家庭用蓄電池は電気代の節約や防災対策として効果的で、一般家庭にも普及しつつあります。充電方法によって3タイプに分かれていて、目的に合ったタイプを選ぶことが大切です。また、設置する環境にも複数の条件があります。そこで今回は、家庭用蓄電池の特徴や充電方法、費用からメリット・デメリット、選び方まで詳しく解説しますので、導入を検討するための参考にしてください。
家庭用蓄電池とは

家庭用蓄電池とは、電気を充電して溜めておき、必要なときに使用できる二次電池・バッテリーのことです。電気代が高くなる時間帯に蓄電池の電力を利用すれば、電気代を節約できます。また、災害による停電時にも電気を使用できるため、防災対策として導入している家庭も少なくありません。
蓄電池市場は拡大傾向にあり、ますます家庭に普及していくことが期待されています。
充電方法
家庭用蓄電池は、電力会社から購入した電力、もしくは太陽光発電で発電した電力を使って充電する仕組みです。対応可能な電力の種類によって、充電方法は3つのタイプに分かれます。
単独型 |
単機能型 |
ハイブリッド型 |
持ち運び可能な小型蓄電池 |
蓄電池とパワーコンディショナを組み合わせた蓄電システム |
蓄電池用と太陽光発電設備用のパワーコンディショナを一体化した蓄電システム |
・電力会社から購入した電力をコンセントから充電
・設置・配線といった大がかりな工事が不要 |
・住宅の分電盤などに接続して充電する
・太陽光発電設備からも充電可能 |
・太陽光発電で発電した電流をそのまま充電できるため変換ロスがない
・単機能型に比べて省スペース |
太陽光発電で発電した電力を溜めたい場合は、単機能型かハイブリッド型を選びましょう。電力会社から購入した電力のみを溜めておきたい場合は、単独型を選んでください。
設置・保管に必要なスペース
蓄電池の設置・保管に必要なスペースは、使用する蓄電池のサイズで大きく異なります。家庭用蓄電池のサイズの目安は幅:約80cm、奥行:約40cm、高さ:約100cmです。壁との間には十分なすき間が必要なため、家庭用蓄電池のサイズを大きく超えるスペースがなければ設置できません。
また、高温・低温にならない場所、結露しない場所など望ましい環境の条件があるため、事前に設置場所を十分に調査しましょう。
導入費用
家庭用蓄電池の導入にかかる費用の目安は、約80~200万円です。
家庭用蓄電池の導入費用は、次の4つで決まります。
- 本体価格
- 設置費用
- 電気系統の工賃
- 蓄電池を固定するための基礎工事
家庭用蓄電池の価格の目安は次のとおりです。
- 鉛蓄電池……5万円/kWh
- リチウムイオン蓄電池……20万円/kWh
- NAS蓄電池……4万円/kWh
- ニッケル水素電池……10万円/kWh
本体価格が安い家庭用蓄電池を選択しても、他の費用がかかることで予想以上にトータルコストが高くなる場合があります。業者によって費用が大きく異なるため、複数社から相見積もりを取るとよいでしょう。
家庭用蓄電池の使い時
家庭用蓄電池は、電気代の節約術や災害時の非常用電源として使えます。電気代の節約については、夜間に電気代が安くなるプランを利用しする場合に有効です。夜間に充電しておいて、日中の電気代が高くなる時間帯に蓄電池の電力を利用することができます。また、太陽光発電と組み合わせれば、さらなる節約が可能です。
災害時においては、蓄電池に溜めておいた電力を使用することで、家電やスマートフォンの充電などに利用できます。さらに、EV車の充電にも活用可能です。
家庭用蓄電池のメリット

家庭用蓄電池のメリットを知ったうえで、自身に適しているかどうかや必要性などについて確認しましょう。
太陽光発電との組み合わせで電気代を節約できる
蓄電池を使った電気代の節約術と太陽光発電と組み合わせれば、さらに高い効果を発揮します。電力会社の夜間に電気代が安くなるプランを活用して、夜間に充電した電力を日中に使用すると、太陽光発電による電力の自家消費を抑えることが可能です。そのうえ、多くの電力を売電にまわすことができます。ただし、太陽光発電と家庭用蓄電池の両方を導入するとコストがかかるうえに定期メンテナンスの負担も増すため、費用対効果を加味して導入を検討しましょう。
災害時にも電気を使用できる
日本は、地震や台風などの自然災害が多発する国のため、防災対策として蓄電池を導入する家庭が少なくありません。災害時の停電で使えなくなるのは家電製品だけではなく、医療的ケアに使用する機器も含まれます。人工呼吸器や吸引器などを使用しながら在宅療養する患者は、停電により健康に大きな影響が及ぶ可能性が高いです。そのため、災害時にも電気を使用できるように蓄電池を備えることは重要と言えます。
家庭用蓄電池のデメリット
家庭用蓄電池にはデメリットもあります。メリットだけではなく次のデメリットも確認したうえで、家庭用蓄電池の導入を検討しましょう。
設置コストがかかる
前述したとおり、家庭用蓄電池の設置には約80~200万円とコストがかかるため、費用対効果を踏まえて導入を検討することが大切です。ローンを組む場合、導入直後は節約できた電気代分がローン返済で打ち消されて、メリットを実感できないかもしれません。どれだけ使用すれば損益分岐点を超えるのかも考慮しましょう。
定期的な交換が必要
家庭用蓄電池の中でもリチウムイオン電池は、充電と放電の回数に限界があります。限界に達すると蓄電容量が少しずつ減って行き、いずれは新品への交換が必要になります。メーカーによって充電と放電の限界数や保証期間が異なるため、事前に確認しておきましょう。
十分なスペースが必要
家庭用蓄電池のサイズの目安は幅:約80cm、奥行:約40cm、高さ:約100cmで、それ以上の設置スペースが必要です。また、家の構造の都合で設置場所が限られる場合もあるため、家庭用蓄電池を設置可能なスペースについて事前に確認しておきましょう。
家庭用蓄電池の選び方

家庭用蓄電池を選ぶ際は、次のポイントを押さえましょう。
目的
家庭用蓄電池を導入する目的に応じて、必要な容量や定格出力が異なります。また、売電の効率化を目的とするのであれば、太陽光発電の発電量も蓄電池選びに関係します。目的を明確にしたうえで専門家に相談すると、自宅に適した家庭用蓄電池の条件を確認できるでしょう。
性能
家庭用蓄電池の性能とは、下記2つの項目を指します。
・容量(kW)……蓄電池に溜めることができる電気の量
・定格出力……一度に出力できる電気の量
家庭用蓄電池の容量は3~4.5kW程度が主流でしたが、大容量化により現在は7~12kW程度のものが多く登場しています。7kWもあれば、日中に充電した電力を家族4人で夜間に使用しても不足する心配はほとんどありません。ただし、必要な容量は電力使用量によって異なるため、家族構成やライフスタイルを確認したうえで専門家に相談し、最適な容量を確認しましょう。なお、容量が大きくなればなるほどに本体価格も上がる傾向にあるため、費用対効果のバランスにも考慮が必要です。
定格出力が低いと、高出力が必要な家電に利用できません。しかしながら、多くの家庭用蓄電池は一般的な家電を使用するのに十分な定格出力を備えています。こちらも容量とあわせて確認し、最適な家庭用蓄電池を選びましょう。
屋内用・屋外用
蓄電池には、屋内用と屋外用があります。屋外に置くと、雨・風にさらされることで劣化が早まったり故障のリスクが高くなったりするでしょう。また、海岸近くの塩害地域の場合はますます劣化が早まる可能性があります。屋外型の場合は、保証期間が長いものや塩害対策が施してあるものなどを選ぶことが大切です。
屋内用を選ぶ際に特に注意点はありませんが、多少の機械音がすることを考慮して設置場所を決める必要があります。実際に製品の運転音を確認のうえで、屋内に設置しても問題ないか考えましょう。
自家消費モードの有無
自家消費モードとは、太陽光発電によって発電した電気の余った分を蓄電池に充電し、発電する電力が不足しているときは放電するモードです。電力会社から購入する電力を抑えることができるため、電気代の節約効率が高まります。多くの家庭用蓄電池には自家消費モードがついていますが、念のため確認しておくことをおすすめします。自家消費モードの名称はメーカーによって異なり、グリーンモード、クリーンモード、環境モードなどさまざまです。
なお、家庭用蓄電池の購入に使える補助金は、自家消費モードまたは同等の機能がついていることが条件の場合があるため、補助金を利用したい場合は必ず確認しておきましょう。
保証
家庭用蓄電池は精密機器のため、正しく使用していても故障する可能性があります。そのため、保証期間が長いものを選ぶのがおすすめです。多くの家庭用蓄電池には10~15年の保証期間が設けられていますが、念のため確認しておきましょう。また、メーカーによっては延長保証を設けている可能性もあるため、あわせて検討してみてください。
まとめ
家庭用蓄電池を導入することで、電気代を節約したり災害時にも電化製品を使用したりできます。また、太陽光発電と組み合わせることで効率的に売電が可能になるため、より多くの利益を得られる可能性があります。家庭用蓄電池の導入には、十分なスペースが必要です。設置できることを確認したうえで、容量や定格出力、自家消費モード、保証などをチェックし、最適な家庭用蓄電池を選びましょう。
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