもデメリットは存在します。デメリットも踏まえた上で、給湯器の交換を検討してみてください。
ランニングコストが高くなる可能性がある
石油給湯器は短時間に大量のお湯を沸かせるので、ランニングコストが低いという特徴があります。そのため、お湯の使用量が多い家族や使用頻度が高い家族にとっては、ガス給湯器に交換するとランニングコストが高くなる可能性があるでしょう。また、年間の光熱費において暖房費が大きな割合を占める寒冷地にお住まいの場合も、ガス給湯器への変更で暖房費が増える可能性があるため、あらかじめコストのシミュレーションをしておくのがおすすめです。
ただし、ガス給湯器は都市ガスであれば光熱費削減になる可能性があるほか、エコジョーズのように省エネ性能の高い給湯器を選べば、LPガスでもランニングコストを抑えられる可能性があります。
電気給湯器と比較すると寿命が短い
ガス給湯器の寿命も石油給湯器同様、10年前後といわれています。そのため、寿命が近づくとまた給湯器を交換しなければいけません。石油給湯器やガス給湯器と比較すると、電気給湯器は15年ほど持つといわれています。どの給湯器にも寿命がありますが、次回交換するまでの期間を長くしたい場合は、給湯器の種類も慎重に検討する必要があるでしょう。
石油給湯器からガス給湯器への交換工事の費用目安
給湯器の設置にかかる費用は大きさによって変わりますが、およそ20万円〜50万円ほどが相場といわれています。たとえば、ノーリツの給湯器に交換する場合の費用目安は次のとおりです。
<事例:ノーリツ給湯専用エコジョーズ HCT-C2062SAWX-2BL>
標準工事付(処分費込)205,000円~ ※カインズ価格
工事費用には、次の費用が含まれています。
- 本体一式(リモコンつき)
- 撤去工事費
- 取り付け工事費
- 処分費
- 交通費
- その他費用など
このように、交換工事の費用は新しい給湯器の設置だけでなく、石油給湯器の処分にかかる費用も含まれているのが一般的です。ただし、処分費をはじめ、交通費やその他費用は業者によって差があることもあります。そのため、工事を依頼する前に複数の業者から見積もりを取り、比較検討してから工事を依頼するのがおすすめです。
石油給湯器からガス給湯器に交換する流れ

石油給湯器からガス給湯器に交換する流れは、おもに次のとおりです。
- 業者との打ち合わせ
- 切り替え工事の実施
- ガス給湯器の設置
業者との打ち合わせ
ガス会社やリフォーム業者に問い合わせを行い、設置するガス給湯器の種類や工事の日程を決定します。ガス給湯器の設置にかかる費用は業者によって差があるため、複数の業者に見積もりを依頼するのがおすすめです。また、場合によってはガス管工事が必要となるケースがあるため、業者との打ち合わせは綿密に行い、意思疎通を図っておきましょう。ガス管工事を実施する場合は、道路管理者への申請が必要となるので、給湯器の交換を検討している場合は、早めに相談するとスムーズに進みます。
切り替え工事の実施
基本的に敷地内にガス管が通っている場合は、給湯配管同様に、既存の配管を利用して新設するガス給湯器につなぐ「敷地内配管工事」を実施します。ただし、敷地内にガス管が通っていない場合は、自宅付近の道路にあるガス管から自宅の敷地内までガス管を引き込む「引き込み管工事」を実施します。
ガス給湯器の設置
ガス管の工事が完了したら、ガス給湯器の取り付け作業を実施します。ガスメーターの点検、開栓作業、動作確認などが完了したら、切り替え工事は終了となります。
石油給湯器からの交換リフォームの注意点

石油給湯器からの交換リフォームを行う場合、交換する給湯器の設置場所によって選べる給湯器が絞られてきます。また、予算が決まっている場合、できるだけ給湯器の交換にかかる費用を抑えるのも重要なポイントです。では、石油給湯器からの交換リフォームを行う場合の注意点を解説します。
補助金が利用できるケースもある
石油給湯器からガス給湯器への交換は、補助金の対象となる可能性があります。ガス給湯器の中で補助対象になるのは、「エコジョーズ(潜熱回収型ガス給湯器)」タイプの製品です。補助金が利用できれば、交換費用を大幅に抑えられます。たとえば、国土交通省が実施している「子育てエコホーム支援事業」では一定の省エネ水準を満たしたエコジョーズを設置する場合、1戸あたり30,000円が補助されます。
ただし、エコホーム支援事業者として登録を受けた補助事業者に工事を依頼しないと、補助金の申請ができないので注意しましょう。また、補助金には上限金額(予算)が決められています。予算の達成状況は子育てエコホーム支援事業のトップページで確認できるので、補助金の利用を検討している場合は、早めに補助事業者に相談しましょう。
※出典:エコ住宅設備の設置【リフォーム】|子育てエコホーム支援事業【公式】
戸建てとマンションで取り付けできる給湯器は変わる
戸建てとマンションでは設置できる給湯器が違うほか、取り付け方法も変わります。施工業者とスムーズに打ち合わせをするためにも、自宅に取り付けられる給湯器の種類をあらかじめ確認しておくのがおすすめです。
<戸建ての場合>
- 壁掛けタイプ:家の外壁に掛けて取り付け可能です。
- 据え置きタイプ:屋外の地面やブロックの上に取り付け可能です。
- 浴槽隣接タイプ:据え置きタイプの一種で、浴室に面した外壁部分の地面やブロックの上に設置します。
<マンションの場合>
- 壁掛けタイプ:マンションのベランダに設置できます。
- PS(パイプスペース・パイプシャフト)設置タイプ:PSの扉がない場合と、扉の内側に入っている場合があります。PS内部にはめ込むため、設置可能なサイズが限定されます。
設置場所によってはガス管工事が必要となる可能性があるほか、これまで石油給湯器を設置していた場所に交換するガス給湯器が設置できるサイズかどうかも確認しておきましょう。自分では判断できない場合は事業者に相談してみるのも1つの方法です。
まとめ
石油給湯器からガス給湯器に交換するメリットは数多くあります。しかし、地域の気候によってはランニングコストが高くなる可能性があるので、交換するガス給湯器の種類は慎重に検討しましょう。ただし、石油給湯器の交換には補助金が適用されるケースがあります。
カインズリフォームでは、費用から補助金額を引いた金額で支払いできるほか、付与されたカインズポイントでお買い物もできます。コストを抑えて効率的に給湯器の交換を行いたい方はぜひ検討してみてください。
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