倉庫を建設しようと思ったときにまず確認したいのが、「工事費」です。倉庫は種類によって工事費が異なるため、どのタイプを建設するかによっても変わってきます。この記事では、これから倉庫建設を考えている人に向けて、倉庫の工事費の全国平均や倉庫の種類別の特徴、工事費の目安、倉庫建設の際の注意点などを解説します。ぜひ、参考にしてください。
※当ページのコンテンツや情報において、カインズリフォームでは、取り扱いが異なる場合がございます。

倉庫の「工事費」の全国平均
国土交通省がまとめている建築着工統計調査(2023年)によると、倉庫の総工事費の全国平均は坪単価約53.8万円となっています。ただし、これはあくまでもすべての種類、建築エリアなどを含めた平均です。建築エリアや倉庫の種類によっては、実際にかかる工事費に大きな差が生まれるため、工事費の平均は一概にいえないという事情があります。
出典:建築着工統計調査報告(令和5年計分)|国土交通省 
倉庫はおもに3種類
倉庫と一口にいっても種類があります。倉庫はおもに3種類にわけられるため、以下では各種類について解説します。
システム建築倉庫
システム建築倉庫とは、建築におけるさまざまな工程、例えば設計から見積もり、生産などを自動化したものです。システム建築倉庫は柱のないタイプのため、空間を広々と使えるという特徴があります。
倉庫の中ではもっとも工事費が高くなりますが、その分耐久性や強度が高いため、工場としても使いやすいでしょう。システム建築倉庫にも種類があり、「組み立てハウス」と「ユニットハウス」にわけられます。
組み立てハウス
組み立てハウスとはその名のとおり、工場で製造した部材を現場で組み立てる方式の倉庫です。倉庫の建築に使用する鉄骨や屋根といったパーツは、工場で生産されます。現場から部材を手配する必要がなく、現場の負担を軽減できることが特徴です。そのため、工期の短縮や倉庫建築にかかるトータルコストの削減につながります。
ユニットハウス
ユニットハウスは、工場でボックス型のフレームを生産するタイプの倉庫です。工場で大部分が生産されており、現場で組み合わせて建築します。照明やコンセント、内装なども組み込まれているため、組み立てハウスよりも現場作業員の負担が軽くなります。また、現地工事の期間も短く済むため、できるだけ早く倉庫を建築したい場合にもよいでしょう。
システム建築倉庫に向いている使用例
システム建築倉庫は、前述したように柱がないため空間を広く使えることが特徴です。そのため、大規模な物流センターなどに向いています。また、広い空間が必要となる屋根付のレジャー施設として使われることもあります。耐久性と強度が高いので、工場として使われるケースも多いようです。
プレハブ倉庫
プレハブ倉庫とは、壁パネルや梁といったパーツを工場で大量生産し、現場で組み立てる方式の倉庫です。現場で組み立てるため、システム建築倉庫よりもコストが抑えられます。簡単に撤去できるので、短期間だけ倉庫を利用したいという場合にもよいでしょう。また、プレハブ倉庫は6mごとに柱を設置すると決められており、強度が高めです。
プレハブ倉庫に向いている使用例
プレハブ倉庫は6mごとに柱があるため、広いスペースが必要な大規模な倉庫などではなく、小規模な倉庫に向いています。例えば、企業の備品や商品などを保管するためのスペースとして活用できます。また、強度も高めなので、店舗や事務所としての利用も可能です。簡単に撤去できるので、仮事務所などにもよいでしょう。
テント倉庫
テント倉庫は、骨組みをシートで覆うタイプの倉庫です。テント倉庫のシートは光を通しやすくなっているため、日中は光を取り込みやすくなります。そのため、照明や冬場の暖房代といった光熱費の節約にもつながります。建築確認申請も早くおりるため、急いでいる場合にもよいでしょう。ただし、外壁はパネルなどではなくシートのため他の倉庫よりも強度は低いです。
テント倉庫に向いている使用例
テント倉庫は、他の倉庫よりも強度が劣るため、一時的な保管場所として向いています。販売業を行っている場合は、商品を一時保管する場所として活用可能です。建設場所が十分にとれない、三角形などの特殊な形で建てづらい形状の場合にも向いています。また、コストが安めなので予算が少ない場合にもよいでしょう。
※カインズでは、システム建築倉庫、ユニットハウス、テント倉庫の取り扱いはございません。

倉庫のタイプ別「工事費」「工期」「寿命」の目安
倉庫の種類によって、工事費や工期、寿命などは異なります。ここでは、それぞれのタイプ別の目安を解説します。
システム建築倉庫の目安
システム建築倉庫の場合、工事費・工期・寿命の目安は以下のとおりになります。
・工事費:坪単価約20万円
・工期:約3~4か月
・寿命:約30年
システム建築倉庫は強度と耐久性に優れており、工事費がもっとも高くなりますが、寿命が30年と長くなっているので、長期間にわたって利用する場合も安心です。
プレハブ倉庫の目安
プレハブ倉庫の場合、工事費・工期・寿命の目安は以下のとおりになります。
・工事費:坪単価約15万円
・工期:約3か月
・寿命:約20年
プレハブ倉庫は柱があるため強度が高めです。しかし、現場で組み立てる方式のため工事費はシステム建築倉庫よりも抑えられます。寿命も約20年と、倉庫の中では中間に当たります。
テント倉庫の目安
テント倉庫の場合、工事費・工期・寿命の目安は以下のとおりになります。
・工事費:坪単価約7万円
・工期:約2~3か月
・寿命:約10~20年
テント倉庫は、骨組みをシートで覆うだけのシンプルな構造です。そのため、倉庫の中では工事費がもっとも安く、リーズナブルに倉庫を建築できます。ただし、強度は劣るため寿命は倉庫の中では短めです。

倉庫のタイプを工事費用・工期・寿命で比較
ここからは、先ほど紹介した3つのタイプの倉庫を「費用」「工期」「寿命」の3点で比較していきます。
費用
倉庫の工事費用には、次のようなものが含まれます。
- 内装工事
- 外構工事
- 電気設備や空調、給排水などの設備費
- 地盤補強工事
- 図面作成費用
- 建築確認申請費用 など
倉庫のタイプ別の費用目安は、以下の通りです。
- システム建築倉庫:坪単価約20万円
- プレハブ倉庫:坪単価約15万円
- テント倉庫:坪単価約7万円
システム建築倉庫は強度と耐久性に優れており、工事費がもっとも高くなります。プレハブ倉庫も強度に優れていますが、現場で組み立てる方式のため工事費はシステム建築倉庫よりも抑えられます。
一方、テント倉庫は骨組みをシートで覆うだけのシンプルな構造です。そのため、倉庫の中では工事費がもっとも安く、リーズナブルに倉庫を建築できます。
なお、工事費用を比較する際には、坪単価だけでなく総工事費も確認するようにしましょう。
工期
倉庫工事は、基本的には以下のような流れで進行していきます。
- 基礎工事
- 柱・壁・床工事
- 左官工事
- 電気工事
- 配管工事
倉庫のタイプ別の工期の目安は、以下の通りです。
- システム建築倉庫:約3~4か月
- プレハブ倉庫:約3か月
- テント倉庫:約2~3か月
テント倉庫はシンプルな構造なので、ほかと比べると工期もやや短めとなっています。
寿命
倉庫のタイプ別の寿命は、以下の通りです。
- システム建築倉庫:約30年
- プレハブ倉庫:約20年
- テント倉庫:約10~20年
システム建築倉庫は耐久性が高いため、寿命が30年と長く、長期間にわたって安心して利用できます。システム建築倉庫には劣りますが、プレハブ倉庫の寿命も約20年と、倉庫の中では中間に当たります。
一方、テント倉庫は強度があまり期待できないため、そのほかと比べると寿命も短めです。

倉庫の建設・リフォーム会社を選ぶ際のチェックポイント
倉庫の建設・リフォーム会社を選ぶ際は、次のポイントをチェックするとよいでしょう。
施工実績や口コミ
過去の施工実績を確認すれば、その会社の信頼性を客観的に判断できます。倉庫のタイプや大きさなどから、設置したい倉庫と類似する実績を確認してみましょう。
また、口コミ投稿サイトやSNSなどで、利用者の口コミを覗いてみるのもおすすめです。
得意な工法
システム建築やプレハブ建築など、倉庫の建築工法はさまざまにあります。業者ごとに得意とする工法は異なるので、どのような工法に対応しているか、どの工法をメインとしているか事前に確認しておきましょう。
費用感
倉庫の設置工事にはまとまったお金がかかるので、予算に合うかどうかも重要です。まずは見積もりを依頼して、費用感を確認しましょう。今回紹介した相場感を参考にしつつ、適正な金額を提示してくれる業者を選ぶことが大切です。
対応力
工事業者への満足度は、施工の仕上がりや費用だけでなく、担当者の対応力によっても左右されます。こちらの要望をどこまで反映してくれるか、適切な提案をしてくれるかといったポイントをチェックし、信頼できる業者を選びましょう。

倉庫の発注をするときの4つの注意点
倉庫を発注する際には、注意したいポイントがあります。以下では、倉庫発注時の注意点を4つ解説します。
「坪単価」以外の費用も確認する
倉庫の発注をするときには「坪単価」を確認しますが、「坪単価」とは何を指すのか業者によって異なります。そのため、何が含まれていて、何が含まれていないのかしっかりと確認しましょう。確認しておきたいものとしては、以下の項目が挙げられます。
- 内装工事
- 外構工事
- 電気設備や空調、給排水などの設備費
- 地盤補強工事
- 図面作成費用
- 建築確認申請費用など
見積もりの際には、坪単価だけでなく「総工事費」を確認しましょう。坪単価の定義は業者によって異なるため、倉庫の建築にかかるすべての費用を含めた「総工事費」に注目することが重要です。
同じ床面積、同じタイプの倉庫でも形状で工事費は大きく違う
同じ床面積で同じタイプの倉庫だからといって、工事費が同じとは限りません。形状によって工事費は大きく異なるため注意しましょう。例えば、同じ25㎡の倉庫を建築するとしましょう。5m×5mの倉庫の場合は外周20mですが、25m×1mの場合外周52mになります。必要な壁の面積が大幅に増えるため、その分工事費も多くかかってしまいます。
複数の業者に見積もりを依頼する
倉庫を建築する際には、1社だけではなく複数の業者に見積もり依頼をしましょう。複数の業者で見積もりを取ることで、総工事費や工期、スタッフの対応などの比較ができます。業者選びで失敗しないために、対応の丁寧さは重要です。目的に合った倉庫の種類や工事費の内訳など細かく説明、提案してくれる業者を選ぶとよいでしょう。
「用途地域」を確認する
倉庫を建築する前に、建築したい土地の「用途地域」を確認しましょう。都市計画法に基づき、地域によって「住居地域」「商業地域」「工場地域」などの用途が決められています。そのため、使用目的によって建設できる地域が異なるため、まず用途地域の確認が必要です。用途地域は都道府県や市町村の役所やインターネットから確認できます。

まとめ
倉庫の工事費用の全国平均は、坪単価で約53.8万円となっていますが、「坪単価」に含まれる項目は業者により異なる場合があります。そのため、費用を比較する際は「総工事費」を確認しましょう。
倉庫はシステム建築倉庫、プレハブ倉庫、テント倉庫の3種類に分けられます。それぞれに特徴が異なり、建築費用や工期、寿命なども変わってくるため、用途に応じた倉庫を選ぶとよいでしょう。
カインズでも倉庫の販売から設置までを行っています。店頭の相談カウンターやWeb、電話などで商品や費用についてご案内しますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
※当ページのコンテンツや情報において、カインズリフォームでは、取り扱いが異なる場合がございます。