高騰する電気代という悩みを前に、太陽光発電の導入を検討されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。ただ、実際に節約できるのか、できるとしたらどれほどかという疑問も生じるかもしれません。そこでこちらでは、太陽光発電と電気料金の関係や電気料金を割り出す方法、電気代を節約するイメージ、太陽光発電と何かを組み合わせて電気代を下げる方法などについて、解説していきます。
太陽光発電を導入すると電気代が安くなるのか?

太陽光発電を導入するかどうかの判断材料の1つとして挙げられるのは、実際に電気代が安くなるのかという点ではないでしょうか。太陽光発電で電気代が安くなる理由を以下に挙げますので、参考にしてください。
電力会社からの購入量が減る
太陽光発電システムあれば、自宅で電気を生み出すことができ、その電気を自宅で消費することが可能です。電気を自前で用意することができるので、これによって電力会社から購入する電力量は減少し、月々の電気代は安くなります。太陽の光が当たれば太陽光発電は稼働するので、日中に消費する電力量を太陽光発電でまかなうこともできるでしょう。その場合、太陽が沈んだ時間帯だけ電力会社から電気を購入するという生活を送ることも可能です。
売電できる
太陽光発電による日中の発電量は多く、自宅で使いきれない状況も考えられます。そうした余剰電力が発生した場合には、電力会社に電力を売ることが可能です。経済産業省が制定した「固定価格買取制度(FIT制度)」を利用すれば、住宅用の10kW未満の発電設備であれば、10年間は同じ価格で電力会社が買い取ってくれます。このように売電収入を得ることができるのは、太陽光発電の大きな特徴です。
蓄電した電気を使える
太陽光発電と家庭用蓄電池を併用するという考え方。太陽光発電で生み出した電気を蓄電池に貯めておけば、好きなタイミングで使うことができます。たとえば、太陽光発電で日中に発電した電気を、蓄電池に蓄電。太陽が沈んだ夜間に家事向けに使用することで、電気代を節約できます。
従量電灯に影響する
電気料金は、「基本料金+従量電灯」のプランが一般的です。従量電灯とは電力使用量によって1kWhあたりの単価が決まる仕組みで、使用料が多いほど単価は上がっていきます。つまり、電力会社から購入する電力が少なければ単価も低いままで済むため、太陽光発電で多くの電力を発生させることができれば電力会社に多くの電力料金を支払う必要はありません。
太陽光発電の導入検討に便利なシミュレーション
太陽光発電の導入にあたり、月々の電気代がどの程度の金額になるのかをあらかじめ知ることができれば、決断がしやすくなるでしょう。こちらでは、太陽光発電の発電量や導入後の電気代を計算できるツールをご紹介します。
省庁の統計・データを利用する
経済産業省や環境省、総務省など各省庁では、太陽光発電に関する統計やデータを集計し、ホームページなどで公開しています。たとえば、電気代に関してのデータでは、総務省の統計(※)によると2人以上の世帯の月平均の電気代の額は10,317円です。こうした各省庁が発表する統計やデータを調べ、自分の生活に照らし合わせて計算することで、太陽光発電を導入することが有益かどうかを判断することができます。
※出典:「家計調査報告(家計収支編)2021年(令和3年)家計の概要」
太陽光パネルメーカーなどのツールを利用する
太陽光パネルを製造しているメーカーなどは、想定される電気代などを計算できるシミュレーションツールをホームページ上で公開しています。居住地域や太陽光発電システムの容量、設置する方角などの条件を入力するだけで、年間予想発電電力や年間の電気代などを詳しく算出することが可能です。こうした太陽光発電に関連している企業が提供しているツールも、非常に役に立ちます。
太陽光発電を利用した電気代節約のイメージ

太陽光発電を導入することで、実際にどれだけの電気代を節約することができるのでしょうか。オール電化の家庭の場合、売電がメインの場合、自家消費がメインの場合の3つのケースでシミュレーションしてみました。
オール電化の場合
オール電化住宅とは、家庭内で利用するあらゆるエネルギーを電気でまかなう住宅です。基本的にガスや灯油などを使うことがないので、電気代以外の光熱費は掛かりません。
総務省の調査では、2021年の2人世帯の電気代平均は月額9,183円、ガス代は月4,330円(※1)で、合計すると13,513円となります。一方で、オール電化住宅の2人世帯の電気代は、平均で14,303円でした(※2)。
ガス代と電気代を合わせた光熱費よりもオール電化の電気代の方がやや高いという結果ではありましたが、太陽光発電を活用すれば電力会社からの購入額が減少します。加えて、FIT制度を利用して余剰電力を売電制すれば、収入を得ることも可能です。総差し引きすると、実質的な電気代の節約効果は大きいと言えるでしょう。
※出典1:総務省統計局「家計調査 家計収支編 二人以上の世帯 表番号3-1 世帯人員別1世帯当たり1か月間の収入と支出」
※出典2:関西電力「オール電化住宅の世帯別⽉間平均光熱費」
売電メインの場合
太陽光発電では、FIT制度を利用して余剰電力を電力会社に販売することで、個人でも収入を得ることができる仕組みが構築されています。一般住宅用の太陽光発電システム(10kW未満)の場合は、10年間は固定価格で売電することが可能です。
太陽光発電の売電収入を増やすためには、余剰電力の量が関係してきます。発電している日中に自宅で使用する電力をできる限り減らし、余剰電力に回すことが重要です。さらに、夜間など太陽光発電ができない時間帯でもできるだけ消費電力を少なくすれば、より効果は高まります。
自家消費メインの場合
太陽光で生み出した電気をできるだけ多く自宅で消費すれば、電力会社からの購入量が減り、電気代の節約を実現できます。太陽光発電は気象条件によって発電量が大きく左右されるためあまり現実的ではありませんが、電気を売電するFIT制度や蓄電池なども併用すれば、光熱費を0円に近づけることは可能です。近年、不安定な国際情勢などから電気料金は大きく値上がりしており、電力を自家消費するメリットは大きいと言えるでしょう。
太陽光発電と組み合わせて電気代を下げる方法

太陽光発電は単体でも、生み出した電気を自家消費したり、売電したりすることで、電気代を節約することは可能です。他の機器を組み合わせることで、さらに高い節約効果が期待できます。
蓄電池を使う
太陽光発電システムで生み出した電気を蓄電池に溜めて、必要に応じて使う方法です。日が出ている間は太陽光で発電した電気を使って余った電気を蓄電し、日が落ちた後は蓄電池に溜めた電力を使います。また、電気料金が安い夜間に電力会社から買電し、蓄電池に貯めておいて、電気料金の高い日中に使うという方法も可能です。このように太陽光発電と蓄電池を併用し、有効に使うことで、電気代をより削減できる可能性は高まります。
省エネ機器を使う
ガスの代わりに、空気の熱で効率的にお湯を沸かすヒートポンプ式給湯器である「エコキュート」を導入するなど、省エネ機器を使う方法です。エコキュートは、電気料金の安い深夜電力を使ってお湯を沸かす仕組みで、ガス給湯器と比較して光熱費を削減することができ、ヒートポンプ式のためエネルギー消費量も少なくて済みます。
最近では、太陽光発電との組み合わせでお湯を沸かす「おひさまエコキュート」が開発されました。電気代が高い昼間に太陽光発電の電気でお湯を沸かすのがおひさまエコキュートの特徴で、さらなる光熱費の節約が期待できます。
EV(電気自動車)をセットで使う
蓄電池を使うのと同様に、EV(Electric Vehicle = エレクトリックビークル)のバッテリーを活用する手段もあります。通常、EVのバッテリーは家から車に充電することしかできません。しかし、V2H(Vehicle to Home)があれば、家から車はもちろんのこと、車のバッテリーの電気を家に送れるようになります。たとえば、日中に太陽光で発電した電力をEVに充電し、夜間に自宅用に使う電気をEVのバッテリーから自宅に供給するという使い方ができます。
しかも、家庭用蓄電池の容量は5〜7kWh程度の容量が一般的で、大型でも10kWh程度です。一方、EVのバッテリーは多くが30~60kWhと家庭用蓄電池の数倍の容量があり、電力会社から購入する量を抑えることができます。
まとめ
太陽光発電を導入すれば、電力会社から購入する電気を削減できるのはもちろん、余剰電力を電力会社に売れば収入も得られます。こうした点から、太陽光発電は電気代の節約に大きく貢献します。実際に電気代をゼロにすることは難しいですが、工夫次第では大きく削減することは可能ですので、今後の電気代が心配という方は検討してはいかがでしょうか。
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