雨が降ると「洗車をしなくて済んだ」と考える人がいるかもしれませんが、車の汚れを落とすどころか、ダメージを与える恐れがあります。この記事では、車に雨染みができる原因とあわせて防止策も解説します。自分で除去する方法も紹介していますので、愛車をメンテナンスする際の参考にしてください。

車の雨染みとは
車のボディに見られるウロコのような白い染みや、黒い汚れが雨染みです。車体に付着していた汚れに加え、雨に含まれるミネラル・PM2.5・黄砂といった不純物、酸性雨の酸化物質などが乾燥することで発生します。
雨染みには2段階の状態があり「イオンデポジット」、「ウォータースポット」と呼ばれています。それぞれの特徴や違いについて説明しましょう。
イオンデポジット
イオンデポジットとは、雨に含まれる不純物などがイオン結合で結晶化した、円形状の白い染みのことです。デポジットとは「堆積・沈殿」という意味を持ち、水道水に含まれるカルキや塩素が固着した状態を指します。水洗いでは落とせません。
ウォータースポット
イオンデポジットの放置により生じるのが、ウォータースポットです。車体に付着した水滴が虫眼鏡のように日光を集め、塗装面に焼き付けを起こす現象を指します。除去には塗装面を研磨するなどの処置が必要です。
イオンデポジットとウォータースポットの違い
イオンデポジットとウォータースポットの違いは、車体へ与えるダメージの度合いと言えます。イオンデポジットは汚れが車体表面に付着している状態です。一方、ウォータースポットは塗装面が陥没し、凹凸になってしまうため早めの対処が必要になります。

車に雨染みができる原因とは
雨染みについて理解したところで、考えられる原因についても確認しましょう。車に雨染みができる4つの原因を紹介します。
洗車の頻度が低い
1番の原因は洗車頻度が低いことです。車には雨に含まれる不純物をはじめ、排気ガスの化学物質、花粉などさまざまな汚れが付着します。とくに花粉や黄砂はアルカリ性のため、塗装面に浸透しやすい物質です。酸性雨にさらされ、放置したまの状態が続くと汚れが固まり、雨染みとなります。
メンテナンスが不十分
不十分なメンテナンスも染みの原因として挙げられます。車体にコーティングを施したとしても汚れは付着するため、定期的なメンテナンスは必要です。放置すれば小さな凹凸が生じ、汚れが固着する可能性もあります。洗車では取れない汚れを落とすのが、コーティングメンテナンスであり、被膜をきれいな状態に保つことで寿命を延ばすメリットも得られます。
水分を残したまま放置
洗車をした際に、車に付着した水分をしっかり拭き取らないと、染みの原因となります。水道水に含まれるカルキや塩素、カルシウムは、蒸発すると車の表面に残り白く固まるため、水分を残さないことが重要です。
直射日光の下での洗車
イオンスポットは、水分が蒸発してカルキや塩素が表面に残る状態と前述しました。直射日光が当たる場所や炎天下では、表面温度が40℃から80℃の高温になるケースがあり、車にかけた水はすぐに気化します。残留物だけが車体に残ってしまうため、洗車は日陰などで行い、塗装面の温度を上げないようにする工夫が必要です。

車の雨染みを除去する方法|自分で処置
表面に固着したイオンデポジットでも凹みがない雨染みなら、自分で除去できる可能性があります。ここでは、自分でイオンデポジットを除去する際の洗浄剤について紹介します。
雨染み除去用シャンプー
軽度の雨染みには除去用シャンプーがおすすめです。一般的なカーシャンプーと同様に扱えるため、初めての人にも簡単に使用できます。水で希釈してから洗浄するのが一般的で、除去能力は高くありませんが、コーティング被膜を傷めません。
イオンデポジット除去剤
イオンデポジット除去剤は、イオンデポジットの部分のみに使用する除去力が強いクリーナーです。洗車後に雨染み部分に塗布することで、ミネラルやカルキ、塩素に反応して染みを落とします。作業後は水洗いをして、しっかりと水分を拭き取りましょう。
メンテナンスクリーナー
メンテナンスクリーナーは、コーティングの効果を維持する目的で使用する商品です。除去効果は低いですが、軽度の雨染みや水垢、油膜汚れを取り除けます。使用方法も難しくなく、汚れを除去しながら、コーティング皮膜の劣化を防げる点がメリットです。

車の雨染みを除去する方法|業者に依頼
市販の洗浄剤では落ちず、雨染みが塗装面にまで侵食している場合は、自分で除去するのは不可能です。無理に取り除くとかえって車体を傷めることになり、汚れを除去できたとしても塗装面の凹凸には研磨作業が必要になります。ここでは、専門業者に研磨を依頼する際の注意点を解説します。
料金が高額になるケースもある
塗装面を均一に仕上げるためには、雨染みを中心に広範囲な研磨が必要です。さらに浸食が深いほど範囲も広がるため、研磨だけでは不十分になり再塗装が必要になる可能性があります。雨染み除去に加え、再塗装も追加になれば費用は高額になることを覚えておきましょう。
車の使用年数の残りを考慮する
雨染みを除去する車は、今後どのくらいの年数を乗り続けるのか考え、費用が使用年数に見合うかどうかを検討しましょう。近いうちに手放すつもりなら、あまり高い費用をかけずに、可能な範囲で手入れをするという判断も必要です。
再コーティングが必要なケースもある
研磨の度合いによっては、コーティングの再施工が必要なケースも考えられます。雨染みの侵食が浅ければ、コーティング剤を重ねることも可能です。しかし、深く侵食していた場合はすべてのコーティングを剥がし、新たに施工することになります。

車に雨染みが付着するのを防ぐには
不必要な費用をかけないためにも、雨染みを予防することが重要です。ここからは、車の雨染みを防ぐ方法について解説します。
コーティングを施す
雨染み対策にはコーティングの施工が有効です。業者に依頼すれば確実ですが、市販のコーティング剤の使用により自分でも行えます。とくに親水タイプは効果が高くおすすめです。以下でコーティング剤の種類について説明します。
親水タイプ
親水タイプのコーティング剤は水滴が塗装面になじみ、車体に留まりにくい点が特徴です。付着した汚れとともに流れていくため、染みになりにくいとされています。ただし、洗車などで効果が薄まるうえ、拭きにくいのが難点です。
撥水タイプ
撥水タイプは水玉状に水を弾き、目に見えて効果が実感できるコーティング剤です。水滴と一緒に汚れが落ち、洗車後の拭き取りが楽な点はメリットと言えます。一方で水滴がレンズの役割を果たすため、雨染みが付着しやすいというデメリットも挙げられます。
疎水タイプ
親水と撥水の効果を併せ持つ疎水タイプは、親水タイプよりも水を弾き、撥水タイプよりも雨染みが付着しにくい特徴があります。ただし、小雨のように水分量が少ない場合は、撥水タイプと同様に水玉ができやすいため、ウォータースポットなどに注意が必要です。
車の雨染みを防ぐ洗車の仕方
水残りや水分の蒸発による雨染みは、洗車方法にも注意が必要です。車の雨染みを防ぐ洗車の仕方について紹介します。
直射日光下は避ける
直射日光下での洗車は、塗装面の温度が上がりやすい状態となり、水分が早く乾いてしまうためおすすめしません。雨染みを防止するには、車体に付着した水分を蒸発させないことが重要です。水道水に含まれるカルキやカルシウム成分が残り、固着してしまうため日陰・曇り空・早朝・夕方といった環境での洗車が適しています。
水分を完全に拭き取る
洗車後には水分を残さないように、しっかりと拭き取ることが大切です。洗車に使う水道水にはカルキや塩素が含まれており、水分が蒸発してそれらの成分が塗装面に固着することで雨染みになります。乾燥する前に水分を拭き取れば、雨染みの元となる不純物も残りません。妥協せずに完全に拭き取りましょう。
雨上りにはすぐに洗車を行う
雨に含まれる汚れを落とすためにも、雨上がりの洗車はおすすめです。雨に含まれる不純物や汚れが時間とともに結晶化し、塗装面に固着すると除去が難しくなります。また、雨の中を走行した後は水分を含むことで頑固な汚れが落としやすく、普段よりも楽に洗車が行えます。車体の汚れを落とした後は、水分の拭き取りを忘れないようにしましょう。

車の雨染み対策のポイント
雨染みの除去や予防について説明してきましたが、紹介した方法を参考に対策を行う場合、いくつかのポイントも押さえておきましょう。
複数回に分けて取り除く
重度の雨染みは、複数回に分けて取り除くようにしましょう。雨染みを一度で除去するのは難しく、無理に除去しようとすると車体にダメージが生じる可能性があります。雨染みに対して除去力が強い洗浄剤を、長時間塗布し続けるのも禁物です。
雨に当らないように保管する
屋根付きの車庫やガレージで車を保管し、できるだけ風雨にさらさないようにするのもポイントです。地下駐車場やシャッターが付いたタイプなら、さらに効果的でしょう。難しい場合は、車体カバーがおすすめです。完全に車体を覆うことができ、遮熱・遮光効果もあります。たためばコンパクトに持ち運べるので、外出先でも利用できます。
定期的にメンテナンスを行う
車体にコーティングを施した場合でも、水垢や汚れは付着するため定期的なメンテナンスが必要です。頻度は車体の色や、保管状況などによって大きく異なります。例を挙げてみましょう。
・濃い色の車を青空駐車→1か月に1回
・淡い色の車を屋内駐車→半年に1回
屋内よりも青空駐車の方が、風雨や紫外線にさらされる時間が長くなるため、頻繁なメンテナンスが必要になります。

まとめ
車の雨染みは仕組みを理解し、こまめな洗車やメンテナンスを行うことで予防できます。軽い雨染みなら自分でお手入れすることも可能です。しかし、塗装面に侵食してしまったひどい雨染みは、専門業者に依頼するのが確実と言えます。

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