戸建て住宅とは違って、マンションのリフォームはできることとできないことがあり、失敗しないためにも正しい知識を持っておきたいところです。管理規約をきちんと守った上であれば、マンションでも十分に自由度の高いリフォームを行うことができます。本記事では、マンションリフォームにできることやリフォーム費用の相場、リフォームの際に注意してくことなどを詳細に説明していきます。
マンションリフォームでできること・できないこと

マンションをリフォームするには、どんな点に注意するべきか、マンションリフォームの基本について解説します。
できるのは専有部分のみ
マンションでリフォームできるのは、専有部分に限られます。住戸内部の専有部分なら、すべてを解体してイチから間取りをつくることもでき、自由度の高いリフォームが可能です。管理規約の範囲内であれば、天井や壁の張り替えで室内の雰囲気を一新することも、大胆な間取りを変更することもできます。
マンションの水回りリフォームは可能?
キッチンをI型からアイランド型に変更したり、洗面台の位置を移動したりなどの、水回りの大規模なリフォームも可能です。その際のポイントは、床下の配管がどこまで動かせるかです。無理なレイアウトで水の流れが悪くなったり、空気の吸い込みが悪くなったりすることは避けなければなりません。十分な排水勾配が取れる範囲での移設に留めておくのが無難です。条件によりますが、床下空間を拡張して移設できる範囲を広げる方法で対応することもできます。
マンションの間取りリフォームはどこまでできる?
専有部分での間取りの変更は、比較的自由にできます。どこまで自由にできるかは、構造によって異なります。ラーメン構造であり、かつ住まいの内側がすべて専有部分であれば、間仕切りとなっている壁をすべて撤去して、新たに設置することができるため、ライフスタイルに応じた間取りへのリフォームも可能です。
マンションの内装リフォームでできること
壁や天井のクロスの張り替えや塗り替えができる他、管理規約を確認した上で、床材のリフォームも可能です。その際に問題となるのが騒音です。遮音性が著しく低いフローリングなどは、歩く音が階下に伝わりやすくなってしまうため禁止されているケースが多くあります。管理規約に細かく床材の性能を定めているマンションが少なくありませんから、まずは管理規約の確認が必要です。
床暖房へのリフォームも可能
床リフォームで人気の床暖房の導入も可能です。直貼りタイプの床暖房は手軽で低コストですから、寒いエリアにお住いの方におすすめのリフォームです。ただし、電気やガスの熱源を消費する量が増えるため、住居ごとに可能な使用量を管理組合で確認しておきましょう。
マンションの窓のリフォームは注意
天井や床、壁紙など内装のほとんどがリフォーム可能であることに対して、窓のリフォームには注意が必要です。というのも、窓のサッシは共用部分で、サッシの形状やカラーが外観に影響するため、管理規約でリフォームを禁止しているマンションもあります。ガラスのみの交換であれば対応可能なケースも多いですが、断熱性の高いペアガラスへの交換はサッシごと取り換える必要があるため、規約に抵触するかもしれません。
コンセントやエアコンの増設
エアコンには専用コンセントが必要となるため、増設できるコンセントの数次第で、取り付けられるかどうかが決まります。各戸に配電されている電気容量には上限があるため、エアコンやコンセントの増設によって、電気容量が足りなくなるようなリフォームはできません。マンション全体で使用できる電気の総量が決まっているため、自分が住むマンションの規約を確認しましょう。
マンションリフォームの内容別費用相場

ここでは、マンションリフォームの内容別の費用相場を紹介します。リフォームを検討する際の参考にしてみてください。
キッチンリフォームの費用相場
キッチン本体のみを交換するリフォームであれば、相場は150万円以下です。レイアウトも変更する際は給排水の設備工事も伴うため、最低でも150万円以上が必要となります。また、レイアウトを変える場合は、壁紙や床材の張り替えも併せて行うことが多いため、付帯工事の費用も予算に入れておく必要があります。
<キッチンリフォームの費用相場>
・システムキッチン本体の交換のみ:約50〜150万円
・システムキッチン交換+レイアウト変更:約150万円〜
トイレリフォームの費用相場
トイレリフォームでは、トイレ本体と一緒に、古さが目立つ壁紙や床材も新しくする内装リフォームを施す傾向にあります。
<トイレリフォームの費用相場>
・トイレ本体の交換のみ:約10〜25万円
・トイレ交換+内装リフォーム:約25〜50万円
・トイレ交換+内装リフォーム+手洗器新設:約50万円〜
浴室リフォームの費用相場
多くのマンションの浴室にはシステムバスが採用されているため、システムバスからシステムバスへの交換が基本ですが、デッドスペースを活用して広くするリフォームも可能です。
<浴室リフォームの費用相場>
・システムバスの交換:約60〜120万円
洗面所リフォームの費用相場
洗面所は浴室と隣接して設置されていることが多いため、浴室リフォームとあわせて実施するケースが多くなります。給排水設備の変更が可能であれば、大幅なレイアウト変更やデザイン変更もできます。
<洗面所リフォームの費用相場>
・洗面台の交換のみ:約10〜25万円
・洗面台交換+内装リフォーム:約25〜50万円
リビングリフォームの費用相場
リビングリフォームの代表的な内容は「壁紙・クロスの張り替え」「フローリング・床材の張り替え」「リビングの拡張」「LDKの間取り変更」です。
<リビングリフォームの費用相場>
・壁紙、クロスの張り替え:約6〜15万円
・フローリング、床材の張り替え:約15〜40万円
・リビングの拡張:約40〜100万円
・LDK全体リフォーム:約90〜200万円
フルリフォーム(スケルトンリフォーム)の費用相場
躯体部分のみを残して自在にリフォームするスケルトンリフォームの費用相場は以下の通りです。
<フルリフォームの費用相場>
・単身者向けマンション(40㎡):約400〜800万円
・DINKS向けマンション(60㎡):約700〜1,100万円
・ファミリー向けマンション(80㎡):約900〜1,300万円
マンションリフォームの注意点

マンションリフォームでは制約される部分もあるため、プランニングを始める前にきちんと管理規約などを確認し、管理会社や近隣住民への連絡を行いましょう。
共有部分はリフォームができない
たとえ自分が所有する部屋であったとしても「ベランダ」「バルコニー」「窓・窓枠」「玄関扉」「住戸間をまたぐ壁」「床下コンクリート」などの部分はリフォームができません。専有部分と共有部分の境界を理解した上でプランを練るようにしましょう。
管理会社や管理人への連絡
管理会社や管理人への連絡なしに、自分の勝手な判断でリフォーム工事をすることはできません。規約違反と見なされて、管理会社や近隣住民との間でトラブルに発展してしまうリスクがあります。
管理規約の内容を確認
リフォーム可能な範囲や内容、給排水設備の指定位置、各戸ごとに使用できる電気・ガス量などが細かく定められているため、規約内容の確認は必須です。目に見える部分での規約だけでなく「音」に関する規約にも注意が必要です。
近隣住民への配慮
リフォーム工事中には、振動や騒音が発生するため、十分な対策を取ると同時に、近隣住民への説明や事前のお知らせが欠かせません。特に、リフォーム業者の車の駐車問題などがトラブルの原因になるため、十分な配慮が必要です。
新耐震基準を満たしているか
マンション自体がリフォームに適していないケースもあります。新耐震基準を満たしていない場合、リフォーム自体ができない可能性もあるため、管理会社や管理人への確認を怠らないようにしてください。
マンションリフォーム費用を用意する方法

マンションリフォームでは、リフォームローンの他に住宅ローンや補助金を利用して、計画的に費用を調達することが可能です。
リフォームローン
リフォームローンは住宅ローンの1種ですが、借入れできる金額の上限や返済期間に違いがあり、リフォームに適した利用が可能です。一般的に借入れできる金額は、最大500~1,000万円となっていますが、金融機関によっては最大1,500万円までとなっています。返済期間は最長10~15年程度と、住宅ローンよりも短い傾向にあります。
住宅ローン
住宅ローンは主に新築購入の際に利用するローンなので、リフォームローンよりも審査基準が厳しい半面で、借入れの上限額は5,000万円~1億円程度と高く、返済期間も最長35年です。「団体信用生命保険」への加入が必要になるなど、さまざまな条件が設けられています。
補助金の活用
リフォーム工事をする際、国や自治体が実施している補助金の活用が可能です。「介護・バリアフリー」「エコ・省エネ」「耐震性」「在宅勤務やウイルス対策」など、お住いの都道府県やエリア、期間に応じて各種の補助金制度があるため、ホームページなどでチェックしてみてください。
リフォーム費用の贈与
住宅のために親などからの援助を受けた場合、税金面で優遇される制度があります。「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税制度」は、リフォームにも適用され、非課税枠が最大で3,000万円になります。
リフォーム業者の選び方

失敗のない満足できるリフォームのためには、希望通りのリフォームをしてくれる業者選びが重要です。理想の業者を見つけるためのポイントを6つ紹介します。
マンションリフォームが得意な業者
戸建て住宅とは違うマンションリフォームの特徴を理解している業者を選ぶのがポイントの1つです。各社の施工実績などが参考になります。
細かな要望にも対応してくれる業者
説明が丁寧で、希望を細かく柔軟に受け入れた上での提案をしてくれると、リフォーム後の満足度も高くなります。担当者の対応をポイントに決めるのもおすすめです。
保障やアフターフォローも重要
将来を考慮して、価格が高くても長期保証を充実させている会社を選ぶと、長期にわたって安心できます。施工技術や品質に自信がある業者ほど、保証内容やアフターサービスも手厚くする傾向にあります。
会社の実績や加盟団体を参考にする
リフォーム関連の協会や団体などに加盟している企業は、信頼性の高い会社であると言えます。広告や宣伝をしていなくても、しっかりとした実績と技術がある会社ですから、安心してリフォーム工事も依頼していただけます。
ユーザーの評価を参考にする
クチコミやユーザーレビューなどの情報を参考にして、顧客満足度の高い業者を選ぶのも賢い選び方です。複数の情報サイトやユーザーの声を参考にしてみてください。
まとめ
マンションのリフォームには制約が加えられているケースがほとんどですが、規約を確認した上で、マンションリフォームが得意な業者に相談することで、間取り変更などの自由度の高い工事を行うことも十分に可能です。その一方で、近隣への配慮など共同住宅だからこそ気を付けておくべきことも少なくありません。そうした部分も含めて、マンションに強いリフォーム業者を選ぶことをおすすめします。
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