ガス給湯器を交換する際には、家族構成や家の構造に応じた仕様の製品を上手に選ぶことが大切です。家族構成によって必要な湯量や機能は異なり、家の構造によって設置できる場所が変わります。
この記事ではガス給湯器の種類や機能の違い、家族構成別に見る号数の目安や製品選びの手順などを詳しく解説します。おすすめの製品も紹介しているので、ガス給湯器の交換を検討している人は参考にしてください。

ガス給湯器とは
ガス給湯器とは、ガスを燃料としてお湯を供給する機器です。燃料となるガスにはプロパンガスと都市ガスがあります。プロパンガスは、プロパンやブタンが主成分の液化石油ガスを使用するLPガスの一種で、LPガスと同義的に扱われることが一般的です。
一方、都市ガスとはメタンを主成分とする液化天然ガスを使用したガスをいいます。給湯器には、他にも石油給湯器、電気温水器、エコキュートなどがありますが、ガス給湯器が現在最も普及しているタイプです。

ガス給湯器の設置場所別タイプ
ガス給湯器は設置場所に合うタイプを選ぶことも大切です。ここでは、設置場所が異なる4つのタイプと各タイプの特徴を解説します。
設置フリータイプ
設置場所をお風呂の近くにしなくてもよいタイプです。給湯器本体とお風呂が離れた場所にあっても、ポンプでお湯を循環させて使用できる仕組みになっています。
屋外の壁面に取り付ける壁掛けタイプと、屋外の地面やブロックの土台の上に設置する据置タイプがあり、設置場所に合わせて選択可能です。ただし、循環金具が浴槽に1つしかない場合は、据置タイプになるケースが多い傾向にあります。
浴槽隣接設置タイプ
浴槽に隣接して設置しなければならないタイプです。壁を隔てた浴槽のすぐそばに給湯器本体を置き、浴槽と給湯器本体を配管でつないでお湯を通します。お湯を循環する配管は給湯器の側面から上下に2本出ている点が特徴です。浴槽の循環金具が2つある場合には、浴槽隣接設置タイプであるケースが多くなっています。
PS標準設置タイプ
マンションなどの集合住宅で、玄関前の共用廊下に設置して使用されるガス給湯器です。PSとはパイプスペースまたはパイプシャフトの略語で、ガス管などの配管が通るスペースを意味します。
PS標準設置タイプはPS設置タイプの2つのタイプのうちのひとつで、給湯器本体はパイプスペース内にありますが、扉などはないオープンな状態で設置されているため、外から見える点が特徴です。
PS扉内設置タイプ
マンションなどの集合住宅で使用するPS設置タイプのもうひとつのタイプです。PS標準設置タイプとは違って、扉の付いたパイプスペース内に設置されているため、外から給湯器本体は見えません。
また、排気が出る方向が前方、後方、上方の3種類あります。前方に出るタイプは排気口だけ扉の穴から見えますが、後方と上方に出るタイプは扉の前からだと排気口も見えません。

ガス給湯器の機能別タイプ
ここでは、ガス給湯器に付いている機能別に4つのタイプとそれぞれの特徴を解説します。
給湯専用タイプ
搭載されている機能が給湯機能だけのシンプルなタイプです。キッチンや洗面所、浴室などの蛇口からお湯を出して使用します。お風呂のお湯張りをするときは、手動による蛇口の開閉で操作することが基本の使い方ですが、オートストップ機能が搭載されたタイプであれば、自動でお湯張りをすることも可能です。
高温水供給式タイプ
給湯専用タイプと同じく、キッチンや洗面所、浴室などの蛇口からお湯を出して使用するタイプです。ただし、高温水供給式タイプには標準で自動のお湯張り機能も付いています。また、追い焚き機能はないものの、お湯の温め直しができる点も特徴です。約80度の高温のお湯を供給できるため、お風呂の湯量は増えてしまうものの、差し湯で温め直せます。
ふろ給湯器
キッチンや洗面所、浴室などの蛇口からお湯を出せるだけではなく、お風呂への給湯もできるタイプです。自動でお湯張りをできる機能があるため、蛇口から手動でお風呂にお湯を溜める必要がありません。加えて、追い焚き機能が付いている点も特徴です。浴槽内のお湯を循環させて温め直せるため、差し湯のように余計な湯を使う必要がありません。
給湯暖房熱源機
給湯、自動お湯張り、追い焚き、温水暖房の4つの機能を利用できるタイプです。キッチンや洗面所、浴室などの蛇口からお湯を出せて、自動でお湯張りができ、浴槽内のお湯を循環させて温め直しもできます。さらに、専用の端末を用意すれば床暖房や浴室乾燥などの使用も可能です。

ガス給湯器の号数と家族構成別の目安
ガス給湯器には号数が異なる製品があり、家族構成に合った号数の製品を選ぶことも大切です。
号数とは
号数とはガス給湯器がお湯を出す能力を表す数値です。水温に25度を足した温度のお湯が1分間に出る量(L)を号数で表しています。たとえば、1分間に20Lのお湯が出る場合は20号です。
号数には10号、16号、20号、24号、32号があります。10号は1カ所のみの給湯使用に、16号は同じく1カ所の使用向きですが、冬でも余裕を持って使いたい場合に適しています。さらに、20号は2カ所での併用向き、24号は冬でも余裕を持って2カ所で併用したい家庭向きです。32号はキッチンと洗面所、シャワーの同時使用もできます。
家族構成別の目安
使用する湯量には個人差がありますが、一般的なケースからみる目安としては、シャワーとキッチン、追い焚きなどの同時使用が想定される4人家族の場合、24号の使用がおすすめです。
また、2人家族であれば、湯量をそれほど多く必要としないため、20号で対応できます。さらに、複数の場所で同時にお湯を使用することがない単身世帯の場合には、16号で対応可能です。

ガス給湯器の選び方
さまざまな製品の中から、自分の家に適したガス給湯器を上手に選ぶための手順を、4つのステップに分けて解説します。
【STEP1】今使っているガス給湯器のタイプを確認する
最初に、現在使用しているガス給湯器の設置タイプや号数、機能タイプを確認しておくと安心です。号数は給湯器本体に貼られたシールで確認できます。
設置タイプが現在使用しているものと同じなら、新しいガス給湯器を置けなくなる心配がありません。また、現在使用している湯量や機能に特に不満がなければ、同じものを選ぶことで、交換後に給湯器の湯量が過不足となったり、使いにくくなったりするリスクを防げます。
【STEP2】新しいガス給湯器をオートタイプ・フルオートタイプから選ぶ
ガス給湯器はオートタイプとフルオートタイプの中から選択できるため、どちらのタイプと交換するかを決めておく必要があります。オートタイプはお湯張りや追い焚き、保温を自動でできるタイプです。
一方、フルオートタイプは、オートタイプでできる3つの機能に加えて、足し湯も自動でできます。さらに、フルオートタイプには排水時に配管を自動で洗浄する機能もあり、普段のお手入れが楽になる点も特徴です。
【STEP3】エコジョーズシステムの有無を選ぶ
給湯機には、エコジョーズが搭載されているタイプとされていないタイプがあります。エコジョーズとは、ガスを効率よく使用することにより、従来のガス給湯器よりもがガスの使用量を抑えられるシステムです。
エコジョーズが搭載されているタイプと交換すると、ガス料金を節約できるようになりますが、導入費用が高くなるほか、別途ドレン配管工事なども必要となります。
【STEP4】条件に当てはまるガス給湯器を選ぶ
最後に、複数あるメーカーや製品の中から、交換するガス給湯器を絞り込んで選びます。STEP1~3で選んだ条件にあてはまるものだけを選んでいくと、自分の家や家族構成に合う製品を絞り込むことが可能です。

おすすめのガス給湯器
ガス給湯器の製品はいろいろありますが、ここではおすすめの2つの製品をピックアップして紹介します。
リンナイ:RUR206FSAW(戸建用)

お風呂から離れたところに備え付けられる設置フリータイプで、2カ所でお湯の併用ができる、2人世帯におすすめの20号です。オートタイプのため、お湯張りも追い焚きも保温も自動でできます。さらに、リモコン画面でガスの使用量や使用料金などを確認できる「まとめてルック」機能が付いている点も特徴です。
また、エコジョーズに対応したタイプで、従来型よりも給湯の熱効率が高くなっていることから、交換後はガス代も節約できます。
リンナイ:RUR206FSAWの詳細はこちら→
パロマ:FH-S1610FATL(集合住宅用)

1カ所での使用であれば冬でも余裕を持って利用できる16号のガス給湯器です。フルオートタイプで、お湯張りや保温、追い焚き、足し湯が自動でできます。また、横幅が250mmしかないスリムなタイプのため、設置しても外観をすっきりさせることが可能です。
さらに、さまざまな機能が搭載されている点も特徴で、たとえば、配管内を自動で洗浄する「配管クリーン機能」や、給湯器の異常過熱を防止する「壁面火災防止装置」などが付いています。

まとめ
ガス給湯器には設置場所や機能、使用できる湯量などによって異なる、さまざまな製品があります。交換する際には、現在使用している製品を参考にしながら条件で絞って、家の構造や家族構成に適した製品を上手に選ぶとよいでしょう。

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