物置は組み立てだけではなく、土台を固定するための設置工事が必要です。適切な場所に設置しなければ、台風や地震によって転倒する恐れがあります。転倒すれば中に入っている物や物置本体が破損しかねません。正しい設置方法を知って、転倒防止につなげましょう。
この記事では、物置の組み立て方法や設置方法を解説します。設置してはいけない場所も紹介しますので、物置の設置場所に迷ったときの参考にしてください。

物置はただ置くだけじゃない!適切な設置工事が必要
物置は組み立てて完成ではなく、固定が必要になります。購入後に置くだけというイメージがあるかもしれませんが、実は専門業者による設置工事が必要になることもめずらしくありません。組み立て家具であれば、フローリングのように安定した場所に置くため、特別な対策をしなくても基本的に災害時以外は転倒する心配はないでしょう。しかし物置の設置場所は、雨風の影響を受ける地面の上です。傾斜があったり土壌がやわらかかったりする場合、そのままでは転倒してしまうリスクがあります。
設置場所によっては、転倒防止工事や柔らかい地面を固める「転圧工事」を行います。コンパクトな物置をコンクリートの地面に置く場合は、作業自体は簡単なうえ、専門的な知識や資格も不要です。DIYで組み立てることもできるでしょう。しかし、適切な工事が必要な場合は、無理せずプロに依頼してください。設置作業の負担が小さくなるだけではなく、長期間安心して利用できるようになります。

自分で物置を組み立てる方法
物置は1から組み立てる必要があります。組み立て方を間違えると倒壊する危険性が高まるため、説明書を見ながら作業しましょう。ここでは、物置の組み立て方法を解説します。
準備
物置が梱包された段ボールを開封して、商品が揃っているか確認しましょう。物置のボディは薄い鋼板でできていることが多く、素手で触ると手を切るリスクがあります。安全のためにも必ず軍手を装着してから開封作業を行ってください。
土台作り
物置の大きさに合わせて、土台となるブロックを並べます。ブロックは商品に同梱されていないため、各自での用意が必要です。土台を組んだら床板を敷き、土台の金属部分を隠す土台カバーを取り付けたら土台が完成します。設置場所が土の場合は、専用の穴にアンカーを挿し込んでおきましょう。
コーナーパネルを取り付ける
完成した土台の上に、コーナーパネルを四隅に取り付けていきます。コーナーパネルはフラつかないように、支えてもらいながら取り付けるのがポイントです。コーナーパネルは前後で形状が異なるため、確認しながら設置していきましょう。
側面パネルを取り付ける
次に、物置の壁となる側面パネルを取り付けます。各コーナーパネル同士をつなげる「ドウブチ」を内側に設置していきましょう。設置位置は床から天井までの高さの中間あたりです。後ほど横ランマを取り付けるため、先にコーナーパネルの上に設置していきます。側面パネルを取り付けたら、外側からボルトで締めましょう。
ランマを取り付ける
物置の床と壁が完成したら、次は屋根を作る工程に進みます。屋根板をのせる前に、屋根を支えるランマを取り付けます。横ランマ取り付けアングルと重なるように固定して、前ランマも設置できれば屋根板をはめ込みましょう。
棚板・扉の取り付け
本体が完成したら、中に棚板を設置していきます。左扉は奥のレールに、右扉は手前のレールにはめ込んで、スムーズに開閉するか確認しましょう。扉の開閉動作が問題なければ完成です。

自分で物置の転倒防止工事をする方法
物置を安定して設置するには、固い土台の上に水平に固定することが重要です。ここでは、土の上に設置する場合と、コンクリートやアスファルトの上に設置する場合の具体的な方法を解説します。
土の上に物置を設置する場合
固い土の上に設置する場合は、住宅の外壁などに用いられるコンクリートをいくつか設置して、その上に物置を置きます。ブロックは水平に置くのがポイントです。地面の起状が激しい場合は、地面を平らにならす下準備が必要になります。
土の上に6cm以上の砂利が敷かれている場合も、ブロックを水平に保つのが難しくなります。芝生も同様で、安定性に欠けるため、芝生を剥がしてからブロックを置くのが一般的です。
ただしブロックを置くだけでは転倒する恐れがあります。転倒対策として、物置の四隅に穴を掘ってモルタルを流し込んだ後にアンカープレートを設置すると安心です。
コンクリートの上に物置を設置する場合
コンクリートの地面は水溜りができないように傾斜を付けていることが一般的です。ブロックを水平に並べるために、まずは傾斜調整工事を行います。
具体的には、セメントと砂を練って作ったモルタルという素材を、ブロックの下に詰めて水平を出します。この作業は一般の人では難しいので、業者に依頼したほうが得策です。
倉庫を置く場所が水平になったら、アンカーボルトを入れるための穴を開け、ボルトを締めてアンカープレートを固定しましょう。最後にアンカープレートと物置の側面を固定すれば、転倒するリスクが軽減します。
ただし、アジャスター機能のある物置は、傾斜がゆるやかな場合でも傾斜調整工事が不要になることがあります。

自分で物置を設置する注意点
いざ自分で物置を設置するとなると、専門的な工具や役所への届け出が必要になる場合があります。最初から業者に依頼すればよかった、ということにならないために、どのような注意点があるか確認しておきましょう。
正確に水平をとる必要がある
物置を設置する場合は、目視確認ではなく、水平器などを使って正確に水平をとりましょう。この作業を怠ると、不安定な土台に物置が乗ることになり、耐用年数が短くなります。また、扉にズレが出てスムーズに開閉しないなど、使い勝手も悪くなってしまいかねません。
不具合が起きないためにも、作業は慎重に行いましょう。いい加減に行うと、物置を組み立てたり設置したりした際に隙間やゆがみが生じてしまいます。この段階になって水平がとれていないことに気づくと、作業がやり直しになってしまい、さらに手間がかかります。
特殊な工具を用意する必要がある
日本は自然災害が多い国であるため、大型の物置には転倒防止のためのアンカー工事をすることが推奨されています。アンカー工事の際は、オールアンカーという固定用のパーツが必要です。また、オールアンカーを固定するためのコンクリート用の振動ドライバーも用意します。
部品や道具はネットショッピングなどで入手できますが、DIYに慣れている人や工事経験者などを除けば、扱いづらい特殊な物です。場合によっては、水平を出すためにブロックの下にモルタルを詰める工事なども必要になります。
届出が必要な場合がある
物置は建築物の扱いになるので、事前に建築確認申請が必要になる場合があります。届け出が必要な条件は、物置の床面積が10平方メートル以上で、防火・準防火地域に設置する場合です。
判断ができない場合は、管轄の役所や確認検査機関などに問い合わせましょう。また、物置を扱うリフォーム業者などでも、申請が必要かどうか相談に乗ってもらえます。
地盤が弱い所では転圧工事が必要なことも
地盤が弱い場所では、砂利を撒いて弱い地盤を圧縮する転圧工事が必要です。「タンパー」と呼ばれる手動の道具や転圧機を使って、地面の密度を高めて固めます。
しかし、一般人が転圧工事を行うのは難しいため、業者に依頼するのがおすすめです。業者に依頼することで、よりきれいに整地され、設置場所の安全性が高まります。

自分で物置を設置してはいけない場所
物置は、どこでも設置できるわけではありません。条件をよく調べてみると、意外に設置場所が限られています。ここでは、安全性が確保できない場所や劣化が進みやすい場所など、物置を設置してはいけない場所について解説します。
安全な利用が難しい場所
建物の強度に影響が出る場所や落下して危険な場所には、物置を置けません。
具体的には、建物の屋上やベランダ、バルコニー、段差がある場所のふちなどです。これらは土台が耐えられない可能性があるうえに、落下の恐れもあります。また、避難経路や給湯器、LPガスボンベの近くなども、安全上問題があるため避けましょう。
物置の劣化を促す場所
物置が劣化しやすい場所も、設置に適しません。例えば、屋根を伝った雨水や雪が落ちる下に物置を設置すると、物置が傷んでしまいます。場合によっては、大量の雨や雪の荷重によって、変形することもありえます。
また、室外機や給湯器から出る排気は、サビを生じさせたり熱による劣化を引き起したりするため、近くに設置するのは止めましょう。
物置が転倒する可能性のある場所
庭や畑の使っていない場所は、比較的スペースが広く、物置を設置しやすいように思えます。しかし、このような場所は、強風にさらされやすく転倒リスクが高い場所です。
さらに、畑や元々木が植えてあった場所などは地面が柔らかく、そのまま置くのは危険性が高まります。転圧工事によって、地面を固めて安定性を高めなければなりません。

物置を安定して設置するには、専門業者に依頼しよう
不安定な場所へ物置を設置する際は、安全を確保するためにエクステリア業者やリフォーム業者に工事を依頼しましょう。下準備を行わずに傾斜や段差がある場所に物置を置くと、転倒するリスクが高まります。DIYで下準備を行うこともできますが、十分に安全性を確保するのは難しいものです。
また、下準備は設置場所によって内容が異なるため、専門知識と豊富な経験がないと、誤った施工をする可能性もあります。専門業者は場所に適した施工を行うため、物置を安定して設置することが可能です。

物置の設置を依頼する際の相場価格
費用の相場は物置のサイズや設置場所の状況によって異なります。コンパクトなサイズは2万円程度から、大型のサイズだと30万円を超えるものもあると考えておきましょう。内訳は以下のとおりです。
- 設置工事費用:2~7万円程度
- 組み立て費用:1〜5万円程度
- 転倒防止工事:数千〜2万円程度
大型のものになると、物置の購入費用に工事費が含まれている場合もあります。価格を比較する際には、費用の内訳も確認しておきましょう。
関連記事:物置の設置工事は3ステップ!費用や設置できない場所を解説

物置設置方法まとめ
物置の設置には、組み立てるだけではなく、基板の工事やアンカーの設置などが必要です。下準備を怠れば、自然災害によって思わぬ事故につながる危険性もあります。そうならないためにも、物置の選び方から設置にかかる費用、基礎工事の手配などについては経験豊富なカインズに一度ご相談ください。
カインズ・リフォームでは長年にわたってリフォーム、エクステリア工事の実績を積み重ねてきました。物置本体の販売も行っており、ベーシックなものから高機能のものまで約2,500パターン用意しています。物置選びから施工まで一貫してお任せいただけますので、お気軽にお問い合わせください。

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