家を建てる際、十分に検討したつもりでも、実際に住みはじめてから気づくことが多くあります。コンセントもその中のひとつで、ライフスタイルの変化によって、コンセントの数が足りずに不自由を感じている人は多いです。この記事では、リフォームでコンセントの増設をお考えの方に、コンセントの増設方法の種類やおすすめの設置数などを解説します。
コンセントの増設方法の種類

コンセントの用途は多岐に渡っています。家電製品に加え、携帯やタブレットなどの使用頻度が増えているため、リフォームでコンセントの数を増やしたいと考えている人の数は多いです。コンセントの増設するための方法は、主に3つあります。それぞれの増設方法について、詳しく解説していきます。なお、コンセントのリフォームは第二種電気工事士という国家資格が必要となるため、DIYでコンセントの設置はできません。
コンセントを新しく増設する
コンセントの数を増やすと、いろいろな用途への使用が可能になるため便利になります。コンセントを新しく増設する方法は、さらに以下の2つに分けられます。
既存のコンセントを分岐して新しい差し込み口をつくる
使う頻度の少ない家電専用として、コンセントを増設する場合に向いている方法です。延長コードを使用する場合と同じ原理になるため、消費電力が多いものには不向きです。
分電盤から専用線を引いてコンセントを増設する
電気を分配するための装置である分電盤から、新たに専用の配線を引く方法です。そのため、手間がかかりますが専用の配線を増設するため消費電力が多いIHや冷暖房などを使用してブレーカーが落ちにくいというメリットがあります。
既存の差込口の数を増やす
既存のコンセントの差込口の数を、2口から4口6口と増やす方法です。既存の配線を利用して増やす場合は、30分程度の工事時間で施工は完了します。
電圧(ボルト数)の変更をする
主に、エアコンや200V対応のIHクッキングヒーターなど、消費電力の多い家電を設置する際の方法です。分電盤でボルト変更をして専用の線を引ひきます。古い分電盤の場合には、分電盤本体の工事が必要になります。
おすすめのコンセント設置数と設置ポイント

コンセントの数は多いほど便利です。長いコードを使用する必要がないため部屋の見た目もすっきりします。ここでは、場所ごとに必要なコンセントの数を、目安となる使用家電と合わせて紹介します。また、場所別にコンセントを設置する際のポイントも解説していきます。
リビング
リビングでの必要コンセント数と使用家電・設置ポイントを解説します。
コンセント数
5つ以上
使用家電
テレビ・エアコン・無線LAN・電気ストーブ、ホットカーペット、空気清浄機など。
設置するポイント
ゲーム機やインターネット機器や録画機などが集中するテレビ・パソコン周りに、口数の多いコンセントを設置します。また、季節に合わせて、扇風機・ホットカーペット・電気ストーブ・加湿器・空気清浄機など、リビングで使用する家電は多くあります。
キッチン
キッチンでの必要コンセント数と使用家電・設置ポイントを解説します。
コンセント数
7つ以上
使用家電
炊飯器・電子レンジ・トースター・電気ケトル・コーヒーメーカー・ミキサー・IHクッキングヒーター・食洗機・冷蔵庫など。
設置するポイント
キッチンのコンセントの位置は、作業がしやすい高さに設置するとコードの抜き差しが便利です。消費電力が大きい電子レンジやIHクッキングヒーターや食洗機などの家電は、それぞれ専用コンセントの設置がおすすめです。
ダイニング
ダイニングでの必要コンセント数と使用家電・設置ポイントを解説します。
コンセント数
4つ以上
使用家電
卓上電気鍋・ホットプレートなど。
設置するポイント
卓上鍋やホットプレートなど、使用頻度が少ない家電は、テーブルの床下の収納式コンセントを設置する方法もあります。テーブルしたから延びるコードであれば、キッチンとの往来で足をひっかける心配がありません。
寝室・個室(2畳あたりコンセント1個2口が目安)
寝室・個室での必要コンセント数と使用家電・設置ポイントを解説します。
コンセント数
5つ以上
使用家電
電気毛布・間接照明・携帯電話の充電・エアコン・加湿器・空気清浄機など。
設置するポイント
机やベッドの周辺に設置すると便利です。作業中や就寝中に携帯電話の充電をする場合には、USB充電付きのコンセントがおすすめです。エアコンを設置する場合は専用コンセント、テレビを設置する場合はアンテナ端子が必要になります。
洗面所
洗面所での必要コンセント数と使用家電・設置ポイントを解説します。
コンセント数
4つ以上
使用家電
ドライヤー・電動歯ブラシ・電気シェーバー・洗濯機・暖房器具など。
設置するポイント
洗面台の横と洗濯機周辺に、それぞれ2口ずつ設置します。洗面台にも付属のコンセントを2口設置すると、朝の混雑を避けられます。
トイレ
トイレでの必要コンセント数と使用家電・設置ポイントを解説します。
コンセント数
2つ以上
使用家電
ウォシュレット・暖房器具・脱臭機など。
設置するポイント
高齢になるとヒートショックの心配があるため、暖房器具を置く場合を考慮することが大切です。また、ウォシュレット用に便器側、暖房・脱臭機用に便器とは反対側にコンセントを設置すると、家電のコードが乱雑にならずに済み、足の引っ掛け防止になります。
廊下・階段・玄関
廊下・階段・玄関での必要コンセント数と使用家電・設置ポイントを解説します。
コンセント数
3つ以上
使用家電
掃除機・常夜灯・水槽・インテリアなど。
設置するポイント
夜間足元を照らす常夜灯などのため、廊下や階段のコンセントは下の方に設置します。低い位置のコンセントは、掃除機を使う際にも便利です。また、玄関収納の上にスペースがある場合、水槽や季節物などのインテリアを飾る際に使えるため、コンセントの設置をおすすめします。
収納クローゼット
収納クローゼットでの必要コンセント数と使用家電・設置ポイントを解説します。
コンセント数
1つ以上
使用家電
掃除機・電動自転車
設置するポイント
収納クローゼットの中にコンセントがあれば、掃除機を収納している間に充電しておくことが可能になります。
屋外
屋外での必要コンセント数と使用家電・設置ポイントを解説します。
コンセント数
2つ以上
使用家電
高圧洗浄機・電動自転車や電気自動車の充電・芝刈り機・イルミネーションなど。
設置するポイント
雨風にさらされる屋外は、防水タイプが必須条件になります。また、家の正面・裏の2ヶ所に設置すると便利です。その場合、コンセントはそれぞれ対角線上に設置すると便利です。
コンセントの種類と特徴

コンセントには、用途に合わせてさまざまな種類があります。将来使用することを想定して、設置しておくことも大切です。
ダブルコンセント
一般的に、多く使われている2口のタイプです。
マルチメディアコンセント
一般的なコンセントに、テレビや、電話回線・インターネットなどの通信用の電源をひとつにまとめたタイプです。IT化が進み、一般家庭でも対応できるように新築やリフォームの際に積極的に採用されています。
アップコンセント(フロアコンセント)
床面に設置し、押すとポンッと飛び出すコンセントで必要なときにだけ使用するタイプです。使用後はフタを閉めればコンセントが隠れます。床面がフラットになるため、つまずく心配がありません。
漏電ブレーカー付きコンセント
漏電対応のコンセントです。もしも、漏電してしまった場合でもコンセント自体が電気を遮断するため安心です。
抜け止め式コンセント
プラグを抜くときには、回さないと抜けない形状につくられています。パソコン・FAXやAV機器などの固定したいプラグに最適のコンセントで、オフィスで多く採用されています。
防水コンセント
防水タイプのコンセントで特に野外で使用する際に向いています。ベランダや庭・ガレージなどに設置して使用します。家庭で頻繁に洗車する機会の多い人や、庭でイルミネーションを楽しみたい人におすすめです。
コンセントの増設にかかる費用相場

先に紹介したコンセントを、増設方法の種類別に増設にかかる費用相場を解説します。
コンセントの本体代金・交換工事費・電源ケーブルの配線工事費は、どの工事でも共通してかかる費用です。また、電気配線の距離が短ければ費用が安くなり、距離が長くなると費用は多くかかります。
既存のコンセントを分岐して新しい差し込み口をつくる
約12,000円~
新しい場所にコンセントを増設するため、壁穴加工費が別途かかります。
分電盤から専用線を引いてコンセントを増設する
約16,000円〜
分電盤の空き状況により、ブレーカーの追加代金や分電盤追加工事費が別途必要です。
既存するコンセントの差し込み口の数を増やす
約5,000円~
電圧(ボルト数)を200V に変更をする
約4,000円~
エアコンは一般家庭用でも、サイズによっては200Vのコンセントが必要な場合があります。
新たに200Vのコンテントを増設する場合は、約25,000円~かかります。
配線を引く方法について

コンセントを増設する際、配線を引く方法は2つです。それぞれのメリット・デメリットも解説します。
埋め込み型
壁の中に配線を埋め込む方法です。
メリット
見た目がスッキリとします。配線に足を引っ掛けて、破損することがありません。
デメリット
壁のクロスを張り替えるなど、大規模な工事が必要になる場合があります。また、建物の構造上、配線が困難な場合もあります。
露出型
壁の外側に配線を露出させる方法です。
メリット
壁のクロスを張り替えなどの大規模な工事が不要です。そのため、工事費が比較的安く済みます。
デメリット
壁・天井・床に配線を引くため、見た目が乱雑に見えてしまいます。配線を破損する恐れもあり危険です。
まとめ
リフォームでコンセントを増設する場合には、それぞれの場所に適した増設方法やコンセントの数があります。ライフスタイルの変化によって、コンセントの数が不足したり、これまでとはコンセントの用途が変わってきたりする場合もあります。リフォームをする際には、将来使用する予定の家電などを想定して、コンセントの増設をすることをおすすめします。
※当ページのコンテンツや情報において、カインズリフォームでは、取り扱いが異なる場合がございます。